農家の中でも「花」に特化した「花農家」は、どのような職業なのでしょうか?基本的な仕事内容や、年収について解説します。花農家を目指すための方法や、現状・将来性も確認しましょう。転職を検討する際は、仕事の探し方も考えなくてはなりません。
花農家とは
農業に携わる仕事の中で、「花」を扱う農家を「花農家」と呼びます。まずは、具体的にどのような職業なのか、基本的な概要や一般的な収入の傾向について見ていきましょう。
花きを育てる農家を指す
花農家は、「花き」を扱う農家です。花きとは、観賞用の植物全般を指します。一般的には、花を付ける植物が該当するでしょう。
草花・樹木など植物の種類は問いませんが、取り扱う植物は農家によって異なります。切り花を中心に扱う農家もいれば、植物の葉を育てる農家もいるでしょう。
家庭での観賞に限らず、芝やツタ類など、地面・壁面を整える目的で植える植物も花農家が育てています。育った植物以外に、球根や種を出荷するケースもあります。
年収は働き方によって差がある
花農家は、他の農業従事者と同様、自営業者が多い点が特徴です。農園・農場の社員として働くケースもあり、働き方によって年収の傾向は異なります。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、「花き栽培者」の年収は約374万円です。jobtagのデータは「賃金構造基本統計調査」を基にしており、雇用される労働者の賃金を表しています。
自営業者の場合、農林水産省が農業所得を公開しています。「令和4年 農業経営体の経営収支」によると、露地花き作経営の農業経営収支の農業所得は約172万円、施設花き作経営の農業経営収支の農業所得は約406万円です。経営方法によって、差があると考えられるでしょう。
出典:花き栽培者 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
花農家の主な仕事内容
花農家は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?ここでは、主な仕事内容を紹介します。これから花農家を目指そうと考えているのであれば、仕事内容を把握しておきましょう。
花の品種を選定し栽培をする
花農家は、草花を含む観賞用植物を育てるのが仕事です。「花」といっても種類が多いため、自分がいったいどのような植物を育てるのか、品種を選定しなければなりません。
経営者の下で勤務するケースを除き、品種の選定は主な仕事内容です。品種を決定後、土壌を整備し花を育てていきます。
花を育てるには、毎日の水やりや肥料を与える作業が欠かせません。そのほか、花が問題なく育つよう、世話や温度管理を継続します。
花を収穫し出荷する
育てた花を収穫し、出荷するのも花農家の基本的な仕事です。花を出荷し、取引先に買い取ってもらうと利益が出ます。
花の収穫は、常に行われているとは限りません。品種によって、種まきと収穫の時期はある程度決まっており、温室などで温度管理をしていない場合は特定の季節に限られるでしょう。
収穫の時期は毎日花を収穫し、その日のうちに出荷をするのが一般的です。花を引き取りに来てくれる取引先がいない場合は、車などで運搬することになります。
花農家になる方法
花農家になるには、何か特別な経歴や資格が必要なのでしょうか?花農家になるための一般的な流れを解説します。これから転職を考えている人は、目指す方法を把握しておきましょう。
学校や研修で知識を身に付け開業する
花農家になるには、植物を育てるための知識・技術が必要です。農業学校や園芸専門学校など、花を育てるための知識・技術を学ぶ学校に通うのもよいでしょう。
未経験の場合、農業研修を通して花農家を目指す方法もあります。実際に農家の手伝いをしながら技術を学び、独立できるようサポートを受けられる制度です。
学校に通う場合は、その間の収入源をどうするか考えておかなければなりません。農業研修の場合は、受け入れてくれる農家を探すことになるでしょう。
花農家の求人を探す
花農家の求人は、求人サイトで募集されていることもあります。農園・農場の社員として勤務したい、あるいはアルバイトとして働きたい場合には、求人情報を確認するのがおすすめです。
一般の求人サイトの場合、花農家の求人を専門的に扱っているわけではありませんが、時期によっては気になる情報が見つかるかもしれません。
「スタンバイ」でも花農家の仕事や、農業系の求人を探すことができます。一度、求人情報をチェックしてみましょう。
花農家の現状および今後の将来性
花農家は、現在どのような状況なのでしょうか?現状の特徴や、将来性について解説します。
若い世代の農家が比較的多い
2024年に公表された農林水産省の「花きの現状について」によると、花きの生産者のうち、45歳未満の若い世代は約8%です。
年齢層が高い稲作の生産者は45歳未満が約2%と割合が低く、花きの生産者は比較的若い世代の参入が多いといえるでしょう。
販売農家の数自体は減少傾向ですが、若い世代が参入する機会はあり、花農家として活躍できる可能性はあると考えられます。
需要の安定性があり参入しやすい
花農家が販売する観賞用植物は、安定した需要があります。家庭での観賞目的以外に、催しで使う花やお祝い用の花など、さまざまな需要が考えられるでしょう。
農林水産省が2020年に実施した「一般家庭における花や緑の購入実態調査」によると、1年以内の花や緑の購入経験の問いでは、自分用に花を購入した人の割合は20代で12.9%、60代で40.0%となっています。
年代を問わず花を贈る習慣は根付いているものの、若い世代では自分のために花を購入し、飾る習慣は少ないと考えられます。若い世代が、自分用に花を飾る習慣が少ない点は懸念事項ですが、安定感はあり今後も参入しやすい業界といえそうです。
出典:2. 消費者調査(一般家庭における花や緑の購入実態調査/調査AC)|農林水産省
季節の草花を育てる花農家は魅力的な職業
花農家は、さまざまな観賞用植物を育てる仕事です。草花に興味があるなら、魅力の大きい職業といえるでしょう。
目指すためには、知識・技術が必要です。自分でノウハウを身に付ける以外に、農業研修で実践的な技術を教えてもらい、開業を目指す方法もあるでしょう。
若い世代も比較的多い業界のため、年代を問わず転職を検討できそうです。