メガネ生産全国1位。福井県鯖江市にメガネ産業が起こったワケ

市のキャッチコピーが「めがねのまち さばえ」となっている福井県鯖江市。日本に流通しているメガネの9割以上を生産する、一大メガネ産業地帯なんです。ちなみに、鯖江市は金属アレルギーを起こしにくいチタン製メガネを世界で初めて生み出したことで、世界的にも注目されています。

でも、なぜ鯖江にメガネ産業が集中するようになったのでしょう?

はじまりは、ふるさとの発展を願う想いから

眼鏡

(出典) photo-ac.com

タウンページデーターベースによると、鯖江市がメガネを作り始めたのは1905年(明治38年)のこと。鯖江市の議員を勤めていた増永五左衛門という人が、鯖江の発展のために当時日本で広まりつつあったメガネを作ろうと思い立ったのだそうです。

というのも、雪深い鯖江は冬になると田畑が雪に覆わて農業ができなくなってしまいます。仕事がなければ収入が得られず、生活が困窮してしまいます。外出するのもままらない冬場でも、家の中で作業ができて収入が得られる方法としてメガネ作りはうってつけだったという訳です。

東京や大阪のメガネ職人を鯖江に呼び寄せ、メガネ作りの技術を地域住民とともに学び生み出された鯖江のメガネ。新聞や書籍を読む文化が広まりつつあった時代背景とも重なって、1935年(昭和10年)には全国一のメガネ生産量を誇るようになりました。

技術もすごいけど、マーケティングもすごい

眼鏡と眼鏡ケース

(出典) photo-ac.com

視力の低い人だけが買うものだったメガネは、デザイン性の高いフレームが登場するにつれファッションアイテムとしても購入されるようになってきました。ただ、このニーズは自然と生まれたものではないようです。

鯖江市は新たな顧客を生み出すべく、マーケティング活動にも積極的に取り組んできました。有名デザイナーとコラボレーションしたメガネを作ってみたり、アパレルブランドと連携したメガネを「東京ガールズコレクション」で発表するなど、メガネが持つ魅力や可能性を伝え続けてきたわけです。

ファッション以外でも、パソコンのブルーライトカット用メガネや花粉対策用メガネなどが作られました。また「JINS MEME」のようなウェアラブル端末としても期待されています。用途がさまざまに広がっていくメガネ。その多くが、今後も鯖江市から生み出されていくのでしょうね。

(参照元:タウンページデーターベースnippon.com鯖江メガネファクトリー