総務になるには何が必要?仕事内容を把握してアピールポイントを探す

総務とは

事務作業をする女性

(出典) photo-ac.com

総務は、社員が業務を円滑に進められるよう社内の環境を整える、会社組織の運営に関わる仕事を総合的に担当する職種です。その業務範囲はじつに幅広く、企業規模にもよりますが、オフィスの管理から一部の労務業務、人事業務まで担当する場合もあります。派手さはなくとも会社という組織の運営に欠かせない、いわば縁の下の力持ちといった役割を担っています。

総務になるには?

デスクワークをするスーツの男性

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総務は社員の働きやすい環境づくりに取り組むため、実務経験の少ない新卒が配属されることは少ない傾向です。他部署で経験を積んで会社全体の雰囲気を把握してから異動によって配属される人もいます。

異動元の部署はさまざまで、キャリアチェンジで総務になった人に対しては、移動前の部門での知識を活かした企画や制度設計を期待されるようです。職場の環境づくりという観点で異動前の経験が強みとなります。

中途採用で未経験者を積極的に募集していることはあまり多くありません。未経験から総務を目指す場合は、前職での経験や知識を活かした総合的な対応力をアピールするとよいでしょう。また、総務に必要なヒューマンスキルをアピールするのもひとつの手です。

Office系ソフトのスキルやプレゼン能力を歓迎要件とする求人もあるため、これらのスキルは身につけておきたいところです。なお、外資系企業や海外との取引がある企業、外国人が働いている企業では一定程度の英語力が求められます。一般的な企業の総務では必ずしも業務に必要ではないため、英語力は歓迎要件として挙げる程度の場合が多いようです。

仕事内容

総務が担当する広範囲な業務のなかで中心となるのは、働きやすい職場環境を維持するための仕事です。

オフィスの管理

総務は、社内のさまざまな部署で足りなくなったオフィス用品や消耗品の補充・交換を担当します。ペンやコピーのトナーが足りなければ補充し、蛍光灯が切れていれば交換したり、イスやデスクが壊れれば修理や代用品の手配をしたりするという、地味ながらも社員が日常の業務をスムーズに行うために必要不可欠な作業です。

オフィス自体の管理も行います。例えば、清掃業者や観葉植物の管理業者などのオフィス環境を向上させるために必要な業者を選定し、契約を結ぶのも総務の仕事です。

社内制度の整備やイベントの企画・運営

働きやすい環境を作るために、社内の制度づくりやイベントの企画・運営にも総務が携わります。例えば、社員から要望を集めて新たな福利厚生を提案したり、社員旅行や忘年会などの企画や運営を行ったりするなど、工夫次第でいくらでも業務の幅は広がるでしょう。

また、会社の規模などによっては総務が「労務」や「人事」「法務」を兼務しているケースもあり、その場合は職場の残業時間が法令に照らして適切になるように管理したり、個人情報の管理なども担当したりすることがあります。

その他の仕事

総務が向き合っているのは社内ばかりではありません。外部への対応も担当することがあります。

来客や電話に対して、まず窓口が対応してから業務担当者へと引き継ぐ形式を採っている企業では、社内事情に詳しい総務が窓口役を担当しているケースがあります。株主総会の準備や会場運営を総務が担当する企業もあり、その場合は株主に安心して参加してもらえる株主総会を目指して外部とやりとりをします。

総務と経理の違い

小規模な会社の場合、総務と経理を兼任していることがありますが、経理業務は、企業間の取引内容を正確に記録してお金の流れを管理する仕事となります。

会社の規模が大きくなると経理業務も複雑かつ専門的になるため、総務から部門を切り分けることが多いようです。その際に現金小口の用途係は総務が受け持つといった切り分けを行うことで、総務が会社全体の業務バランスの調整を担います。

総務で求められるのは男性か、女性か

総務は、働きやすい職場をつくることに興味があり、やりがいを感じられる方なら、性別を問わず男性も女性も活躍できる部門です。

総務に求められるスキル・資質

パソコンを見ながら話す男女

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総務の仕事内容は多岐にわたるので、必要なスキルも多いといえます。どんなスキルや資質が求められるのか見ていきましょう。

