就職・転職の際に欠かせないのが志望動機です。書類選考や面接などでは、ほとんどの場合、志望動機を尋ねられます。税理士として働くためにはどのような志望動機を伝えればよいのか、他の応募者との差別化や効果的な書き方・伝え方のポイントを解説します。
この記事のポイント
- 税理士の志望動機はどう書けばよい？
- 税理士として、自分がどのように活躍したいか、どのように貢献できるかを具体的に伝えることが重要です。
- 前職が税理士と関連がなくてもアピールできるポイントはさまざまある
- 会計業務・顧客対応・コミュニケーション能力・問題解決能力など、前職で培ったスキルが税理士業務にどう生かせるかを強調しましょう。
- NGな志望動機とは
- 年収や待遇面ばかりが強調されていたり、どの事務所でも使い回せるような無難な内容だったりすると、NGと見なされやすくなります。
税理士の志望動機の書き方は？
転職の際に重要視される項目の1つが志望動機です。特に未経験者の場合、なぜ税理士という職種を選んだのか、どのように自分の強みを生かせると考えているのかを、明確に伝えることが求められます。
転職する理由・目的を明確にする
税理士の志望動機を書く際は、転職の理由や目的を明確にすることが大切です。まず、自分がなぜ転職を決意したのかをいま一度振り返り、その理由を具体的に書き出しましょう。なぜ転職したいのかをはっきり言語化すると、筋の通った志望動機が書きやすくなります。
例えば、前職に不満がある場合、それをポジティブな表現に変換します。成長や新たな挑戦を求めて転職を決意したことを伝えると、印象が良くなるでしょう。
前向きな理由であることを強調し、新しい仕事に進む意欲を示すことが重要です。
応募先を分析し効果的にアピールする
効果的にアピールするためには、まず応募先の特色や求める人物像を理解することから始めます。応募先の経営理念や求められるスキルを把握し、自分の持つスキルや経験がどの程度一致しているかを確認しましょう。
もし求められるスキルが不足している場合、どれくらいの期間で習得可能かを自己分析し、具体的な取り組みを示します。
応募先のニーズを理解することで、自分の強みをどのようにアピールするかの方向性も見えてくるでしょう。応募先の分析をしっかり行うことで、より具体的で説得力のある志望動機が作れます。
志望動機の書き方で差別化するコツ
どこの事務所にでも応募できる志望動機を作ってしまえば簡単ですが、それでは採用担当者に強い印象を与えることは難しいでしょう。他の応募者と差別化できる志望動機の書き方を解説します。
応募書類や志望動機は応募先ごとに作る
志望動機を差別化するためには、応募書類や志望動機を応募先ごとに作成しましょう。どの会社にも提出できるような無難な志望動機では、差別化は図れません。
事務所・企業ごとに求める人物像や業務内容は異なるため、志望動機もそれに合わせて工夫しましょう。ただし、全てを一から作り直す必要はなく、それぞれの特色や業務の特徴に合わせた内容を盛り込むことで、オリジナリティーを出せます。
例えば、応募先の事務所が強みとするものが相続税対策や法人向けの税務コンサルティングならば、これまでの会計業務などの経験を生かし、最適な税務プランの提案に貢献できる、といった形で結び付けられます。
自分の経験や学習意欲を具体的に示すことで、志望動機に説得力が増し、他の応募者との差別化が可能です。
これまでのキャリアを強みにする
これまでのキャリアに一貫性がなくても、どの業界にも通用するスキルをアピールすることで経験を強みにできます。
例えば、コミュニケーション能力・問題解決能力・プロジェクト管理の経験など、業種を問わず求められる能力を強調しましょう。また、前職での経験が長く、年齢がネックになると感じている場合でも、それを強みとして生かす方向性で考えられます。
管理職経験のほか、豊富な経験に基づく柔軟な対応力や、落ち着いて判断できる力など、経験から得た能力を積極的にアピールすることで、年齢をプラスに転じることが可能です。
税理士の志望動機｜書き方4つのポイント
資格や経験をどのように生かして成長していきたいか、税理士ならではの専門性や長期的なビジョンを伝えることを忘れないようにしましょう。志望動機を作成する上で大切な4つのポイントを解説します。
この事務所・企業を選んだ理由を明確に伝える
税理士の志望動機を書く際には、「なぜこの事務所・企業を選んだのか」を明確に伝えることが重要です。どの応募先でも同じ理由を繰り返すのではなく、応募先の特徴的な魅力を挙げ、そこでなければ実現できない点を伝えます。
例えば、事務所の業務方針やクライアントに対する姿勢（例：クライアントとの長期的な関係構築を大切にしているなど）に共感しているならば、自分もその価値観を持って税理士として活躍したいという意欲を伝えるとよいでしょう。
応募先の業務内容や方針に共感している、または自分のキャリアアップに必要な環境が整っていると感じることを強調します。
応募先の求める人物像であることをアピール
応募先の求める人物像に合っていることをアピールするには、自分の経験やスキルがどのように応募先のニーズに応えられるかを具体的に伝えます。理念やビジョンを分析した結果を踏まえ、その応募先が求める人物像に共感している点を強調しましょう。
例えば、求める人物像について、「周囲と円滑にコミュニケーションが取れる人」と読み取れたとします。「柔軟な対応力があり、変化に適応できる」など、自分の強みとの共通点を明確にします。
税理士は、数字を扱うだけでなく人と関わる機会が多い職種です。これまでの経験を通じて培った協調性や積極性を生かし、チームワークを大切にしながらどのように貢献できるかを伝えることで、相性の良さをアピールできるでしょう。
