職種と聞いて、業種や職業と何が違うのか、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。就職・転職活動を成功させるには、これらの意味を正しく理解していなければなりません。
職種への理解が足りないと、自分に合わない仕事を選んでしまう可能性が高まります。この記事では、職種と業種の違いや具体例、自分に合う仕事の見つけ方などを紹介します。
職種や業種への理解が深まると、理想的な職場を探しやすくなります。就職や転職を成功させるため、参考にしましょう。
この記事のポイント
- 職種と業種の違い
- 職種は個人が担当する仕事、業種は事業内容を指します。同じ職種でも、業種によって必要な知識やスキルが異なる場合があります。
- 業種や職種の例
- 不動産業であれば、不動産の売買・管理・賃貸などが業種、営業や事務などが職種です。
- 自分に合う職種を見つけるには
- 職種や業種を十分に研究し、自己分析をしましょう。自分の強みを生かすことができ、キャリアプランに合う仕事を選ぶことが大切です。
職種とは?
仕事について表現する言葉には多くの種類があり、何をどのように使用するか迷いがちです。職種の意味や職業との違いなどを見ていきましょう。
仕事の種類を表す言葉
職種とは、その人が担当している仕事の種類を表す言葉です。例えば、営業や事務などが該当します。職種を見れば、どのような仕事をしているのかが分かる仕組みです。
同じ職種だからといって、全く同じ仕事をするとは限りません。事務の場合、総務・経理・人事など、さらに細かく分類されます。
同じ事務職であっても、配属される場所によって担当する分野が異なる点を押さえておきましょう。例えば、経理では会社の収益・資産などを管理し、人事では採用活動や従業員の教育などを担当します。
職業という言葉の意味
職業とは、自分が何をして生活をしているかを指す言葉です。例えば、会社員・自営業・アルバイトなどが職業に該当します。総務省では「個人が行う仕事で、報酬を伴うか又は報酬を目的とするもの」と定義しています。
学生・主婦も職業に分類される場合がありますが、報酬を得ているわけではないため、行政上の定義には当てはまりません。
専業主婦の場合、無職と記載しなければならないケースもあります。公的書類に職業を記載する場合は、記入例を確認し正確に書きましょう。
職種一覧
具体的な職種名を見ると、何を指す言葉なのかより分かりやすくなります。厚生労働省によって分類されている、主な職種の一例を見てみましょう。
- 販売・営業:コンビニエンスストア店長、自動車販売店員、不動産仲介・売買人など
- 事務:一般事務員、秘書、受付・案内事務員、総務事務員、人事事務員など
- 教育・保育:小学校教員、特別支援学校教員、保育士、学童保育指導員など
- 医療:医師、歯科医師、獣医師、看護師・准看護師、理学療法士など
- 研究・技術:医学研究者、化学研究者、物理学研究者、数学研究者など
販売・営業・事務などの大分類の下に、さらに細分化された職種があります。時代の変化などに応じて職種が増えたり減ったりするため、定期的な見直しがなされています。
出典:ハローワークインターネットサービス|厚生労働省編職業分類
業種との違い
業種は職種と混同しがちな言葉です。似たような意味で使われることが多いですが、正しい意味は異なります。どのような違いがあるのか、見ていきましょう。
企業が営む事業の種類を表す言葉
業種とは、その企業が営んでいる事業の種類です。例えば、建設業・製造業・サービス業などが該当します。
企業は、事業を始める際に業種を申請しなければなりません。業種は総務省により定められており、大分類の下に中分類・小分類があります。
職種が同じでも、勤めている会社の業種が違えば仕事の進め方が異なる点に注意しましょう。例えば営業職に就く場合、業界によって扱うものが異なります。求められる資質や人物像も変わるでしょう。
業種一覧
総務省が定める業種の一例を見てみましょう。
- 農業、林業
- 漁業 大分類
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 情報通信業
- 運輸業、郵便業
- 卸売業、小売業
- 金融業、保険業
- 不動産業、物品賃貸業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
日本標準産業分類では全部で20種類の業種に大きく分類し、その下にさらに細かい分類があります。
例えば農業には、耕作農業や畜産農業などの中分類が存在し、畜産農業の下には酪農業・肉用牛生産業などの小分類が設定されているといった具合です。
出典:大分類項目表|総務省
具体的な業種・職種の例
どのような職種を必要とするのかは、業種によって異なります。また、同じ職種でも業種が違えば、求められる知識や能力などが変わります。具体的な業種や職種の例を見ていきましょう。
不動産に関する業界・職種の例
不動産に関する主な業種は、不動産売買・不動産管理・不動産賃貸などです。不動産売買は不動産の購入や販売、不動産管理は建物や土地などの管理を行います。
