【主婦必見】手取り10万稼ぐには?わかりづらい社会保険料を解説!

「働いたのにお金が残らない?」その理由は。

「そろそろ働こうかな…」と考え始めたとき、気になるのが「手取り」。
「月10万円くらい稼げたらいいな」と思って働いたのに、手元に残るのは8万円…なんてことも。

この記事では、

  1.  社会保険料って何のためにあるの?
  2.  社会保険料はいくら引かれる?
  3.  社会保険料と“年金”の関係
  4.  社会保険料は“損”じゃない?

など、よくわからないまま引かれている「社会保険料」や「税金」について詳しく解説します。

1. 社会保険料って何のためにあるの?

社会保険は「もしも」に備える“公的な保険”

社会保険料は、万が一のときに使える公的な保険制度のために支払うお金です。民間の保険と違って、加入していれば自動的に保障が受けられるのが特徴です。

社会保険には主に以下の5つがあり、加入するには一定の条件を満たすことが必要となります。

社会保険の加入条件(2025年5月現在)

以下すべてを満たすと、原則として社会保険に加入する必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月収が8.8万円以上(=年収約106万円以上)
  • 勤務期間が2ヶ月を超える見込み

※一部、2026年10月に改訂予定

 

参考:社会保障制度 | 文化庁
参考:社会保険の加入条件やメリットについて|厚生労働省|社会保険適用拡大 特設サイト

2. 社会保険料はいくら引かれる?

社会保険料は、給与から自動的に差し引かれて支払われます。
会社が本人に代わって納付手続きを行っており、給与明細では「健康保険料」「厚生年金保険料」などの項目として表示されます。

では、その保険料はどのように決まるのでしょうか。


(出典) pixta.jp

社会保険料の決まり方(標準報酬月額と料率)

実際の保険料額は、厚生年金や健康保険などの制度ごとに定められた「標準報酬月額」という等級制に基づいて計算され、毎年4月〜6月の平均給与から算出されます。

東京都の2025年の料率では、健康保険料は9.98%、厚生年金は18.30%(いずれも会社と本人で折半)です。

 月収別の社会保険料と手取り目安(東京都・2025年)

月収

健康保険料

厚生年金

手取り(概算)

88,000円未満

なし

なし

約88,000円

100,000円 ※

約4,990円 

約9,150円 

約85,860円

150,000円 ※

約7,485円 

約13,725円 

約128,790円

200,000円 ※

約9,980円

約18,300円 

約171,720円

※社会保険に加入した場合
 
手取り10万円を確保するために必要な月収

手取り10万円を実現したい場合、社会保険に加入するかどうかが大きな分かれ道になります。

社会保険に加入しない場合(扶養内など)は、そのままに近い金額が手取りになります。
一方、社会保険に加入する場合は保険料が差し引かれるため、もう少し多くの月収が必要になります。

たとえば、東京都で社会保険に加入しつつ「手取り10万円」をキープするには、月収12.5万円程度が目安となります。

 

参考:令和6年度保険料額表(令和6年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

 

3. 社会保険料と“年金”の関係

社会保険に加入するかどうかで、将来もらえる年金の額が大きく変わります。

扶養内で働く主婦の多くは「第3号被保険者」として国民年金に加入しており、自分で保険料を払わなくても基礎年金(老齢基礎年金)が受け取れます。

ただし、受給額は比較的少なく、将来の生活費としては心もとないという声もあります。

一方、自分で社会保険料を納めて厚生年金に加入して働くと、将来の年金額は国民年金+厚生年金の合算となり、受給額が大きくなります。働いた年数や収入に応じて、年金額も増えていく仕組みです。 

つまり、短期的には手取りが減っても、長期的には「自分の年金を育てる」という視点で見ることが大切です。

 

参考:日本年金機構:令和7年4月分からの年金額等について

4. 社会保険料は“損”じゃない?

社会保険料は「毎月引かれるお金」「手取りを減らす原因」としてネガティブに見られがちですが、実はさまざまな場面で大きな安心とリターンをもたらしてくれる制度です。

ここでは、社会保険料を払うことで具体的にどんな制度が利用できるのか、税金面でどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。

もらえる制度一覧

以下は、社会保険料を支払っていることで利用できる代表的な制度とその内容です。

 

 

※いずれも、社会保険(主に健康保険・雇用保険)に加入していることが利用の前提となります。 
参考:政府広報オンライン

 

所得控除で税金が減る!社会保険料と節税の関係

社会保険料は、年末調整や確定申告において「社会保険料控除」として全額が所得控除の対象になります。
つまり、課税対象となる所得が減り、結果的に所得税や住民税が軽減されます。

