ICT支援員とはどのような仕事?主な業務と求められるスキルを紹介

教育現場でのICT活用が進む中、「ICT支援員」が注目されています。ICT支援員はデジタル機器を駆使して授業をサポートし、教員のICTスキル向上を支える、現代の教育に欠かせない存在です。本記事ではICT支援員の役割や必要なスキルを紹介します。

ICT支援員とは?文部科学省の定義と役割

机の模型とスーツの人物

(出典) pixta.jp

ICT支援員は、教育現場でのICT活用を支える重要な存在です。教員と生徒の間に立ち、ICTについて通訳する「橋渡し役」として機能します。文部科学省の定義や実際の事例を交えながら、ICT支援員の役割と必要性について詳しく見ていきましょう。

ICT支援員の定義と必要性

文部科学省の定義によると、ICT支援員は教員のICT活用をサポートし、授業や校務でのICT活用を支援する役割を担います。

ICT支援員の必要性は年々高まっており、文部科学省による教育委員会の担当者と公立小中学校を対象とした調査では、ICT支援員の導入の必要性が高まっているという問いに約9割が「そう思う」と回答しています。

東京都日野市の事例では、ICT支援員の導入により、教員のICT活用指導力が向上し、授業の質が改善されました。ICT支援員が環境整備から授業支援まで幅広くサポートすることで、教員は本来の指導業務に集中でき、結果としてICT活用の好循環が生まれています。

出典: ICT支援員について -|文部科学省 

ICT支援員の主な役割と業務内容

ICT支援員は授業でのICT機器の操作支援や、デジタル教材の作成補助を行います。また、校内のICT環境の整備や、トラブルシューティングも重要な業務です。

例えば、Wi-Fi接続の問題解決や、タブレットPCの不具合対応などを行います。さらに、教員向け校内研修の企画・実施も担当します。これは、教員のICTスキル向上を図るための重要な取り組みです。

ICT支援員の勤務形態は、自治体や学校による直接雇用、業者委託にるよる完成雇用などのパターンがあり、多くの場合、複数の学校を巡回する形態が多いようです。

ICT支援員の1日のルーティンと具体的な業務

笑顔の教職員

(出典) pixta.jp

ICT支援員の1日は、学校のデジタル化を支える重要な役割であふれています。ここでは、ICT支援員の典型的な1日の流れと、具体的な授業支援の内容を詳しく見ていきましょう。

朝の準備から放課後まで:ICT支援員の1日の流れ

ICT支援員の1日は、朝8時半の出勤から始まります。まず、教室のICT機器の動作確認を行い、授業で使用するデジタル教材の準備をします。

8時半からは職員との打ち合わせに参加し、その日の予定を確認します。1時間目から4時間目までは、各教室を巡回しながら、ICT機器操作をサポートします。

昼休みは、次の授業の準備や、教員からの相談対応に充てます。

午後は、プログラミング教育の補助や、デジタル教材作成の支援を行います。放課後は、翌日の準備や機器のメンテナンス、教員向けのICT研修会の企画などを行い、報告書作成して18時ごろに退勤します。

授業支援:ICT機器の操作指導と教材作成

授業支援の核心は、ICT機器の操作指導と教材作成にあります。例えば、電子黒板の使い方に戸惑う先生には、丁寧に操作方法を説明します。

また、タブレットを使った教科指導では、児童生徒たちの質問に即座に対応します。教材作成では、先生のアイデアをデジタル化するサポートも重要です。

これにより、生徒の理解度が格段に向上します。さらに、プログラミング教育の補助も行います。ICT支援員の仕事は、教育のデジタル化の最前線にあるのです。

ICT支援員に求められるスキルと資質

職員室の教職員

(出典) pixta.jp

ICT支援員には、技術的なスキルからコミュニケーション能力まで、多岐にわたる能力が求められます。ここでは、ICT支援員として成功するために必要なスキルと資質について詳しく解説します。

ICT機器の操作スキルと最新技術の知識

ICT支援員には、最新のICT機器を操作するスキルと、常に進化する技術の知識が求められます。例えば、タブレットやプロジェクターの設定から、教育用アプリケーションの活用まで、幅広い技術的知識が必要です。

