誰しも仕事に集中できないときがあるでしょう。しかし、集中できていない状態で仕事を進めると、自分や周囲の人にとって思わぬデメリットが生じかねません。仕事に集中できない原因や集中のコツ、テクニックについて解説します。
仕事に集中できないことで生じるデメリット
仕事に集中できないと、働く上でどのような支障があるのでしょうか?仕事に集中できないことで生じるデメリットを2つ紹介します。
ミスが増える
仕事に集中できていない状態だと、注意力が散漫になり小さなミスが増えてしまいます。普段なら何の問題もなくこなせるような仕事で失敗してしまったり簡単な計算間違いをしたりと、通常の状態では防げたはずのミスが多くなるのです。
また、集中している状態に比べて時間がかかり、同じ仕事に普段の倍以上の時間を費やしてしまう可能性もあります。
仕事でのミスは自分だけでなく回りにも迷惑をかけることになるので、集中できないと感じたときは何かしらの対処を取る必要があるでしょう。
「仕事ができない人」と思われる
仕事に集中できずミスが増えたりタスクをこなすスピードが下がったりすると、周囲から仕事ができない人というレッテルを貼られる可能性があります。
集中できていない様子が他の人からするとボーっとしているように見えてしまい、「サボっている」「やる気がない」というように冷たい目で見られることもあるでしょう。
特に上司からの評価が下がると、場合によっては出世にも影響してしまいます。あまりに集中できない時間が多ければ、会社で働き続ける上で大きなダメージとなる可能性も否定できません。
そもそも集中力には限界がある
仕事に集中できないと、多くのデメリットが生じます。とはいえ、必ずしも「集中力が続かない=異常」ということではありません。集中して効率的に仕事を進めたいならまず、集中力には限界があることを理解しましょう。
人間の集中力は90分しか続かない?
以前、人間の集中力の限界は最大でも90分であるという説が一般的でした。しかし、近年では専門家の研究から、人間の集中力が40分程度しか続かない可能性も示されています。
平均的な勤務時間である7時間~8時間の間、ずっと集中し続けられる人の方が少ないと考えるのが正しいでしょう。
集中できないからといって、必ずしも自分は仕事ができないのだと思う必要はありません。正しい集中方法を身に付ければ、効率よく仕事を進められるようになるでしょう。
参考:集中力の維持と長期的な学習効果につながる方法(東京大学・池谷裕二教授の見解)
集中力の周期は15分ごと
集中力には周期があり、最も深い集中を保てるのは15分であるとされています。東京大学の教授が中学生を対象に行った研究によると、60分の学習と15分×3=45分の学習では後者の方が学習の定着率がよいという結果が出ました。
60分学習させたグループは途中から集中力が急激に低下したのに対し、間に休憩を挟んで15分ごとに学習させたグループでは、常に高い集中力を保てていたという結果です。
これは仕事でも同様と考えられます。長時間集中して取り組もうとするよりも、短い時間に集中して仕事を進めた方が効率を上げられる可能性は高いでしょう。
参考:「学習時間を細かく分けた「45分」で「60分」と同等以上の学習効果を発揮 “長時間学習”よりも短時間集中の“積み上げ型学習”が有効であった」|PRTIMES 株式会社ベネッセホールディングス
仕事に集中できない原因
人間の集中力には限界があるとはいえ、あまりに気が散る場合には特定の原因があるということが考えられます。仕事に集中できない原因のうち、自分の行動で改善する可能性がある例を紹介します。
心身が疲れている
ストレスを抱えていたり睡眠不足や体調不良で体が疲れてたりすると、仕事にも集中しにくくなります。特に睡眠は、脳や体の疲れを取るという重要な役割を果たす重要な時間です。
厚生労働省は、必要な睡眠時間は人によって変わるものの、6時間以上8時間未満と考えるのが妥当だろうとの見解を示しています。ただ、実際には6時間も眠れておらず、次の日になっても疲れが取れないという人もいるかもしれません。
睡眠不足は集中力欠如の大きな原因となるため、できる限り十分な睡眠時間を取るよう心がけましょう。
また、昼休みに15~30分、昼寝の時間を取るのも集中力の向上に効果的です。帰る時間が遅くて夜に十分な睡眠時間が確保できないという人は、昼寝を取り入れるのも1つの方法でしょう。
タスクを抱え込みすぎている
自身のキャパシティを超えたタスクを抱えていると、気持ちが焦って集中できないという悪循環が生まれます。
まずは自分が現在抱えているタスクをリストアップし、業務時間内でスケジュールを立ててみましょう。何度やっても時間内に終わらなければ、そもそも割り振られている仕事キャパシティを越えている可能性が高いでしょう。
同僚や先輩に手伝ってもらう、仕事の配分を上司に相談するなど、他の人に助けを求めることも検討してみるのがおすすめです。
熱意を持てない仕事に就いている
面白さややりがいを感じていない仕事に対して、集中力を持続させるのはなかなか難しいことです。どうしても仕事に興味が持てない場合は、より自分に合った仕事に転職するのも1つの手段でしょう。
どんな仕事が自分に合うのか分からないという人は、Web上の求人を効率的に検索できるスタンバイがおすすめです。職種やキーワード・勤務地などを入力するだけで、簡単に仕事が探せます。
雇用形態や給与で絞り込みもでき、意欲を持って取り組める仕事が見つかりやすいでしょう。
職場の環境が原因の場合も
集中力アップのために自ら動いても、なかなか状況が改善しにくいケースもあります。職場の環境が原因で気が散ってしまうケースです。仕事に打ち込めなくなる環境要因には、何があるのでしょうか?