税理士としての長期的なキャリアビジョンを組み込む
税理士として長期的なキャリアビジョンを持っていることも、アピールのポイントの1つです。
単に「資格を取得したから税理士として働きたい」という理由では、説得力に欠けます。その資格をどのように生かし、どの分野で専門性を高めていきたいのかを具体的に伝えましょう。
例えば、相続税や事業承継など特定の分野に強みを持つ税理士を目指しているのか、もしくは中小企業の経営支援に力を入れたいのかなど、目標にしている将来の方向性を示すことが大切です。
目先の目標にとどまらず、数年後を見据えたキャリアプランを持っている旨をアピールすれば、成長意欲や将来性があることが伝わります。また、そのキャリアプランを実現するために、応募先の会社がどれだけ自分にとって適しているか、その働きが会社にどのように貢献できるかを伝えましょう。
事務所・企業が得られるメリットを盛り込む
自分を採用することで、その事務所・企業にどのようなメリットを提供できるかも盛り込みましょう。経験やスキルでどのように業務に貢献できるか、またその結果として応募先が得られるメリットを具体的にします。
働く中で自分自身も成長し、キャリアを積んでいける環境であることは大きな魅力です。ただ貢献するだけでなく、仕事を通じて学びや経験を深められる点も重視するとよいでしょう。
また、応募先と自分の双方にとってウィンウィンの関係を築けることを伝えるのも効果的です。成長を重ねながら貢献できる人物であることを示せば、採用担当者の心に残る志望動機になります。
NGと見なされやすい志望動機とは？
志望動機には書かない方がよいこともあります。ネガティブな要素は強調せず、前向きな志望動機を伝えましょう。NGと見なされやすい志望動機について解説します。
年収や待遇面の良さが中心になっている
確かに、年収や待遇面は就職・転職をする上で重要なポイントです。しかし、志望動機がそれらに偏りすぎていると、採用担当者に熱意や意欲が伝わりにくく、マイナスの印象につながる恐れがあります。
「他に条件が良い会社が見つかればすぐに転職するのではないか」と捉えられ、長期的に働く意欲が薄いと見なされるかもしれません。
そのため、給与面に触れる際は、キャリアの成長や応募先でのスキルアップに焦点を当てることが重要です。この事務所で経験を積み、専門知識を深めながら長期的に仕事をしたいといった意欲を伝えることで、前向きな印象を与えられるでしょう。
個性がなく他の応募者に埋もれてしまう
ありきたりな表現や一般的な内容では、他の応募者との差別化ができず、応募先に自分の個性を伝えることが難しくなります。特に応募者が多数いる場合、採用担当者の記憶に強く残る志望動機にしなければなりません。
どの事務所や企業でもいえるような無難な志望動機では、採用担当者から「なぜこの事務所を選んだのか？」という疑問を持たれる可能性があります。
その事務所・企業ならではの特徴に触れつつ、具体的にどのような業務に携わりたいか、どのように成長し貢献していきたいかを、明確に伝えましょう。
独り善がりな印象を与える
自分をアピールすることは大切ですが、業務に関係がない内容を伝えるのは避けた方がよいでしょう。例えば、前職の退職理由や離職期間中の事情については、特に質問されない限り触れる必要はありません。
また、志望動機の中で一方的に自分にとってのメリットばかりを述べるのもNGです。独り善がりと捉えられ、コミュニケーション能力やチームワークについて疑問を持たれる可能性があります。
志望動機は、自分と応募先との双方にメリットがあることを意識して作成しましょう。
面接での志望動機の答え方
応募書類だけでなく、面接の際も志望動機は尋ねられます。面接での志望動機の答え方について解説します。
書面と重なる部分は伝え方を工夫する
面接では、基本的に応募書類と同じ内容を話しましょう。ただし、面接では具体的なエピソードや実績を交えて、より印象に残るように工夫することが大切です。
例えば、「貴社の業務内容や方針に共感し、自分の経験を生かして貢献したい」という志望理由を面接で伝える場合、その理由に具体的なエピソードや実績を交えて話すとより印象に残ります。
自分の熱意や情熱を直接伝えられる点が面接のメリットです。そのため、志望動機は単なる応募理由にとどまりません。自分がどれだけその事務所・企業で働きたいか、どのように貢献できるかを強くアピールする場にしましょう。
退職理由など書面にない内容も考えておく
面接では、退職理由や前職での経験について尋ねられることがあります。その際は、ネガティブな理由を強調するのではなく、ポジティブに表現しましょう。
例えば、「前職では自己成長に限界を感じ、新たなステップを踏み出せそうな貴社で働きたい」といったような前向きなイメージが好ましいでしょう。
転職の意欲や新しい環境で成長したいという前向きな姿勢を示すことで、採用担当者に良い印象を与えることができます。退職理由がどのようなものであれ、転職が次に進むために必然的な選択だったことを伝えられます。
税理士の志望動機は分析がカギ！
税理士の志望動機を書く際は、応募先の理念や仕事内容に共感し、自分の経験やスキルがいかにマッチしているかを具体的に伝えることが重要です。自分のキャリアビジョンや貢献できる点を強調し、他の応募者と差別化を図りましょう。
熱意を持って自分の強みをアピールし、企業にとってのメリットを伝えることが、志望動機を作成するカギです。
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