最新のEdTech(教育テクノロジー)トレンドにも注目が必要で、AR(拡張現実)やAI(人工知能)を活用した教育ツールの導入支援も行います。

また、クラウドサービスやプログラミング教育など、新しい技術や概念を理解し、教員に分かりやすく説明する能力も重要です。

コミュニケーション能力と教育への理解

ICT支援員にとって、教員や児童生徒とのコミュニケーション能力は不可欠です。教育現場への深い理解も求められます。

コミュニケーション不足は、指示の行き違いや仕事がない状態を引き起こし、業務継続の障害となりかねません。ICT支援員は、教育現場の状況を把握し、適切なタイミングでサポートを提供する能力が求められるのです。

問題解決能力とストレス耐性

ICT支援員の仕事は、日々の業務で直面するさまざまな問題に対処する能力と、高いストレス耐性が求められます。

授業中に突如ICT機器がトラブルを起こしたとき、冷静に対応し、迅速に解決策を見いだす必要があります。また、教員や生徒からの多様な要望に柔軟に対応する力も重要です。

ICT支援員は、さまざまな状況に対応する問題解決能力が不可欠です。ストレス耐性も欠かせませんが、それらを乗り越え、前向きに業務に取り組む姿勢が求められます。

ICT支援員のキャリアパスと成長の機会

講習会

(出典) pixta.jp

ICT支援員は、教育とICTの両方に精通したスキルを身に付けられる貴重な職業です。この仕事では、多様な雇用形態や勤務条件があり、個々のニーズに合わせた働き方が可能です。以下では、これらの具体的な内容について詳しく見ていきましょう。

ICT支援員の雇用形態と勤務条件

ICT支援員は大きく分けて、自治体や学校による直接雇用と、業者への委託による間接雇用の2種類があります。ただし、雇用形態は正社員から派遣社員、アルバイトまで多様であり、勤務形態も1校に常駐するフルタイムと、複数校を巡回するパートタイムがあり、学校の規模や予算によって異なります。

休日は原則として土日祝日ですが、学校行事で出勤することもあります。その場合は、平日に振替休日を取得できるため、柔軟な働き方が可能です。年収は勤務形態によって異なりますが、一般的には300万~350万円が相場といわれています。

ICT支援員は、技術よりもコミュニケーション能力が重視される仕事です。今後、子どもたちの学びを支える重要な役割として、さらに需要が高まると予想されています。

スキルアップのための研修と自己啓発

ICT支援員のスキルアップには、専門的な研修プログラムが欠かせません。例えば、JNK4 情報ネットワーク教育活用研究協議会が提供する「ICT支援員養成講座」は、e-ラーニング形式で1年間受講できるため、場所を選ばず学べます。

この講座ではコースによって、学校組織や労働基準法、著作権法など、ICT支援員に必要な幅広い知識を学べます。さらに、GIGAスクール構想といった最新の教育トピックも網羅しているので、常に最新の知識をキャッチアップできるのです。

修了テストに合格すると認定書が発行されるため、知識やスキルの証明にもなります。これは、ICT支援員としてのキャリアアップに大きく貢献するでしょう。自己研鑽の機会として、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

出典:ICT支援員養成講座|JNK4 情報ネットワーク教育活用研究協議会

ICT支援員からのキャリアパス

ICT支援員の経験は、教育とICTの両方に精通したスキルを身につけられる貴重な機会です。この経験を生かし、多くの方が教育現場でのICT専門家としてキャリアアップを果たしています。

例えば、学校のICT担当教員や教育委員会のICT推進担当者への転身が可能です。また、教育関連企業での教育アプリ開発や、ICT教育コンサルタントとして独立する道も開けています。

さらに、ICT支援員としての経験は、一般企業のIT部門でも高く評価されます。教育現場で培ったコミュニケーション能力と技術スキルは、社内システムの導入や従業員向けIT研修などで大いに生かせるでしょう。

長期的には、教育とICTの融合が進む中で、デジタル教科書開発者やオンライン教育プラットフォームの企画者など、新たな職種への道も広がっています。

ICT支援員は教育現場の最前線で欠かせぬ存在

教職員

(出典) pixta.jp

ICT支援員は、学校でのICT活用を支援する重要な役割を担っています。文部科学省の定義に基づき、日々の業務では機器の管理やトラブル対応、教員のサポートを行います。

ICT教育の最前線で活躍する魅力的な職業といえるでしょう。ICT支援員として経験を積むことで、教育とICTの両分野でスキルアップが可能です。この貴重な経験は、将来のキャリアパスを広げる大きなチャンスとなるでしょう。

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