【事業者インタビュー】夏油高原温泉郷にある老舗温泉旅館の女将が描く北上のみらい

Pocket
LINEで送る

JR北上駅から車で約25分、夏油温泉郷の雄大な瀬美渓流のそばにある瀬美温泉。名湯「美人の湯」をはじめ3種の異なる源泉100%掛け流しの天然温泉をもつ1960年創業58年の老舗温泉旅館です。紅葉で旅館の周りの景色が色づき、ハイシーズンを迎えている大変お忙しい中、代表取締役社長 菊池悦子さんにお時間をいただきお話をお伺いしました。

 

菊池代表が瀬美温泉に関わることになった経緯は?

最初は今の会長の嫁として嫁いできまして、その時はまさか嫁の立場で温泉旅館を経営するとは思ってもみませんでしたが、約20年前に先代から「やってみないか」と声をかけられ、軽い気持ちで引き受けました。

最初は右も左もわからなくて、お客様や仲居さんからいろいろ学ぶところから始まりましたが、やっていくうちにその面白さにどんどんのめりこんでしまいました。

 

どういうところにのめりこんでいったのでしょうか?

温泉のことだけ考えていればいいのかと思っていましたが、それだけじゃなく食事とか、設備とか、接客とかいろいろなことを考えなければならない。そんなところにやりがいを感じていたのかもしれません。また九州や伊豆など日本全国の温泉を回ってみたときに、いい旅館は多かったのですが、お湯の質は瀬美温泉が一番良いのではないかと思いました。3つの源泉をもち、シャワーまで源泉のところはそんなにない、この良さをいろんな人に知ってほしい、もっと広めていきたい、そう思いました。

 

お客様にとって瀬美温泉はどうありたいと思っていますか?

あまり大きな旅館ではなく、小さくてこじんまりとした旅館であり、来てくれたお客様が、「まるで遠くの親戚の家に遊びにきた」みたいに、ゆっくりとくつろいでくださるような空間でありたいと思っています。

また遠方からの観光客だけでなく、北上の地元の人たちにも愛される場所でもありたいと思っています。今も日帰り温泉などでよくご利用いただいております。特に地元の人を大切にしたいなって思った時は、あの2011年の東日本大震災のときです。新幹線も止まってキャンセルが相次ぐ中、地元のお客様が本当に良く使ってくれました。瀬美温泉は地元の人の支えられているということを改めて実感しました。

 

北上、夏油温泉郷というこの地にある意義についてどうお考えですか?

夏油温泉郷というのは、約1000年前からあるといわれていて、現在は瀬美温泉、元湯夏油、夏油温泉観光ホテル、入畑温泉、水上温泉山照園、水上温泉湯元東館、宝珠の湯の7つの温泉旅館があります。手つかずの自然が残されており、ゴルフ場もあり、秋は紅葉が周辺を彩り、冬はスキーもできる、非常に恵まれた土地です。ただ隣の花巻温泉などと比べても今まで情報発信があまりされておらず、存在すら知られていないこともありました。今後、7つの旅館の世代交代も進む中、地域全体で連携して国内外に発信していく必要があると思っています。

北上は農家さんがつくる野菜を中心に食べ物もおいしい。しかし認知もされていないし、商売にもつなげきれていないんです。当旅館でも北上のブランド豚肉である「白ゆりポーク」という食材をお客様に提供していまして、そういった北上のおいしいものの認知をどんどんあげていきたいと思っています。

【白ゆりポークしゃぶしゃぶ懐石(一例)】

 

どんな人材に来てもらいたいですか?

温泉旅館業を20年以上やってきて、湯の質も施設も食事も大事ですが、結局、最後はそこで接客する人が一番大事だと感じています。接客が好き、人が好きというマインドを持った人が来てくださるとやっぱりうれしいです。また旅館業は対お客様ということもあり、勤務時間が不規則になりがちな業界でもありますが、ITや外注をうまく使うことにより簡素化できるところ、効率化できるところはまだまだあると思っています。そういった仕組みづくり、組織作りから一緒にやっていける人、欲を言えば、当館だけでなく、夏油温泉郷、北上や岩手を愛し、国内外にどんどん発信していってくださる人に来ていただきたいです。

執筆者

地方企業・地方自治体の採用を支援するビズリーチ地方創生支援室。魅力的な地方の情報をお届けします。