未経験者でも葬祭ディレクターになれる?働き方や求人傾向を徹底解説

葬祭ディレクターは、葬祭全般を取り仕切る職業です。価値観が多様化する現代、お客さまの意向を聞きながら、参列者の心に残る葬祭を実現する必要があります。未経験者が葬祭ディレクターを目指す道のりや必要な資格、求人の傾向について解説します。

葬祭ディレクターとはどんな職業?

葬祭

(出典) pixta.jp

葬祭とは、人が亡くなったときに行う「葬儀」と、法要・法事を意味する「祭祀(さいし)」を合わせた言葉です。「葬祭ディレクター」とは、どのような仕事をする職業なのでしょうか?

葬祭全般を取り仕切るのが役目

葬祭ディレクターとは、葬儀・法要・法事などの葬祭を取り仕切る職業です。主に葬儀社に所属し、葬祭の企画から運営までを手掛けます。以下は、葬祭ディレクターの主な仕事内容です。

  • 葬祭の打ち合わせ
  • 企画書や見積書の作成
  • 会場の設営
  • 当日の運営・進行
  • 仏壇や墓地の相談

葬儀では、喪主や遺族の意向を聞きながら、スケジュールを滞りなく進める必要があります。社葬ともなれば、会社を挙げての一大イベントとなるため、失敗は許されません。

葬儀をはじめとする葬祭は、葬祭ディレクターやスタッフの良しあしによって成否が決まるといってよいでしょう。

葬祭ディレクター技能審査への合格が必要

業務を担う上で必須の資格はありませんが、葬祭ディレクターとして仕事をする場合は、厚生労働省が認定する「葬祭ディレクター技能審査」に合格する必要があります。

技能審査に合格し、葬祭ディレクター技能審査協会の認定を受けなければ、名刺の肩書に「葬祭ディレクター」という名称は使えません。

有資格者は、葬祭に関する一定の知識・技術を有する者と見なされるため、転職に有利です。遺族との信頼関係も、築きやすいでしょう。

出典:厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査

葬祭ディレクターのやりがい・大変なこと

葬祭のイメージ

(出典) pixta.jp

葬祭ディレクターは、葬儀や法要といった非日常的な空間を演出する職業です。日常生活ではほとんど接することがない職業なので、仕事のやりがいや大変なことがイメージできない人も多いのではないでしょうか?

【やりがい】感謝の言葉が働く原動力に

葬祭ディレクターは、葬祭の成功を陰で支える縁の下の力持ちです。会場の設営から進行まで、あらゆる業務を柔軟にこなさなければならず、決して楽な仕事とはいえません。

しかし、葬儀が無事に終了し、遺族や関係者から感謝の言葉をかけられると、「次もまた頑張ろう」という前向きな気持ちになる人が多いようです。

社葬や合同葬などの大きな葬儀では、達成感を味わえると同時に、ディレクターとしての自信も増すでしょう。

【大変なこと】労働時間が不規則になりやすい

いつ葬儀の予定が入るか分からないため、ほとんどの葬儀社は、24時間体制で運営しています。

葬祭ディレクターの勤務体系はシフト制が基本であり、通夜や葬儀のスケジュールによっては、時間外労働が発生します。労働時間が不規則になりやすく、人によっては肉体的に厳しいと感じるでしょう。夜勤の後に日勤が続くことも、珍しくありません。

しかし近年は、働き方改革に取り組む会社が増えており、日勤の社員をできるだけ夜勤に入れないようにするところもあるようです。

葬祭ディレクターに向いている人とは?

葬祭ディレクター

(出典) pixta.jp

どのような職業にも、向き・不向きがあります。葬祭ディレクターとして活躍できるのは、どのような資質を備えた人なのでしょうか?

冷静さと決断力を備えた人

葬儀は、短時間のうちに慌ただしく執り行われます。葬祭ディレクターは、遺体の引き取りから火葬場の手配まで、全ての段取りを完璧にこなさなければなりません。

次々と移り変わる状況を見ながら、柔軟かつ冷静に動ける人でなければ、統括者としてのポジションは務まらないでしょう。

また、葬儀は大勢のスタッフのチームプレーによって成り立っているため、葬祭ディレクターには、全体を俯瞰する能力や迅速な決断力も求められます。

相手の立場に立って行動できる人

葬祭ディレクターが接する相手は、大切な家族を亡くしたばかりの遺族です。遺族は、深い悲しみや喪失感の中におり、時には会話もままならないことがあります。

冷静さ・決断力も重要ですが、葬祭ディレクターには、細やかな配慮や思いやりが求められるでしょう。

遺族は、限られた時間の中で葬儀社を選び、契約を結ばなければなりません。遺族と葬祭関係者の間には多くの情報格差があるため、葬祭ディレクターをはじめとする葬祭スタッフは、相手の立場に立った丁寧な説明を心掛ける必要があります。

葬祭ディレクターになるには?

