履歴書の趣味の欄はほかの項目と違い、私生活に踏み込んだ内容といえます。基本的にはありのままを書けばよいのですが、深く考えずに書いてしまうと後悔する結果になる可能性があります。正しい書き方のポイントや例文を紹介します。
履歴書の趣味の欄は何のためにある?
履歴書に趣味の欄があることを、不思議に思う人もいるでしょう。仕事に関係ない部分なので、力を入れていない人も多いかもしれません。何のために設けられているのか、見ていきましょう。
応募者の人柄をチェックするため
履歴書の趣味欄は、応募者の人柄をチェックするために必要です。志望動機や職歴などに比べれば重視されませんが、採用担当者は、与えられた情報から可能な限り自社にマッチする人物であるかを読み取ろうとしています。
これまでの職務経歴だけでなく、趣味を知ることで応募者の人柄を掘り下げようとしているのです。一般的な回答をしていればマイナスにはなりませんが、内容次第では「興味深い人物だな」と思ってもらえます。
趣味から会話の糸口が見つかり話が弾む場合もあるので、何かしら書いておいた方がよいでしょう。「特になし」と記載してしまうと、アピールできる部分を自分から減らすことになります。
趣味の内容は応募者の印象を左右する
どんな趣味を持っているかによって、人に与える印象は異なります。趣味の内容が選考結果を直接的に左右するわけではありませんが、気を抜きたくない部分です。
例えば、スポーツが趣味なら活発な印象を与えますし、手芸が趣味なら手先が器用で丁寧な印象を与えます。何を選ぶかによっては、アピールできるポイントになるのです。
もし、応募する企業や職業に関連する趣味を持っているなら、積極的にアピールした方がよいでしょう。「自分の個性を知ってもらえるチャンス」だと考え、しっかりと準備することをおすすめします。
履歴書に趣味を書くポイント
どんな趣味を持っているかによって合否が決まるわけではないものの、適当に書くと後悔することになります。正しい書き方を押さえておきましょう。
長所に結び付く趣味を選ぶ
さまざまな趣味を持っている場合、自分の長所に結び付くようなものを書くことが大事です。複数の趣味があるなら、「応募先の企業との相性」も考えながら、アピールできるものを選びましょう。
例えば、行動力があり明るい人柄を求めている企業に応募するなら、家にこもって1人でできるものよりも、外に出て人と交流しながら行うものの方が好印象です。
体力が求められる職業であれば、体づくりや健康管理などに関連する趣味を選んで書くとよいでしょう。スポーツに関するものだけでなく、アウトドアや旅行なども、アクティブな印象を与えやすいといえます。
毎日欠かさずやることも趣味にできる
部屋の掃除・整理整頓・ラジオ体操のように生活習慣となっているものは、趣味に数えてよいか悩むかもしれませんが、書いても構いません。
趣味は仕事とは関係なく自分が楽しみでやっているものを指すので、自分が好んでやっていると感じるのであれば問題ないのです。
部屋の掃除や整理整頓は「几帳面な人柄」を想像できますし、ラジオ体操のような健康に関する趣味は「自己管理ができるイメージ」を与えられるので、履歴書に書いても問題ないといえます。
分かりやすく簡潔に書く
好きなものについて書こうとすると、つい多くの文章を書きたくなるものですが、たくさんの趣味を並べたり、内容を長々と書いたりするのではなく、分かりやすく簡潔に書くようにしましょう。
多くの種類を並べるよりも、熱中しているものに絞り込んだ方が、人柄を理解しやすくなります。絞り切れない場合は、「長く続けているもの」や「直近の趣味」を書くとよいでしょう。
「どのように楽しんでいるのか」といった情報も簡単に添えると、内容を掘り下げやすくなります。読書や映画鑑賞といったよくある趣味でも、より具体的に理解できるような一文を添えることで、他者との差別化を図れるはずです。
履歴書の趣味の書き方【例文】
履歴書の趣味の欄は、内容を分かりやすく伝えることを意識して書きましょう。例文を交えながら、具体的な書き方を紹介します。
