エディトリアルデザイナーになるには?求められるスキルと求人傾向

エディトリアルデザイナーとは

雑誌関係の作業をする女性

(出典) photo-ac.com

エディトリアルデザイナーは、新聞、雑誌、書籍、カタログなど各種印刷物をデザインする職種の人を指します。出版社の編集者やアートディレクターの指示を受けて、タイトルや見出し、本文、写真、イラストなど読者にとって必要な情報が明確かつ効率的に伝わるようバランスを整え、美しく読みやすい形にレイアウトしていく仕事です。

エディトリアルデザイナーの仕事内容

雑誌の山

(出典) photo-ac.com

まず、編集者やアートディレクターなどと打ち合わせを行い、制作物の対象読者やテーマ、構成などの情報をもとに、デザインのテイストや配色、フォント、写真やイラスト、表組みなどの詳細イメージを擦り合わせていきます。

その後、打ち合わせの内容をもとに大まかなデザインを組み立て、編集者やアートディレクターとやりとりをしながら詳細な部分のデザインを進めていきます。デザインが固まってきたら、カメラマンやイラストレーター、DTPオペレーターなどに、それぞれ写真撮影、イラスト制作、DTPの仕事を発注するという流れです。なお、デザインをする際には、DTPオペレーターのスキルも必要となるため、DTPオペレーターの仕事も兼ねて仕事を受けているエディトリアルデザイナーもいます。

テキストや写真、イラストなど、すべての素材が揃ったら、最終的なデザインに仕上げて、発注者の承認を得たあとに印刷所へ入稿します。入稿後、色校などの入念な確認作業を行い、印刷物を完成させます。

エディトリアルデザイナーとグラフィックデザイナーの違い

カラーデザインを決める打ち合わせ

(出典) photo-ac.com

編集者が考えた目次にもとづいて、印刷物の構成・表組みなども考えてデザインを行うのがメインであるエディトリアルデザイナーに対し、視覚表現全般のデザインを専門に行うのがグラフィックデザイナーです。編集者やエディトリアルデザイナーが用意した素材をいかに効果的に配置し、デザイン要素を織り込んで見やすく、読みやすい誌面にするかを考えて形にしていきます。広告の紙面デザインや商品ロゴなどをメインに担当するのがグラフィックデザイナーであるといえばわかりやすいかもしれません。 

編集者がエディトリアルデザイナーの役割を兼務することや、エディトリアルデザイナーがグラフィックデザイナーを兼務することもあり、これらの仕事の線引きはあいまいであるといえます。 より編集者寄りの業務をこなすのがエディトリアルデザイナーで、デザインをメインにこなすのがグラフィックデザイナーといってもよいでしょう。

また、書籍の外観を專門にデザインするデザイナーは、装丁家(ブックデザイナー)とよばれていますが、グラフィックデザイナーが装丁も行うことがあります。各デザイナーの得意・不得意によって業務範囲が変わるので、一概に「私は○○デザイナーです」と言い切れないケースも多いようです。

エディトリアルデザイナーの就職先

おしゃれなオフィス

(出典) photo-ac.com

会社に所属して働く場合は、出版社や編集プロダクション、デザイン事務所、一般企業の広報部、広告企画制作会社などが就職先としてあげられます。また、これらの会社から業務委託を受ける形で、フリーランスのエディトリアルデザイナーとして活躍している人も多くいます。

エディトリアルデザイナーになるには

デザイナーのイメージ

(出典) photo-ac.com

エディトリアルデザイナーになるためには特別な資格は必要ありませんが、デザイン関連の専門学校や美術系の大学を卒業したあと、エディトリアルデザイン関連の会社に就職するケースが一般的です。デザイン・美術関連の学校に通っていなくとも、デザイン事務所などで経験を積んでキャリアアップしていく場合や、DTPオペレーターなどの編集関連の仕事に就きながら、エディトリアルデザイナーを目指すケースもあります。

エディトリアルデザイナーに求められるスキル・能力

配色やレイアウトなどの知識、タイポグラフィなどフォントを扱うスキルといったデザイン面における知識やセンスはもちろん、デザイン・技術に関する向上心が必須となります。さらに、編集者やアートディレクター、イラストレーターなど多くの関係者と共にひとつの作品を作り上げていく仕事であるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

また、デザイン作業はパソコンを使うのが通常です。おもに利用されているのは、IllustratorやPhotoshop、InDesignなどのアプリケーションです。したがって、これらを使いこなせるスキルや能力が求められます。関連する資格は、アドビ株式会社が公認する民間の国際認定資格「アドビ認定プロフェッショナル」です。試験科目はアドビ社のアプリケーションごとに独立しており、資格は科目ごとに認定されます。また、公益社団法人日本印刷技術協会が認定する「DTPエキスパート」、ボーンデジタル社が運営する「DTP検定」といったDTP関連の民間資格もあります。

エディトリアルデザイナーの年収

計算機を持つスーツの女性

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エディトリアルデザイナーは雑誌や広告関連に勤務している人や、フリーランスで働いている人など雇用形態がさまざまです。年収は勤務先や経験によって異なりますが、300万~500万円程度とされています。

年収は地域によっても変わります。ほかの職種と同じく、首都圏をはじめ都市部にいくほど高くなる傾向があるようです。会社の規模によっても、収入は大きく変化するでしょう。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2021年度)によると、エディトリアルデザイナーを含む「デザイナー」の年収は平均470万円程度となっています。デザイナーとして知識や経験を積んでいけば、一般的な日本人の平均収入よりも高収入を得られる仕事といえそうです。

エディトリアルデザイナーの求人傾向

手を差し伸べるスーツの女性

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エディトリアルデザイナーの求人は、数年間の実務経験が必須となるものが多いです。しかし、なかには、InDesignの使用経験があれば未経験での採用を実施している企業もあります。採用にあたっては、これまで手がけた作品のポートフォリオの提出が求められる場合も多いでしょう。

出典:
アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)|Adobe
DTP検定
内閣府提出資料(抜粋)
DTPエキスパート|JAGAT