自分のセールスポイントの見つけ方は?効果的なまとめ方を紹介

採用面接でセールスポイントについて聞かれたとき、どう答えるべきか分からなくなる人は少なくありません。事前に準備しておけば、好印象を与える回答が可能です。セールスポイントの見つけ方や、答え方のポイントなどを見ていきましょう。

セールスポイントで伝える内容

面接をする女性

(出典) photo-ac.com

セールスポイントと聞いて「長所や強みと何が違うの?」と思う人もいるでしょう。伝えるべき内容や、長所・強みとの違いを紹介します。

自分を企業に売り込むポイント

面接でセールスポイントを聞かれたら、自分を売り込むためのポイントはどこかを伝えましょう。入社後に企業にどのようなメリットをもたらせるかを考えて伝えるのが大事です。

新商品を売り込む場合を例に考えると分かりやすいでしょう。「この商品は従来の製品に比べて充電が2倍長持ちなので、モバイルバッテリーを持つ必要がない」と、機能だけでなく購入者のメリットになる情報を加えた方が、より伝わりやすいはずです。

スキルや魅力などを伝えるだけでなく、企業にとってどんな点が利益につながるのかを伝えましょう。

長所や強みとの違い

セールスポイントは自身の長所や強みと関係が深く、意味を混同しがちです。長所や強みとの違いを押さえておきましょう。

長所は自分のよい部分のことで、強みは仕事によって身に付けた経験やスキルなどを指します。セールスポイントは、企業にとって価値がある性格・特技・スキルという意味です。

長所がそのまま強みになるのではと考えがちですが、短所であっても視点を変えれば強みになる場合は少なくありません。

自分の長所や強みが分かっていないと、何をセールスポイントにすればよいのか見えてきません。自身の内面を掘り下げるために、長所や強みも答えられるように準備しましょう。

セールスポイントで評価されることは?

バインダーに書き込む手元

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企業が応募者のセールスポイントをどのように評価しようとしているのかが分からないと、間違った方向性の回答をしてしまいます。面接官は、どんな点をチェックしているのでしょう。

求める人材とマッチしているか

面接官はセールスポイントを尋ねて、自社との相性を見極めようとしています。企業が求める人材像とマッチする人を採用したいと考えているのです。

企業によってどんな人材を求めるかは異なります。例えば、セールスポイントに「慎重さ」を挙げるとしましょう。行動力がある人物を求めている企業では、自社では活躍してもらえなさそうだと判断します。

セールスポイントの内容から自社で活躍できる姿をイメージできない場合は、採用されない可能性が高まるでしょう。

採用するメリットがあるか

応募者を採用するとどのようなメリットがあるかという点も、面接官にチェックされています。セールスポイントの内容は、応募先の企業にどんな利益を与えられるか、という内容にしなければなりません。

利益と聞くと、売り上げにどのように貢献できるかという考えを抱きがちですが、職種によって貢献の仕方はさまざまです。

例えば総務事務を希望するなら、全ての従業員が安心して働ける環境作りに貢献することが、企業側のメリットといえます。セールスポイントをうまく伝えるには、自分の視点ではなく、企業の視点から物事を考える必要があるのです。

どんな価値観を持っているか

企業はセールスポイントを質問して、自社にどのようなメリットをもたらしてくれるかだけでなく、どんな価値観を持った人物なのかも探ろうとしています。

「どんな経験をして、セールスポイントを○○と判断するに至ったのか」というエピソードからは、応募者の価値観が見えてくるのです。

例えば、マネジメント力をセールスポイントにする場合、従業員やプロジェクトの管理をすることが好きという価値観を伝えられるエピソードを盛り込むと、能力を発揮し続けてくれそうという印象を与えられます。

セールスポイントの見つけ方

ノートとペンを持つ男性

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自分のどんな部分を売り込めば、面接官の心に響くのか分からない人もいるでしょう。セールスポイントの見つけ方を紹介します。

過去の経験から自分の特徴を掘り下げる

自己分析をせずに、セールスポイントを見つけるのは困難です。セールスポイントを探すには、過去の経験から自分の特徴を掘り下げてみましょう。

これまでに経験した仕事を時系列にまとめて、自分の力を発揮できた場面やうまくいかなかったことなどを紙に書き出していくと、自分にどのような強みと弱みがあるのかを客観的に判断できます。

まずは、長所・短所などの性格面や、特技・強みなどを明確にしていきましょう。よい性格や強みの中から、応募先の企業にマッチするものを抜き出してまとめていけば、企業にとって魅力的なセールスポイントを書き上げられます。

家族や友人など周りの人に聞く

自分のセールスポイントを知るには、家族や友人などに尋ねる方法もあります。自分をよく知っている人物に、「○○さんから見た私は、どんな特徴がある?」と、聞いてみましょう。

うまく進めるには、遠慮のない意見を聞かせてくれる相手を選ぶことが大事です。第三者の意見を聞いてみると、自身が思ってもみない特徴を指摘されたり、意外な性格が見つかったりするケースがあります。