不動産賃貸は、自社やオーナーが所有している不動産を消費者に貸し出す仕事です。不動産業界の主な職種には、営業職や事務職、物件の管理などがあります。
営業は不動産業界での役割が大きく、需要も多い傾向です。事務職は営業職をサポートし、顧客の受付・電話対応・書類作成などを担当します。
また不動産管理では、自社が保有するマンションなどのフロント業務を担う場合もあります。
環境に関する業界・職種例
環境問題に取り組み、化石燃料の使用量を減らしたり、廃棄物の再利用法を考え出したりする業種もあります。例えば、バイオ業界・再生エネルギー業界・廃棄物処理・リサイクル業などの業種です。
企業や組織が抱える環境問題への解決法を提案するコンサル業も、環境に関する業界に含まれます。環境に関する業界の主な職種は、環境計量士・環境コンサルタント・エネルギー系研究者・技術者などです。
今後も気候変動や地球温暖化などの問題は拡大していくと見られ、注目度が高い業界・職種といえます。
食品に関する業界・職種例
食品に関する業種には、製造業・飲食業・小売業などがあります。食品工場などで食品や飲料を製造する仕事だけでなく、飲食店や量販店での販売業も該当します。
主な職種は、商品開発・営業職・研究開発職・販売員などです。
消費者が求める食品を生産するための研究や開発、品質を維持するための生産管理、より必要とされる商品を作るためのマーケティングなど、業界で必要とされる職種は多岐にわたります。
食品は人が生きていく上でなくてはならないものであるため、安定した需要が見込めます。
自分に合った職種の見つけ方
職場で必要とされる人材になるには、能力やスキルを生かせる職種を選ぶことが大切です。自分に合った職種の見つけ方を紹介します。
自己分析をする
自分の強みや弱み、関心があるもの、価値観などを深掘りすることを自己分析といいます。将来の目標や理想像なども明確にしましょう。
職種を探す前に自己分析をしないと、自分に向いていない職種を選んでしまう場合があります。
さまざまなやり方がありますが、過去に評価された経験や充実感を得られた出来事などを思い出し、書き出してみましょう。
他者から褒められることは、得意分野や強みである可能性が高いといえます。また、どんなに好きであっても、何度も失敗してきたものは苦手分野だという可能性があります。
どのような職種(業界)があるか調べる
自己分析が終わったら、どのような職種・業種があるか、ネットや業界研究本などを活用して調べましょう。気になるものがあれば、徹底的に掘り下げます。
自己分析の結果に基づいて、やってみたいと思える職種が自分に合いそうかどうかを検討してみましょう。理想的な仕事であっても、自分の強みを生かせないものでは活躍しづらくなります。
さまざまな職種や業界を知ると、より自分に合うものが見つかります。やりたい仕事がなかなか見つからないときは、視野を広げてみましょう。
転職活動の場合
転職活動では、自分の経験を生かせる職種を選ぶとスムーズです。例えば、営業職で培ったコミュニケーション力は、販売業や接客業でも強みになります。
未経験の職種にチャレンジしたい場合は、これまでの経験や知識をどのように生かすのか、応募先の企業に伝えましょう。何に貢献できるのか、説得力を持って伝えることが大切です。
業界研究が不足していると、どのようなスキルが必要とされているのか分かりません。企業が求めるものをアピールできない場合、採用される可能性は低いでしょう。
職種(業界)研究のポイント
自分に合う職種を見つけるには、業界研究が欠かせません。現在の仕事が自分に合わないと感じているなら、業界や職種を間違って選択している可能性があります。
仕事探しをする際、どのように職種を研究すればよいのか見ていきましょう。
実際に働いている人の声を聞く
書籍や企業の公式サイトなどを活用すれば、その業界や職種について把握できます。特定の業界に特化した情報が掲載されている業界紙に目を通すのも、1つの方法です。
わざわざ購読しなくても、図書館などに収蔵されているものを利用できる場合もあります。より具体的な情報を知りたいのであれば、実際に働いている人に聞く方法がおすすめです。
身近に働いている人がいない場合、企業が主催するイベントやセミナーに参加すると、現場の声を聞けます。不明点があるときは、積極的に質問しましょう。
職種や業界の動向をチェックする
年収や将来性、業界の規模などの動向を知ることも、就職・転職先を選ぶ材料です。業界紙や著名人のインタビュー記事などを読んで、参考にしましょう。
将来性が高い職種であれば、昇給やキャリアアップがしやすくなります。社会的な需要が高い職種は、それだけ好条件で就職・転職できる可能性が高まります。
全ての企業に当てはまるわけではありませんが、職種や業界を選ぶ際の参考になるでしょう。
自分に合った職種を見つけよう
職種と業種はどちらも仕事について表す言葉ですが、厳密な意味は異なります。個人がしている仕事を指すものが職種である点を押さえておきましょう。
職種や業種を十分に研究し、自己分析で自分の強みや弱みを明らかにすれば、やりたいことと適性が一致する仕事が見つかります。
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