葬祭

(出典) pixta.jp

葬祭ディレクターの肩書で活躍するには、葬祭ディレクター技能審査への合格が必須です。業界未経験者が葬祭ディレクターになるまでに、どのような道筋をたどればよいのかを解説します。

葬儀社でスタッフとして経験を積む

葬祭ディレクター技能審査を受けるには、葬祭の実務経験が必要です。業界未経験者は、葬儀社の求人に応募し、葬祭スタッフとして働くところからスタートしましょう。以下は、技能審査の等級と受験資格です。

  • 2級:2年以上の葬祭実務経験がある人
  • 1級:5年以上の葬祭実務経験、または2級合格後に2年以上の葬祭実務経験を積んだ人

なお、葬祭ディレクター技能審査協会が指定した葬祭教育機関で、所定のカリキュラムを修了した場合、2級に限りその期間を葬祭実務経験としてカウントすることが認められています。ただ、葬祭教育機関の数は多くはありません。

出典:厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 受験要項

葬祭ディレクター技能審査に合格する

葬祭ディレクター技能審査には、2級と1級があります。2級は、葬祭サービスの一般的な知識・技能を問われるのに対し、1級はより詳細な内容が出題されます。

  • 2級:個人葬における相談・会場設営・式典運営など
  • 1級:あらゆる葬儀における相談・会場設営・式典運営など

学科試験と実技試験(幕張・接遇・司会)があり、それぞれ70%以上の得点を取ることが必要です(幕張・接遇・司会のいずれも30%以上であること)。

2023年の合格率は、2級が75.5%、1級が67.6%でした。難易度はそれほど高くはありませんが、しっかりと勉強して臨みましょう。

出典:葬祭ディレクター技能審査 第1回から第27回試験までの受験者数・合格者数・合格率

葬祭ディレクターの求人・働き方の特徴

葬式の司会

(出典) pixta.jp

葬祭ディレクターを目指す場合、葬儀社の求人に応募し、葬祭スタッフとして経験を積むのが一般的です。近年の求人の傾向や、働き方の特徴を把握しましょう。

求人は都市部に多い

葬祭スタッフや葬祭ディレクターとして働くのに、学歴は問われないケースがほとんどです。求人は中途採用が中心で、都市部に多い傾向があります。

超高齢社会の日本では、年々死亡者が増えています。葬儀社の需要が増えれば、葬祭スタッフや葬祭ディレクターが活躍するチャンスも多くなるでしょう。

かつては一般葬が当たり前でしたが、近年は「1日葬」や「家族葬」といった、新しい葬儀の形が見られるようになりました。今後も、価値観の多様化は進むと考えられるため、故人・遺族の意向に沿った葬儀を提案することが求められるでしょう。

出典:葬祭ディレクター - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

繁忙期と閑散期の差が大きい

葬儀社の勤務体系は、シフト制が基本です。葬儀の一連の流れに合わせて動くため、繁忙期と閑散期の差が大きくなるでしょう。

最も忙しくなるのは、通夜から精進落としまでの期間です。逆に葬儀の予定がない日は、待機時間が長くなります。

カレンダー通りに休みを取るのは難しく、葬儀の依頼が少ない「友引」が休日になるケースが多いようです。友引とは、日の吉凶を占う六曜の1つで、葬儀や見舞いには向かない日とされています。

葬祭ディレクターへの一歩を踏み出そう

葬祭ディレクター

(出典) pixta.jp

未経験者が葬祭ディレクターになるための第一歩は、葬儀社に葬儀スタッフとして就職することです。

実務経験を積めば、いずれはディレクター業を任せてもらえる可能性がありますが、葬祭ディレクターの肩書で活躍したい人は、葬祭ディレクター技能審査に挑戦しましょう。

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