魅力ある企業との出会いと新たな環境での働き方〜異業種・県外からの転職事例〜

Pocket
LINEで送る

豊かな自然、歴史と伝統に彩られる岐阜県。

古くからものづくりが盛んなこの地域では、挑戦をし続ける元気な中小企業が多いことも特徴の一つです。
そんな岐阜県の中程に位置する関市は、700有余年受け継がれる刀鍛冶の歴史をもつ日本一の刃物の町です。今回お邪魔した「株式会社サンクラフト」さんは、創業70年を超える、関市の元気な企業の1つ。包丁などの調理用刃物やキッチン用品などの家庭用調理用品の商品企画開発から製造販売までを一貫して行っている会社です。

「お客様に感動商品を提供しているか」を合言葉に、お客様の楽しい豊かな生活文化を彩るアイテムを約3,000以上取り扱っています。販売先は全国の百貨店・専門店・量販店・生協・通販と多岐にわたり、「サンクラフト」を世界的に有名なブランドにするべく海外のお取り引きも拡大しています。

今回は、同社へ県外・異業種から入社し、会社の中核を担う社員となっているBさんとLさん、そのお二人を含めた社員が活躍できる環境づくりを進める川嶋紹市社長に、『魅力ある企業との出会いと新たな環境での働き方』をテーマにお話を伺いました。

 

左からLさん、Bさん、川嶋紹市社長

■プロフィール
・川嶋紹市社長(右):岐阜県関市出身。学生時代を東京で過ごし、芸能事務所等での勤務を経験。1999年に社長就任。大切にしていることは「情熱」と「素直さ」。

・Bさん(中) 企画開発部・30代前半愛知県出身。グラフィックなど得意なデザインのスキルを活かして、フリーペーパーの製作など、デザイン関係の会社を数社経験。

・Lさん(左) 海外営業部・30代前半韓国出身。前職は航空会社でカーゴ系の管理、海外営業等を担当。学生時代からアジア・欧米など数カ国での生活を経験。

 

 「褒め言葉は鯨も躍らせる」社長の情熱が不安を挑戦に変える

――お二人の経歴とサンクラフトさんとのご縁を教えてください。

Bさん:私は友人を通じて弊社がデザイナーを探していると聞いたのがきっかけでした。話を聞いた当初は正直そこまで乗り気ではなかったんです笑
というのも、転職したばかりでしたし、私の得意分野はグラフィック・2Dですので、サンクラフトが求めている開発職に当てはまらないと思ったからです。ですが、友人を通して社長がお話だけでもと言ってくださっていると伺ったので、社長と会う機会をいただきました。
不安は大きかったのですが、「3Dも入ってから勉強していい」と言って頂いたり、何度か社長とお話をしたりする中で、「世界観がかわるかもしれない」と思い始め、飛び込むことに決めました。

社長:彼女のすごいところの一つはフットワークが軽いところです。入社が決まってすぐ、自分で新潟県の燕三条に工場見学に行ってきたんですよ。

Bさん:それにも理由がありまして・・・(苦笑)やっぱり、不安が大きかったんです。3Dも勉強はしてきたものの、自分の中で苦手意識がありました。それに友人に話を聞くまで、サンクラフトの存在も知らなかったし、刃物の町ということは知っていましたが、関へのイメージもあまりなかったんです。
これから携わる仕事ですので、工場を見てみたいと思い、刃物・工場見学で有名な新潟県の燕三条まで行きました。

Lさん:私は妻の出産を機に、妻の故郷の日本に住むことになり、転職活動をしました。
前職は大手航空会社です。2年前、日本に来た当初は日本語学校で、「あいうえお」から勉強していました。
育児とアルバイトで日本での生活にも慣れ、日本語にも少し自信がついてきたので、昨年の秋頃から転職活動を始め、年末にサンクラフトへの入社が決まりました。
実は、他にも内定をいただいていたのですが、3つの理由からサンクラフトに決めました。
1つめは「将来性」です。サンクラフトは国内だけでなく今後さらにグローバルな展開を進めていこうとしている最中です。私は大学の時から中国に留学し、前職でもニュージーランド、ベルギーなど海外での勤務経験もありますので、こうした自分の経歴が役に立つのではないかと思ったんです。
2つめは「仕事内容」です。面接の際にお話を聞いた時、ダイナミックな仕事内容だと思いました。
商品開発から参加し、商品をきちんと理解した上で営業ができるというのは、商品に対して自分の子のような心を持って販売ができるので、達成感がより感じられるのではないかと思いました。
3つめ、実はこれが一番の理由なんですが、「社長とお話して情熱を感じたこと」です。
面接やその後のメールなどを通じて社長や会社の歓迎や期待を強く感じたんです。面接の際に、面接する部屋に向かう廊下に『歓迎(Lさんの名前)様』と貼ってあったんです!
こんなことは他のどこでもありませんでした。

