介護業界でキャリアアップするために、介護福祉士資格の取得を目指している人もいるのではないでしょうか?介護福祉士に向いている人の特徴や資格取得の流れ、キャリアアップのポイントを紹介します。これから介護福祉士を目指す人は要チェックです。
介護福祉士に向いている人の特徴
介護福祉士に向いている人に共通する、3つの特徴を解説します。自分が以下で紹介する条件に該当するなら、介護福祉士としてキャリアを積むことを検討してもよいでしょう。
コミュニケーションが得意である
介護業界で働いていると、さまざまな場面でコミュニケーションスキルが求められます。日々の業務において、多くの人とコミュニケーションを取る必要があるためです。介護福祉士として働くと、日々以下の人と接することになるでしょう。
- 介護施設の利用者(要介護者)
- 要介護者の家族
- 医師・看護師などの医療関係者
- 介護施設で働くほかのスタッフ
良質な介護サービスを提供するには、多くの関係者と協力することが欠かせません。コミュニケーションエラーによる事故を防ぐためにも、誤解がないように意思疎通するための十分なコミュニケーションスキルが必要です。
十分な体力がある
介護の仕事には力仕事が多く、長時間勤務になることもあるため、十分な体力が求められます。日々の介護業務では入浴や移動のサポートを担当することも多く、要介護者を移動させるときなどに体力が求められます。
複数人で担当できれば負担を軽減できるものの、人員配置の関係で難しいこともあるでしょう。
重労働を毎日続けることを考えると、介護福祉士として長く働き続けるには普段から体力を強化するのが大切です。
丁寧かつ責任感を持って仕事できる
要介護者の生活をサポートする仕事は、責任が重い仕事でもあります。要介護者の生命に関わる仕事や、少しのミスが大きなケガにつながる仕事もあるためです。
そのため、1つ1つの仕事を丁寧かつ責任感を持って遂行できる人に向いているといえるでしょう。
介護福祉士としてキャリアを積むことを考えているなら、1度立ち止まって「常に責任感を持って、注意深く仕事できるだろうか」と考えてみることをおすすめします。
介護福祉士が担当する主な仕事
介護施設・訪問介護の現場で、介護福祉士として働く場合に担当する主な仕事を詳しく見ていきましょう。仕事内容は、大きく「実際の介護」と「指導・アドバイス」の2つに分けられます。
日常生活に必要な介護・援助
介護福祉士として働く場合、要介護者が日常生活を送れるよう必要なサポートを与えることが、メインの仕事になるでしょう。具体的には、以下のものが含まれます。
- 食事介助
- 入浴介助
- 移動介助
- 服薬介助
- 家事代行
食事や入浴など、上記に記載したものはいずれも日常生活には欠かせません。要介護者になると自分だけで必要な活動を行えなくなるため、介護スタッフのサポートが必要です。
介護施設・訪問介護のどちらで働く場合でも、要介護者に対して上記のサポートを提供するのは、介護福祉士にとって重要な仕事といえます。
介護に伴う指導・アドバイス
要介護者がどのようなサポートを必要とするのか、家族や担当の医療関係者などからヒアリングし、必要な指導・アドバイスを与えるのも介護福祉士の仕事です。
介護福祉士がフォーカスするのは、必要なサポートを提供することで要介護者が生活面で自立できるようにすることです。
そのため、食事の作り方や介護用品の使い方を教えたり、具体的な介護方針を策定したりします。1人1人の必要に応じてきめ細やかなケアを提供する上で、指導・アドバイスは欠かせない仕事です。
介護福祉士と介護士の違いとは?
