牧場の短期バイトはどんな仕事?リゾートバイトとの違いや特徴を紹介

牧場バイトはリゾートバイトになる?

牧場の牛

(出典) photo-ac.com

牧場に住み込む短期バイトにどんなイメージをもっていますか?

豊かな自然とかわいい動物たちに囲まれて、癒やされながら働ける…。牧場で働く人達や、寝食を共にする仕事仲間と心あたたまる交流で、いい思い出も。夏休みなどの長期休暇中に、普段は行けないような土地で出会う非日常……。

牧場でのバイトというと、リゾートバイトを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、冷静に考えると牧場の仕事は「生き物相手で休めない、重労働」というようなことも簡単に想像がつくかもしれません。

実際のところ、牧場バイトはどのような感じなんでしょうか?リゾートバイトと比較しながら見ていきましょう。

牧場バイトとリゾートバイトの共通点

牧場の馬

(出典) photo-ac.com

勤務地は自然の中

リゾートバイトの勤務地は、いうまでもなくリゾート地です。夏なら海や高原、冬はスキー場などといったところが多いでしょう。いずれも自然豊かな場所が基本です。

牧場バイトの勤務先である牧場も、飼育している動物などにもよりますが、高原地帯に多いのが特徴です。牛をはじめとする家畜には体温が高いものが多く(39度くらい)高温多湿な気候に強くありません。そこで、夏の暑さから動物たちを守るために、気温の低い高原に牧場が作られることが多かったようです。観光客を受け入れる牧場(観光牧場)でも、涼しい場所のほうがお客さんも大勢来てくれそうという狙いもあるのかもしれません。

牧場がもっとも多いのは北海道ですが、関東近辺では乳牛を飼育する牧場は栃木・群馬・千葉などに、観光牧場は長野に多く集まっています。千葉には高原がありませんが、日本ではじめて酪農がはじまった場所と言われており、その経緯からか牧場が多く所在しています。

勤務地のロケーションという点では牧場バイトもリゾートバイトと同じくらい自然豊かな場所が多いので、夏休みなどの長期の休暇にリフレッシュを兼ねてバイトするのもおすすめです。

住み込みながら働ける!

リゾートバイトが人気なのは、普段住んでいる地域から離れてリゾートで働く非日常性を味わえるからです。勤務先のホテルやスキー場などの従業員用の寮に住み込み、現地に滞在しながら働くのが基本のスタイルです。温泉のあるホテルで終業後に入浴できるといった特典や、バイト先での思わぬ出会いを楽しみに毎年参加する人もいます。

牧場の短期バイトも、勤務先に滞在しながら働くのが一般的です。ただし、牧場は小規模な家族経営も多いので寮などはないことも多く、牧場経営者の自宅の一室を間借りしながら働くこともあります。また、最近は寮のない小規模牧場でも快適に働いてもらおうと、牧場で働く人向けに自治体が宿泊施設を貸し出したりすることも増えてきました。なかには、個室・風呂トイレ付き・温泉付きの施設を用意している自治体もあるそうです。そんな施設に宿泊できれば、牧場バイトでリゾート気分を味わえるかもしれませんね。

交通費が支給される場合も!

普段住んでいる地域から離れて働くリゾートバイトでは、居住地から勤務地までの往復交通費を支給してもらえる求人があります。

牧場での短期バイトも、地方に所在する牧場までの交通費を支給してくれる求人が多いようです。ただし、一定期間以上(2ヶ月ほど)働いた人に対して片道分を支給するといった条件が多く、往復の支給を受けられる求人を探すのは簡単ではありません。絶対に往復の交通費が欲しい!という人は、応募前によく確認しておきましょう。

リゾートとはちょっと違う、牧場バイトの独特な事情

牛舎

(出典) photo-ac.com

日常では味わえない環境に住んで働くという意味ではリゾートバイトと牧場バイトも共通しています。しかし、当然ながら、牧場ならではの事情もあります。それを知らずにリゾート気分で牧場バイトに行ってしまい、予定の期間が終わるのを待たずにバイトを辞めてしまう人も少なくありません。牧場バイトの独自の事情を紹介します。

働く人を選ぶ、朝とにおいの問題

牧場の仕事内容と1日のスケジュールは、飼っている動物の種類や、観光牧場か酪農や畜産をメインとする牧場かなどによって微妙に異なります。しかし、共通しているのは、朝早く、長めの昼休みを挟んで夜まで働くという点です。なによりも動物の都合が最優先の仕事なので、病気や怪我、出産など動物の体調に合わせて就業時間が変化することも珍しくありません。

早起きできるかどうかは、牧場バイトの適性を見極めるうえでよい基準になるでしょう。

  • 5:00 牛舎の掃除/餌やり/1回目の搾乳
  • 12:00~15:00 昼休み
  • 飼料の配合/寝わら敷き/機械のメンテナンス
  • 18:00~21:00 2回目の搾乳/餌やり

ちなみに、競走馬の生産牧場や競走馬となるのに必要な訓練をするための育成牧場では、この例とは少々異なり、馬のストレス予防や運動のために夜間に放牧していた馬を厩舎(きゅうしゃ・馬のいる小屋のこと)に戻したり、運動や調教を準備するために酪農家よりも朝早くから働いたりすることもあります。調教での騎乗などは正社員の担当です。

