自分の子どもと一緒に野球を楽しむために、コーチとしてチームに参加することを考えている人は多いかもしれません。少年野球のコーチは、誰でもなれるものなのでしょうか。少年野球のコーチの種類や役割、必要な資格などについて解説します。
少年野球コーチの役割とは?
少年野球のチームには、監督やコーチなどの指導者がいますが、それぞれどのような役割を果たすのか、具体的には分からない人もいるのではないでしょうか。まずは、コーチの役割や、監督との違いについて解説します。
選手の指導や監督のサポート
少年野球のコーチの役割は、選手の指導や監督のサポートをすることです。少年野球では、守備や打撃などさまざまな練習メニューに取り組みます。
その中で、ノックを打ったりバッティングのためのトスを上げたりしながら、選手個人やチーム全体を指導するのがコーチの役割です。ただし、技術に関する指導だけをすればよいわけではありません。
チーム全体が力を合わせて試合に臨めるように、選手たちをまとめたり、子どもの人間性を育成したりすることも、コーチにとって大切な仕事です。また、試合中は監督の指示をメンバーに伝えたり、選手の士気を高めたりする役割もあります。
監督とコーチの違い
監督とは、チームの責任者のことを指します。チーム全体の練習計画などを立てたり、試合の作戦を考えたりするのが、監督の主な仕事です。
少年野球の場合、監督が選手の保護者と協力しながらチームメンバーを勧誘したり、必要な人数のコーチを集めたりするケースもあります。
一方、コーチの役割は、選手に直接指導することです。ただし、アマチュア野球の場合、両者の役割にはあまり差がないことも珍しくありません。
特に少年野球の場合は、保護者がボランティアで監督・コーチを引き受けるケースが多いため、上下関係などもなく、協力してチームの指導に当たっていることがほとんどです。
一般的な野球コーチの種類
一般的な野球のコーチには、さまざまな種類があります。少年野球の場合、1人でいくつかのコーチを兼任する可能性もあるため、それぞれどのような役割を果たすのか把握しておきましょう。
ヘッドコーチ
ヘッドコーチとは、監督の補佐役を務める役割で、チームの指導者の中では2番目の序列に当たる存在です。コーチ全体を束ねる、リーダー役といってもよいでしょう。
監督とともに立てた作戦をチーム全体に知らせるほか、何らかの事情で監督が試合に出られない場合は、代行を務めるケースもあります。
プロ野球では参謀役としてヘッドコーチが置かれていますが、アマチュアの場合は必ずしも全てのチームにヘッドコーチがいるとは限りません。また、国によっては、監督をヘッドコーチと呼ぶ場合もあります。
投手・打撃コーチ
投手や打撃の指導を担当するコーチもいます。投手コーチの役割は、ピッチングの指導や投手の体調管理です。
投手の仕上がり具合を確認し、試合への起用について監督に助言したり、試合中にマウンドまで行って指示を伝えたりもします。
打撃コーチの役割は、バッティングの指導です。選手たちのバッティングの様子を見ながら、改善点などがあればアドバイスします。
少年野球の場合は、初めてバットを持つ子どもも多いため、基本的なスイングの仕方から教えることも必要です。
守備走塁コーチ
守備走塁コーチは、捕手以外の野手の守備を指導したり、試合中にベースコーチとしてコーチャーズボックスに入り、走者に走塁の指示を出したりします。練習や試合前のノックを打つのも、守備走塁コーチの役割です。
ベースコーチをする際は、打球の状況を見て次の塁に進むかどうか指示を出したり、盗塁のタイミングで声をかけたりします。ベースコーチの指示によっては、走者がアウトになってしまう可能性もあるため、素早く的確な判断を下すことが必要です。
少年野球コーチに必要な資格は?