以下は、扶養内と社会保険加入後の年収別における保険料・節税効果・最終手取り・将来年金の比較です。

働き方・年収 年収 年間保険料 所得税
住民税
節税効果 手取り年収 将来の年金額(月)
130万円(社会保険加入義務が発生) 1,300,000円 183,820円 29,180円 12,867円 1,099,867円 77,875円
150万円(加入) 1,500,000円 212,100円 45,000円 14,847円 1,242,747円 79,702円
160万円(加入・扶養外) 1,600,000円 225,000円 60,000円 16,000円 1,331,000円 82,000円
180万円(加入・扶養外) 1,800,000円 250,000円 85,000円 18,000円 1,483,000円 84,000円
200万円(加入・扶養外) 2,000,000円 275,000円 110,000円 20,000円 1,635,000円 86,000円

※いずれも20年間の加入を前提にした概算です。
※税額は「基礎控除(48万円)・給与所得控除・配偶者控除等を考慮したおおよその試算」
※具体的な税額は所得控除の種類や家族構成等により異なります。

 

「扶養を外れて働く」ことのポイント!

年収150万を超えると、手取りはゆるやかに増加し、将来の年金受給額も増えます。
一方で、保険料と税負担は増大するため、「短時間・高時給」や「働き方の調整」が重要になります。
130万円前後の壁を避けて「しっかり働く」場合は、160万以上を一つの目安にすると効率的です。

 

🔍 なぜ「一見損でも、加入が選ばれるのか」

「年収130万円で約18万円の保険料を払っても、将来の年金(月額)は年収105万円の時と1万円弱しか増えない」ので、短期的・数値的には損のように見えます。

しかし、金額だけで「損」と断じるのは早計で、社会保険には“目に見えないリターン”が多く存在します。

 

  1. 年金は“掛け捨て”ではない、長寿化でリターンは拡大する
    月1万円 × 12ヶ月 × 20年間受給すると、240万円の上乗せになる。
    生涯にわたって受給する制度のため、長生きするほどリターンは増加。

  2. 障害年金・遺族年金など“万一の保障”も付いてくる
    厚生年金に入っていれば、病気や事故で働けなくなったときの障害年金、死亡時の遺族年金も支給対象。国民年金よりも受給条件が広く、金額も多め。

  3. 健康保険とのセットで“傷病手当金・出産手当金”も受給可
    社会保険に加入していなければもらえない。傷病手当金(病気で休んだときの収入補填)、出産手当金(産前産後の収入補填)これだけで数十万円〜百万円単位になることも。

  4. 将来的な年金額の増加は“比例報酬部分”でジワジワ効く
    年金の上乗せ分は「報酬比例」=年収が高くなるほど将来的に増えていく。
    130万円 → 150万円 → 200万円…と収入を上げていけば、年金も階段式に増えていく。

参考:社会保険の加入条件やメリットについて|厚生労働省|社会保険適用拡大 特設サイト
参考:社会保険適応ガイドブック

 

5. 主婦のリアル失敗・成功体験から学ぶ

● 失敗例1:「年収の壁にこだわりすぎて疲弊」

パートで年収130万円を超えないように、毎月の出勤日数や時間を細かく調整。結果的に仕事量が安定せず、昇給のチャンスも逃してしまい、「働いても収入が増えた実感がない」と感じるように。

→ 対策:長期的に働き続ける意志があるなら、壁を気にせず加入して保障を受けた方が有利な場合も。

● 失敗例2:「社会保険に入ったのに手当をもらえなかった」

妊娠中に社会保険に加入したが、加入期間が短かったために出産手当金や育児休業給付金の対象外に。せっかく保険料を払っていたのに給付がなく損をしたように感じた。

→ 対策:給付の条件(加入期間など)を事前に確認しておくことが重要。

● 成功例1:「扶養を外れて育児休業手当をフル活用」

時短勤務で週30時間働き社会保険に加入。妊娠を機に育児休業を取得し、月10万円程度の育児休業給付金を約1年間受給。「壁」を気にせず働いたことで、出産・育児を経ても安定した収入が確保できた。

→ ポイント:社会保険に加入すると、手取りは減っても手当や保障で“得られる安心”がある。

● 成功例2:「将来の年金に安心感を持てた」

年収150万円で10年以上厚生年金に加入。自分の年金額が国民年金のみの友人より多くなることがわかり、老後資金への不安が軽減された。

→ ポイント:「年金は払った分返ってくる」の意味が実感できた経験。

まとめ|あなたに合った働き方を見つけよう!

社会保険料は「ただ引かれるお金」ではなく、あなた自身と家族を守るための“先行投資”でもあります。「壁」を意識しすぎて損をすることも…「手取り」も大事、「保障」も大事。どちらも大切に、自分に合った働き方を考えてみてください。

 

--年収の壁についてはこちらを参照--