マンション管理人になるには?必要なスキルと転職に役立つ資格を紹介

マンション管理人は、住民の暮らしを支える縁の下の力持ちです。周囲からは、「管理人さん」と呼ばれることが多いでしょう。管理人になるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか?仕事内容や働き方、転職に役立つ資格を解説します。

マンション管理人の役割とは?

マンション

(出典) pixta.jp

管理人は、住民の暮らしを支える重要な職業です。普段の業務を通じて、マンションの維持と住民の満足度の向上に貢献します。求められる役割や、マンションコンシェルジュとの違いを見ていきましょう。

マンションの管理と暮らしのサポート 

管理人の役割は、住民が快適に生活できるようにマンションを管理することです。建物および設備の点検・共用部分の清掃・住民からの問い合わせ対応など、仕事内容は多岐にわたります。

住民間のトラブルの仲裁は行いませんが、マナー違反を指摘したり、敷地内をパトロールしたりして、トラブルの防止に努めます。

管理人の仕事ぶりが、マンションの雰囲気を大きく左右するといっても過言ではありません。住民から信頼され、頼りにされる存在であるためには、細やかな気配りと柔軟な対応力が求められます。

マンションコンシェルジュとの違い

マンションコンシェルジュは、住民の利便性・快適性を高めるためのサービスに特化しているのが特徴です。ホテルのフロントをイメージすると、分かりやすいでしょう。

郵便物の受け取り・クリーニングの取り次ぎ・共用施設の予約管理・タクシーの手配など、日常のこまごまとした用事を引き受けます。

一方、管理人はマンションの維持・管理業務を担当します。マンションコンシェルジュのようなきめ細やかなサービスは提供しませんが、住民の安全で快適な暮らしを守る上で欠かせない存在です。

両者の役割は異なりますが、どちらも住民の満足度を高めるためには重要な存在です。マンションの規模や住民のニーズに合わせ、両者が連携しながら、より良い住環境をつくっていくことが理想的といえます。

マンション管理人の主な仕事内容

マンションを管理するイメージ

(出典) pixta.jp

日々の業務は、管理組合と管理会社の間で締結される「管理委託契約」に基づきます。
メインの業務として、「清掃や設備点検」「受付業務・立会業務」「管理会社への報告・連絡」を取り上げます

清掃や設備点検

業務に、清掃そのものは含まれていませんが、マンションの規模によっては、エントランス・エレベーター・廊下・ごみ置き場などの共用部分の清掃を担います。

きれいで機能的な共用スペースは、住民同士のコミュニケーションにも一役買っているといえるでしょう。敷地内の草取りや水やり、害虫駆除を行うこともあります。

設備点検では、エレベーター・自動ドア・消防設備などが正常に作動するかを確認し、不具合があれば業者に修理を依頼します。このように、日々の清掃と点検を通じて、住民の安全で快適な暮らしを支えているのです。

受付業務と立会業務

受付業務とは、マンションの訪問者に対する受付のことです。不審者が勝手に立ち入らないように、名簿に名前・訪問目的を記載してもらうのが一般的です。電話の対応や宅配便の預かり、修理業者の案内なども行います。

立会業務では、設備の保守点検やごみ回収、修繕工事などの際に、業者に同行して作業の確認を行います。トラブルを未然に防ぐためにも、適切な作業が行われているかをチェックしなければなりません。

入居者・退去者がいるときは、現場に立ち会って部屋の確認や案内を行います。このように、受付業務と立会業務は管理人の中核をなす業務といえるでしょう。

管理会社への報告・連絡

多くのマンションは、住民による「管理組合」、管理組合の委託に基づいて業務を行う「管理会社」、管理会社が雇用した「管理人」の3者によって成り立っています。

現場管理を請け負う管理人は、管理会社への報告・連絡が欠かせません。業務内容や住民からのクレーム、管理上のトラブルなどをまとめ、1日単位で報告するのが一般的です。

災害・事故などの緊急事態が発生した際は、速やかに管理会社に連絡し、指示を仰ぎます。管理会社と住民とのパイプ役として、マンションの円滑な管理運営に貢献しているといえるでしょう。

マンション管理人の勤務形態

マンション内を案内する

(出典) pixta.jp

管理人の勤務形態は、主に常駐型・巡回型・住み込み型の3つに分けられます。それぞれの勤務形態にはメリットとデメリットがあるため、自分の適性やライフスタイルに合った働き方を選びましょう。

常駐型

常駐型は、毎週決まった曜日・時間に、特定のマンションに勤務するため、1カ所に腰を据えて働きたい人におすすめです。日中のみ管理する形態は、「日勤管理」と呼ばれることも覚えておきましょう。

休日や勤務時間はあらかじめ決められていますが、24時間体制の場合は「シフト制」となるのが一般的です。

日中は清掃や設備点検、住民の対応などを行い、夜間は緊急時に備えて待機します。マンションの住人にとって、管理人が常駐するマンションは安心感があるでしょう。

巡回型

巡回型は、複数のマンションを巡回しながら管理する働き方です。1つのマンションに常駐するのではなく、担当するいくつかのマンションを定期的に訪問し、清掃や設備点検などを行います。

限られた時間の中で効率的に業務をこなす必要があるため、スケジュール管理能力が求められます。複数のマンションを受け持つ場合は、それぞれのマンションの特性を理解し、臨機応変に対応することも大切です。

巡回型は常駐型に比べて、勤務時間が短くなる傾向にあります。フルタイムが長すぎると感じる人や、自分のペースで働きたい人に向いているでしょう。

住み込み型

住み込みは、マンション内の一室に居住しながら働くスタイルです。住み込みといっても勤務時間は決まっており、24時間通して働くわけではありません。ただし、緊急時にはすぐに現場に駆け付ける必要があります。

住み込みの魅力は、マンションコミュニティーの一員として、住民の暮らしに寄り添えることです。自分の仕事場に愛着を持ち、腰を据えて長く働きたい人に向いています。

一方で、仕事とプライベートの切り分けが難しく、休日も仕事モードから完全に抜けきれない可能性があります。夫婦で雇用される場合も多く、家賃や光熱費は、管理会社が出してくれるのが一般的です。

マンション管理人になるには?

