一度読んだら夜通し覚悟! 実話ベースの経済小説7タイトル

作家・池井戸潤原作のドラマ「下町ロケット」。めちゃくちゃ面白くって、日曜の夜9時が待ち遠しい日々です。最高視聴率42.2%を叩きだした「半沢直樹」もそうでしたが、銀行マンから作家へ転身した池井戸潤だからこそ描けるサラリーマンあるあるが、いま多くの共感を得ているみたいですね。

大きな仕事を達成した後の何とも言えない達成感や、嫉妬に渦巻く人間関係を追体験できる「経済小説」のジャンルには数多くの作品があり、しかも名作揃い。そこで、やけにKindleユーザーが多いみんスタ編集部が、一度読んだら夜通し覚悟の経済小説7タイトルを厳選、ご紹介します。

1. 百田尚樹「海賊とよばれた男」

ガソリンスタンドの給油機

(出典) photo-ac.com

ガソリンスタンドでおなじみの出光興産創業者、出光佐三をモデルにした累計発行部数360万部を超える大ヒット小説です。戦後の焼け野原から社員をひとりもリストラせず事業を立て直し、日本の復興に向かって闘う男たちの物語が胸を打ちます。下巻で描かれる、イギリスによって海峡封鎖をされ、身動きのとれないイランへタンカーで乗りこんでいくエピソードは、まるで映画の一幕を見ているような高揚感を覚えます。

2. 山崎豊子「不毛地帯」

道路沿いのビル

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いま乗りに乗っている伊藤忠商事を題材にした山崎豊子の代表作です。序盤はシベリア抑留の話がメインですが、中盤以降は近畿商事(モデルは伊藤忠商事)がメイン舞台になります。陸軍中佐で大本営参謀であった壹岐正が商社で活躍していくなかで壹岐を中心とした様々な漢達のドラマがあり熱い想いが溢れてきます。大門社長との信頼関係があってからのラストの名シーン、鮫島との美しくはないけど芯を揺さぶられる友情。涙なしには読めない名作です。

3. 真山仁「ハゲタカ」

夕焼けとビル群

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バブル崩壊後の日本企業が複数モチーフになっており、ドラマ・映画化もされている小説です。外資系のバイアウト・ファンドマネージャーの鷲津雅彦と企業再生家の芝野健夫が、不良債権処理や企業買収を仕掛けていくストーリー。熾烈な買収戦の中を生き抜く姿に共感し、ファンドに憧れを持った人も多いのではないでしょうか?

4. 高杉良「青年社長」

ビールで乾杯

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ワタミの創業者である渡邉美樹社長をモチーフにした物語。ワタミ創業資金を得るために、佐川急便のセールスドライバーで事業資金を稼ぎ出し、自分の目標に向かってガムシャラに行動する姿は胸を打ちます。飲食業、しかも立ち上げ期の様子が克明に描かれており、業界の裏側や立ち上げ期の難しさを知るという意味でも興味深い内容です。

5. 黒木亮「エネルギー」

腕を組むビジネスマン

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著者の黒木亮は、三菱商事で働いていた元・商社マン。その経験を活かし、実話ベースで中東やロシアで行われている資源戦争を描いた作品です。近年注目を浴びているエネルギービジネスの裏側や、金融の動き、外国企業とのやり取りなど、一見よくわからない総合商社マンのはたらき方がどんなものかが知ることができる貴重な一冊です。

6. 城山三郎「官僚たちの夏」

国会議事堂

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裏方のイメージが強い「官僚」にフォーカスした作品です。舞台は1960年代。高度経済成長期の前夜、通商産業省(現在の経済産業省)の実在の官僚をモデルに主人公が描かれています。政治家や他の官僚と繰り広げられる権力闘争、それでも折れず日本の発展のために強引に突き進む姿。城山三郎ならではの生々しい描写で、人間の生きざまを浮き彫りにしてくれます。

7. 吉村昭「光る壁画」

内視鏡検査の器具

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戦後まもない日本で、世界に先駆けて発明された胃カメラ開発の裏側を描いた実話に基づく物語です。当時、胃がんでの死亡率が高かった日本の医療を前進させるべく東京大学とオリンパスが共同して開発した胃カメラ。研究者たちや技術者たちが、さまざまな困難にぶち当たりながらも解決していくさまは、まさにプロジェクトXに出てきそうな男たちのロマンと情熱の物語が描かれています。

おわりに

こうして見てみると、仕事の達成感を感じるためには、いつ日の目を見るかわからない試行錯誤の連続、人間関係の調整などなど、僕達がはたらいている世界と共通することがしばしば。悩みながら、のたうち回りながら、仲間を集め成功を掴みとっていく主人公の姿に、みなが共感を覚えるのかもしれませんね。