日本一高値で取引される岩手のホタテをブランド化した「ヤマキイチ商店」に聞く “地域の中で会社や個人ができることの可能性” とは?

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専務取締役:君ヶ洞剛一 氏
釜石南高校出身。高校時代は野球部に所属し全盛期を牽引する。大学を卒業後、大手百貨店に入り、婦人服担当としてアパレルメーカーとの商談や交渉、営業・販売等を経験。店舗のマネジメント業務を経て、家業である「ヤマキイチ商店」事業を継ぐため、Uターン。父の背中を通して学んだ伝統を守りつつ、新しい取り組みに積極的に挑戦している二代目・後継者。

日本一、高値で取引されるホタテをつくる会社

――「泳ぐホタテ」ブランドはどのようにしてできたのですか。

「泳ぐほど新鮮で活き活きしたホタテを食べてもらいたい」と思い、とにかく鮮度にこだわりました。実際に活きたままお客様の元にお届けしますが、ただ、商品を提供するだけでは楽しみがない。そこで、わかりやすく親しみやすいネーミングを考え、パッケージにも工夫を凝らしました。生産者や配送業者、ホタテの気持ちなど(笑)、いろいろな想いをのせて「食べる前から美味しい、ワクワクする商品」にするため、戦略をしっかり立ててブランディングに力を入れています。


――この仕事をしていて一番のやりがいは何ですか。

やはり、なんといってもお客様や関係者の皆さんに喜んでいただけたときは嬉しいですね。
小さい頃から父親の仕事を手伝っていたので、なんとなく人の欲していることがわかるようになりました。まわりの人をよく見て、ニーズに応え、心から満足してもらえたときは、本当にやりがいを感じます。自分も笑顔になって嬉しいし、同じ気持ちになりますね。
私たちの会社はホタテを売っているのではなく、人の笑顔をつくる仕事をしていると思っています。

 

――ご家族全員で経営をしておられるのですね。

ご家族全員で経営をしておられるのですね。規模は小さいですが、一人ひとり責任があり、スタッフも家族の一員として重要な役割を担っています。父や母が相手でも甘えはないですし、弟を含め、仕事に対する姿勢はみんな厳しいので、油断しているとあちこちから叱られます(笑)。
父が創業してから会社の内部をずっと支えてきたのが母で、弟も自分も自営業の厳しさや紆余曲折を常に見てきましたから、当事者意識をもって取り組んでいるところは家族経営の強みではないでしょうか。
全員が本気で向き合っているからこそ、組織の基盤はしっかりしていると思います。

 

――10年後、どのような会社になっていることが理想ですか。

事業を急拡大したり多角化したりすることは考えていないので、これからも、日々丁寧な仕事をするだけですね。
三陸の海の幸を全国や世界にお届けすることは手段でしかないので、ビジネスを通して地域経済が循環し、人材育成ができればと思っています。世の中の人々を物心ともに豊かにすることが目標です。
一つの会社ができることは限られていますが、この先50年、100年と永続できる仕事をつくることが、生まれ育った地域を活性化することになり、まちが豊かに持続することにつながると考えています。わずかでもその一助になることが理想です。

 
全国からの感謝や励ましの手紙が天井まで壁一面に貼られている

まちの人とともに生きた時間を共有する

――人材育成の一環として、高校生のキャリア教育にも取り組んでいらっしゃるとのことですが。

震災を経験した子はもちろん、今の子どもたちは人口減少したまちの中で苦労していますね。
大人が子どもと一緒にまちの新しい形をつくり、未来の責任を背負うのは、自分たち世代の使命だと思っています。私たちの学生時代にはなかったことも今の教育でやっていて、うらやましいところもありますが、若い世代が何かを感じて、愛着がわいたら、いずれ地元に貢献する人材となって還ってくると思います。自分たち大人が何をするか、ですね。

--いま一番幸せを感じることはなんですか。

仲間と飲んでいるときですね(笑)。良い方たちに囲まれているので、とても恵まれていると思います。高校時代の野球部メンバーも昔からの絆でよく集まって飲みますし、震災後に立ち上がった地元の有志団体「Next Kamaishi(ネクスト釜石)」も本当に気持ちが良い人たちで楽しいです。
震災を機につながった多くの方を含め、仕事以外で話せる人がいるのは大変ありがたいですよね。言葉を交わさなくても理解してくれる同志の存在は宝です。一日が終わって飲みながらほっと一息できる、そういう人たちとの幸せな時間を大切にしています。
最近では、1年に一度の祭り「釜石よいさ」の打ち上げがあり、多くの人たちでつくる大きなイベントの達成感もあって楽しかったですね。

世界レベルの資源をもつ「釜石」というまち

--釜石の魅力を教えてください。

釜石市は昔から「鉄と魚のまち」と言われています。三陸といえば「リアス式海岸」で世界三大漁場をもつ「海」「港」が有名ですが、釜石は、鉄を生んだ「山」や「川」もとても美しいです。
近年は、「橋野鉄鉱山・高炉跡」が世界遺産登録されたことで話題になりましたが、鉱山から湧き出る、ミネラルを多く含んだ水も一級品です。自然豊かな土地で水が良ければ、魚が美味しくなるのもうなずけますよね。

 

--海を一望する高台に静かに佇む釜石大観音に見守られ、東日本大震災や三陸沖地震など、数々の災害から復活を遂げたまちとして注目を集める釜石市。
週末には、蒸気機関車「SL銀河」に乗って訪れる観光客も多い。2019年ラグビーワールドカップ開催(釜石市鵜住居町)に向け邁進中。

地域で働く、ポテンシャルは∞(無限大)

--最後にメッセージをお願いします。

東北は地域資源の宝庫です。特に被災沿岸部はゼロベースで、「0を1にする」ような経験が積めると思っています。会社の新規事業もそうですが、釜石というまち全体が新しい人や取り組みを受け入れる土壌があるので、実は都会よりもダイナミックな仕事ができるんです。都会の仕事は洗練されていますが「6とか7のものを10にしていく」ような飽和激戦イメージがあります。もし、事業会社で手触り感のある仕事がしたい方や都会で消耗している方がいたら、弊社で力を存分に活かしてもらいたいと思いますね。釜石から首都圏や海外に飛び回っている方が精神的豊かさにもつながりますし、地域にも人が来て、会社もお客様も潤う「三方よし」です。
多くの方との出会いを期待しております。

東北の水産業・観光業の求人特集はこちら
https://jp.stanby.com/feature/suisan-kanko

執筆者

地方企業・地方自治体の採用を支援するビズリーチ地方創生支援室。魅力的な地方の情報をお届けします。