好印象を与える例文
趣味の楽しみ方を添え、内容をより具体的にしましょう。仕事と直接的な関係がなかったとしても、「どのように仕事に取り組んでくれそうか」をイメージさせられる内容にすることがおすすめです。
物事に対する探求心や向上心があると感じてもらえるような内容にできれば、仕事にも上手に生かしてもらえそうな印象を与えられます。自分がリラックスできる趣味を挙げ、余暇をリフレッシュに使えているとアピールしてもよいでしょう。
【例文】
趣味:料理(少ない材料を使い短時間でできるおいしい料理を研究し、ホームパーティーで披露しています)
趣味:熱帯魚の飼育(卵胎生メダカを中心に約10種類の熱帯魚を飼育し、繁殖にも挑戦しています)
採用担当者を不安にさせるNG例文
趣味そのものに問題がなかったとしても、伝え方を間違えると「自己管理ができない」「ルールを破ることを悪いと思っていない」など、マイナスの評価を受けてしまいます。
自分では問題ないと思っていても、人によっては悪い要素だと感じる場合があるのです。採用担当者を不安にさせる、NGな例文をチェックしましょう。
【NG例文】
趣味:ゲーム(休日は1日中ゲームをしていて、次の日は必ず寝坊するほど熱中しています)
趣味:ギャンブル(ギャンブル全般が好きです。勝つまでは妥協はしません。)
趣味を書く際の注意点
趣味はありのままを書いてもよいですが、一歩間違うとマイナスの評価を受ける結果になります。趣味を書く際の注意点をチェックしましょう。
嘘は書かない
特に力を入れて打ち込んでいるものがない人は、印象をよくしようとして偽りの趣味を書こうとするかもしれませんが、嘘を書くのは逆効果です。
熱意を持っていない趣味を書くと、踏み込んだ質問をされたときにボロが出ます。嘘がバレた場合、ほかの項目についても正しいことを書いていないのではないかと疑われてしまうため、メリットがありません。
自分ではつまらない趣味だと思っても、伝え方によっては好印象を与えられるので、真実を書くようにしましょう。
質問を想定しておく
あらかじめ、履歴書に書いた趣味に関する質問をいくつか想定しておきましょう。気を抜いていると思わぬ質問をされ、答えに詰まってしまう可能性があります。
趣味は自分が好きでやっているものなので、スムーズに答えられて当たり前です。ハキハキと答えられないと、嘘を書いたのではと疑われる原因になってしまいます。
例えばゴルフが趣味だと書くなら「どんな練習をしているのか」「誰と行くのか」などを聞かれる可能性が高いでしょう。
そのほかにも、「好きな選手」「スコア」など、趣味として挙げるなら答えられて当たり前の情報は答えられるように準備します。
ネガティブな印象を与える趣味は避ける
いくら真実を書くべきだといっても、ネガティブな印象を与える趣味は避けた方が無難です。ギャンブル・飲酒・公序良俗に反する内容などを書くと、不安を感じさせます。
入社後に社の評判を落としそうな人物を、わざわざ採用したいと思う人はいません。「自己管理ができなさそう」「人に迷惑をかけそう」などと感じられるようなものを書くのは、やめましょう。
ギャンブルや飲酒は節度を持って行っていれば問題ありませんが、伝え方を間違えればマイナスになるのです。どうしても伝える必要がある場合、やりすぎないようにしっかりと自己管理ができている点をアピールしなければなりません。
魅力的な人柄をアピールできる趣味を書こう
履歴書の趣味の欄には、自分の趣味の中から、自分の魅力をよりアピールできるようなものを選んで書きましょう。簡潔に分かりやすく書き、取り組み方なども添えます。
応募先の企業が求める人材や職種にマッチする趣味を持っているなら、プラスアルファの評価を受けられるチャンスです。うまくアピールできれば、後押しにつながります。
面接官から受けそうな質問をあらかじめいくつか想定しておき、スムーズに答えられるように準備することも忘れないようにしましょう。
若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー