IT事務の仕事内容と必要なスキル、未経験からのキャリアパスを徹底解説

IT業界で活躍できる職種の1つに「IT事務」があります。一般事務とは異なり、IT特有のスキルが求められるほか、新しい技術への好奇心や臨機応変に対応する力が欠かせません。IT事務の仕事内容や必要なスキル、キャリアパスを分かりやすく解説します。

IT事務とは?一般事務との違いを徹底解説

ノートパソコンを持ってオフィスで立つ人物

(出典) pixta.jp

IT事務は、一般的な事務作業に加え、IT関連業務も担当する職種です。IT事務の定義や主な業務内容や一般事務との違い、IT事務に向いている人の特徴を解説します。

IT事務の定義と主な業務内容

IIT事務は、IT企業で一般事務とIT関連業務を幅広く担当する職種です。主な業務内容には、書類作成やデータ入力といった一般事務作業に加え、PCの初期設定やソフトウェアのインストールといったIT特有の業務が含まれます。

社内においては、新入社員のパソコンセットアップや社内システムのマニュアル作成など、多岐にわたる業務を担当するケースが多いでしょう。IT業界は人材不足のため、未経験者の採用にも積極的で、将来的な成長を見据えた育成が行われています。

一般事務とIT事務の違い

一般事務とIT事務は、業務内容と必要なスキルが異なります。一般事務が主に文書作成や電話対応を行うのに対し、IT事務はシステム管理やデータ分析などのIT関連業務を担当します。

必要とされるスキルも異なり、IT事務ではビジネスマナーに加えて、基本的なプログラミング知識やネットワークの理解が欠かせません。

IT事務はIT技術の進化に対応し続ける必要があります。一般事務に比べてキャリアアップの機会が多く、将来的にITエンジニアへの転身も視野に入れられるでしょう。

IT事務に向いている人の特徴

IT事務に向いているのは、論理的思考力に優れた人です。ITシステムは複雑であり、効率的な業務遂行には問題を順序立てて解決する能力が求められます。

データ入力やシステム管理では、小さなミスが大きな問題に発展することがあるため、細部への注意力も欠かせません。慎重な確認作業ができる人は、IT事務で力を発揮できるでしょう。

また、IT業界は日々進化しているため、新しい技術への好奇心と学習意欲も必要です。常に技術動向をキャッチアップし、実務に生かす姿勢が求められます。

コミュニケーション能力も重要なスキルです。IT事務は技術者と他部門の社員をつなぐ役割を担うため、専門的な用語を分かりやすく説明する力が求められます。急なトラブルやシステム変更にも柔軟に対応できる適応力も不可欠です。

IT事務の1日のスケジュール例

デスクワーク

(出典) pixta.jp

IT事務は、システム管理・ユーザーサポート・データ入力・会議参加といったさまざまなタスクをこなします。朝・午前・午後の時間帯ごとに、IT事務の典型的な業務内容を詳しく見ていきましょう。

朝:システムチェックとサポート対応

IT事務の朝は、社内のシステムやネットワークの状態を確認することから始まります。サーバーやネットワーク接続に問題がないかチェックし、IT機器の動作確認も行います。

社員から寄せられるITサポートの依頼に対応することも重要な業務です。特に、パスワードリセットやアカウントロック解除など、日常的に発生するトラブルは早急に解決しなければなりません。

ITエンジニアのような高度な技術は求められないものの、社員がストレスフリーで働ける環境を整える必要があります。

午前:データ管理とトラブル対応

午前中は、システムへのデータ入力や更新作業が中心です。社内システムのデータベースを管理し、新しい情報を正確に入力します。

また、プリンターの不具合やネットワーク接続の問題など、社員からのシステムトラブル報告があれば、迅速に対応する必要があります。

社内ヘルプデスクとしての役割も含まれるため、ユーザーからの問い合わせやトラブルに柔軟に対応できるスキルが求められるでしょう。

午後:会議参加とIT機器の管理

午後は、プロジェクト会議に参加してIT関連の課題や改善策について話し合うことが多いでしょう。新しいソフトウェアの導入計画やシステム更新の進行状況を共有し、今後の対応を決定します。

また、IT機器の管理も午後の重要な業務の1つです。新しい社員のためのPCのセットアップや既存の機器のメンテナンス、必要なソフトウェアのインストールなどを行い、社内のIT環境を整備します。

IT事務に必要なスキルと資格

デスクワーク

(出典) pixta.jp

IT事務として活躍するには、特定のスキルと資格が重要です。これらは業務効率を高め、キャリアアップの可能性を広げます。

ここでは、IT事務に不可欠なITスキルや役立つ資格、基礎的なプログラミング知識について解説します。

必須のITスキルと習得方法

IT事務に必要なスキルには、まずMicrosoft Office(特にExcel)の高度な操作能力が含まれます。

Excelの関数やマクロを活用して業務の効率化を図る場面が多いため、このスキルは非常に重要です。加えて、基本的なネットワークの知識やセキュリティ対策に関する理解も欠かせません。

スキル習得には、オンライン学習プラットフォームや社内研修を活用するのが効果的です。SQLなどのデータベース操作の基礎知識も役ちます。

実務に直結するスキルを身に付けるために、研修プログラムへの参加や実践的な演習を行うのもよいでしょう。

役立つ資格とその取得方法

IT事務に有用な資格の1つに、「ITパスポート試験」があります。IT全般にわたる基礎知識を証明する国家資格で、未経験者にも取得しやすい点が特徴です。

「MOS(Microsoft Office Specialist)資格」は、ExcelやWordなどの操作スキルを証明する資格で、業務効率化に直結します。

より専門的な資格には、「基本情報技術者試験」があります。取得によって、IT業界でのキャリアアップが期待できるでしょう。

資格取得には、オンライン学習や通信講座の活用が効果的です。自分のキャリアに合った資格を選び、計画的に取得を目指すことが求められます。

プログラミング言語の基礎知識

IT事務において、プログラミング言語の基礎知識は、業務効率化や問題解決の面で非常に役立ちます。

例えば、HTMLやCSSの基本的な知識は、Webサイトの管理や更新に必要です。PythonやJavaScriptは、データ分析や業務プロセスの自動化に活用できるでしょう。

これらの言語は、オンラインの無料学習プラットフォームを通じて習得ができます。プログラミングの基礎知識を持つことで、業務の幅が広がり、さらなるキャリアアップにもつながります。

IT事務のキャリアパスと将来性

IT事務

(出典) pixta.jp

IT事務は、多様なキャリアパスと将来性を秘めた職種です。IT事務からのキャリアアップの具体例や、エンジニアへの転身方法について詳しく解説します。

IT事務からのステップアップ例

IT事務からのキャリアアップには、システム管理者やネットワークエンジニアへの転身が一般的な道筋です。

これらの職種では、より専門的な技術力が求められるため、日々の業務を通じて得た知識を深めながら、新しい技術の習得に励む必要があります。

プロジェクトマネージャーへのステップアップも有力な選択肢です。IT事務で培ったリーダーシップやコミュニケーション能力を生かし、チームをまとめる役割を担えます。

データアナリストとしての転向も注目されています。IT事務で身に付けたデータ管理スキルを基に、統計やビジネス分析を学ぶことで、企業の重要な意思決定に貢献できるでしょう。

IT事務からエンジニアへの転身方法

IT事務からエンジニアへの転身は、魅力的なキャリアパスの1つです。エンジニアを目指すには、まずPythonやJava、JavaScriptといったプログラミング言語を学び、実践的なコーディング経験を積むことが重要です。

オンライン学習プラットフォームやプログラミングスクールを活用すれば、必要なスキルを体系的に習得できるでしょう。

IT事務で得た業務知識やコミュニケーションスキルは、エンジニアとしても大きな強みとなるはずです。多くの企業がIT事務経験者のエンジニア転身を支援しており、社内研修や資格取得支援プログラムなどを提供しています。

転身後は、フロントエンドやバックエンド開発、モバイルアプリ開発など、さまざまな専門分野から選択できるため、自分の適性や興味に応じたキャリア設計が可能です。

IT事務の給与水準と待遇

デスクワーク

(出典) pixta.jp

多くの人が気になるのが、IT事務の給与水準と待遇です。ここでは、平均年収やや業界別の待遇比較、リモートワークの現状などを解説します。

IT事務の平均年収と年齢別推移

求人サイトなどの情報をまとめると、IT事務の平均年収は約400万円で、日本全体の平均年収と比較するとやや低めの水準です。月給にすると約33万円、初任給は21万円程度が相場となるでしょう。