スーツ姿でマンションの模型を持つ人物

(出典) pixta.jp

管理人の主な勤務先は、多くの人々が暮らすマンションです。管理人として働くには、どのようにして求人を見つければよいのでしょうか?主な就職先や求人の傾向、仕事を探す上での留意点を解説します。

管理会社に就職するのが一般的

管理人の就職先として最も一般的なのが、管理会社です。管理会社は、管理組合と業務契約を交わし、管理人を現場に派遣します。求人情報は、求人サイトやハローワークで探しましょう。

マンションのオーナーや管理組合に、直接雇用されるケースもあります。管理人の退職に伴い、後任を探しているマンションもあるため、管理組合の役員に直接連絡を取ってみるのも1つの方法です。

直接雇用の場合、1つのマンションで長く勤務することになります。面接では、住民と良好な関係性が築けるかどうかがチェックされるでしょう。

管理人の求人の傾向

管理人の求人は、契約社員やパートタイマーなどの非正規雇用が多いですが、正社員で働く人もいます。

就業に当たり、年齢・学歴を問われるケースは少ないでしょう。中高年の再就職先としても人気があり、幅広い世代の人が活躍しています。応募資格としては、コミュニケーション能力や体力、責任感などが重視されるようです。

都市部では、マンションの増加に伴って管理人の需要が高まっています。就業者は男性がほとんどですが、「女性向けマンション」では女性の管理人が歓迎されるでしょう。

マンション管理人に役立つ資格は?

管理人に必須の資格はありませんが、関連資格があると、就職や転職が有利に進みます。専門性が高まるため、キャリアアップや収入アップにもつながるでしょう。おすすめの資格を厳選して紹介します。

マンション管理士

マンション管理士は、「公益財団法人マンション管理センター」が主催する国家資格です。管理人として働きたい人はもちろん、管理人からのスキルアップを目指す人におすすめの資格です。

資格取得者は、マンション管理のエキスパートとして、管理組合や住民に助言・指導を行えるようになります。管理組合の運営サポートや管理規約の作成、大規模修繕の提案といった幅広い業務に携われるため、仕事のやりがいも増すでしょう。

資格を取得するには、年に1回行われるマンション管理士試験に合格する必要があります。試験では、「マンション管理に関する法律」「管理組合の運営」「マンションの構造・設備」などの知識が問われます。

出典:公益財団法人マンション管理センター|トップページ

マンション管理員検定

マンション管理員検定は、マンション管理の実務に役立つ知識を証明する検定試験です。資格取得の勉強を通じて、管理業務に対する正しい理解とプロ意識を身に付けられます。

試験では、マンション管理の基礎・管理実務・法令などの知識が問われます。検定試験の合格率や難易度は公開されていませんが、公式テキストによる独学でも合格は十分可能です。

1発合格を目指したい人は、公式で用意されている「短期合格講座(DVD)」を活用するのがおすすめです。

合格後、希望者には「合格認定証(カード型)」や「合格証明書」が発行されます。管理会社への就職・転職に役立てましょう。

出典:マンション管理人のための資格 | マンション管理員検定

マンション管理人に求められる適性とスキル

作業着姿でチェックする人物

(出典) pixta.jp

管理人は、年齢・学歴を不問とするケースが多く、就職・転職のハードルはそれほど高くはありません。ただし、誰でも容易にこなせる仕事ではないため、求められる適性やスキルを確認しておく必要があります。

コミュニケーション能力

最も重要なスキルの1つが、コミュニケーション能力です。管理人は日々さまざまな年代・性格の住民と接するため、誰とでも円滑にコミュニケーションを取れる人でなければ務まりません。

例えば、ごみ出しのルールを守らない住民に注意したり、トラブルの相談を受けたりする際には、相手の立場に立って丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。

また、管理人は住民からの要望・苦情にも真摯に耳を傾ける必要があります。中には感情的になる住民もいますが、冷静さを保って対応しなければなりません。

コミュニケーション能力をはじめとする対人スキルは、一朝一夕で身に付くものではないため、日々の業務の中で意識的に磨いていきましょう。

臨機応変さと問題解決力

管理業務では、設備の故障・トラブルといった予期せぬ出来事がよく起こるため、冷静に状況を見極め、臨機応変に対応することが重要です。

例えば、エレベーターが突然止まった場合は、すぐ業者に連絡すると同時に、住民の安全確保と不便の軽減に努めなければなりません。

マンションには、子どもから高齢者まで幅広い年代の人が住んでおり、日々さまざまな相談・クレームが寄せられます。その場に合った対応をしなければならないため、柔軟さ・的確な判断力・行動力が求められるでしょう。

管理人として人々の暮らしを支えよう

マンションの管理人

(出典) pixta.jp

管理人は、住人が安全で快適な暮らしができるように、日々さまざまな仕事をこなさなければなりません。シニア世代の求人が多いイメージがありますが、コミュニケーション能力をはじめとする多くのスキルが求められます。

管理人として経験を積んだ後は、マンション管理士として、管理組合のコンサルティング業務に従事することも可能です。目立つ仕事ではありませんが、「人のために役に立ちたい」という人には適職でしょう。

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