近年、兼業・副業が注目を集めています。似たような言葉はいくつかありますが、「兼業」にはどのような意味があるのでしょうか?一般的な意味と、副業との違いを解説します。また、兼業のメリット・デメリットや、始める上での注意点も確認しましょう。
兼業の意味をチェック
「兼業」は、複数の仕事をする場合に使われる言葉です。具体的に、どのような場合に使われるのでしょうか?言葉の意味と、副業との違いを解説します。
本業以外の仕事を持つこと
「兼業」は、複数の仕事を掛け持ちしている状態を指します。本業のほかに、別の仕事をしていれば兼業です。2つの仕事を掛け持ちしている状態であれば、「ダブルワーク」と呼ぶケースもあります。
仕事の内容・雇用形態は、基本的に問いません。正社員・パート・アルバイト・業務委託・起業など、どのような形態であっても、複数の仕事を兼ねていれば兼業に該当します。
兼業にははっきりとした定義は設けられていないため、「本業以外の仕事や事業」を指すと考えておきましょう。
兼業と副業の違い
兼業と副業は、ほとんど同じ意味の言葉です。しかし、漢字の意味から受けるニュアンスの違いはあります。
副業の「副」は、「主たるものに付き添う」という意味を持つ漢字です。単発の仕事やわずかな収入も、「副業収入」といえます。
しかし、「副業」という言葉が使いにくい状況もあります。1つ目の仕事で年間200万円稼ぎ、2つ目の仕事でも同じ程度の時間をかけて年間200万円を稼いでいるようなケースです。
どちらが「主たるもの」なのか、本人にも明確には分からないでしょう。仕事の数が増えるほど、どの仕事が本業とは言い切りにくくなります。
一方の「兼業」は、単に仕事を掛け持っている状態を意味します。仕事の量や程度を問わないため、どれが本業なのか悩む場合にも使いやすい言葉です。
兼業が注目される理由
兼業は、収入を得る手段を増やす目的から注目されています。複数の収入源を持っていれば、収入の増加も狙えるでしょう。
兼業・副業は、国も促進しています。多様な働き方ができるのであれば、1つの仕事だけにこだわる必要はありません。安定した仕事に就きながら、自分のスキル・知識を生かせる兼業先を持つ人もいます。
単に収入を増やすだけでなく、人とのつながりを維持し、起業やセカンドライフの準備にも有効です。目的は人によってさまざまですが、自由な働き方に注目する人は増えています。
出典:副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説|厚生労働省
兼業を行うメリット・デメリットは?
兼業には、メリットとデメリットの両面があります。収入が増え、複数の収入源を確保できる点は魅力ですが、メリットとデメリットの両方を理解した上で、踏み出すかどうか検討しましょう。
兼業のメリット
兼業には、いくつかのメリットがあります。中でも、1つの仕事をするよりも収入が増える点は、最大のメリットといえるでしょう。
また、空いている時間を有効活用できるというメリットもあります。例えば、農業や漁業など自然を相手にする仕事では、特定の時期に仕事が少なくなるケースもあるでしょう。その間、別の仕事を増やせば、時間を有効活用しながら収入減を防げます。
ほかにも、複数の仕事を持つことにより収入が安定する点や、スキルアップや人脈を増やせるなど、利点は多いといえるでしょう。
兼業のデメリット
兼業のデメリットとしては、労働時間が増える点が挙げられます。疲労や睡眠不足によって、本業に悪影響を及ぼすリスクも考えられるでしょう。1つの仕事に集中できず、キャリアアップも難しくなるかもしれません。
また、複数の仕事を掛け持ちしている場合、企業が加入している社会保険の対象から外れる可能性もあります。国民健康保険・国民年金に加入する場合、企業の社会保険より保険料が高くなる可能性もあるでしょう。
どこか1つの会社のみ社会保険の加入条件を満たした場合は、支払う保険料が少ないという点はメリットです。ただし、1つの会社で長時間働く人に比べて、将来もらえる年金が少なくなるデメリットもあります。
