看護師になるにはどんなルートがある?資格の取り方とやりがいを紹介

看護師は、病院やクリニックだけでなく介護施設や保育所など、さまざまな場所で活躍しています。女性のイメージが強い看護師ですが、男性看護師も年々増えています。60代以上の看護師も増えており、長く活躍できる仕事のひとつです。また、急速に進む高齢化に対応するため、特定の医療行為については一定の条件のもと、医師の判断を待たずに看護師が行うための研修制度が開始されました。看護師の仕事の幅はますます広がりつつあります。

看護師とは

笑顔の白衣の女性

(出典) photo-ac.com

病院に訪れたときに対応をしてもらって、看護師に憧れる人も多いのではないでしょうか。将来の職業として目指したい人は、まずは看護師という仕事の概要や、やりがいを把握しておきましょう。

看護師の役割

看護師には看護師と准看護師の2種類が存在します。看護師資格は厚生労働省が所管する医療系の国家資格です。准看護師は都道府県が発行する資格を持ち、看護師の指示にしたがって業務を行います。けが人や病人、妊産婦の療養のための世話を行うほか、医師による診療の補助を行います。患者本人はもちろん、その家族の不安や疑問にも寄り添い、きめ細かいケアを行います。

やりがいについて

患者が回復していく過程を見られたり、患者やその家族から感謝されたりするときは、看護師になってよかったと実感できる瞬間だといいます。また、チームで看護を行うことが多いため、チームがうまく機能しているときや、支え合いながら難局を乗り越えられたときも、やりがいを感じられるようです。収入が高めであることや安定した職業であることも、やりがいを感じられる重要なポイントといえます。
一方で、責任の重さや、業務の厳しさに対して、評価や収入が見合わないと感じる場合もあるようです。深刻な現場に立ち会うことが多く、些細なことも患者の命に関わるため常に注意力が必要で、精神的な負荷がかかりやすい職業でもあります。体への負担も大きく、夜勤のある2交代や3交代での勤務体制の場合は、生活のサイクルも乱れがちであるため、自身の健康管理も重要です。

看護師の仕事内容

カルテを見つめる女性

(出典) photo-ac.com

看護師は、配属される場所によって仕事内容が変わります。「病棟」と「手術室」が主な配属先です。それぞれのポジションでどのような仕事をするのか、主なパターンを見てみましょう。

病棟看護師の場合

病棟看護師の仕事内容は、数多くあります。日勤と夜勤があり、引き継ぎ作業をした後は入院患者または外来患者のサポートが主な業務です。
検温、採血、点滴など、患者の状況に合わせて対応することになるでしょう。入浴の手伝いや、食事の配膳、薬の管理といった日常的なサポートも看護師の仕事です。患者の生活や病気・けがのケア全般が仕事となります。
検査の実施がある場合は、患者への連絡や送迎も行います。日常業務はスケジュールが決まっているものの、夜間でもナースコールなど突発的な対応があり、場合によっては多忙になることも多いでしょう。
どのような仕事内容になるかは、病棟の診療科目でも変化します。外科やリハビリを必要とする患者が多い病棟では、入院患者の介助が必要です。内科では、日々の採血や検査の付き添いなど日常的な業務が多くなるでしょう。

手術室看護師の場合

看護師には、手術室に配属される「手術室看護師」もいます。病棟内で手術を行う大きな病院では、手術室に配属される機会も増えるでしょう。手術室での主な業務は、2種類です。
医師をサポートするため、手術に必要な器械を渡す看護師を「器械出し看護師」と呼びます。器械の消毒や管理も、器械出し看護師の役割です。あらかじめ必要な機械を準備しておき、適切な場面で医師に手渡します。
器械出し以外のサポートをする「外回り看護師」も、重要なポジションです。外回り看護師は、全般的な作業を請け負います。手術室の環境に気を配ったり、患者の状態に応じて処置を行ったりと業務内容は多様です。
手術前の説明や病棟との連絡も、外回り看護師が行います。器械出し看護師が手術室をメインに業務を行うのとはやや異なり、外回り看護師は病棟や外来と行き来しながら手術中の患者をサポートします。

外来看護師の場合

外来看護師の仕事内容は、病院や診療所などで主に外来患者に対する看護業務を担当することです。多科の病院では、いくつもの科目を兼任することも珍しくありません。

具体的には、医師がスムーズに診察できるための介助、問診、注射、薬剤の投与などの医療行為を実施し、患者や家族に治療やケアに関する情報を提供します。また、病状の変化や副作用の有無をモニタリングし、必要に応じて医師や他の医療専門家と協力して対応します。さらに、外来患者への教育や指導を行い、健康管理や生活習慣の改善に向けた支援も行います。毎日多くの患者を相手にするため、知識はもちろん、常に先や周りの状況を考えながら対応する能力が必要です。