観光牧場では、動物の世話のほか、お客さんへの対応や物販なども任されることもあります。

さて、1日のスケジュール以外にも重要な点があります。牧場の動物からは糞尿が出ます。牛舎や厩舎の掃除では糞を取り除いたりすることもあるうえ、餌やりやブラッシングの最中に糞が肌につくこともあるでしょう。糞がつくわけですから、当然、においもあります。少量であれば洗い流すなどして対応できますが、服についた糞は完全に落とすことは難しいかもしれません。

意外と難しい「交流」

居住地から離れた場所での住み込みバイトには、勤務先での出会いや地域との交流を期待して参加する人もいます。しかし、牧場の住み込み短期バイトでは実現できない可能性も高いでしょう。

バイト参加者は、牧場にとってはゲストではなく労働力です。動物という命を扱う仕事のため、遊び優先では務まらないこともあるでしょう。仕事がハードで就業後は疲れてしまい他人と話す気力なんてなかった…、という側面もあるようです。

さらに、牧場主の自宅の一室を間借りして寝泊まりというケースでは、自分以外にバイトがいないことも多く、そもそもバイト同士の交流も難しいケースがあります。他の家族の日常生活に入り込むため、気を遣う場面もゼロではありません。

とはいえ、これも場合によりけりで、牧場主からとても大切に扱ってもらい、毎日外食に連れて行ってもらって家族同様になったという経験をする人や、自治体が用意している宿泊所で他の牧場で働くバイトと仲良くなることができたという人もいます。

働くのに最適な季節と勤務先選びのポイント

牧場の宿舎

(出典) photo-ac.com

牧場で充実したバイト生活を送るために必要なポイントを紹介しましょう。

夏か、それとも冬か

夏に働くか、冬に働くかは大きなポイントです。 涼しい場所で冬に働くのは大変と思う人もいるかもしれませんが、季節ごとにメリット・デメリットがあります。下に挙げた夏と冬、季節ごとの牧場バイトの特徴を確認し、自分に合った季節を見極めるヒントにしましょう。

夏のバイト
  • 高原は涼しい気候なので、休日に川遊び・山登りなどのアクティビティーが満喫
  • できる 牧草の刈り入れと重なると人手が足りず仕事の負担が重くなりがち
  • 温度によっては、住み込み先の施設にクーラーがないとつらいことも
  • 糞のにおいが他の季節よりも強い
  • アブやブヨ、蚊などの虫が多い
  • 牧草の刈り取りを任されることもあるが、まれにアレルギーのようなかぶれなどを発症する人もいる
  • 動物の体温は人間よりも高いので、牛舎や厩舎がかなり暑い
冬のバイト
  • 空気が澄んで星がきれいに見える
  • 春先は動物の出産・新しい命の誕生に立ち会える
  • 動物の体温は人間よりも高いので、牛舎や厩舎などに限っては暖かいことも
  • 糞のにおいは控え目で、虫が少ない(ただし、糞が凍った場合は粉砕して処分するという力仕事が必要になることも)
  • 春先にかけて出産シーズンを迎えるため、夜の出産に立ち会い不規則な勤務になりがち
  • 道路が凍結して危険なため、運転に自信がなければ車では外出できない

収支を意識しよう

一般的な傾向として、牧場のバイトは都市部でのバイトに比べて時給は高くありません。地方では最低賃金が抑えられていたり、「有償ボランティア」という名目で募集していたりするからです。有償ボランティアなど、1日働いて3,000円の手取りということもありえるほどです。

稼ぐことを目的にするのであれば、バイト期間中の収益と滞在費などの費用を天秤にかけて、損益分岐点を意識しておきましょう。そうしないと「お金を稼ぎに行って収支マイナス」という事態が発生しかねません。

たとえば、宿泊費用も寮や自治体が保有する施設のなかには、無料のところと、低額ながら有料のところとがあります。少ない金額であっても費用が発生するとなると、収入を圧迫する原因になるため、事前に確認しておきたいところです。また、食費も問題です。自炊のバイトでは、1日の給料で食費をカバーする必要があります。3食を無料で提供してくれる職場もありますが、その場合給与が低めに抑えられているケースもあるので注意しましょう。

さらに、勤務中の交通費も考慮する必要があります。牧場で車を貸してくれたり、街まで送迎してくれたりするならよいのですが、休日のたびに街までの交通費を自腹で用意していると、負担は大きくなります。牧場は街から離れているところも多く、さらに周辺に公共交通機関がないところも珍しくありません。

勤務先での交通手段として、軽トラックなどを貸してくれることもあるので、応募前に確認しておくとよいでしょう。また、貸してもらえる車は農作業用を兼ねたMT車のみという場合もあります。AT限定免許の人は注意したいところです。

応募前に現地の農協などから生の情報を入手しよう

牧場バイトは求人サイトで見つけることができるほか、地域の求人をまとめて募集の窓口となっている各地の自治体の農政課や農協に問い合わせて見つけることができます。働きたい地域に心当たりがあるなら、当該地域の自治体や農協に直接問い合わせるといいかもしれません。

現地に問い合わせて聞いた情報は、現状の労働環境や労働条件を正確に反映していることが多く安心です。また、万が一、就労後にトラブルが起こった場合に、地元の自治体や関係者を通しているとスムーズに話がまとまることもあります。