資格の取得には、専門的な業種や職種に就ける、専門知識を保有していることを証明できる、キャリアアップを目指せるなどのメリットがあります。40代から取得できる資格は多彩にありますが、自身の将来のビジョンに合った資格を取得することが重要です。
この記事のポイント
- 40代が資格を取得するメリット
- 資格を取得することで仕事の幅を広げられる他、キャリアアップにつながる可能性もあります。
- 資格を選ぶ際のポイント
- 資格を選ぶ際は合格率・難易度や受験資格、自身のキャリアプランに合っているかどうかがポイントです。
- おすすめの資格
- 事務職系では日商簿記検定やITパスポート、不動産系では宅地建物取引士や管理業務主任者、キャリアアップが期待できるものとして社会保険労務士やファイナンシャル・プランニング技能士などがおすすめです。
40代が資格を取得するメリット
まずは、40代が資格を取得するメリットについて詳しく見ていきましょう。専門的な業種や職種に就けたり、専門知識を保有していることが証明できたりするほか、キャリアアップも目指せる点が主なメリットとして挙げられます。
専門的な業種や職種に就ける
資格を取得することで、転職や再就職に役立つ専門知識やスキルが身に付きます。これにより、専門的な業種や職種に就ける可能性が高まるでしょう。
また、国家資格には資格を持っている人でなければ業務に携われない業務独占資格があります。具体的には、医師・弁護士・行政書士・税理士などです。難易度は高いものの業務独占資格を取得することで、その資格で定められた業務を独占的に行えます。
さらに、必置資格の取得も効果的です。必置資格は事業を行う際に最低1人以上の配置が法律で義務付けられている資格で需要が高いため、転職・独立・開業などで有利に働きます。
専門知識を保有していることが証明できる
資格を取得することで、自分の知識や技能が一定の基準以上であることを客観的に証明できます。これにより、未経験者でも即戦力として期待される可能性があります。すでに実務経験を持っている人も、資格を持っている方が社会的な信頼を得られるでしょう。
受験資格の制限が少ない資格もあるため、学歴や実務経験にかかわらず評価される可能性もあります。企業によっては、業務に関連する重要な資格を取得した人に手当が支給されるケースも少なくありません。
キャリアアップが目指せる
40代からでも資格を取得すれば、キャリアアップにつながる可能性があります。資格は専門知識やスキルを客観的に証明するものであり、業務に関連する資格を取得することで昇進・昇給が期待できます。
また、独立・開業を考えている場合にも資格は重要です。資格がなくても独立・開業は可能ですが、資格を持つことでライバルとの差別化や顧客からの信頼や安心感の獲得につながるでしょう。
40代で資格選びをする際のポイント
ここでは、40代で資格選びをする際のポイントを解説します。資格取得はあくまで手段であることを意識し、キャリアプランに沿っている資格や時間や、労力に見合う資格を選ぶことが重要です。
受験資格を満たしているか確認する
学歴や実務経験など、資格によって受験資格が設けられているケースも多く見られます。そのため、事前に自分が受験資格を満たしているかどうか確認することが重要です。級が設けられている資格は、下級を取得しないと受験できないケースもあります。
なお、国家資格は受験資格が設けられているケースが多い一方、公的資格や民間資格は受験資格が設けられていないケースも少なくありません。受験資格を得ることが難しい場合は、受験資格がない資格に挑戦するのも1つの手です。
キャリアアップできる資格を選ぶ
人気や需要が高い資格でも、自身が目指す職種や現在の業務内容に合っていなければ取得しても恩恵は得られないでしょう。そのため、資格を選ぶ際はキャリアプランに沿って見極めることが重要です。
例えば、これまでの経験を生かして転職する場合は、今までの業務に関連する資格を取得するとよいでしょう。未経験の分野に挑戦する場合は、目指したい職種に関連する資格の取得が効果的です。
合格率や難易度など資格情報を確認する
40代は20代~30代に比べて座学から離れている時間が長いため、難易度の高い資格への挑戦はおすすめしません。特に、学習時間を確保できない人や独学で取得を目指す人は、資格取得に手間取ってしまうことも多いでしょう。
自分のレベルや性格に合った資格を目指すことも重要です。なお、資格の難易度を測る際は合格率だけでなく、資格取得にかかる学習時間や出題範囲なども確認しておきましょう。
時間や労力に見合った資格かを確認する
貴重な時間や体力を浪費しないために、時間や労力に見合った資格かどうか確認しておきましょう。難関の資格を取得したとしても就職や転職につながるとは限りません。
企業が必要としていない資格の場合、資格を持っている人材よりも実務経験のある人材が選ばれることも多いでしょう。特に対象の業務に無関係な資格は、就職活動やキャリアアップに有効とはいえません。