コミュニケーションスキル

総務の仕事を円滑にこなすには、優れたコミュニケーションスキルが必要です。総務は社内外の多くの人とやりとりをする機会が多く、社内外の窓口となったり来客への対応をしたりと、直接人に接する業務が少なくありません。

時には社外の人と交渉して、より企業にとって良い条件で製品やサービスの購入をしなければならないほか、社内からのクレームに対応するシーンも出てきます。

社内の安全衛生管理をするために、社員の個人情報に関するデータや健康上のデリケートな問題に関する、聞き取りをすることもあるでしょう。相手に心を開いてもらうためには、信頼される話し方や接し方ができるスキルが必要です。

パソコンスキル

総務ではあらゆる文書を作成する機会があり、議案・通達・報告書・お礼状など、文書の種類が幅広いことが特徴です。内容にミスがないように、迅速に書類を作成しなければなりません。

登記業務や住民税など、届出に必要な書類を作成することもあるので、パソコン操作が苦手では苦労するでしょう。WordやExcelといった基本的なソフトが扱えないと、総務の仕事をこなせません。

各部署から集めた情報の分析をするためにExcelを使う機会は多いでしょう。ほかにも給与計算や勤怠管理など、複数のソフトを使いこなせるスキルが必要です。

事務処理に必要なソフトの使い方が未熟だと、作業効率が落ちる原因にもなります。基本操作だけでなく応用的な使い方もできる人は、より需要が高いでしょう。

社会保険労務士や簿記の資格もあると有利

労務や経理が独立している企業もありますが、総務がこれら2つの部署の役割を兼ねることは珍しくありません。小さな会社では兼務していることがよくあります。

部署が分かれている場合でも、労務や経理の一部の業務を担当する場合もあるので、社会保険労務士や簿記の資格を持っている人は重宝されるでしょう。

経理が独立していても総務が労務を兼ねるケースは多く、入社から退職するまでに必要になる、さまざまな労務手続きをする機会が少なくありません。

総務に向いている人

資料をチェックする女性

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ほかの仕事と同じように、総務の職務にも向き不向きがあります。長続きする仕事がしたいと考えている人は、総務に向いている人の特徴をチェックしましょう。

サポートにやりがいを感じる人

総務は社内インフラを整備したり備品や消耗品の管理をしたりと、社員が安心して働くためになくてはならない存在です。さまざまな業務のサポートを一手に担う存在として活躍します。

社員が安心して働けるように力を尽くしてくれる人々がいるからこそ、営業や開発などのほかの部署が大きな利益を生み出せるのです。

とはいえ、総務は会社の利益に直結するような仕事ではないため、地味だと感じる人も多いでしょう。自分が目立つことよりも、「誰かをサポートして喜んでもらえること」にやりがいを感じる人なら、総務の仕事にぴったりとはまるはずです。

臨機応変にマルチタスクができる人

総務の仕事は、臨機応変な対応ができる人に向いています。どこの部署の仕事にも当てはまらない、あらゆる業務が総務に回ってくるといっても過言ではないでしょう。

さまざまな仕事内容を同時進行しなければならないシーンは多く、ひとつのことに集中するだけでなく、気持ちを切り替えて色々な仕事をこなさなければなりません。

複数の仕事を同時にこなす「マルチタスク」は、どう進めればいいか分からなくなる人も多いでしょう。しかし、仕事の同時並行は「緊急度が高いものを優先する」という行動ができると、実現できるものです。仕事内容に対する理解が高く何を優先すべきかが分かっていれば、臨機応変なマルチタスクができます。

優先順位への理解が不十分だと、まだ余裕がある仕事を先にやってしまい、時間が足りなくなってしまうといったミスを犯しがちです。

リスクマネジメントへの関心が深い

リスクマネジメントへの関心が深い人は、総務に向いています。総務では社員の個人情報や企業の重要文書を扱う機会が多く、情報が漏えいしないように「危機管理への高い意識」を持っていなければなりません。

また、地震や火災などの災害に対するリスクマネジメントも、多くの場合は総務の担当です。社内で事故が起きないように安全管理の対策や不祥事対策など、あらゆる危機への管理が求められます。

総務は普段から、先を見据えた対策を考えていなければなりません。ささいなことでも問題が起こりそうな部分にいち早く気づき、対応策を練れる人でなければ十分な仕事はできないでしょう。