兼業を成功させるコツと仕事の選び方
本業とは別に仕事を始める場合、どうすれば成功するのでしょうか?兼業のメリットを生かすコツと、仕事の選び方を解説します。
兼業をする目的を明確にする
兼業を始めようと考えたのには、何らかのきっかけがあるはずです。「収入を増やしたい」「好きな仕事をしたい」「空いている時間を活用したい」「スキルを生かさないかと誘われた」など、さまざまなきっかけがあるでしょう。
一般的に、目的を持つ方が仕事を続ける意欲が生まれます。なぜ複数の仕事をしようと思ったのかじっくり考え、目的に向かって頑張るようにしましょう。
特に、収入面でどうしても兼業をしなければならないような、切迫感のある状況でなければ、疲労をためてまで仕事を増やす意味が分からなくなってしまうかもしれません。目的意識や仕事を楽しむ気持ちを持って、兼業を始めましょう。
適度に休みを取ることも重要
複数の仕事をしていると、時間の配分が難しくなります。特に、フルタイムで働きながら別の仕事もする場合は、適度に休みを取ることも考えなければなりません。残業を続けているのと同様で、疲労がたまっていきます。
余裕を持って、合計で週40時間以内に抑えるとしても、複数の仕事をしていれば移動や準備などにかかる時間が増え、実質的な労働時間が長くなりがちです。
無理をすると、体調を崩したりストレスがたまったりと、デメリットが大きくなります。仕事とプライベートの両方を充実させるためにも、ゆっくりと休む時間や、家族・友人と過ごす時間も確保しましょう。
兼業の選び方
明確な本業がある場合は、仕事の選び方も重要です。本業に支障が出るような仕事を選んでしまうと、うまく進められません。
働く時間帯や時間の長さ、体力的に無理はないかなど、さまざまな観点から本業に支障の出ない仕事を探しましょう。
シフトが重なったり、本業を休まなければならなかったりなどの直接的な問題だけでなく、パフォーマンスを落とさないような働き方も考えなければなりません。
例えば、早起きが苦手なのに、本業の時間にかぶらないからと早朝アルバイトを始めようとしても、失敗する可能性が高いでしょう。自分が無理なく働けるかどうか、しっかり考える必要があります。
兼業をする上での注意点
兼業をする上で、何か気を付ける点はあるのでしょうか?始めてしまってから慌てないよう、必要事項を確認しておきましょう。兼業を始める前に知っておきたい、主な注意点を解説します。
兼業を始める前に就業規則を確認する
会社員や公務員の場合、兼業・副業が禁止されているケースがあります。就業規則で規則違反とならないか、事前に確認しておきましょう。
兼業・副業が解禁されている企業も増えていますが、何らかのルールが設けられている可能性もあります。事前の申請や、職種・労働時間の指定など、ルールがある場合は守らなければなりません。
万が一、就業規則に違反している場合、トラブルにつながる可能性があります。勤務先での評価にもつながるため、仕事を始める前に確認が必要です。
確定申告が必要になるケースも
兼業の場合、確定申告が必要になるケースがあります。それぞれ状況は異なるため、一般的なパターンを確認しましょう。
【確定申告が必要となる主なケース】
- 本業が給与所得以外の人
- 複数の事業を営んでいる人
- 1カ所から給与を受けていて、給与所得・退職所得以外の所得が合計20万円を超えている人
- 2カ所以上で給与を受けていて、一定の条件を満たす人
なお、条件に当てはまらないケースであっても、寄附金控除や医療費控除などで確定申告をする場合は、金額を問わず兼業の収入も申告しなければなりません。
出典:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁
本業とのバランスを取って兼業をしよう
兼業は、金銭面での充実やスキルアップのため、国も推進しています。勤務先で禁止されていない場合は、新たな収入を得る方法として兼業を検討してもよいでしょう。
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