幸福な国のほうがストレスを感じる? 常識が覆った、ストレスを力に変える考え方

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Tokyo Work Design Week 」初日のジャパン・プレミアム基調講演に登壇したマクゴニガル姉妹。「世界を変えて、美しく生きる方法」と題された基調講演で姉妹が語った内容を、前編・後編の2回にわたってご紹介しています。

後編は、スタンフォード大学の心理学者であり、日本でも60万部のベストセラーとなった「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」の著書で有名なケリー・マクゴニガルが語った内容をレポートします。これまで持っていたストレスへの考え方が、180度ひっくり返りました。

経済的要求が満たされている国ほど、ストレスを感じる

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皆さんは昨日、大きなストレスを感じましたか? この質問を投げかけてみると、何をもってストレスと感じたのかが、国によって違います。ちなみに、日本とアメリカは質問をされた人のうち、3分の1がYESと答えました。ストレスは世界共通のものですが、感じ方は共通ではないのです。ストレスは何と関係しているんでしょう。GDPなのか、寿命なのか、生活全般に関わることなのか。

ここでひとつの研究結果が出ています。それは「幸福度が高い人は、ストレスも高く感じている」という結果です。というのも昨日、喜びや笑い、学び、愛情を感じたと答えた人は、ストレスを感じたと答えた人と同じだったのです。幸福度とストレスには関係があり、意義ある生活を送っている人のほうが多くストレスを感じているのです。

ストレスとは大切なモノが脅かされたときに感じるもの

私たちはストレスは有害だから、取り除かなければいけないと考えてしまいます。ストレスがない状態を目指そうとします。でも逆に、ストレスは感じるもので、何かいいことの前兆であり、ストレスは活用すべきとポジティブに考えてみてはどうでしょう?

私は、皆さんのストレスに対する考え方を変えてほしいのです。ストレスとはそもそも、自分にとって大切なモノが脅かされたときに感じるもの、あなたに気づかせるためのシグナルなのです。決して弱さの現れじゃなく、なにかを守りたいという気持ちなのです。

自分にとって全く無関係と思えることに、人間はストレスを感じません。要するに、いまこそ大事なときだと体が感じているからストレスを感じるわけです。そして、ストレスは自分が何を大切に思っているのか、思い起こす時間を作ってくれるのです。

ストレスから逃避するのではなく、ほしいもの、大切にしたいものに思いを集中させましょう。研究では、人間は大切にしたいものに意識を集中すると希望、勇気が湧いてくることがわかっています。皆さん、思いやりたいものを思い出し、意識を集中してみてください

ストレスは体のエネルギー

ストレスは体のエネルギーとも言えます。ストレスを感じるとよくないものに出会ったと考えがちですが、体や脳がアクティブになろうとしているのです。よくストレスで筋肉に緊張を感じることがありますが、これは筋肉がアクションをとる準備をしているのです。緊張は、体が準備を始めているというのであれば、一体何に準備しているのかを考えてみてください。

また、重要なタスクをしなくちゃいけないとき、試験のとき、ストレス反応を感じるほうが、体がエネルギーであふれてよりよいパファーマンスを発揮できるという結果が出ています。例としては、スポーツの世界です。トップアスリートの人たちは、試合前に高い不安を感じていることがほとんどなのです。

トップアスリートは不安を感じることが、より良い結果を生み出すということを経験で知っています。だから不安になることを悪として捉えておらず、チャンスだ、体が準備できているんだ、とポジティブに感じているわけです。アスリート以外でも、アーティスト、経営者の方々もストレスを活用するというマインドセットを持っているのです。

ストレスのエネルギーを上手に活用して、このストレスが自分を助けてくれると感じるようにしましょう。

脳は困難な状況に立ち向かうことで強化される

最後に、脳は困難な状況に立ち向かうことで、ある脳内物質が出て脳が強化されるということがわかっています。これを「心的外傷後の成長」と呼びます。つまり、ストレスを感じるということは、成長できるチャンスが巡ってきたということなんです。非常に困難な問題に直面したとしても、いますぐ解決策がわからなくても長期的にみれば自分のためになる、強くなれるんだと捉えることが重要です。

不安、心配、怒りといったストレスを感じるとき、それはある種のシグナルなんだと感じていただければと思います。そして、自分にとって大切なものとはなにかを見つめ直し、ストレスのエネルギーを活用し、ストレスはチャンスだ捉えることで、ストレスとうまく付き合っていただければと思います。

スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニガル (著) / 大和書房
 

執筆者

みんなのスタンバイ編集者。三重県出身、元高校球児。テクノロジー系WEBメディアで編集をやりつつ、顔芸を極める。趣味はトライアスロンなどのメタボ予防と旅行とお酒。嫁は妊娠中。