新しいキャリアとして、保育士への転職を検討している人は多いのではないでしょうか？保育士に向いている人の特徴はもちろん、向いていないタイプから適性の確かめ方、保育士資格の取得方法、転職先までを幅広く紹介します。
保育士に向いている人の特徴
保育士として活躍するためには、どのような素質が必要なのでしょうか？保育士の仕事内容を踏まえて、向いている人の特徴を紹介します。
子どもが好き
保育士の主な仕事は、子どもの食事・遊び・排せつなどを含めた世話をすることです。子どもと直接関わる仕事のため、子どもが好きな人は保育士に向いているといえます。
保育士の仕事は、子どもを褒めるだけでは務まりません。全ての子どもが楽しく過ごすためには、暴力・うそといったネガティブな出来事にきちんと対応するスキルも必要です。
ただ、悪いことをしたからといって、感情的に怒っているだけでは子どもの心は離れてしまうでしょう。子どもを叱る際には「なぜ、してはいけないのか」ということを、子どもが理解できるような言葉で説明する配慮が大切です。
感受性が豊かで人の気持ちに寄り添える
感受性が豊かな性格で、人の気持ちを敏感にキャッチできることも、保育士に向いている人の特徴です。保育士が接するのは0～6歳の乳児・幼児が中心なので、言葉で自分の気持ちを伝えられるとは限りません。
口には出さないけれど、心の中に不安を抱いている子どももいるでしょう。子どもの表情・しぐさから、言葉にできない気持ちをくみ取り、声をかけたり、話を引き出したりする感受性の豊かさも、保育士に必要な素質です。
工作・音楽・作文が好き
身の回りのものを使って工作をするのが好きな人は、保育士に向いています。保育室の飾り・子どもが遊べるおもちゃなどを手づくりすることも、保育士の重要な仕事といえるでしょう。
また、楽器演奏・歌などの音楽も、保育の現場では欠かせません。簡単な童謡をピアノで演奏しながら歌ったり、リズムに合わせて踊ったりすることもあります。
さらに、保育士の仕事は連絡帳・保育日誌・おたよりなど、文を書く場面が多いのも事実です。たとえ得意ではなかったとしても、工作・音楽・作文が好きな人は、保育士の仕事を楽しく感じられるでしょう。
年代を選ばずコミュニケーションがとれる
前提として、保育士が関わるのは子どもだけではありません。子どもの保育園での様子を伝えるために、保護者と対面・電話で話すことも、保育士の大切な仕事です。
また、子どもの成長を見守るためには、ほかの保育士・栄養士・事務員などの同僚とのチームワークが欠かせません。
保護者の年代も幅広いため、老若男女を問わずにコミュニケーションをとれる人は、保育士に向いているといえます。
保育士に向いていない人のタイプは？
反対に、どのようなタイプが保育士には向いていないと考えられるのでしょうか？現状では保育士に向いていないといえるタイプと、適性を身に付けるための方法を解説します。
人前で話す・汚れるのが苦手
子どもの前で大きな声であいさつをしたり、絵本を読み聞かせたりする保育士の仕事は、人前で話すのが苦手な人にとってはストレスになりやすいものです。
また、保育士の仕事には、外で砂遊びをしたり、子どものおう吐・排せつなどに対応したりすることも含まれます。
人前で話したり、汚れたりするのに苦手意識があると、保育士の仕事を苦痛に感じてしまう可能性があるでしょう。
保育士をするうちに適性が身に付く場合も
「あまり子どもと接した経験がないけれど、保育士の仕事をしてみたい」という人は多いのではないでしょうか？現時点で子どもとの接し方が分からないとしても、保育士として働くうちに慣れていく可能性は十分にあります。
また、向いている・向いていない特徴は1つの判断材料に過ぎないため、適性があるか否かは保育の現場で働いて初めて分かるものです。保育士としての適性を確かめるために、保育士資格がなくてもできる「保育補助」の仕事をする方法もあります。
保育補助は保育士のサポートをするため、保育士の仕事を近くで見られるのがメリットです。「スタンバイ」でも保育補助の求人を探せるので、思い切って保育現場に出て適性を確かめてみてはいかがでしょうか？
保育士資格を取得する2つの方法
保育士として働くためには、国家資格の保育士資格が必要です。保育士資格を取得する方法は、大きく2つに分けられます。
年に2回の保育士試験に合格
