内定承諾書を企業に送るとき、添え状がいるのかいらないのか、迷っていませんか?添え状の意味を知り、書類を正しく提出できれば、入社までの日々を不安なく過ごせるでしょう。内定承諾書の添え状について、必要性や作成・送付のポイントなどを解説します。
内定承諾書に添え状は必要?
内定承諾書を送る際、添え状は本当に必要なのでしょうか。いらないと判断して、添え状なしで送った場合の影響も気になるポイントです。まずは添え状が持つ役割について、理解を深めましょう。
添え状はビジネスマナーの1つ
内定承諾書に限らず、重要な書類を送るときは、添え状をつけるのがマナーです。添え状には、あいさつや感謝の気持ちの表明など、相手との円滑なコミュニケーションを図る役割があります。
送付書類の概要を伝え、「いつ、何を送ったか」の記録にもなります。書類を手渡しできる状況なら、直接口頭で伝えられますが、郵送の場合はそうもいきません。必要な書類だけを送るよりも添え状をつける方が、相手に対し、より親切で丁寧な印象を与えられます。
添え状をつけない場合の影響
実際には、添え状があってもなくても、手続き上は問題ありません。うっかりつけ忘れたとしても、内定を取り消されることはないため、心配し過ぎないようにしましょう。
ただし、添え状は感謝の気持ちや入社への意欲を伝えるチャンスでもあります。これを逃すと、企業側に熱意不足と受け取られる可能性はあります。
「添え状もつけずに送るなんて」と、基本的なビジネスマナーへの理解不足を示すことにもなりかねません。逆に、丁寧な添え状があれば、真摯な姿勢や社会人としての常識をアピールできます。
企業側に与える添え状の効果
企業にとっても、添え状はこれから入社してくる人の、人柄や熱意を直接感じ取れる貴重な機会です。丁寧に作成された添え状は、基本的なビジネスマナーの習得を示し、社会人としての準備ができていると判断されるでしょう。
具体的な入社への意欲や会社への感謝の気持ちを表現することで、入社後の活躍する姿もイメージしてもらえます。1枚の添え状が企業に好印象を与え、入社後の円滑なスタートにつながることを意識しましょう。
内定承諾書の添え状の基本的な作り方
添え状作成は、実はそれほど難しくありません。記載するべき項目をもれなく、定められた位置に配置するだけです。内定承諾書向けの添え状について、基本的な作り方を見ていきましょう。
添え状の記載項目
内定承諾書の添え状には、以下の項目を記載します。
- 提出日の日付
- 宛名(企業名・部署名・担当者名)
- 差出人情報(住所・電話番号・メールアドレス・氏名)
- 件名(例:「内定承諾書の送付について」)
- 本文(時候のあいさつ・お礼・抱負など)
- 同封書類名と部数
宛名の企業名や部署名は、正式名称で書きましょう。担当者名がわからないときは「採用ご担当者様」とします。自分の住所も、郵便番号や都道府県名を省略せずに書きましょう。
各項目の配置
添え状は縦書きでも横書きでも構いませんが、横書きで作成するケースが一般的でしょう。横書きの場合、日付を右上に、宛名は日付の左上に来るように記載します。
差出人情報は、宛名の下に右寄せで書きます。件名はほかの項目よりも大きな字で、中央揃えにしましょう。
本文の下に「記」を中央揃えで書き、同封書類の名称と部数を記載します。内定承諾書以外にも、身分証明書のコピーなど送る場合、箇条書きにするとよいでしょう。
最後に「以上」を右寄せにして、締めくくります。
本文の書き方
本文の頭語と結語には「拝啓」「敬具」を使用します。拝啓の後に時候のあいさつを入れ、「貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」といった文言を添えます。
時候のあいさつは、「初秋の候」や「新緑の候」など、その時期にふさわしい表現を選びましょう。よくわからない場合は「時下」としても構いません。
あいさつに続けて、内定への感謝や入社後の抱負を簡潔に述べます。最後に書類を送る旨を付け加え、「敬具」で締めくくります。
本文の例
以下に本文の例文を掲載するので、参考にしましょう。感謝の気持ちや抱負は、自分の言葉で書くと好印象です。
「〇〇の候、貴社ますますご発展のこととお喜び申し上げます。
この度は内定の通知をいただき、誠にありがとうございます。入社後は一日も早く貴社に貢献できるよう、精進する所存です。
つきましては、ご指示いただきました下記書類を送付いたします。ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。」
内定承諾書の添え状作成のポイント
添え状は、何を使って作ればよいのでしょうか。パソコンで作りたいけれど、失礼にならないか、気になる人もいるでしょう。添え状作成のポイントを解説します。
手書きとパソコンの選び方
添え状は手書きでもパソコンで作成しても、どちらでも問題ありません。メリットを比較し、自分にとって作りやすい方法を選ぶとよいでしょう。
