企業保健師になるには?必要なスキルや条件、仕事内容をチェック

企業保健師とは一般企業で勤務する保健師のことで、正式には産業保健師といいます。従業員の健康管理に携わる仕事に、魅力を感じる人も多いでしょう。業務内容や求められる能力など、企業保健師を目指す人が押さえておきたい基礎知識を解説します。

企業保健師の役割と魅力

保健師のイメージ

(出典) pixta.jp

企業保健師は、具体的にどのような業務を担うのでしょうか?長く勤めることで、キャリアップが見込めるかどうかも、就職・転職の際に気になるポイントです。まずは企業保健師の主な業務内容と、成長機会について見ていきましょう。

企業保健師の主な業務内容

企業保健師の役割は、専門的な立場から従業員の健康維持・改善に取り組むことです。産業医と違い企業保健師は常勤なので、従業員との距離が近く、より細やかな対応が期待されます。

主な業務内容には、健康診断結果のデータ整理・職場内でのけがや病気への応急処置・保健指導・メンタルヘルス対策などが含まれます。従業員の健康意識向上のためのイベントを企画したり、健康セミナーの講師を務めたりすることもあるでしょう。

産業医の補助役として、休職者や長時間労働者との面談・職場視察の同行・安全衛生委員会への出席なども重要な役割です。

企業保健師のキャリアパス

企業保健師は経験を積むことで専門性を高め、管理職や指導的立場へと成長できる可能性を秘めています。例えば、認定看護管理者や専門看護師の資格取得、大学院進学による学位取得など、自己研鑽の機会は豊富です。

これらの道を選ぶことで、より高度な健康管理のスペシャリストとして活躍できるでしょう。医師免許を取得し、産業医となるのも選択肢の1つです。

産業保健師にはさまざまなキャリアパスがあり、自身のスキルアップと経験の積み重ねによってより高みを目指せる点が、大きな魅力といえます。

企業保健師になるための準備

保健師になるために勉強する人

(出典) pixta.jp

企業保健師になるためには、どのような準備をすればよいのでしょうか。活躍するために欠かせない資格や経験、求められるスキルについて詳しく解説します。

必要な資格と経験

企業保健師になるには、最低でも保健師の国家資格を取得する必要があります。まずは看護師の国家資格を取得し、同時あるいは1年以上指定教育機関で専門教育を受けた後に、国家試験に合格しなくてはなりません。

しかし資格を持っているだけでは不十分です。多くの企業が即戦力を求めているため、行政保健師や臨床看護師としての経験が重要視されます。特に、特定保健指導や健康診断の実務経験は高く評価されると考えてよいでしょう。

また企業保健師は求人数が限られているため、就職競争は激しいのが現状です。このため新卒・未経験者が企業保健師になれる可能性は低いといえます。

求められるスキル

企業保健師には、専門知識だけでなく多様なスキルが求められます。特にコミュニケーション能力は不可欠です。業務上、従業員はもちろん、経営陣や外部機関など、さまざまな立場の人と円滑に意思疎通する必要があるからです。

健康診断結果を適切に解釈し、企業全体の健康課題を把握するための分析力も求められます。分析結果を元に考えた健康増進策を実現させるには、企画力や提案力もあるとよいでしょう。

労働安全衛生法など、関連する法規も学んでおくことをおすすめします。見落としがちですが、ExcelやPowerPointなどの基本的なソフトウェアの操作スキルも必須です。

企業保健師の待遇と将来性

バインダーと電卓

(出典) pixta.jp

多くの人にとって、年収や勤務形態、長く続けられるかどうかは、働く上で重要なポイントです。企業保健師の待遇や将来性をチェックしましょう。

企業保健師の年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、保健師全体の平均年収は451.1万円です。企業保健師は、他の保健師に比べて高い年収を得られる傾向にあるとされています。

正社員として就職し、働きぶりを評価されれば昇給のチャンスも大いにあるでしょう。ただし実際は勤務先の規模や業績に左右されるケースが多く、企業保健師だからといって高年収であるとはいえません。

また企業保健師には、派遣や契約社員といった雇用形態があります。この場合はほとんどが時給制で昇給も見込めないため、正社員に比べると年収は低くなるでしょう。

出典:保健師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

ワークライフバランスと勤務形態

企業保健師の勤務形態は、一般的に平日の日勤が主流です。9時から18時のように1日の勤務時間が決まっており、土日祝日は休みとなることが多いでしょう。

もちろん、緊急時や健康診断の時期には残業が発生する可能性もありますが、夜勤のある看護師に比べて肉体的な負担は軽く、続けやすい仕事といえます。

企業によっては在宅勤務やフレックスタイム制を導入しているケースもあり、柔軟な働き方が可能です。子育てや介護と両立したい人も、働きやすいでしょう。

企業保健師の将来性

先述の通り、現状では企業保健師の求人は少なく、狭き門であることに変わりはありません。求人が少ない理由としては、1企業につき1人しか募集がない、離職率が低いなどが挙げられます。

しかし近年、従業員の健康管理が企業の生産性向上につながるとの認識が広まり、企業保健師の需要も高まっています。

労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックの実施が義務化されたことも、需要増加の一因です。企業にとって保健師の設置は義務ではないものの、こうした事情から今後は設置する企業が増えると予想されます。

出典:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省

経験を積み企業保健師を目指そう

面談をする保健師

(出典) pixta.jp

企業保健師は、従業員の健康管理や職場環境の改善に重要な役割を果たします。応募には保健師資格以外に臨床経験や健康指導経験などが条件となることが多く、コミュニケーション力や企画力、パソコン操作などのビジネススキルも欠かせません。

年収や労働環境は企業によって異なりますが、一般的に平日の日中勤務が多く、ワークライフバランスを取りやすいといえます。

また企業にとっても、従業員の健康管理は大きな課題であり、企業保健師への需要や期待度は高まると考えられます。求人があったらすぐ応募できるように、実務経験を積みながら、社会人としてのスキルも磨くとよいでしょう。

企業保健師への転職を考えているなら、求人掲載数が豊富な「スタンバイ」がおすすめです。仕事や働き方に関する情報も得られるので、この機会に登録・利用してみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら