毎年ボーナスが支給される会社は多くあり、仕事のモチベーションにしている人もいるでしょう。一方で、ボーナスが支給されない会社もあります。ボーナスのない会社の特徴は何でしょうか?ボーナスのない会社から、転職するポイントなども解説します。
正社員なのにボーナスがない会社がある?
ボーナスは固定給とは別に、会社が任意で社員に支払うものであり、賞与や特別手当とも呼ばれています。
多くの会社では、毎年夏と冬の2回ボーナスを支給していますが、ボーナスのない会社も少なくありません。ボーナスが支給されない会社はどの程度あるのでしょうか?
約3割の会社でボーナスがないとされる
厚生労働省の「毎月勤労統計調査令和5年9月分結果速報等」によると、2023年の夏季賞与(ボーナス)について、65.9%の事業所が支給していることが分かります。
逆にいえば、全体の34.1%が社員にボーナスを支給していないことが分かるため、現状では3割程度の会社はボーナスがないと考えてよいでしょう。
ボーナスのない会社の中には、初めから社員にボーナスを支給していない会社もあれば、年度によってボーナスをカットするところもあります。
出典:毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果速報等(P.13)|厚生労働省
ボーナスがなくても違法ではない
ボーナスは、会社が固定給のほかに任意で支給する賃金であり、法的な支払い義務はありません。会社が一定以上の利益を上げた場合、社員に対して一部を還元する位置付けのもので、欧米では主に、社員が著しい業績を残した場合に支給されます。
日本でも社員に利益を還元する目的があるものの、定期的に会社が支給する賃金のイメージが強く、当たり前に支給されると考えている人も多くいます。
しかし、あくまでも支給するかどうかは会社の自由であり、たとえ不支給でも違法ではありません。年度によって支給しなかったり減額したりするのも、会社側の自由です。
転職の際にボーナスを期待しているならば、転職希望先の企業が毎年安定してボーナスを支給しているか、きちんと調べておくことが大切です。
ボーナスがない会社の特徴や理由
前述の通り、現状では全体の3割程度の会社が、社員に対してボーナスを支給していません。ボーナスがない会社の特徴は何でしょうか?
業績が低迷している
業績が低迷しており、社員にボーナスを支給できない会社は少なくありません。
事業を運営するだけで資金的に手いっぱいで、社員に利益を還元する余裕がないケースもあります。業績の悪化により、前年まで支給していたボーナスを打ち切るしかない場合もあるでしょう。
一時的な業績の低迷ならば、その後に状況が改善し再び社員にボーナスを支給できる可能性があるものの、経営状態が著しく悪化していれば、ボーナスを出せる見通しが立たない場合もあります。
労働組合がないケースが多い
労働組合がある会社の場合、団体で交渉することで、会社がボーナスを支給する例もあります。労働組合が結成された背景にはボーナスを求める動機もあるため、労働組合の力が強い会社では、社員にきちんとボーナスを支給する傾向にあります。
一方、労働組合のない会社では、社員が団結して支給を訴えることが難しいのが実情です。団体での交渉が難しく、経営陣がボーナスを支給する気がない場合は、状況の改善が見込めない場合もあるでしょう。
年俸制を採用しているケースも
年俸制を採用している会社でも、社員にボーナスを支給していないケースが目立ちます。年俸制は1年単位で対象となる社員の総給与額を決めており、月々の給与にボーナスが含まれている場合も珍しくありません。
月給制の会社に比べて月々の給与は高めの傾向にありますが、ボーナスがない場合も多いので、転職先を選ぶ際には注意しましょう。ボーナスも含めて、全体の収入がいくらになるかを比較することが大事です。
ボーナスがない会社で働くメリット・デメリット
ボーナスを支給している会社とそうでない会社を比べた場合、前者の方が転職先として魅力的に感じられるでしょう。
しかし、ボーナスがない会社で働くメリットもあります。メリットとデメリットを比較した上で、転職する会社を選びましょう。
【メリット】基本給が高め
ボーナスを支給していない会社は、年俸制のように月々の給与が高いケースがあります。毎年のボーナスを気にすることなく、安定した収入を期待できるため、人によっては精神的に落ち着いて仕事ができるでしょう。
また、ボーナスは会社の状況によってカットされてしまう可能性もあります。会社の業績に振り回されたくない人も、基本給が高めで、ボーナスのない会社への転職を検討してみるのも選択肢です。
【デメリット】楽しみが減る
多くの金額をもらえることから、毎年ボーナスを楽しみにしている人も多いでしょう。まとまった収入を楽しみに仕事をしている人は、ボーナスが出ない会社に勤めると、仕事のモチベーションに影響が出る可能性もあります。
