ビジネスシーンでは、確認不足によるミスから、重大なトラブルへと発展することもあります。しかし、細心の注意を払っても、チェック漏れなどを起こしてしまう人もいるでしょう。確認不足によるミスが起こる原因や、防ぐための対策について解説します。
確認不足によるミスが起こる原因は?
しっかり確認しているつもりでも、ミスを起こしてしまうのはなぜなのでしょうか?主な原因を3つ挙げて解説します。
確認作業に必要な時間の不足
確認作業に必要な時間を取れないことが、理由の1つとして挙げられます。確認するための時間が十分にないと、チェック工程がおろそかになってしまいがちです。
例えば、業務の締め切りに追われ、確認する時間を十分に確保できないといったケースが考えられます。「早く終わらせなければ」というプレッシャーから、気持ちに余裕が持てず、ミスを見落としてしまうことは少なくありません。
また、担当している業務量が多すぎて、1つの仕事に十分な時間をかけられないというケースもあるでしょう。確認作業は、精神的・時間的な余裕を持って取り組むのが大切です。
慣れによる過信や思い込み
慣れによる過信や思い込みも、確認不足によるミスにつながります。同じ業務を長く続けていると、「自分はミスをしない」と過信してしまい、確認作業がおざなりになってしまいがちです。
また、複数の人でチェックしている場合は、「他の人も確認しているから大丈夫だろう」という思い込みによっても、ミスが起こってしまいます。
人数が増えるほど、1人1人の責任感が薄れてしまい、むしろチェック機能が低下してしまう可能性もあるでしょう。慣れた仕事や複数による作業だからといって、緊張感を失わずに取り組むことが大切です。
コミュニケーション不足
コミュニケーション不足も、ミスが発生しやすくなる原因の1つです。業務を進める上で、情報共有や意思疎通が不十分だと、誰が何をチェックするのかといった認識が明確になりません。
変更・修正の必要がある場合も、適切に情報が伝達されなければ、誤った内容のまま作業が進み、結果的にミスが発生する可能性もあります。
また、コミュニケーションが不足している職場では、分からないことがあっても周りに聞きにくいという状況が起こりがちです。
コミュニケーション不足によるミス発生を防ぐには、業務内容に関する情報交換を怠らず、不明点があればその都度確認することが大切です。
確認不足によるミスを防ぐための対策
確認不足によって起こるミスは、どのように防げばよいのでしょうか?主な対策を3つ紹介します。
確認不足が起こる原因を分析する
まずは、なぜミスが起こるのか、原因を分析する必要があります。確認不足とひと言でいっても、起こる原因はさまざまです。
原因に応じた適切な対策を講じなければ、ミスの発生を防ぐことはできません。例えば、時間が足りないのであれば、業務の効率化や担当する業務量の見直しなどが必要でしょう。
慣れ・思い込みが発生しやすい状況になっている場合は、手順の再確認や定期的な注意喚起が有効です。個々の原因に応じた具体的な対策を講じることが、ミスの防止につながります。
チェック体制を見直す
組織内のチェック体制の見直しも、有効な対策の1つです。確認作業を1人で行っている場合は、ダブルチェックを導入するとよいでしょう。ダブルチェックによって何度も確認することで、見落としによるミスを防止できます。
ダブルチェックは、1人または2~3人で行うのが一般的です。1人で行う場合は、2回のチェックの間にインターバルを設けたり、確認する方法を変えたりすることで見落としを防ぎます。
2~3人で行うときも、それぞれが1回ずつ同じように確認するだけでなく、逆方向からのチェックやクロスチェックなどを取り入れるのが有効です。複数人でチェックする場合は、作業の責任者を決め、確認した結果を共有するのも忘れないようにしましょう。
マニュアルで工程を可視化する
確認作業に関する工程のマニュアルを、作成するのもよい方法です。誰が見ても分かるように可視化することで、業務の流れ・確認すべき事項などが明確になり、チェック漏れによるミスを防ぐ効果が期待できます。