【事務職系】40代におすすめの資格
では40代から取得するのにおすすめの資格は、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、40代におすすめの事務職系の資格を紹介します。主な資格として、MOS・日商簿記検定・ITパスポートなどが挙げられます。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSとは、マイクロソフトオフィス製品のスキルを証明する国際資格です。オフィスソフトの知識や操作スキルを証明できる資格で、試験は実技形式で行われるため、パソコンスキルの証明にもつながります。
全国一斉試験と随時試験が行われており、受験はWord・Excel・PowerPoint・Access・Outlookから選択可能です。Word・Excelは一般レベルと上級レベルに分かれ、Access 2019は上級レベルのみ選択できます。
また、年齢や国籍を問わず誰でも受験できます。合格率は公式では非公開となっていますが、一般レベルは約80%、上級レベルは約60%といわれています。
出典:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト
日商簿記検定
日商簿記検定とは、簿記の技能を測る検定試験です。年間約50万人が受験する人気の資格で、経理に必要な知識を身に付けられます。
初級・1級~3級に分かれており、年齢や学歴や国籍を問わず誰でも受験が可能です。試験方法は統一試験(筆記試験)とネット試験に分かれますが、初級はネット試験のみ、1級は統一試験のみとなっています。
公式の発表によると、2024年11月度の統一試験の合格率は3級が29.5%、2級が28.8%、1級が15.1%です。勉強時間の目安は3級が約100時間、2級が約250時間~350時間、1級が約1,000時間~2,000時間といわれます。
ITパスポート
ITパスポートとは、ITに関する基礎知識を問う国家試験です。年間約26万人が受験する注目の資格で、幅広い職種の社会人や学生が受験しています。
出題範囲はストラテジ系が35問程度、マネジメント系が20問程度、テクノロジ系が45問程度です。受験資格はなく難易度も高くないため、IT初心者に向いているといわれます。
2024年9月度の合格率は社会人が51.5%、学生が38.7%です。勉強時間は、IT知識がない人は約180時間、ITの基礎知識がある人は約100時間が目安といわれます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構「ITパスポート試験 試験結果」
医療事務認定実務者
医療事務認定実務者とは、医療事務に関する基礎知識や診療報酬明細書の作成能力を備えていることを証明する民間資格です。2016年に創設された比較的新しい資格で、全国医療福祉教育協会が認定試験を実施しています。
診療報酬明細書に関する業務の知識や技能が身に付くため、医療事務として働ける可能性が高まるでしょう。試験内容はマークシートによる学科試験と実技試験の計90分で、毎月下旬に行われます。
参考書やノートや電卓などの持ち込みが可能なことから、合格率は約60%~80%と比較的高めです。勉強時間の目安は約90時間~180時間で、通信講座の場合は3カ月~6カ月程度となっています。
出典:医療事務認定実務者試験|診療報酬資格認定全国医療福祉教育協会
【不動産系】40代におすすめの資格
ここからは、40代におすすめの不動産系の資格を紹介します。主な資格として、宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理士などが挙げられます。
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは、不動産取引の専門知識を持っていることを証明する国家資格です。毎年約20万人が受験する人気の国家資格で、学歴や経験の有無にかかわらず受験できます。
なお、宅地建物取引士として働くには登録が必要で、登録する際は2年以上の実務経験が必要になります。ただし、国土交通大臣の登録を受けた講習(宅建登録実務講習)を受講し、修了した人は宅建登録が可能となります。
公式によると2024年度の合格率は18.6%となっており、難易度は高めです。また、合格者の平均年齢は35.9歳で、40代でも取得は十分可能といえます。勉強時間は、独学の場合は約600時間、資格予備校に通う場合は約400時間が目安です。
管理業務主任者
管理業務主任者とは、マンションの管理業者がマンションの管理組合と業務委託契約を結ぶ際に必要となる国家資格者です。
学歴や経験の有無にかかわらず受験できますが、管理業務主任者として登録するには2年以上の実務経験が必要になります。ただし、国土交通大臣の登録を受けた講習(登録実務講習)を受講し、修了試験に合格することで管理業務主任者としての登録が可能です。