介護福祉士と混同しがちな用語に「介護士」があります。この2つの違いを押さえておきましょう。
介護福祉士は国家資格の有資格者
法令によって定められた方法で国家資格「介護福祉士」を取得し、登録した人だけが、介護福祉士の名称を使用できます。そのため、資格を有していなければ介護福祉士にはなれません。
ただし、介護福祉士は名称独占資格に分類されます。業務独占資格とは違い、介護福祉士でなければできない業務はないのが特徴です。介護業界で活躍し、自分のスキル・知識を証明してキャリアアップする目的で、資格取得を目指すとよいでしょう。
参考:社会福祉士及び介護福祉士法 第2条第2項 | e-Gov法令検索
介護士は介護スタッフの総称
介護士とは、介護職で働くスタッフの総称です。何らかの有資格者を指す用語ではなく、以下のような職業を網羅的に指します。
- 訪問介護員
- ケアマネージャー
- サービス提供責任者
- 介護福祉士
介護業界では多くの人が働いており、介護士という名称だけではどのような仕事を担当するスタッフか分かりません。
介護福祉士は、介護士の中に含まれる職種の1つです。数多くの介護士の中で、「国家資格を取得した人のみが介護福祉士に分類される」と考えると分かりやすいでしょう。
介護福祉士の資格を取得する方法は?
介護福祉士の資格を取得するには、受験資格を獲得してから国家試験に合格し、登録を受ける必要があります。ここでは、資格を取得するまでの流れを見ていきましょう。
所定の実務経験を積み、実務者研修を受ける
国家試験の受験資格を得る方法は複数ありますが、すでに介護業界で働いているなら、実務経験ルートを検討するのがおすすめです。実務経験ルートで受験資格を獲得するには、以下の条件を全て満たす必要があります。
- 3年(1,095日以上)の従業経験がある
- 540日以上の従事日数がある
- 実務者研修・介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修のいずれかの研修を受講する
単純に求められている実務経験があればよいわけではなく、特定の研修を受講しなければ受験資格を得られません。実務者研修はハローワークや民間スクールで実施されているため、いずれかで受講しましょう。
介護福祉士国家試験に合格する
受験資格を獲得したら、年1回行われる介護福祉士国家試験を受験しましょう。試験で問われる内容の例は、以下の通りです。
- 尊厳と自立
- コミュニケーション
- 心身の仕組み
- 認知症への理解
- 医療的ケア
- 介護関連の技術
介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験から構成されており、両方に合格することで資格を取得できます。試験に合格して登録を受けたら、介護福祉士の名称を使用可能です。
なお、試験の合格率は年によって異なるものの、2023年に実施された試験では84.3%でした。
参考:第36回介護福祉士国家試験の施行について|厚生労働省
:第35回介護福祉士国家試験合格発表|厚生労働省
介護福祉士のキャリアパスは?
現場で介護福祉士としての経験を積むことで、さらなるキャリアアップの道が開かれます。具体的なキャリアパスの例として、ケアマネージャーと社会福祉士を見ていきましょう。
ケアマネージャーを目指す
介護施設や訪問介護事業所において、以下の業務をメインに担当するのがケアマネージャーです。
- ケアプランの作成
- 介護保険制度関連の事務作業
- 要介護者と事業者の折衝
上記の仕事をスムーズに行うには、介護業界での豊富な経験と深い知識が欠かせません。
そのため、介護スタッフとして経験を積んだ後に介護福祉士資格を取得し、さらに経験を積んでケアマネージャーを目指すのがおすすめのキャリアパスです。上流工程に携わりたいと考えている人は、検討してみるとよいでしょう。
社会福祉士とのダブルライセンスを目指す
介護福祉士と協力して働く存在の1つが、社会福祉士です。社会福祉士は、福祉関係のサポートを必要とするさまざまな人から、相談を受けたりアドバイスを与えたりすることを主な仕事としています。
社会福祉士も介護福祉士と同様に名称独占の国家資格で、資格を取得するには試験に合格しなければなりません。
受験資格を得るには養成施設に通う必要がある上、2023年の試験の合格率が44.2%であったことからも、介護福祉士よりも取得難易度は高いといえます。
地域包括支援センターにおいては、社会福祉士を最低でも1人は配置しなければならない決まりなので、需要も高いといえるでしょう。
参考:第35回社会福祉士国家試験合格発表|厚生労働省
:■地域包括支援センターの人員基準|厚生労働省
適性を把握して介護福祉士を目指そう
介護業界で働いている人の中には、実務経験を積んで介護福祉士の資格を取得しようか思案している人もいるでしょう。
介護福祉士の資格は、長期的に介護業界で活躍するのに役立ちます。適性を把握し自分に合っていると思ったら、介護福祉士を目指してみましょう。
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