手書きには、丁寧さや熱意が伝わりやすいというメリットがあります。しかし読みにくいと逆効果になってしまうため、文字に自信がない人はパソコン作成がおすすめです。パソコンなら修正が容易で、短時間で仕上げられます。
重要なのは、情報をわかりやすく、正確に記載することです。誤字脱字に注意して、丁寧に作成することを心がけましょう。
使用する紙の種類とサイズ
添え状には、A4サイズの白い上質紙が適しています。これは、ビジネス文書の標準サイズであり、読みやすさと保管のしやすさを兼ね備えているためです。紙質はコピー用紙よりも少し厚めの上質紙を選ぶと、より丁寧な印象を与えられます。
ただし同封する書類がB5やA5サイズの場合、添え状も同じサイズで作成する方がよいでしょう。
手書きの場合は、罫線入りの便箋を使っても構いません。ただし派手な色柄は避け、シンプルなデザインを選びます。
内定承諾書の送付方法
書類を送るときには、封筒選びや宛名の書き方にも気を遣いましょう。送付のタイミングも併せて、具体的な送り方を解説します。
適切な封筒の選び方
内定承諾書の送付には、白い封筒を使うのが一般的です。内定通知書に返信用封筒が同封されていない場合は、自分で白封筒を用意しましょう。
サイズは内定承諾書の状態に合わせて選ぶと、間違いありません。内定承諾書がA4サイズで、折らずに入っていたなら、「角形2号」が適しています。三つ折りの状態で届いた場合は、同じく三つ折りで入れられる「長形3号」がよいでしょう。
宛先や封入のマナー
宛先は封筒の表面に、黒いペンを使って記載します。担当者個人宛の場合は「様」、部署宛の場合は「御中」を使用しましょう。次に縦書きなら左下、横書なら右下に、赤いペンで「内定承諾書在中」と書き、定規を使って線で囲みます。
返信用封筒を使うときは、宛名の「行」を二重線で消して隣に「様」または「御中」と書きます。自分の住所・氏名は封筒の裏面左側に記載します。最後に投函日を、縦書きは左上、横書きは右上に書きましょう。
添え状・内定承諾書・その他書類の順に重ね、封筒に入れます。このとき、書類の表裏や上下が揃っているかどうかも確認しましょう。
送付の方法と期限
発送方法は特に指定がない限り、普通郵便で問題ありません。書留や速達なら確実ですが、企業側に受領印を押すなど手間をかけさせてしまいます。
切手代が不足していないかしっかりと確認し、発送した旨をメールなどで採用担当者に伝えておくと安心です。
内定承諾書は、企業から指定された期限内に届くように送ります。期限が明記されていない場合でも、1カ月以内に返答するのがマナーです。
何らかの事情で期限内に発送できない場合、必ず採用担当者に連絡を入れましょう。
内定承諾の延期や承諾後の辞退について
内定を受けるかどうか、決められない事情があるときや、内定承諾後に辞退したくなったときは、どうすればよいのでしょうか?企業との良好な関係を維持するための、適切な対応について押さえておきましょう。
内定承諾の延期申請
内定承諾は将来を左右する重要な決断です。焦らず、慎重に判断する必要があるでしょう。入社の意思が固まっていないにもかかわらず、内定承諾書を送るような行動は絶対にしてはいけません。
内定承諾を待ってもらいたい場合、期限延長を申し出ることも可能です。延期できる期間は、内定をもらった時期や企業によって異なりますが、一般的には1週間から1カ月程度と考えてよいでしょう。
申し出る際は早めに電話で連絡し、具体的な理由と、希望する期限を明確に伝えることが大切です。また延期中に入社の意思を固めたときは、速やかに内定承諾書を送るようにしましょう。
内定承諾後の辞退のマナー
内定承諾後でも、入社日の2週間前までに申し入れれば、問題なく辞退できます。内定を承諾すると、企業との間に「労働契約」が成立します。法律上、労働契約の解約は、意思表示した日から2週間たてば、成立するとされているのです。
ただし内定承諾後の辞退は企業にとって、大きな負担です。採用にかかった時間やコストが無駄になる上に、新たに採用活動をしなくてはなりません。辞退の連絡は気が重いものですが、決めたならできるだけ早めに伝えましょう。
辞退する理由は、正直に答えます。適当な理由をでっちあげると、後でトラブルに発展する可能性もあります。
こちらの都合で、相手に迷惑をかけていることも事実です。丁寧かつ謙虚な態度を心がけ、業務時間内に連絡しましょう。
内定承諾書には添え状をつけよう
内定承諾書に添え状をつけるのは、基本的なビジネスマナーです。いらないとされるのは、添え状の有無が内定取り消しの理由にはならないからだといえます。
とはいえ添え状は、企業への誠意を示す良い機会です。社会人として恥ずかしくないよう、紙や封筒選びにも気を遣い、丁寧に作成しましょう。
万が一、内定承諾後に辞退する場合は、速やかに連絡し、誠意を持って対応することが大切です。
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