公式によると2024年度の合格率は21.3%となっており、難易度は比較的高めです。一方、合格者の平均年齢は43.1歳となっており、40代でも取得を狙える資格といえます。勉強時間の目安は約300時間です。
マンション管理士
マンション管理士とは、マンションの運営や維持管理に関するアドバイスを行うための国家資格です。この資格がなくてもマンションの管理業務は可能ですが、取得することでマンション管理士として名乗れます。
公式によると2024年度の合格率は12.7%となっており、取得が特に難しい資格です。一方、合格者の平均年齢は48.8歳となっており、40代でも取得の可能性があるといえます。勉強時間の目安は約500時間です。なお、受験資格に制限はありません。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅の管理に関する知識や技能を持っていることを証明する資格です。2021年に国家資格として認められて以降、注目度が高まっています。
公式によると2024年度の合格率は24.1%となっており、比較的難易度が高めです。一方、合格者の平均年齢は42.0歳となっており、40代でも挑戦しやすい資格といえます。
勉強時間の目安は約200時間~250時間ですが、2020年から問題数が増えており、難易度も徐々に上がっているといわれているため注意が必要です。なお、受験資格に制限はありません。
40代からでもキャリアアップが期待できる資格
次に、40代からでもキャリアアップが期待できる資格を紹介します。主な資格として、行政書士・社会保険労務士・登録販売者などが挙げられます。
行政書士
行政書士とは、官公署に提出する書類の作成や手続きの代理などを行うための資格です。法律系資格の登竜門といわれるほど重要な資格で、他の士業の資格取得にも役立ちます。
公式によると2024年度の合格率は12.90%となっており、取得が非常に難しい資格です。一方、受験者数は30代~40代が最も多く、40代からのキャリアアップに役立てられる可能性があります。
勉強時間の目安は500時間~1,000時間です。なお、受験資格に制限はありません。
出典:最近10年間における行政書士試験結果の推移
出典:最近 3年間における行政書士試験の受験者・合格者の属性
社会保険労務士
社会保険労務士とは、労働・社会保険に関する法律に精通していることを証明する資格です。雇用・社会保険・労働問題などの分野で唯一の国家資格であり、企業からの需要も高いといわれます。
厚生労働省の発表によると2024年度の合格率は6.9%となっており、国家資格の中でも特に難関です。また、受験資格も設けられており、学歴か実務経験か厚生労働大臣が認めた国家試験の合格のいずれか1つを満たす必要があります。
勉強時間の目安は1,000時間以上です。1日3時間勉強した場合、約1年かかります。
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士とは、顧客の資産に応じた貯蓄や投資などのプランを立案・相談するための国家資格です。税金・保険・年金などお金に関する専門知識を生かし、顧客のライフプランの設計や家計の見直しなどを行います。
1級~3級まであり、試験も実技と学科に分かれます。3級の合格率は約85%です。2級になると合格率が約46%まで下がります。1級の学科合格率は10%前後とかなり難関です。
勉強時間の目安は3級が約80時間~150時間、2級が約150時間~300時間、1級が500時間~600時間です。なお、3級は実質的に誰でも受けられますが、2級・1級は認定研修の修了や一定の実務経験などの受験資格があります。
出典:FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ|日本FP協会
登録販売者
登録販売者とは、風邪薬や鎮痛剤などの一般用医薬品の販売や相談対応を行うための資格です。薬剤師に次ぐ医薬品販売のプロで、登録販売者であれば第2類・第3類医薬品を販売できるようになるため、企業にとって大きな戦力となります。
合格率は都道府県によって異なりますが、全国平均で約40%前後です。勉強時間は約200時間~300時間が目安となっています。なお、学歴や実務経験などの受験資格はありません。
40代で資格を取得してキャリアアップを目指そう
40代でも資格を取得することで、仕事の幅を広げられ、キャリアアップにつながる可能性が高まります。資格を選ぶ際は、合格率や難易度や受験資格などの確認はもちろん、自身のキャリアプランに合っているかどうかもポイントです。
これまでの経験やスキルを生かしたい人は、現在の業種や業務内容に合った資格を取得して専門性を磨きましょう。新たな分野に挑戦するために資格を取得するのもおすすめです。
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