「どうせ、何も起きないだろう」ではなく、「起きた場合にどうするか」という思考を持てる人が必要とされます。

総務の業務をうまく進めるポイント

説明する女性

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総務の業務は細々としたものから、イベントの準備のような大がかりなものまで幅広く、進め方に悩むケースも出てきます。総務としてこれから働きたい人は、今のうちに仕事のポイントを押さえておきましょう。

視野を広く持つ

総務の仕事は目の前にある仕事だけに目を向けていては、円滑に業務が進みません。仕事の流れを理解し優先順位を付けるようにすれば、時間をうまく使えるようになり、業務をスムーズに進められます。そのためには、視野を広く持つことが必要です。

視野を広く持てば、重要度や緊急度が高い仕事を判別できるようになります。一般的に、期限が近いものは緊急度が高く、特に企業の損失やトラブルなどにつながる案件は重要度も高い傾向です。

総務がこなさなければならない仕事内容のなかでも、設備管理や文書管理といった管理業務が多くパターン化しやすいといえます。目の前のルーティンワークをこなすことだけに集中してしまうかもしれません。

しかし、目先の仕事だけでなく「大きな流れ」を理解しておくと、スケジュールの管理がしやすくなります。思わぬ仕事を頼まれたとしても焦らずに対応できるはずです。

また、視野を広く持てば「現場の立場」になって物事を考えられるようになるのもメリットです。実際に社員が働きやすいよう、コミュニケーションをとりながら仕事を進められるでしょう。

事務処理はスピーディーにこなす

総務の仕事を円滑に進めるには、事務処理を素早くこなすことも必要です。最初に「仕事の全体像」を把握しておくことで、事務処理のスピードも上がります。

先に段取りしておいた方がいいものとそうでないものを振り分ければ、効率よく仕事をこなせるでしょう。似ている作業はバラバラに取り組むより、まとめて一気に処理した方が作業時間を短縮できるはずです。

無駄な作業を省けば、より効率化につながります。以前に行ったことがある業務の前例を取り入れると、余計な時間をかけずに済むでしょう。例えば、文書作成のフォーマット化が該当します。

「昼までに書類作成を終わらせる」というように、具体的な目標を立ててモチベーションの向上を図る方法もおすすめです。

ITツールを取り入れる

業務をうまく進めるには、作業を効率化してくれるITツールを取り入れることもおすすめです。総務はほかの部署からの問い合わせが多く、質問への応答にも多くの時間を割かれます。

質問に自動的に応答してくれる「チャットボット」を取り入れ、よくある問い合わせに応答できるようにしている企業は珍しくありません。企業のイメージキャラクターが応答するようなデザインにすれば、愛社精神を高める効果もあります。

また、総務はほかの部署とやりとりする機会が多いので、メール対応に苦労することがあるでしょう。メールでのやりとりではなくチャットツールを導入すれば、メッセージの内容が管理しやすくなります。

メッセージをタスク化できるソフトを選べば、優先順位の管理もしやすいでしょう。しかし、ITツールを導入しただけでは業務の効率化につながりません。導入したら周知徹底し、全社員に利用してもらうように努めましょう。

求人の給与情報から集計した総務の年収帯

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

総務の求人の給与情報から、総務の年収帯を独自に集計しました。以上のグラフの通り、年収400万円台がもっとも多く、約24%を占めています。続いて500万円台が約20%となっています。日本人の平均年収は男性が532万円、女性が293万円、男女を合わせると433万円(2020年分の「民間給与実態統計調査」より)なので、総務という職種は平均的な給与をもらえる職業だと類推できます。さらに、年収800万円以上が約10%存在しており、経験やスキルを認められれば高収入が期待できるのが総務という職種だといえそうです。

総務の求人傾向

打ち合わせの様子

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中途採用での総務の求人は、総務部門や人事部門などでの実務経験を必須要件とするケースが多く、未経験者でも応募できる案件は少なめです。歓迎要件としては、マネジメント経験や取締役会・株主総会の運営経験などのほか、募集する会社と同じ業界で総務を経験したことを評価要素とするパターンも見られます。

※文中に記載の各種数値は、2022年5月時点のものになります。

出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」