「褒め言葉は鯨も躍らせる」という韓国の有名な表現があります。

肯定的な関心と賞賛、激励の中では不可能と考えることも可能になるという意味なのですが、ここでならまだ自信のない私の日本語のハードルも超えられるのではないかと突き動かされました。決めたというご連絡をする際にこれらの想いを社長にメールしました。

Bさん:Lさんが入社する前に年末の納会で全社員にそのメールが紹介されたんですよ(笑)

Lさん:入社してからそのことを知りまして、少し恥ずかしかったです(笑)

社長:Lさんは日本語も上手ですが、本人としてはまだ不慣れでしたし、不安もあるだろうなと思っていまして。社員にもわかりやすく話すなど協力してもらい、できるだけ早く馴染める環境を作りたいという思いもあって、彼の紹介がてら社員全員に話しました。何より、このメールに私自身がとても感動したんですね。実はその時のメールを出力していつも持ち歩く鞄に入れているんです。

 

――入られてからのお仕事を教えてください。

Bさん:私は商品企画を担当しています。今まさに取り組んでいるのは、パン切りナイフ「せせらぎ」という商品です。
岐阜垂井町にグルマンヴィタルという有名なパン屋さんがあるのですが、そちらとコラボレーションして、まずはクラウドファンディングを使って期間限定で販売しています。

社長:『圧倒的なパン切りナイフ』を作りたいと思って、構想から足掛け3年くらいかかって商品化になりました。

Bさん:社長からコンセプトをきいて、「圧倒的とはなんだろう・・・?」と思って、そこを考えることから始まりました。グルマンヴィタルのパン職人や東京の調理器具のお店などにもヒアリングやご相談を重ね、商品の特性を詰めていきました。前職までは既にある商品をいかに売るかだったのですが、今は0から作っていく。デザイナー冥利に尽きますね。

Bさん:今はこうして商品を手がけていますが、入社して最初は工場での研修で、包丁作りの基礎から教えてもらいました。「職人さん=見て覚えろ」というようなイメージがあったのですが、研修に入ると全然そんなことなくて。長年製作に関わってきた本当に手練れの職人ばかりなのに、「なんでも聞いて」と優しく教えてもらいました。
一方で、外から入ったことでわかることもありました。包丁ができるまでには全部で17工程あるのですが、工程ごとに回ってみると、職人さん同志、自分の持ち場はわかるもののそれ以外の工程は把握しにくい状況でした。仕事を通しで見える化できないものかと思いまして・・。入社直後で出来ることもあまりなかったので、得意なグラフィックで何かできないかと思って、『サンクラフト新聞』として包丁ができるまでの工程をイラストでまとめました。どうにか感謝の気持ちとして表せないかと思ったんです。
専門用語なども書いたので確認のためと思って、製造部門の担当者に見せにいくと、その後職人みんなで集まってチェックしてくれていたみたいです。

社長:入社して、研修を終えた頃にどうしてるかなと彼女のデスクに行くと、これを作ってたんですよ。もちろん誰の指示でもなく、自発的に。いいなぁと思ってね、今ではプリントして営業ツールとして使っています。彼女が入社して最初の仕事になりましたね。

▲Bさんお手製『サンクラフト新聞』。イラストは全てBさんの手描き。職人さんへの感謝と商品に対する愛情が伝わる1枚。

Lさん:私は現在、香港、シンガポールなどの海外営業を担当しています。昨年の1月に入って、他の人と同じように研修を受け、3月から本格的にOJTで営業業務をスタートさせました。長年続く会社ゆえ、継続的におつきあいいただいている会社さんが多いので、まずは社長と共に訪問して営業のノウハウを学んでいるところです。今後、アジアはもちろん、欧米の方にも営業に行く予定があり、楽しみにしているところです。
前職では中国での市場開拓など営業も担当してきましたが、物も大事ですがやはり人と人だなというのは国内外共通だなと思います。まずは市場や商品について勉強し、商品に想いをもってご紹介できるようになりたいと考えています。

社長:彼は本当に人から好かれるんですよ。先日も一緒に香港に営業に行きましたが、先方も私の話そっちのけで彼と話をしていました。社長としては嬉しいことですけどね。

 

開発×職人×営業。会社一丸で、「サンクラフト」を逆指名されるさらに強いブランドへ。

――今後の展望などありますか?