看護師になるには

チームで活動する看護師

(出典) photo-ac.com

看護師として仕事をするには、「看護師資格」を持っていることと、「登録」していることが必要です。看護師資格を取得するには、国家試験に合格しなければなりません。
受験資格は、一般的には
看護系の大学で必要な学科を修めて卒業(見込みも含む)していること
看護系の短期大学や専門学校などで3年以上必要な学科を修めていること
指定された看護師養成所を卒業(見込みも含む)していること
です。
また、准看護師の有資格者が、指定の大学や学校、養成所で2年以上修業した場合も、受験資格が認められます。そのほか、外国の看護師養成所を卒業した外国の看護師の有資格者や、一定の基準を満たしているインドネシア、フィリピン、ベトナムの外国人看護師候補者は、厚生労働大臣の認定を受けることで受験資格が認められます。
試験の概要は以下のとおりです。必ず厚生労働省の該当ページで確認してください。

試験の内容

(2022年度)人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護論及び看護の統合と実践

スケジュール

(2022年度)
受験申請受付期間 : 11月中旬〜12月上旬
筆記試験期日 : 2月中旬
合格発表 : 3月下旬

看護師経験者へのインタビュー

問診表を持つ看護師

(出典) photo-ac.com

スタンバイでは、実際に看護師として働いていた方に、「仕事のやりがい」「努力したこと」「将来性」についてインタビューを実施しました。

インタビューの対象者

  • 女性(兵庫県在住)
  • 実務経験年数:2年

Q1.看護師のやりがいを教えてください

感謝されたくて看護師をしているわけではありませんが、やはり患者さんに感謝されるときにやりがいを感じます。また、私は内科の病棟に勤めており、同じ患者さんが繰り返し入院することが多かったため、自分の関わりや介入の仕方で、患者さんが自分の生活を見直していこうと決めて、自宅でも実践していることが確認できたときに、やっててよかったと感じます。
残念ながらお亡くなりになる方もおられますが、家族の方に今までの感謝の意を述べられたり、「ここで最期を迎えられてよかった」と言われたりすると、自分たちの関わりや看護はよかったと思えますし、もっとこんなこともできたのではないか?と振り返ることで、今後に生かすこともできるので、それもやりがいにつながります。

Q2.看護師試験に合格するために努力したことは?

とにかく同じ問題集を繰り返し解きました。とくに必修問題は確実に8割取らないといけないので、重点的に勉強しました。また、勉強する環境や勉強の仕方も早い段階で自分に合うものを見つけておかないと、ギリギリになってどうやって勉強したらいいのか?というところから悩むことになります。
私の場合、自宅では誘惑がたくさんあって集中できないので、授業のある日は、授業が終わった後に学校の図書館で閉館になるまで勉強しました。土日はファミレスや市の図書館に出向いて勉強しました。友達と一緒に勉強するのもいいと思います。集中して勉強している人が同じ空間にいると、自分も頑張らなくては!と思えます。1人の方が集中できる人は1人でもいいと思います。

Q3.看護師の将来性についてどう思いますか?

看護師の多くは女性だと思いますが、女性だと結婚や妊娠・出産などのライフイベントで職を離れなければならないこともあります。しかし、看護師の免許を持っていれば再就職もしやすいですし、旦那さんの都合で万が一転勤となっても、働くところはたくさんあるので、就職に困りません。看護師はいつも不足しているので需要はたくさんあると思います。
近年は看護師不足のため、1人の看護師に対する負担は今後増えていくのではないかと思います。やりがいもありますが、嫌なことや辛いことも多いため、夜勤手当の金額を増やす、基本給を全体的に上げるなどの、看護師に対する優遇措置が増えていかなければ、看護師不足は今後も続くと思います。

求人の給与情報から集計した看護師の年収帯

厚生労働省が発表する「賃金構造基本統計調査(2021年分)」によると、看護師の平均年収は460万円程度です。日本人の平均年収が男性532万円、女性が293万円で男女を合わせると433万円(2020年分 民間給与実態統計調査より)なので、看護師という職種は、平均的な給与水準よりも高い職業であるということが類推できます。
出典:
厚生労働省「看護師国家試験の施行」
一般社団法人 日本救急看護学会
公益社団法人 日本看護協会「看護統計資料室」
国立看護大学校
青梅市立総合病院 看護局
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2021年分)」

【監修者】バースコンサルタント代表。助産師・看護師・保健師。 助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行う。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。 公式HP:https://birth-consultant.com  公式Instagram:https://www.instagram.com/birth_consultant_nao