周囲の人に自分の印象を尋ねる方法は、自己分析だけでは分からない内面を探りたいときに便利です。他人から見た自分の姿は、そのまま客観的な評価として「人から○○と言われる」というように取り入れられます。

企業が求める人物像を探る

顧客の要望を理解せずに、商品を売るのは困難です。企業が求める人物像を理解していないと、セールスポイントを伝えても響かない状態になってしまいます。

自身がアピールしたいことをただ並べるのではなく、企業にとって「欲しい人材」だと思わせるような伝え方を意識しましょう。

企業が求める人物像を探るには、応募先の企業のホームページや募集要項などを確認します。経営理念や事業内容などと、自分の特徴との共通点を探すことがセールスポイントにつながります。

効果的なセールスポイントのまとめ方

手帳に記入する

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どんなに優れた人物でも、魅力を効果的にアピールできなければ採用してもらえません。どのようにセールスポイントをまとめればよいのか、見ていきましょう。

伝えたいことは1つに絞る

セールスポイントは、できるだけ1つに絞りましょう。魅力的な情報をより多く伝えた方が有利だと考えるのは間違いです。

あれもこれもと盛り込むと、何が一番のセールスポイントなのかが分かりにくくなってしまうリスクがあります。面接官に「結局のところ、一番のメリットは何なのか?」という疑問を抱かせないまとめ方をするのが大事です。

複数のポイントを伝えようとすると、内容を端的にまとめる力が不足していると感じさせ、マイナスの評価を受けるリスクもあります。

具体的な経験を紹介する

セールスポイントを伝える際に根拠となる具体的な経験がないと、信頼できる情報なのか疑わしいと感じます。セールスポイントは、エピソードとセットで語れるように準備しておきましょう。

「売り上げを120%伸ばした」というように数字を伝えても「売り上げを伸ばすために具体的にどんなことをしたか?」といったエピソードがなければ、具体性がないと判断されます。

面接官は応募者がどんな人物なのか深く知りたいと思っているので、セールスポイントの裏付けとなる具体的な経験を語って、内容が薄いと感じさせないようにしましょう。

志望動機と結び付ける

志望動機は面接官が重要視する部分で、ほかの項目と矛盾がないかチェックされています。志望動機とセールスポイントに正反対のことが書かれていれば、どちらが本当なのか判断できません。

例えば、志望動機には「コミュニケーション能力を生かしてチームに貢献したい」と書いてあるのにセールスポイントが「マルチタスクが得意なので、1人でも売り上げに貢献できる」では、内容に矛盾があります。

好印象を与えるには、志望動機やほかの項目と一貫性がある内容にまとめましょう。

セールスポイントのNG例

ストップのイメージ

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企業にとって魅力的なセールスポイントだったとしても、伝え方を間違うとよい評価を得られません。セールスポイントを伝える際に、NGな伝え方を紹介します。

応募企業や職種とマッチしない

どんなに素晴らしい内容であっても、応募企業や職種との関係性が薄いものをセールスポイントにしてしまうのはNGです。

例えば、営業職時代の華々しい成績をセールスポイントにしても、応募する職種が事務職では、どのように活躍できるのかイメージできず、面接官の心に響かない内容となってしまいます。

自社でうまく生かせそうにないと思われると、他社に応募した方が本人のためになると判断され、採用してもらえません。セールスポイントのミスマッチを防ぐには、企業研究や仕事内容の掘り下げを十分に行う必要があります。

エピソードが弱い

セールスポイントを伝える際、誰でもできることを根拠にするのはおすすめできません。「そんなことはできて当たり前」と思われないような、エピソードを加える必要があります。

転職する際は、「即戦力になりそう」「のびしろがある」といった判断をしてもらうことが大事です。営業成績や契約数など、数字で比較できるものをセールスポイントに入れると、客観的な判断がしやすいというメリットがあります。

一方で、ほかの応募者と比較したときに優劣が付きやすい点がデメリットです。特にインパクトのある内容ではないと思われるリスクがあるので、あえて数字で計測できないものをエピソードに取り入れてもよいでしょう。

人間性に関するセールスポイントの例

2人の面接官と女性

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企業が求める人物像に合致したセールスポイントを伝えると効果的です。人間性をアピールしたい場合、どんな回答例があるのか見ていきましょう。

コミュニケーション力が高い

コミュニケーション力はビジネスの基礎となるので、多くの企業が重視するポイントです。セールスポイントとしてうまく伝えられれば、好印象を与えられます。

【例】

私のセールスポイントはコミュニケーション力が高いところです。前職では既存顧客への営業をしており、ヒアリングを重点的に行い追加契約の獲得をしてきました。

旧モデルと新モデルの違いを説明した上で、顧客が最も関心を抱きそうな機能に多くの時間を割いてアピールすることで、新モデルに切り替えるメリットを強く訴求するように努めた結果だと思います。

顧客満足度のアンケートでも高評価をいただき、お客様に満足いただけたことに大きな充実感を得ました。今後もコミュニケーション力を武器に、御社の顧客満足度アップに貢献したいと考えています。

