ネイルモデルは、自身の爪を貸し出し、ネイリストの技術向上に貢献できる仕事です。主にネイル検定やコンテスト参加に合わせて、ネイリストの依頼を受けて活動します。ネイルモデルに挑戦したい人に向けて、仕事の探し方や報酬の相場などを解説します。
ネイルモデルとはどのような仕事?
モデルと聞くと、ファッション界をけん引するプロのモデルをイメージする人が多いでしょう。数あるモデルの中でも、「ネイルモデル」は初心者でも挑戦しやすい仕事の1つです。役割やハンドモデルとの違いについて、理解を深めましょう。
ネイリストに協力するモデルのこと
ネイルモデルとは、プロのネイリストやネイリストを目指す人に協力する「爪のモデル」です。
例えば、ネイリストの卵は技術に磨きをかけるため、人の爪を借りて何度も練習を重ねなければなりません。ネイル検定の実技試験では、会場に同伴してくれるネイルモデルが必要です。
依頼を引き受けてくれる人が身近にいない場合は、一般の人々に向けて「ネイルモデルの募集」を行います。
ネイルモデルになるために、必要な資格・スキルはありません。ただし、検定・試験によりモデルの条件が設定されている場合があります。
ハンドモデルとの違い
ネイルモデルと似た仕事の1つに、「ハンドモデル」が挙げられます。両者を同一と見なす場合もありますが、本記事では区別して解説します。
ネイルモデルはネイルケア・ネイルアートに特化しているのに対し、ハンドモデルは手全体の美しさを表現するのが特徴です。
「手タレ(手だけ出演するタレント)」とも呼ばれ、手に関連した商品の広告に出演して、商品の魅力をアピールします。ネイル用品・日用品・ジュエリーなどの広告に、出演することが多いでしょう。
ネイルモデルが必要とされる場面
ネイルモデルが必要とされる場面は、主に「ネイル検定の練習・実演」「プロネイリストの作品撮影」「ネイルコンテストへの出場」です。場面ごとに、モデルに求められる条件が変わってくる点に留意しましょう。
ネイル検定の練習・実演
プロのネイリストを目指す人の多くは、「JNECネイリスト技能検定試験」や「JNAジェルネイル技能検定試験」をはじめとするネイル検定を受験します。
検定には実技試験があるため、検定のモデル規定を満たし、かつ試験会場に同伴してくれる人を探さなければなりません。
ネイリストを目指す人が通うネイルスクールでも、スクール生が定期的にネイルモデルを募集しています。
スクール生はプロのネイリストではないため、凝ったデザインのリクエストは受け付けてもらえないのが一般的です。ネイルケアやフレンチネイルといった、シンプルな施術が中心になるでしょう。
プロネイリストの作品撮影
プロのネイリストは、サロンの宣伝や見本写真の撮影のためにネイルモデルを募集します。
撮影した写真は、ネイルサロンの予約サイトやSNSに掲載されるため、一般への公開に抵抗がない人が向いているでしょう。基本的に、爪の大きさ・形状は問われません。
ネイルモデルにとってのメリットは、プロのネイルをリーズナブルな価格で体験できることです。デザインは、リクエストできるケースもあれば、あらかじめ決まっているケースもあります。
サロンによっては、新人ネイリスト・研修生の技術力向上に協力してくれる人を、募集することもあります。
ネイルコンテストへの出場
現役のネイリストの中には、技術力やデザイン力を競う「ネイルコンテスト」への出場を目指す人がいます。
代表的なコンテストには、「全日本ネイリスト選手権・地区大会(JNA主催)」や「TOKYO NAIL EXPO 全日本ネイリスト選手権」などが挙げられるでしょう。
知人にモデルを依頼できればよいですが、仕上がりの美しさが重視されるだけに、条件に合う人を見つけるのは容易ではありません。
出場する部門に応じて、モデルは自爪(素の状態の爪)の長さをキープしなければならないため、日々のケアを小まめにできる人が向いています。
ネイルモデルに選ばれやすい人とは?
ネイルモデルになるのに、性別や学歴、経験は問われません。ネイリストが「ぜひモデルをお願いしたい」と思うのは、どのような人でしょうか?
