【町長インタビュー】白い森の国、山形県・小国町にある多彩で豊かな暮らし方、働き方

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山形県西南端、新潟県との県境に位置する小国町。飯豊・朝日連峰に囲まれた山間の地で、全体の約95%を広葉樹の森が占める。ブナの白く美しい木肌と、冬は一面の銀世界となるほどに降る雪の“白”をキーカラーに白い森まるごとブランド構想を打ち立て、町のブランド力強化に取り組んでいる。町民の所得水準は県内でも上位だが、製造業、農業をはじめ、多くの産業で人材が不足しているのが現状だ。小国町の暮らし方や働き方を通じた、ビジネス展開の可能性を小国町長の仁科洋一氏に聞いた。

 

豊かな自然と暮らしの利便性が両立した環境

 

小国町は町といっても東京23区よりも広く、山形県35市町村中2番目の規模を有します。森林の約80%がブナを中心とした広葉樹で、四季折々の美しい景色が広がり、アウトドアやスポーツ、レジャーにと自然にふれ合える機会には事欠きません。

 

2006年に全国初の森林セラピー®︎基地として認定された温身平(ぬくみだいら)をはじめ、町内には緑豊かな遊歩道や歴史ある峠などが整備されています。

 

自然の中で子育てをしたい人や、登山や釣り、スノーボードやキャンプなどアウトドアやスポーツを趣味としている人には魅力的な環境で、実際、豊かな自然に魅せられて移住する人は多いです。

 

都会の喧騒とは無縁の大自然が広がる暮らしですが、決して人里離れた辺鄙な集落というわけではありません。

 

町の中心部を東西にJR米坂線、国道113号が走り、町内にはスーパーが2軒、コンビニエンスストアが3軒あります。車で1時間強走れば新潟市内の百貨店や商業施設、東北でも珍しい県内の大型ショッピングセンターに行くことができます。山形市、新潟市それぞれまでの距離はほぼ同じで、県内外の行き来はスムーズです。

 

小国町と新潟県関川村を結ぶ新潟山形南部連絡道路も「小国道路」として、ルートや道路構造の調査が進んでおり、将来的にはさらなるアクセス向上が期待できます。

 

また、町内の保育園はもちろん待機児童セロで、小中学校、高校もあり、保小中高一貫教育にも取り組んでいます。町立病院や特別養護老人ホームも整備されており、豊かな自然と共に“地方都市”としての機能が十分備わっているのです。

 

 

製造業の集積地として栄え、所得も高水準

 

森林に覆われた中山間地域ですが、基幹産業は製造業です。町内には世界屈指のエンジニアリングセラミックメーカーや、日本を代表する重化学工業メーカーの工場があり、町の繁栄を支えています。

 

これは全国有数の豪雪地帯ゆえに水資源が豊富で、その水資源を活用した水力発電が昭和初期に建設され、大手企業が工場を立地したことが起因です。農業から製造業へと産業構造が一変し、発展してきたという歴史があります。

 

半導体や液晶、バイオや医療関連などの各分野の先端材料や高機能部品の製造、合金鉄製造技術をベースにした電池や高純度金属など、生活に密着した電子材料の製造が盛んです。

 

全国的に製造業に元気がなく、ものづくり大国・日本の根幹が揺らいでいますが、小国町では製造業の集積地としての勢いを持続しており、第一次産業よりも第二次、第三次産業の割合が大きく、町民の半分が会社勤めをしています。そのため所得水準は県内でも上位を維持し続けています。

 

その一方、大自然が育むお米、健康食として注目が集まる雑穀や季節の農作物、特に山菜やキノコには定評があります。国内ではまだ珍しいキノコの菌床栽培工場があり、小国町ブランドとして展開できないか構想を練っているところです。

 

さらに小国町では米沢牛の元牛を1900頭も飼育していた時代があり、ローストビーフの薬味に使われるホースラディッシュ(和名:根わざび)とセットで小国産米沢牛を広めるなど、段階的に町を代表するブランド商品を増やしていきたいと考えています。

 

小国町の農作物は小ロット、多品種ですが、豊かな食を支える農業が町の食文化、食生活をしっかりと支えています。小国町の新名物を生み出せるチャンスは大いにあるといえるでしょう。

 

また、広大な町土を維持管理していくためにも、建設業は町には欠かせない産業です。道路や橋梁の整備や補修、特に冬の除雪作業は高い技術力をもち、交通に支障が出ない体制をとっています。

