3分でわかる、会社づくりのキホン

Pocket
LINEで送る

毎日働いていると気にしないのですが、料理と同じく会社にも作り方があります。 一般的に年間の利益が約600万円を超えてくると会社を作ったほうがいいと言われているのですが、会社って一体どうやって作るのでしょう。大きく6つのステップに分けて解説します。

1. 法人名を決める

company name

個人事業主から法人への移行は、一般的に「法人成り(ほうじんなり)」と呼ばれています。「法人成り」を決めたらまず考えたいのが法人名です。法人名を決める際はしばしば思いが先行しがちですが、なるべく相手が聞き取りやすい法人名にしましょう。

飲食店で領収書をもらう際に、店員さんとの間で社名が食い違うシーンはよく見かけると思います。聞き取りづらい法人名をつけると、領収書をもらうたびに余計な一手間が生じます。

注意点

・電話をかけたとき、相手が聞き取りやすい法人名にする

・領収書を書いてもらうとき、相手が書き間違えない法人名にする

・業務内容と親和性のある法人名にする

・将来的に業務内容が変わったとしても、(できれば)違和感のない法人名にする

・「●●銀行」、「●●保険会社」といった文言は、その業種に該当しない法人が使用してはならない(参考:各種業法などに定める名称の使用

2. 決算月を決める

150810free03

一般的な企業は3月末決算ですが、それ以外の決算月の会社も少なくありません。個人から「法人成り」した企業であれば1〜2月決算が多いですし、あえて秋ごろを決算月にしている企業もあります。

企業は大きな利益が出た場合、一般的には節税のため、経費の使用を促します。しかし、事前に予測できず決算月に大きく売上が上がった場合は、そのまま法人税の増加に繋がってしまいます。そのため、季節によって業務の繁閑が大きい業種は、閑散期を決算月にすることも考えましょう。秋ごろを決算月としている企業は、夏と冬の需要ピークを避けたいという意図があるのです。

決算月は、法務局に登記された日の前月末に定められます。一般的な企業と同様に3月末決算にしたい場合は、4月中に登記をする必要があります。後から変更することも可能ですが、登記の変更に伴い費用と手続きが発生します。

個人的なエピソードですが、筆者が登記を友人の税理士に依頼した際は「3月決算は避けて欲しい」と言われたので3月に登記しました。つまり2月末決算ですね。単純に友人の繁忙期を避けて決めたパターンです。

注意点

・大手企業と商習慣を合わせたい場合は4月登記

・夏と冬の需要が高い時期を避けたい場合は6月〜7月登記もしくは10月〜11月登記

・(分かれば)売上が上がりやすい月を決算月にしない

・(分かれば)手元資金が減りやすい月を決算月にしない

3. 法人登記を申請する

150810free04

法人名と決算月が決まったら、次に法務局への申請書類一式を作成します。登記を終えないと法人としての商取引ができないので、最優先で取り組むべき作業です。ここでは、申請は代行会社へ依頼することを前提としています。個人で行う場合、通常は印紙代が満額の4万円掛かります。

一方、代行会社に依頼すると電子定款で申請するため、印紙代が0円で済みます。費用が安くなるので、あえて個人でやるメリットは無いと言えます。

注意点

・法人用の印鑑を作成する

・登記申請の代行会社と契約する

・指示された必要書類にサインをする

・登記に必要な費用を用意する

収入印紙代:約4万円(電子定款の場合は0円)
認証手数料:約5万円
謄本手数料:約2千円
登録免許税:約15万円

4. 法人口座を開設する

150810free05

法人対法人の取引においては、法人口座が必要です。明確に法律として定められている訳ではありませんが、商取引の慣習として一般的なルールになっています。筆者が「法人成り」する際は、周りの先輩経営者から「とにかく口座は早く作っておくこと」と口酸っぱく言われました。

そのもっとも大きな理由は、申請したからといって必ず開設されるとは限らないという点です。登記や保険などは、書類に不備がなければ基本的に申請すれば必ず通ります。しかし、法人口座はその限りではありません。登記の次に優先して作業するべき項目です。銀行にこだわりがなければ、起業初期はネットバンクのほうが、使い勝手の面でも審査の通りやすさの面でもおすすめです。

注意点

・法人口座の開設は、個人口座と異なり「断られる(審査落ち)」ケースが少なくない

・銀行ごとに異なるが、最低限法人の謄本と定款、印鑑証明が必要

・審査開始から口座の取得まで、およそ1週間〜2週間の期間がかかる

・一般的には登記した事務所と同じ市区町村で、信金<地銀<都市銀行の順に開設しやすい

・ネットバンクはベンチャーの支援に積極的な点から、起業したての法人も審査に通りやすい

5. お金周りの書類を作成する

150810free06

登記や口座の承認待ちの際、ぜひ作っておきたいものが見積書や請求書等のテンプレートです。「じゃあちょっと見積りを……」と言われたときにすぐに出せるよう準備をしておきましょう。特に実績がない状態では、こうした見積書や請求書を素早く用意できることが信用にもつながります。

項目の過不足を防ぐためにも、Excelよりも無料のWebツールを活用することをお勧めします。ひと通りの機能が揃っていて便利なWebツールですが、まずは会員登録や操作の慣れが必要です。必要になった際に慌てないよう、売上や経費の処理に関連して操作のシミュレーションをしておきましょう。例えば、小規模な法人では次のようなWebツールが人気です。

・見積書/請求書作成ツール「misoca

・経理仕訳ツール「freee

一方で、そもそもツールを使うべきか、どのようなツールを選ぶべきかという点で注意が必要になります。

注意点

・ツールを使う理由は「時間の捻出」に他ならず、ツールを使うのに時間を取られていては本末転倒である

・自分が得意な作業はツールを使い、苦手な作業は外注して売上の確保に努める

・ツールはいきなり有料契約せず、まずは無料で使える機能で操作感を確認してから契約する

※極論、売上と利益がしっかり上がっていればツールを使わずすべて外注するという判断もあります

6. 社会保険に加入する

Business Insurance Policy Guard Safety Security Concept
最後が社会保険への加入です。手続き自体はそれほど複雑ではありませんが、書類の作成に時間が掛かります。採用にも影響しますので、登記後速やかに手続きを済ませましょう。一般的に登記が完了すると、登記資料一式とともに、「登記後のご案内」として社会保険の手続き方法を示す書類が渡されます。案内に沿って早めに手続きを済ませましょう。

注意点

・法人を設立した場合、原則として加入が義務付けられている

・社会保険とは「雇用保険」「健康保険」「労災保険」「厚生年金」の4つを指す

・企業が負担する社会保険の保険料の合計は、おおよそ額面給与×14.6%

おわりに

通常、個人事業から「法人成り」を決めた場合、頭に描いているのは「これまで取引できなかった企業への営業活動」や「組織拡大のための採用」ではないでしょうか。営業活動であれば法人口座が必要ですし、採用のためには社会保険が欠かせません。

はやる気持ちを抑えて、まずは法人活動に最低限必要な6つの手順をこなしましょう。順調に行けばおおむね1ヶ月半程度で作業は完了します。

司法書士になるには
税理士になるには

執筆者

みんなのスタンバイ編集部。「はたらきかたをかんがえる」をコンセプトに、はたらく好奇心を刺激する情報をすべてのはたらく世代へお届けします。