給与幅は300万円台から800万円台と幅広く、勤務先や求められるスキル、経験により大きく変動します。

より専門的なスキルを持つIT事務員は、高収入を得るチャンスがあります。年齢別に見ると、経験を重ねることで年収が上昇する傾向がありますが、IT業界は技術革新が早いため、継続的なスキルアップが求められます。

業界別のIT事務の待遇比較

IT事務の待遇は、所属する業界によって大きく異なります。金融業界では高度なセキュリティ知識が求められるため、比較的高待遇が期待できます。

一方、製造業では生産管理システムの運用が主な業務となり、待遇は中程度に落ち着くことが多いようです。IT業界全般では、最新技術の習得や対応が重要視されており、そのスキルに応じた報酬が期待されます。

小売業界は、POSシステムの管理といったITシステムの運用が中心で、平均的な待遇になるのが一般的です。最近では、リモートワークの普及により、柔軟な勤務条件を提供する企業が増えつつあり、待遇にも変化が見られます。

IT事務のリモートワーク事情

IT事務におけるリモートワークは、近年急速に普及しました。特にコロナ禍を契機に、多くの企業がテレワークを導入し、IT事務もリモートワークを活用しています。

クラウドサービスやビデオ会議ツールの発展によって、オフィスと変わらない業務効率を保つことが可能となっています。

また、リモートワークの導入により、通勤時間の削減やワークライフバランスの向上が期待されており、地方在住者や育児中の社員にとても働きやすい環境が整いつつあるようです。

しかし、セキュリティ面の課題も残っており、機密情報の取り扱いには細心の注意が必要です。今後は、オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務が主流となるでしょう。

未経験からIT事務への転職成功のポイント

事務作業

(出典) pixta.jp

適切な準備と戦略があれば、IT事務への転職は十分に可能です。基本的なITスキルの習得や資格取得、実務経験の積み方など、効果的な準備方法を解説します。

未経験者がIT事務に転職するための準備

未経験からIT事務への転職を目指す際には、基本的なITスキルを身に付けることが不可欠です。

Microsoft Officeの操作やデータ入力の効率的な方法は、IT事務の重要なスキルです。これに加え、IT業界で一般的に使われる基礎的なIT知識や専門用語も理解しておくことが、面接でのアピールにつながります。

未経験者におすすめの資格には、ITパスポート試験やMOS(Microsoft Office Specialist)があり、これらの資格取得を目指すことで基礎的なスキルを証明できます。

また、インターンシップや短期アルバイトを通じて、実務経験を積むことも重要です。未経験者向けの研修制度を提供している企業やフレキシブルな勤務形態の求人をチェックしましょう。

IT事務の求人情報の探し方と応募のコツ

IT事務の求人を効果的に探すためには、専門の転職サイトや求人情報サイトを活用することが有効です。例えば、「IT事務」や「情報システム部門」といったキーワードで検索し、自分のスキルや希望に合った求人を見つけましょう。

また、企業の採用ページや求人情報を小まめにチェックすることも欠かせません。履歴書やエントリーシートなどの応募書類には、PCスキルや取得した資格、事務経験などを漏れなく記載しましょう。

未経験者は、学習意欲やIT業界への興味を明確に伝えることが重要です。自分の強みのアピールが成功へとつながります。

求人情報一括検索サイト「スタンバイ」には、IT事務の求人情報が豊富に掲載されており、キャリアアップや年収アップの可能性が広がります。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら

ステップアップも視野にIT事務への理解を深めよう

パソコン作業

(出典) pixta.jp

IT事務は、IT関連のスキルや知識を生かして業務を支える職種です。主な仕事内容には、データ管理・ソフトウェアの運用サポート・システムトラブル対応などがあります。プログラミング言語の基礎を学べば、エンジニアへのステップアップも可能です。

IT業界はリモートワークが進んでおり、働き方の柔軟性も魅力とされています。給与水準も比較的高い傾向にあり、IT事務への転職は、収入アップにつながる良い選択肢です。未経験者は、基本的なITスキルを身に付けるところから始めましょう。