Bさん:開発職は商品もそうですが、販促ツールなど営業担当が売りやすい状況づくりをすることも大切な仕事だと思っています。前出のパン切りナイフの取り組みもその一つです。
自信のある商品ですので、より多くの方に知っていただきたいと考え、新たな手法での販売に挑戦しました。
重要なのは一般消費者にいかに伝えるかだと思っているんです。知られていないならないのと一緒だなと。新商品を出す際に、店に並ぶか並ばないかではなく、「サンクラフトの商品なら置きたい」と逆指名されるようになりたいと思っています。

Lさん:先日、国内最大級の調理器具の展示会に出展したのですが、その時に商品や業界への知識不足を感じました。商品開発から携われることも強みだと思うので、今後商品の知識を身につけて、私の語学や海外生活の経験を活かして、国外でのブランド認知向上や販路拡大に貢献できればと思っています。

 

刃物とは真逆の丸くて優しい環境。挑戦を支える職場で達成感を感じる仕事を。

――新たな環境へ転職を考えている方、サンクラフトへ応募される方へ一言お願いします

Bさん:私も新たな環境でのチャレンジに不安な気持ちで入社しましたが、何とかなっています。「楽しいことをやっていたい」という軸がぶれていないからかもしれません。
あと、サンクラフトはスタッフが本当に優しいんです。研修の時も私の両親くらいの年の職人たちが、「なんでも教えるよ」と言ってくれたので、わからない中でもやってこれたのかもしれません。

Lさん:私は元々、社員数が1万人以上いる会社におりました。抱える業務はたくさんありますが、部署ごとにわかれているため、一人ができる仕事の範囲はあまり広くはありませんでした。ここでは、営業と言っても販売だけの担当ではなく、商品開発の段階から開発や製造のメンバーと打ち合わせを重ね、商品の良さを本当に理解した上で営業活動ができます。
主体的に仕事ができるので、達成感が得られる仕事だなと思っていますし、「成長したい・挑戦したい」と思う方にはとてもいい環境ではないでしょうか。
あとは心が忙しくなくて、人が丸いなあと感じます。私のような海外から来た人も受け入れてくれる優しい環境です!

 

豊かな自然と都市の便利さを併せ持つ岐阜

――最後に、お二人のように県外から岐阜県に来られる方へ岐阜の魅力を一言お願いします

Bさん:都市と自然のバランスがいいと思います。住む前はあまりイメージがなかったのですが、住んでみると適度に都市化している一方、山も川もある。川遊びやバーベキューもみなさんよくやっていますし、とても暮らしやすいです。

Lさん:私は自然があるところが好きなので、岐阜の豊かな自然が素晴らしいなと思います。現在、私は会社から40分くらいの県外からの通勤をしていますが、家の方から見える山々は全部岐阜なんですよ。季節の移り代わりを感じられることも大きな魅力ですね。

現代の鍛冶屋で響く、情熱と行動力の共鳴の音。

これまでと異なる環境に不安を抱きながら、川嶋社長の情熱と行動力に心動かされ、入社を決めたお二人。不安とハードルを超えさせる情熱に答える努力を惜しまず、日々奮闘し、不安の種から新たな花を咲かせ初めておられます。

そうした異業種へのチャレンジを歓迎し、サポートする社員のみなさん。

そして社員の皆さんが活躍できるステージを作るため、社員の状況把握と環境づくりを進める社長。

情熱の炎と行動力の共鳴の音が響く様子はまさしく現代の鍛冶屋。

それによって生み出されるのは魅力あるアイテムの数々が、お客様の生活を豊かにしています。

 

新たな環境での挑戦に不安とハードルは付き物ですが、それを越えさせる社長の情熱と社員の皆さんのサポート。それに答えようとする転職者の努力。経営者と会社の中核を担うメンバーの理想的な関係性が見えました。

執筆者

地方企業・地方自治体の採用を支援するビズリーチ地方創生支援室。魅力的な地方の情報をお届けします。