また、ボーナスを使って貯金をしている場合、毎月の給与からきちんとためる習慣を付けないと、安定した貯金が難しくなるでしょう。生活習慣やライフスタイルを見直す必要があります。
自分がどういったタイプか理解した上で、自分に合った給与形態の会社を選ぶことが大事です。
ボーナスなしで生活を上手に回す方法
ボーナスなしで生活を上手に回すポイントを紹介します。ボーナスが出ない会社に勤めている人でも、収入・支出を明確にした上できちんと家計管理をすれば、安定した生活が可能です。
収入と支出を明確にする
安定した生活のためには、まず月々の収入と支出を明確にすることがおすすめです。高収入でもお金を使いすぎてしまい、貯金ができない人は多くいます。
事実、日本人の平均を大きく超える収入の人でも、家計管理がずさんなことから、お金がたまらないケースは珍しくありません。削れる出費や無駄な出費がないか、まずは収入・支出の状況を客観的に把握することが大切です。
削る出費は固定費から見直す
余計な出費を削って節約をするならば、固定費から削減するのが効果的です。
節約を考える場合、まず食費を削ろうとする人は多くいますが、決まった金額が必要な費用から見直すことで、確実に毎月の生活費を削減できます。家賃やスマホ代など、固定費の見直しから始めましょう。
特に、収入に比べて、高すぎる家賃の物件に住んでいる人は少なくありません。適正な家賃の水準は、月収(手取り)の2~3割程度といわれています。
間取りや室内の設備などにこだわらない人は、安い物件に引っ越すことで、毎月の固定費を大幅に削減できる可能性があります。
貯金は「先取り貯金」がおすすめ
確実に貯金を増やすならば、収入から毎月の出費を引いた余りを貯金するのではなく、貯金する分を先に確保する「先取り貯金」がおすすめです。
給与を受け取った時点で、貯金する分を別の口座に回したり、使わない分として取っておいたりすれば、余計な出費を防げます。
例えば、全体の収入の3割を貯金すると決めておき、貯金用の口座にすぐ移すようにしておけば、毎月確実に貯金を増やせるでしょう。
貯金率は、毎月の生活を圧迫しない範囲で、少し高めに設定するのがポイントです。収入全体の3割以上の貯金がおすすめですが、難しい場合は、1~2割ぐらいからスタートして、徐々に貯金率を上げていくとよいでしょう。
ボーナスがない会社から転職したい場合
ボーナスのない会社に勤めている場合、ボーナスの出る会社に転職するだけでも収入アップを実現できる可能性があります。転職活動を進める上での大切なポイントを3つ挙げ、解説します。
スキル・キャリアの棚卸し
転職を決断したら、まずは自分のスキルやキャリアの棚卸しをしてみましょう。転職活動は自分の能力に見合った企業を選択することが重要であり、企業が求める要素と、自分のスキル・キャリアのマッチングを図る必要があります。
転職の成功率を上げるためにも、これまで仕事で習得した能力やスキルなどを書き出してみましょう。その上で、自分の強みや特性を明らかにして、転職したい企業の採用条件と照らし合わせることが大事です。
自分の経験やスキルが必要とされている企業ならば、スムーズに転職できる可能性があります。
退職理由は前向きなものに
退職理由を説明する際には、前向きな内容を伝えることが重要です。
単に「ボーナスがないから」「年収が低いから」といった理由では、なかなか採用にはつながらないでしょう。収入面を理由として転職を希望するにしても、転職先でどのように活躍できるのか、採用担当者にアピールする必要があります。
転職先のボーナスについて気になる場合は、労働条件の1つとして確認するとよいでしょう。
ボーナスだけにこだわらないよう注意
ボーナスがないからとの理由で転職する場合でも、ボーナスが支給されるかどうかだけで転職先を決めるのはおすすめできません。
たとえ収入が良くても、自分に合わない仕事を選んでしまうと、長続きしない可能性があります。強みや特性を発揮できないので、収入アップにもつながりにくいでしょう。
業務内容や福利厚生・職場環境など、さまざまな観点から自分に合った会社を探すことが大切です。
また、ボーナスの支給条件は企業によって異なり、転職したばかりではもらえない可能性もあります。ボーナスだけにこだわった転職にならないように注意しましょう。
ボーナスがない会社は見極めが重要
多くの会社は毎年ボーナスを支給していますが、全体の3割程度の会社では、社員にボーナスを出していないのが現状です。ボーナスを目的に転職を考えているならば、転職先の会社の給与形態をよく確認しておく必要があります。
また、ボーナスを支給していない会社でも基本給が高いなど、それ以外の部分で有利に働ける可能性もあります。ボーナスの有無にだけ目を向けるのではなく、より広い視点で転職先を探しましょう。
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