職場がうるさい
会社の立地や環境によっては、外部の騒音が気になることもあるでしょう。また、会社の人の話し声やお客様との電話対応など、社内が常に話し声であふれている場合も集中するのは困難と感じる人も多いものです。
1人で黙々と作業するような業務であれば、耳栓やノイズキャンセリングイヤフォンを使用するのも有効な対策です。また、席の移動やテレワークへの切替も選択肢の1つでしょう。
しかし、これらの方法は職場の規定や上司の意向次第という部分も大きいため、必ずしも対策できるわけではないのが難点です。
人間関係に問題がある
上司や同僚との人間関係がよくない場合も、仕事への集中力がそがれる要因となります。
例えば、ミスをすると怒鳴る上司に委縮してさらにミスが増えてしまったり、先輩が多忙で相談できる雰囲気ではなかったりと、人間関係が良好でないと仕事をスムーズに遂行するのは至難の業です。
チームや部署の異動が可能であれば、環境を変えることは可能です。ただ、社内全体がギクシャクした雰囲気の場合は転職も検討した方がよいでしょう。
転職するか迷ったときの確認ポイント
職場の環境が原因で仕事に集中できない場合でも、転職となると二の足を踏んでしまう人も少なくないでしょう。
以下の3つの判断基準を意識すると、転職した方がよいかどうかを決めやすくなります。
- 会社に相談しても騒音・チームの人間関係などの環境が改善されない
- 仕事自体にやりがいや熱意を感じない
- 人間関係が原因で職場の雰囲気が悪い
会社にとどまる方が自分のためになるのか、転職した方が未来が明るくなるのか、じっくりと考えて判断しましょう。
仕事に集中するためのコツ
仕事に集中するためには、コツを押さえることが重要です。次の3つのポイントを意識すると、作業効率が上がり集中力も高まりやすくなるでしょう。
1日のタスクをリストアップする
出社したら、まずその日にやるべきタスクをリストアップしてTO DOリストを作成します。優先順位や目安の時間も書き出し、何の業務を何時頃までに完了させるかのスケジュールを作りましょう。
ただ、仕事をしていると、電話応対や突発的な案件など急に発生する仕事も少なくありません。ギリギリの時間でスケジュールを組んでしまうと、予定がずれこんで焦る原因となってしまいます。突発的な仕事を考慮して、ゆとりを持ったスケジュールを組みましょう。
1つのタスクが終了したら実際にかかった時間をメモし、予定時間よりも遅れた場合はその原因を書いておくと、次にリストを作るときの参考になります。TO DOリストはノートを使う他、便利なスマートフォンアプリを利用するのもおすすめです。
デスク回りを整理整頓する
視界に入るものが多いと集中力を遮る原因となるため、デスクには必要なものだけを置くことが重要です。
最近はテレワークを導入している企業も増えてきて、自宅だと会社より置かれているものが多いという人もいるでしょう。作業スペースをしっかり確保し、仕事だけに集中できる空間を作ると効果的です。
また、机の上に携帯を置いていると通知が来るたびに見てしまったり、ついついSNSをチェックしてしまったりする人もいます。仕事の連絡が来る場合を除いて、携帯もしまっておくのが無難です。
適度に休憩して体を動かす
座りっぱなしの状態が続くと血流が悪くなり、脳の働きが低下して集中力も切れてしまう可能性が示唆されています。少なくとも1時間に1回は席を立ち、体を動かしてみるのがおすすめです。
手や足をストレッチする・社内を散歩する・トイレ休憩のついでにスクワットするなど、自分なりの運動方法で血液を巡らせて脳の活性化を図りましょう。
また、パソコン作業で酷使する目を動かすのも効果的です。目を時計回りにゆっくりと動かし、反対側にも動かすことで気分のリフレッシュにもつながります。
集中力を上げる「ポモドーロ・テクニック」
さまざまな対策を講じても仕事に集中できない人は、「ポモドーロ・テクニック」を取り入れるのがおすすめです。どのようなテクニックなのかを、具体的な方法とともに紹介します。
ポモドーロ・テクニックとは?
ポモドーロ・テクニックは、1980年代にイタリア人のコンサルタントによって考案されたといわれる時間管理術です。短時間の作業と短い休憩を繰り返す方法で、集中力の持続と生産性のアップに効果があるとされています。
日本ではメンタリストDaiGoをはじめとした著名人も実践していることで有名です。タイマー・アプリなど時間が測定できるものがあれば簡単に取り入れられます。
作業時間を区切ることにより常に集中力を保ったまま作業を続けられるため、仕事のパフォーマンス向上に役立つでしょう。
ポモドーロ・テクニックのやり方
ポモドーロ・テクニックの方法は至ってシンプルです。
- やらなければいけないタスクをリストにして優先順位を付ける
- タイマーを25分に設定し、優先順位の高いタスクから順に作業する
- 25分経ったら5分休憩する
- 25分作業・5分休憩を4回繰り返す
- 4回終了(2時間経過)したら15分~30分の長めの休憩を取る
ポイントは、25分経ったら作業中でも必ず中断することです。この手順を繰り返すことで、高い集中力を持続させられるといわれています。
簡単にポモドーロ・テクニックを実践できるスマートフォン用アプリを活用するのもよいでしょう。
仕事に集中できる環境を整えよう
何時間も集中力を持続し続けるのは多くの人にとって難しいことです。とはいえ、職場で気が散る頻度が多いと、キャリアアップにも影響が出かねません。周囲から仕事のできない人と思われてしまうと、ストレスもたまるでしょう。
まずは自分自身が仕事に集中できない原因を突き止め、最大限に集中して作業を進める方法を見つけるのが確実です。睡眠時間の確保・タスク量の調節といった工夫をしても気が散るなら、環境が原因かもしれません。
集中力を保つテクニックも取り入れながら、限られた時間で効率的に仕事を終わらせる環境を整えましょう。