配管工になるには?仕事内容と全国の求人の傾向を紹介

配管工になるには

工具を持つ手

(出典) photo-ac.com

配管工になるには、建設会社や住宅設備関連会社、工務店などに見習いとして就職して修業しながら、実践的に技術と知識を身につけるのが一般的な方法です。職業訓練校の課程を終えて基礎知識を身につけてから見習いとして就職することもできます。また、配管工として働き始めるために必要な資格はありません。配管設備に興味をもち、社会のインフラを支える責任にやりがいを感じられることが重要です。

見習いとして働きながら、一人前の配管工としてひと通りの技術を身につけたことを証明するために、「配管技能士」や「管工事施工管理技士」の資格取得を目指してもよいかもしれません。配管工として働くうえで必ずしも必要になるものではありませんが、配管工に欠かせない工事技術の技能を証明することができるため、昇進や転職を目指すうえで有利に働くでしょう。

配管技能士の概要

配管技能士は、都道府県職業能力開発協会が実施する技能検定に合格すると与えられる国家資格です。配管工事に必要な技能を身につけていることを証明するもので、資格所持者だけが「配管技能士」を名乗ることができます。また、配管技能士の有資格者は、ガス溶接作業主任者試験など建築関連の一部資格について試験科目の免除などの措置が受けられます。

検定は1級から3級まで、出題する技術の難易度により分かれています。「建築配管作業」と「プラント配管作業」の2つの出題分野から1つを選択したうえで、その分野について実技と学科による検定が実施されます。

各等級の受験資格について、職業訓練歴や学歴等により短縮される場合がありますが、2級の場合は2年以上の実務経験が必要となり、1級の場合は7年以上の実務経験が求められます。合格基準点は100点を満点として、実技試験は60点以上、学科試験は65点以上です。

キャリアパス

配管工は見習い期間を経て、専門領域についての技術を身につけると、一人前の職人として仕事を任されるようになってきます。さらに職人として経験を積み、技術のほかに現場のマネジメント方法なども身につければ、現場のリーダーや主任などへと昇進することもあります。

配管のなかには場合によっては高圧蒸気や薬品などが通っているため、配管工の仕事は命の危険をともなうこともある職種です。そのため、見習い期間中には安全に関する知識をしっかり学ばなければなりません。多くの会社では専門的な技能を必要としない業務をしながら先輩職人を手伝い、配管技術と同時に安全に対する知識をOJT(実務による教育)で学びます。大規模な会社では、Off-JT(現場から離れた訓練)を用意しているところもあります。

一人前の職人として高度な技術を身につければ、独立開業という道に進むこともできます。店舗を構える必要がなく、手がける工事の種類によっては高額な道具類が必要ありません。経営者として、仕事を確保し続けるための営業力が必要になります

配管工の仕事内容

住宅を作る職人

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配管工は、建築物に必要な配管を設置する職人・技術者です。住居やビルといった一般建築に関わる工事から、病院のような公共施設や工場(プラント)の工事まで幅広く活躍しており、まさに社会のインフラ整備を支える仕事です。

仕事の種類

配管工事は配管の目的によって、「ガス配管」「給水管」「空調配管」「衛生設備配管」などの種類に分類することができ、それぞれの工事に際して必要な知識や技術が異なります。人によっては複数の分野にまたがって工事を担当する人もいますが、全ての種類の配管工事を行うことのできる人はまれです。

また、工場(プラント)の配管工事はとくに専門性を必要とする仕事です。工場の配管のなかに通っているのは高圧蒸気や薬品などの命の危険をともなう物質であることも多く、施工は高い精度が求められるため、一般建築の配管工が工場まで手がけることはほとんどありません。

このように、ひと口に「配管工」といっても、扱う配管の種類により住み分けが進んでおり、業務内容にも違いが生じています。現在、配管工は以下のように分類されることが多くなっています。

衛生配管工

給排水に関わる配管を手がけます。配管の中を通るのは、飲料用の上水や浴室・トイレで使用する給排水などです。一般住宅では、風呂機器の設置と給排水管への接続まで担当します。 また、一般住宅以外の下水関係の工事も担当しますが、ゲリラ豪雨などによって工事中に作業員が事故に巻き込まれることがないよう、近年は降雨情報システム(「東京アメッシュ」など)を活用して安全に留意しながら作業を行います。

