給料をあげるために必要なのは「考えて、努力しつづけ、成果をあげること」

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会社員の平均給与は伸び悩んでいる。非正規雇用が増えたのも背景にあるが、正社員の給与もまた伸びていないのは、周知の事実である。ではなぜ給与が伸び悩んでいるのか。

原因には諸説あり、識者たちから「日本企業の生産性が低いから」といわれることも多い。しかし内閣府の調査では「生産性と実質賃金の関連は2000年代に入って消失(参照1.)」とされているので、現在では生産性を上げたところで給与が伸びるわけではないようである。

一方で経済産業省の統計では「近年、企業は景気が回復しても固定費を抑制するように動いている(参照2.)」とある。ここから読み取れるのは生産性が向上し、企業が潤っても労働者には給与として分配されにくいという厳しい現状である。

(参照1.「景気回復局面における固定費の動向」平成17年 経済産業省発行

(参照2.「年次経済財政報告 第2節:物価を巡る問題」平成24年度 内閣府発行

給与が伸びにくい社会になった

おそらく企業は、労働者に対する分配に非常に消極的になっており、固定的な給与ではなく一時的な賞与で報いる考え方にシフトしている。つまり業績には報いるが、固定費は抑制するという考え方だ。したがって、成果を出してもボーナスは増やせるが給与は増やせない。

人件費をはじめとした固定費が高い企業は本質的に脆弱であり、業績の急激な悪化に耐えられない。その事実を多くの企業がバブル崩壊とリーマンショックで学んだ。したがって今後、在籍年数が伸びれば順調に給与が伸びる会社はますます少なくなると考えることが妥当である。

多くの方は “給与が伸びない・伸びにくい” 世の中で働き続けることになるだろう。潤うのは、分かりやすい成果を出した一部の労働者のみになる。

年収をあげるには大きな責任を引き受ける

そんな世の中で給与を上げるには、どのように考えて行動すればよいのだろうか。給与上昇の鍵は “より大きな責任を引き受ける” ことだ。それには3つの方法がある。

1. 現在の会社で出世する

いまの会社で成果を出し、出世すれば給与は上がる。自身の能力を証明することで責任の大きな仕事を引き受けて大きな報酬を狙う。ここで重要なのは、個人で頑張るだけでは限界があるという事実だ。

企業は一時的な業績向上ではなく、恒久的に成果を出し続けることのできる仕組みを作れる人材を責任ある地位につけ、より多くの給与を与えるように動く。したがって、責任あるポジションで、「部下がみな能力に応じて成果を出せる仕組み」を作り出せば、より大きな給与を狙うことができる。

2. 平均給与の高い業界へ移動する

給与は本人の努力にくわえて業界全体が儲かっているかどうかに大きく依存する。同じ働き方、同じ能力、同じ責任であっても働く場を変えると給与が上がる可能性がある。また業界全体が儲かっているときは、良い人材がその業界に集中するため、ますます儲かるというポジティブ・フィードバックが起きる。

ただし、好景気はいつまでも続かない。最終的には転職先でも実力が問われる。そのときに他社、あるいは他業界に引っ張ってもらえるかは、その人が出した成果に大きく依存するため、油断していると低迷する業界とともに沈むことにもなりかねないので注意が必要である。

3. 起業する、もしくはフリーランスになる

自分の給与を自分で決めることができる働き方にシフトする。会社の一従業員では成果=給与とはならないが、経営者であればリスクを取ることで成果=給与となる。最も厳しい道に見えるが、若いうちであればダメージも少なく、またその経験は企業にとって貴重であるとみなされ、苦労せず就職できるケースも少なくない。

ある程度、ベテランになってからの独立であれば人脈や業務ノウハウも学んだあとの独立なのでそれだけ成功確率も高い。したがって、起業やフリーランスは世の人が思うほど不安定な働き方ではないとも言える。

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成果をあげる能力がより大きな給与をもたらし、危機を回避する

もちろん周知のとおり、どの選択肢にもメリットとデメリットがある。

現在の会社にとどまるのは大きく環境を変えなくて良いメリットがある一方で、給与が上がる保証は一切ない。高待遇の業界に移動すると、とくに目立った成果を出さなくとも給与があがるかもしれないが、イチから勉強しなおさなくてはいけないことが増える。経営者やフリーランスになって成功すれば見返りは大きいが、失敗すれば困窮する可能性がある。

とくに有能である必要も、天才である必要もない

ここに正解はない。自分に合う道、信じる道を選ぶしかない。だが結局のところ長期的にはどの道を選択したとしても成果を出すことが唯一の給与を上げる方法である。つまり “より人の役に立つための実力” を身につけることである。そうでなければ行き詰まってしまう。

もちろん成果を出すのは簡単ではない。しかしピーター・ドラッカーはその著書『経営者の条件』のなかで「成果をあげる能力は単なる習慣であり、並の能力の人間でも十分身につけることができる」という。つまり、成果を出す能力はだれでも身につけることができる。

結局のところ給料をあげるために必要なのは「考えて、努力しつづけ、成果をあげること」だけだ。

執筆者

経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。
世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。
自身の運営するブログBooks&Appsは月間PV数150万以上。
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