爪の形や状態が良い人
ネイル検定やコンテストの実演モデルは、15歳以上で、かつ爪や爪周りの皮膚に疾患がないことが前提です。仕上がりの美しさや施術のしやすさを考えると、以下のような爪を持っている人が選ばれやすいでしょう。
- 巻き爪・反り爪・深爪がない人
- 爪の幅が広めで、ほぼ均一な人
- ほどよい厚みと硬さがあり、割れにくい人
- 爪のカーブがきつすぎない人
ネイル検定やコンテストへの参加が目的でなければ、ネイルモデルに求められる条件はそれほど厳しくないと考えられます。
ネイリストに協力的で常識がある人
ネイルモデルをする魅力の1つは、通常よりもリーズナブルな料金でネイル施術を受けられることです。しかし、「ネイリストに協力する」という役割を忘れてはいけません。
例えば、ネイル検定の直前にモデルを辞退すると、ネイリストは新たなモデルを探さなければならなくなるでしょう。また、本番中の私語や居眠りといった、モデルの態度がマイナス評価につながることも考えられます。
「ネイリストの夢を後押ししたい」という気持ちがあり、かつ長時間の施術に耐えられる人でなければ、モデルの役割は全うできないでしょう。
爪をきれいに伸ばせる人
ネイル検定やコンテストの当日まで、爪をきれいに伸ばせるかどうかも重視されます。自爪が健康で、日々のケアを怠らない人が選ばれやすいでしょう。
爪および爪周りの皮膚にトラブルがある人は、モデルにはなれないかもしれません。水仕事で手が荒れている人や、乾燥でささくれがひどい人も、NGになる可能性があるでしょう。
報酬の相場と仕事の探し方
ネイルモデルは、副業やダブルワークに適しています。仕事を引き受けると、どのくらいの報酬を得られるのでしょうか?トラブルを回避しながら、効率的に仕事を探す方法もチェックしましょう。
モデルの内容によって報酬は変動する
ネイル検定やコンテストでは、丸1日拘束されるため、ネイルモデルに報酬(謝礼金)が支払われるケースが一般的です。
内容により変動はあるものの、日給7,000~1万5,000円前後が相場です。交通費や昼食費の負担については、ネイリストと話し合って決定します。
ネイルサロンでは、「報酬があるケース」「自分が料金を払うケース」「お金のやりとりが発生しないケース」に分かれるため、事前の確認が必要です。
プロのネイリストの場合、通常の半額程度で施術をしてもらえることが多いでしょう。研修生であれば、さらにリーズナブルに施術を受けられます。資格を取得する前のスクール生の場合は、無料~1,000円前後と見ておきましょう。
マッチングサービスを使って探す
ネイルモデルに挑戦したい人は、モデルを探すネイリストとモデルになりたい人を仲介する、マッチングサービスを活用しましょう。事前にモデル登録をすると、条件が合致したネイリストからオファーメッセージが届く仕組みです。
マッチング成立後は、最低限のルールを定めた確認書を交わすため、報酬の未払いや個人情報の流出、当日の急なキャンセルといったトラブルが起こりにくくなるでしょう。
サービスにもよりますが、モデル側の登録料・手数料はかからないケースがほとんどです。検定の報酬があらかじめ決まっているケースでは、やりとりがスムーズに進みます。
SNS経由はトラブルに注意
近年は、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを通じて、ネイルモデルの募集をする人が増えています。気軽にやりとりができるのは魅力ですが、赤の他人同士なので、トラブルが起こりやすい点に注意が必要です。
説明不足・確認不足から報酬が支払われなかったり、ネイルモデルの仕事を全うできなかったりといったケースも少なくありません。
特に注意が必要なのが、金銭面のトラブルです。仕事を引き受ける前に、交通費や材料費などを負担する必要があるかどうかを、しっかりと確認しましょう。
ネイルモデルはネイリストのパートナー
ネイルモデルの役割は、ネイル検定やコンテスト出場などを控えたネイリストに協力することです。スクール生やサロンの研修生の練習に付き合うこともあり、「一流のネイリストになりたい」という夢を後押しするポジションともいえるでしょう。
本番直前になって急にキャンセルすると、ネイリストのこれまでの努力が無駄になりかねません。ネイルモデルは、ネイリストのパートナーであることを肝に銘じ、最後まで仕事をやり遂げることが重要です。