ガス配管工/医療ガス配管工

一般建築に都市ガスを供給するための配管工事を行うのがガス配管工です。ガス漏れは中毒や爆発で利用者の生命の危険を伴うので、高い技術力を要します。病院の手術室やICUなどで使う酸素・窒素・笑気といった医療用ガスの配管を担当する配管工は医療ガス配管工とよび、区別するのが一般的です。

空調配管工

ビルなどの建物内部は、冷暖房の配管が縦横に整備されており、冷凍機やボイラーから各部屋の空調機へ冷温水、蒸気、冷媒などを供給しています。これら空調に用いる配管を担当するのが空調配管工です。配管のほか、排気ダクトの設置まで手がけます。

防災設備配管工(消火配管工)

ビルなどで消防法上設置義務のあるスプリンクラーは、屋上給水塔から各フロアまで配管でつながっています。その配管を担当するのが防災設備配管工です。

プラント配管工

工場では薬品などの物質が配管を流れており、これが漏れ出すと人命や環境に重大な影響をもたらします。そのような漏出事故を防ぐため、プラント配管工は高度な施工精度が要求される工場の配管などを専門的に扱います。プラント配管工は、工場内で発生する配管作業全般を扱います。

配管工事の流れ

配管工の仕事をイメージしやすいよう、一般建築の施工時に給排水配管を取り付ける際の工事の流れをご紹介します。

まず、配管に使う、機材や材料(金属製の管など)を現場に搬入します。(場合によっては洗面台やバスタブなどの搬入も配管工が担当し、設置後に水が漏れ出すことを防ぐためにコーキングやシーリングを施すこともあります)

次に、図面を見て配管する箇所を特定し、さらに配管を取り付けたい部分の寸法を測定します。

採寸後は配管を曲げる角度などを計算。事前に配管の展開図などを制作し、角度計算を済ませておくこともあります。

角度計算が済むと、配管のパイプの切断です。切断時には配管の切り寸をさらに計算することもあります。

その後、切断した部品を、溶接やねじ込みなどによって接続します。この技術が不足していると、配管の中身が漏れ出す惨事になるため、配管工の腕の見せどころです。

配管は基本的に、人目につかない壁の裏側や床下など狭いスペースに設置されることが多いため、しゃがむなどしながら狭い空間での接続作業になることもあり、身体的な負担は大きなものになりがちです。また、高所に配管が設置されるケースでは、安全帯をつけて作業することもあります。

道具類

担当する配管の種類によって必要な道具は異なりますが、配管工の扱う代表的な道具として以下が挙げられます。

スケール

寸法を測るために利用します。

ドライバー

止水栓の操作や機材搬入時に扉を外す際などに使用します。

モンキーレンチ

配管を止めるときに使うナットやボルトの締め上げに使用します。

水平器

配管を支持する金物を取り付ける際などに使用します。

ラチェットレンチ

ボルトやナットを連続で回すことができる工具です。これらの締め付けや取り外しに使います。

プライヤー

メッキ管をしっかり掴んだり、針金を捻ったりする際に利用します。

カッター

塩ビ管のバリをとったり、養生テープを切ったりと多用途です。

サンダー

既存の配管の撤去や、配管の切断に用います。主に肉厚な配管に使うことが多い道具です。小型の回転刃であるため取り回しが容易で、狭い場所での作業にも向いています。

パイプソー

配管の管を切断するために利用します。配管の種類によってはサンダーと使い分けます。

パイプレンチ

配管のねじ込みを行うために利用します。歯の溝が薄いので、配管を傷つけることがないため便利です。

全ねじカッター

配管を支持する際や、配管のねじ込みに使うネジの加工を行う道具です。現場では必要なネジが用意できないと作業が進まないことも多く、ネジの加工ができる全ねじカッターは配管作業に必須です。

配管工の求人傾向

錆びた配管の山

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配管工の求人は、建設会社や設備会社によるものが多い傾向です。小規模な地元密着型企業も多いので、Webだけでなくハローワークや地元求人誌も探してみると、より多くの案件が見つかる可能性があります。

応募時の年齢は、18~60歳程度までと幅広く募集している企業が多い模様です。また、未経験でもOJTで丁寧に指導するということを謳い文句にしている会社も多く、未経験でも積極的に応募してみるとよさそうです。

建設関係の会社は営業範囲が広い傾向にあり、会社や事務所が所在する都市のほか、所在する地方一円の現場を請け負っているケースも普通です。そのため、現場までの移動手段として普通自動車免許を応募条件として求める会社も多くあります。

※文中に記載の各種数値・内容は、2017年8月時点のものになります。