公益財団法人全日本軟式野球連盟(JSBB)では、2024年のシーズンから学童部に登録するチームに対して、最低1名は公認資格を保持する指導者を置くよう義務付けています。どのような資格が必要になるのか、確認しておきましょう。
JSBB公認学童コーチ
JSBB公認学童コーチは、JSBBが認定する資格です。資格を取得するには養成講習会を受講する必要があり、各都道府県支部で行われる実地講習、またはeラーニングの選択肢があります。受講資格は、以下の通りです。
- 受講する年度の4月1日時点で満18歳以上の人
- JSBBに登録しているチームやその他のスポーツクラブなどで、軟式野球の指導を行っているか、これから行おうとしている人
- JSBBの承認を得た人
講習は1日6時間で、指導に関する基礎理論や正しい投動作の実技について学びます。
出典:指導者・指導者を目指す方|公益財団法人 全日本軟式野球連盟
JSPO公認コーチ
公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)が認定する、スポーツコーチの資格です。JSBBでは、以下の4種類の資格を公認学童コーチと同等に扱っています。
- JSPO公認コーチ1(軟式野球):講習会を受講すると、各都道府県の登録チームやスポーツクラブなどで指導できる。受講年度の4月1日時点で18歳以上が条件
- JSPO公認コーチ3(軟式野球):講習会を受講すると、全国レベルの競技者を指導できる。受講年度の4月1日時点で22歳以上が条件
- JSPO公認スタートコーチ(ジュニア・ユース):スポーツ少年団や学校運動部活動などで指導できる。受講開始年度の4月1日時点で18歳以上が条件
- JSPOスポーツコーチングリーダー:地域のスポーツ少年団や学校運動部活動などの指導・運営に当たれる。受講する年の4月1日現時点で18歳以上が条件
出典:公認スポーツ指導者概要 - スポーツ指導者 - JSPO
BFJ公認野球指導者
BFJ公認野球指導者は、一般財団法人全日本野球協会(BFJ)が認定する資格です。指導対象の年齢に応じて「U-12」と「U-15」の2種類に分かれており、U-12(9~12歳ごろ)がJSBB公認学童コーチと同等として扱われます。
資格を取得するためには、基礎理論と実技(投動作・捕球動作)を学ぶ約7時間の講習を受講後、テストに合格することが必要です。以下の項目が、受講資格として設けられています。
- 受講する年の4月1日時点で満18歳以上の人
- 野球競技やその他のスポーツ指導に当たっている人、またはこれから指導をしようとする人
少年野球コーチに求められる資質
少年野球のコーチになるには、指導者にふさわしい資質を備えていることも必要です。コーチに求められる資質を、3つ紹介します。
分かりやすく教えるスキル
子どもたちに対して、野球の技術を分かりやすく教えられるスキルが必要です。野球コーチになろうと考えている人の中には、学生時代などに選手として活躍した経験がある人も多いでしょう。
しかし、優秀な選手が、必ずしも優れた指導者になるとは限りません。自分がプレーするのと人に教えるのとでは、求められるスキルが異なるためです。
ただ投球や打撃の方法を教えるだけでなく、なぜこのやり方がよいのかという理由を説明したり、子どもに考えさせたりしながら指導することが必要です。
選手の手本となれる人間性
野球の指導者である前に、1人の大人として、子どもたちの手本となるような姿勢を持たなければなりません。少年野球チームに所属する子どもたちは、心身ともに成長期の真っ只中にあり、周りの影響を受けやすい年頃です。
コーチには、技術面はもちろん、マナーや人との接し方などについても指導することが求められます。グラウンドの中だけでなく、練習後も子どもたちに見られていると意識し、行動する心構えが大切です。
全ての選手に対して思いやりを持てる
子どもたちに対する思いやりの心を持って、指導することが大切です。自分の考えやエゴを押し付けるのではなく、「主役は選手」という視点を常に持った指導が求められます。
また、特定の選手に偏らず、公平性を意識して指導する姿勢も重要です。少年野球チームの目的は、試合に勝つことだけではありません。
野球というスポーツを通じて、子どもたちの健やかな成長をサポートすることも、大事な目的の1つです。何よりも、子どもたちが「野球は楽しい」と思える環境をつくれる指導者が、優れたコーチといえるでしょう。
野球のスキルを生かしてコーチを目指そう
野球のコーチは、監督のサポートをしながら、選手やチーム全体の競技力をアップさせる役割です。コーチには、技術的なスキルだけでなく、子どもたちの健全な成長をサポートできるような人間性も求められます。
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