 

 

“暮らしやすい”を官民一体でサポート

 

小国は雪深い町ですから移住される方にとっては雪が懸念材料になるかと思います。町の市街地でも2mは積もりますし、冬の生活は決して楽とは言えません。

 

このため町と町民が力を合わせて雪対策に取り組んでいます。小国町では「除雪」に加え「排雪」も行い、町と住民による官民一帯の体制で雪を町から運び出しています。道路の除雪は町が、屋根や住宅周辺は町民が行い、必要に応じて適宜トラックで排雪するのです。

 

厳しい一面がある一方、豪雪地帯だからこその豊富な水資源、多種多様な農作物、雪原の中に満開の桜が咲く残雪桜の美しい景観など、魅力もたくさんあります。

 

ご高齢の方や障害のある方を対象に除雪経費の支援や、道路から自宅までの通(宅道)の除雪支援などの体制も整えています。

 

厳しい冬を支え合いながら乗り越え、暮らしやすい町づくりに努めていますが、それは冬に限ったことではありません。

 

生涯にわたって家族とともに小国町という住み慣れた地域で、その人らしく暮らしていただきたいという思いから、小国町立病院を中核に、保健・医療・福祉・介護のサービスを一体的に提供する包括ケアタウン“癒しの園”を展開しています。

 

加えて、小国の町民とともに地域活性化に取り組む、地域外の人材を積極的に誘致する取り組みとして「地域おこし協力隊」を募集しています。

 

これは小国町への定住・定着を支援しながら、地域の活性化に貢献する人材を募るもので、今年度は、旅館経営を学びながら観光企画などを行う「宿泊型観光振興部門」、町の魅力を発信し、各種メディアとの調整を行う「メディア戦略部門」、スポーツを通じて地域の活性化を図る「地域スポーツ振興課」、農業指導を受けながら就農を目指す「農業振興部門」(今年度の募集は終了)で各1名募集しています。

 

任期は1年間ですが、3年まで延長が可能で、この間の月額報酬が約束され、住まいや自動車も町が準備します。

 

 

仕事、住宅、子育てなどの支援制度が充実

 

このように小国町では多くの産業、事業があり、どの分野もさらなる人材を確保したいと考えているのが実情です。町に移り住み、活躍できる場は多岐に渡り、就業や起業しやすい経済基盤が確立していると自負しています。そして、町での暮らしを支える制度も各種用意しております。

 

子どもの医療費も、保険適用内の分は18歳まで無料で、共働き世帯をさらにサポートするべく、今年度より病後児保育も実施しています。病気の回復期にあって保育園や家庭でも保育ができない状況の時に申請すれば利用でき、1歳から就学前の子どもを看護師と保育士が連携して小国町健康管理センターが預かるというものです。

 

待機児童の心配もなく、保育園の保育料も2人目は減額、3人目以降は無料、18歳未満の子どもがいる移住者には転居費を、その子どもが小国高校へ入学した場合は修学費相当分を助成しています。町内事業所へ就職した新卒者へのお祝い金もあるなど、保育、就学そして就労まで長いスパンで町での暮らしをサポートしています。

 

教育も「白い森学習」と銘打って、国際社会で生きていけるように、英語力を含めた国際理解や情報教育、そして地域の歴史や文化を学ぶ地域学習に力を入れ、町独自の取り組みを進めています。

 

もちろん子育て世帯以外の支援にも余念がありません。町内の事業所へ就業した際の転居費支援、起業・創業を支援するセミナーの開催や助成金の交付などがあります。

 

いきなり暮らしや働く環境が変わることにためらわれるなら、“お試し制度”の活用もおすすめです。町外から住まいや仕事を探すためにかかる交通費や宿泊費を一部助成し、スムーズな移住を応援しています。

 

さらに県の補助制度を活用して、来年の2月28日までに県外から転入された方を対象に、お米、味噌、醤油を贈呈するなど、食の豊かな地ならではのサービスも行っています。

 

四季折々の美しさが広がる大自然、先代から受け継がれている伝統と文化、そして中山間地域では珍しい確固たる経済基盤の確立、多くの豊かさをもっている小国町で、ぜひ自分らしさを発揮できるビジネスチャンスを掴んでください。

 

小国町長 仁科 洋一

執筆者

地方企業・地方自治体の採用を支援するビズリーチ地方創生支援室。魅力的な地方の情報をお届けします。