マニュアルを作成する過程で、業務を効率化できるポイントなども、明らかになる可能性があるでしょう。チェックすべきポイントを、リスト化してみるのも有効です。
ただし、マニュアルが形骸化しないよう注意する必要もあります。作業環境・プロセスに変更があったときは随時更新するなど、常に実用性を保つことが大切です。
確認不足でミスが起きたときの報告書
確認不足によるミスからトラブルが発生した際、会社に対して報告書を提出することが求められる場合もあります。どのような報告書の提出が求められるのか、具体的に見ていきましょう。
経緯報告書
経緯報告書とは、業務の進捗状況や遂行中に起こった出来事などを、報告する書類のことをいいます。業務の中間報告として作成するケースもありますが、トラブル発生の経緯を明らかにするために、提出するのが一般的です。
問題が起きたことを速やかに報告するため、解決する前の段階で作成します。作成する目的は、トラブルが起こるまでの流れを関係者で共有し、今後の対策に向けて共通の認識を持つことです。
経緯報告書は、社内に向けて作成するほか、社外に対して提出することもあります。
顛末書
顛末書も、トラブルの経緯・内容を報告する書類をいいます。経緯報告書との違いは、提出するタイミングです。
顛末書は、問題が解決した後で、トラブル発生の原因から解決するまでの詳細な流れを、記載して作成します。
顛末書を提出する目的は、トラブルの原因を分析し、再び同じような問題を起こさないための対策を講じることです。再発防止に役立てるため、社内向けの書類として作成するのが一般的ですが、必要に応じてトラブルの相手側にも提出することがあります。
始末書
始末書は、トラブルの内容報告だけでなく、ミスを犯した当事者の反省も記載する書類です。トラブルが収束した後に作成するもので、上司や人事部など会社に対して提出します。
始末書を作成する目的は、本人の反省意識を高め、再発しないと誓約させることです。会社側にとっては、トラブルに関する報告書であると同時に、社員側に非があることを示す証拠にもなります。
また、仕事上のミスだけでなく、遅刻を繰り返したり会社からの貸与物を紛失したりした場合にも、提出を求められることがあるでしょう。
確認不足でミスが起きたときの報告書の書き方
確認不足からトラブルが起こった場合の、報告書の書き方についても知っておきましょう。報告書の種類によって記載内容は若干異なるものの、基本的な書き方に大きな違いはありません。主なポイントを2つ紹介します。
時系列で発生した内容を正確に書く
報告書を作成するときは、トラブルが発生するまでの経緯を、時系列に沿って書くことが大切です。「いつ」「どこで」「どのように」発生したかを、明確に記述しましょう。
確認不足によるミスが原因の場合は、チェックをした人物や責任者、見落としの内容なども分かるように書く必要があります。
うその内容を書いてしまうと、さらに大きな問題へと発展する可能性があるため、真実を正確に書くことが重要です。
原因や対策についても記載する
ミスが起きた原因や、再発防止のための対策についても記載します。報告書を作成する目的は、単なる経過報告や責任の追及ではなく、ミス・トラブルの再発防止だからです。
ミスが起きた状況から原因を特定し、どのような対策が有効なのかを具体的に書きましょう。特に社外へ向けて作成する場合は、原因や対策を明記することが重要です。
トラブルに対して誠実に向き合い、再発防止に全力で取り組む姿勢を示すことが、会社の信頼回復につながります。
原因を分析して確認不足によるミスを防ごう
確認不足によってミスが起こる原因は、さまざまです。原因によって取るべき対策は異なるため、まずは「なぜミスが起きたのか」を分析する必要があります。
業務の量やプロセスに問題があるなど、自分だけで解決できないことが原因の場合は、チームや組織全体で改善策を練る必要があるでしょう。マニュアルで工程を可視化するなど、確認作業を効率化させるのも有効な方法です。