責任感がある

責任感がある人は仕事を最後までやり遂げられるので、多くの企業で必要とされます。責任感の強さをアピールした例を見てみましょう。

【例】

私のセールスポイントは責任感が強いところです。ほかの人が気にならない部分にも責任を感じて、何とかしようと行動します。

前職の販売職では需要の高い商品が品切れになってしまう事例があり、お客様をがっかりさせてしまうことに大きな責任を感じていました。

在庫管理を正確に行うために改善点を探したところ、倉庫内の整理整頓が徹底されていないことに気付き、周囲に呼びかけて改善に努めました。御社でも責任感を強く持って、仕事をしていく所存です。

 

問題解決力がある

ビジネスで問題が起きたときには、どのように対処し解決するかを求められます。既に起きている問題に対処する力だけでなく、問題を発見する能力も求められている点を押さえて、セールスポイントをまとめましょう。

【例】

私のセールスポイントは、問題解決力があるところです。前職で営業として入社後、思うように結果が出せずに悩んでいる時期がありました。

上司や先輩に営業方法について意見をもらい「焦って結果を求めない方がよい」との言葉をかけてもらいましたが、納得できなかったので、成績がよい同僚のやり方を観察して自分に足りないものを見つける努力をしました。

その結果、自分は商品の魅力を伝えることに時間を使い過ぎていると気付いたのです。お客様の疑問点をうまく聞き出すために注意してヒアリングするようにしたら、だんだんと結果につながり、手応えを感じられるようになりました。

今後も、目の前の問題から目を背けずに、より高い目標意識を持って仕事に取り組んでいきたいと考えています。

 

リーダーシップがある

リーダーシップといってもさまざまなアプローチの方法があり、チームメンバーの連携を重視する企業もあれば、これまでの固定観念を打ち破り新しい挑戦ができるリーダーを求めている企業もあります。

応募先の考えに合うように、リーダーシップの生かし方を伝えることが大事です。

【例】

私はメンバー1人1人の価値観を重視し、個々の強みを生かしながら同じ目標に向かって進んでいくスタイルを得意としています。前職では飲食店のマネージャーをしており、十数人のアルバイトスタッフと社員をまとめ上げてきました。

メンバーそれぞれが課題だと感じていることを聞き出し、接客リーダーを中心としたチームを組織して課題の解決に当たらせたところ、自らが考えて行動できるチームを築き上げられたのです。

従業員同士が意見を言いやすい空気を作るために、親睦会や勉強会の機会を多く設けたことなども、よい方向に働いたと思います。御社でもリーダーシップを発揮し、機能不全を起こさないチームを作っていきたいです。

 

周りに気配りできる

周囲に気配りができる性格を、自分のセールスポイントとしてアピールする方法もあります。仕事をスムーズに進めるために何ができるか、という視点を意識して伝えましょう。

【例】

私のセールスポイントは周囲への気配りができ、相手の立場に立って物事を考えられるところです。営業職では、相手のニーズを読み取ることが不可欠だと考えます。

気配りができないとお客様がどういった点に不満を抱いているのかが分からず、正しい行動を選択できません。社内のスタッフに対しても、支えてもらっているという意識を忘れずに、気を配るようにしています。

具体的には「何か困っていることはないか」と自分から声を掛けることで、相手からも発信しやすい空気を作っています。御社でも、周囲に積極的に声を掛けるようにしていきたいです。

 

スキルもセールスポイントにできる

話す男性

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セールスポイントにできるのは、人間性だけではありません。職務で身に付いたスキルを、セールスポイントにする方法を見ていきましょう。

セールスポイントになるスキル例

これまでの職務経験で培ってきたスキルも、立派なセールスポイントになります。例えば、体力・パソコンスキル・発想力・作業の速さ・交渉力・語学力などを、セールスポイントにしても構いません。

特に自信があるものを選ぶだけでなく、応募先や職種に合ったスキルを選択することで、即戦力として評価してもらいやすくなります。

単にスキルがある点をアピールするのではなく、応募先でどのように生かせるかという方向性でアピールしましょう。

スキルをアピールするまとめ方

人間性をセールスポイントにする際と同様に、スキルの根拠となる具体例を交えて伝えます。パソコンスキルをアピールしたい場合の例を見ていきましょう。

【例】

私のセールスポイントはパソコンスキルがあるところです。もともとパソコンの操作に興味があり、学生時代は入力業務のアルバイトを積極的に行ってきました。現職の事務職では、いかに早く正確に作業を終えられるかを考えて仕事をしています。

分からないことは放置せず徹底的に調べる姿勢でスキルアップを図り、在職中に「マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 2019 エキスパート」に合格しました。

御社でもこれまで培ったパソコンスキルを生かし、営業事務として営業職をサポートするように努めたいです。

 

自分の売り込み方を考えてみよう

3人の面接官

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自分のセールスポイントを見つけるには、自己分析や他人からの評価を参考にする方法がおすすめです。応募先の企業に合わせた強みを探し出し、「この人を採用すると自社にとってメリットがある」と感じられる内容にまとめましょう。

企業が自社とのマッチングを見極めるために、応募者の価値観を探ろうとしている点を頭に入れてまとめることが大事です。企業研究が足りないと見当違いのアピールをしやすいので、注意しましょう。