厚生労働省が管轄する保育士試験は、年に2回のペースで開催されています。8科目の筆記試験に全て合格して初めて、実技試験の受験資格を得ることが可能です。
実技試験は音楽・造形・言語のうちから2つを選択し、合格すると保育士資格が取得できます。筆記試験に合格した科目は最長で3年まで有効なので、働きながらでも比較的取得しやすい資格です。
保育補助として働きながら、1年間に数科目ずつ勉強する方法もあります。なお、中学・高校卒業の場合には、児童福祉施設での実務経験が2年必要です。
参考：
保育士になるには？｜厚生労働省
現行の保育士試験の実技試験の内容｜厚生労働省
指定保育士養成施設を卒業する
独学の勉強が難しい場合には、厚生労働大臣が定める指定保育士養成施設を卒業する方法もあります。指定保育士養成施設は、4年制大学・2年制短期大学・2～3年制の専門学校から選択することが可能です。
座って受ける授業から保育実習まで、専門的なカリキュラムが整っています。卒業すると無試験で保育士資格を取得できるため、専門的な知識を身に付けたい人にもおすすめです。
通信教育・夜間学部のある学校を選ぶと、仕事・育児などの合間を活用できるでしょう。さらに雇用保険の条件を満たすと、専門実践教育訓練給付金として費用の一部を補助してもらえる場合があります。
参考：
専門実践教育訓練給付制度のご案内｜厚生労働省
専門実践教育訓練の指定講座を公表しました 〜令和４年４月１日付け新規指定講座は175講座に～｜厚生労働省
保育園以外に保育士資格を生かせる仕事
保育士の資格が生かせる転職先は、保育園だけではありません。保育士として働ける保育園以外の転職先を、簡単な仕事内容と併せて紹介します。
赤ちゃんのケアをする乳児院
事情があって家庭での養育が困難な0～2歳の赤ちゃんを預かり、生活をサポートする乳児院にも保育士が在籍しています。
保育の時間がある程度決まっている保育園とは違い、赤ちゃんの生活場所でもある乳児院は24時間態勢です。もちろん夜勤もあるため、生活が不規則になりやすいのが難点です。
さらに、医師・看護師・保健師など、保育士以外の職種と幅広く連携し、赤ちゃんの体・心・環境などのケアを行います。
施設型の病児保育室
原則として、保育園では発熱などの体調不良が見られる子どもは預かりません。ただ、保護者の中には、子どもの体調不良であっても仕事を休めない事情を抱えた人もいます。
体調不良の子どもを預かってほしい保護者が利用するのが、病児保育室です。病児保育室は病気や、病み上がりの子どもを限られた時間で預かる場所で、保育園に併設されている場合もあります。
病児保育室は日常的に通う場所ではないため、来室する子どもに合わせた対応が求められます。また、子どもの病状によっては、医師・看護師など、専門機関との連携も必要です。
自治体が運営する児童館
赤ちゃんから小学生まで、幅広い年代の子どもと関わりたい場合には、児童館のスタッフとして働く方法もあります。自治体が運営している児童館は、開館時間が決まっている場合がほとんどです。
そのため、固定の時間で働きやすく、残業が少ないのも特徴といえます。運動会・発表会などの大きな行事もないため、持ち帰って仕事をすることもほとんどありません。
さらに保育士資格を生かして都道府県の知事が行う研修を受け、事情があって自宅に帰れない小学生を見守る放課後児童支援員として働くのも1つの方法です。
自分に合った保育の仕事を見つけよう
保育士に向いているのは、子どもが好きでコミュニケーション力がある人です。また、子ども・保護者の気持ちに寄り添う温かさや、工作・音楽をはじめとする手先の器用さなども保育士に生かせるスキルといえます。
ただ、現状で向いている特徴に当てはまらないからといって、保育士の適性がないとは限りません。保育の現場で仕事をするうちに、少しずつ保育士としての適性が身に付いていく可能性も十分にあるでしょう。
「スタンバイ」では保育補助から乳児院・病児保育室など、保育に関連する求人も幅広く扱っています。自分にできそうな保育の仕事を見つけて、新たなキャリアのスタートを踏み出しましょう。
短期大学保育学科・専任教員。音楽、表現、キャリア教育等を担当している。保育所での音楽講師や保育士職としてのキャリアを生かし、2010年に保育士試験実技対策講座(音楽・言語)を開講。経験をもとに大学院修士課程にて学び、2017年より現職。
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