管理職になりたくない理由は、性別や年齢で異なります。オファーを断れない場合は、転職を検討するのも1つの方法です。管理職になりたくない人の共通点をケース別に紹介し、オファーを円満に断る方法についても解説します。
管理職になりたくない人の割合
出世を目標に仕事を頑張っている人は、少なくありません。一方、世の中には出世を望まない人も一定数存在します。どのくらいの割合の人が、管理職になりたくないと思っているのでしょうか?
約6割が昇進を希望していない
厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」によると、管理職に昇進したいと思わない人の割合は約61.1%です。過半数の人に出世願望がないことが分かります。
「責任が重くなる」「長時間労働になる」「現在の職務内容で働き続けたい」など、昇進を希望しない理由はさまざまです。
また、キャリアに関する別の調査では、昇進を希望する女性の割合が男性より低いという結果も出ています。少し古いデータではありますが、ジェンダーを取り巻く社会情勢に大きな変化がないことから、この調査結果は今も参考になると考えられるでしょう。
出典:平成30年版 労働経済の分析 P230 | 厚生労働省
出典:「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」結果 P7 | 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
【若者】管理職になりたくない理由
出世を望まない理由は人により異なり、世代や性別でも違いがあります。まずは、若者が管理職になりたくない主な理由を見ていきましょう。
プライベートの時間を削られるから
若い世代が出世を希望しない理由の1つに、プライベートの時間を削られることが挙げられます。若いうちは、まだまだプライベートも充実させたいでしょう。
管理職になると、仕事中心の生活になりがちです。趣味に費やす時間・友人と遊ぶ時間を確保しにくくなるため、プライベートを犠牲にしてまで働きたくないと考える傾向があります。
ある程度年を取り家庭を持つようになると、管理職になってお金を稼ぎたいという意識が芽生えてきます。
現場でスキルアップしたいから
成長意欲が高い若者の中には、現場でスキルアップしたいという理由で、管理職になるのを嫌がる人もいます。今の仕事を続けながら、専門スキルを磨きたいという考え方です。
一般的に管理職になると、専門スキルを磨く機会は減ります。管理職にはある程度の専門スキルも求められますが、マネジメント業務がメインになるため、仕事を通したスキルアップはしにくくなるのです。
現場でスキルアップし続けたいと思っている若者の大半は、先を見据えて自分を成長させたいと考えています。
【40代】管理職になりたくない理由
ある程度年を取ると、管理職になりたくない理由も若者とは大きく違ってきます。出世を望まない40代は、どのような考えを持っているのかを紹介します。
メリットを感じられないから
40代にもなると、仕事を通して管理職の現状が分かってきます。会社によっては、管理職になっても年収がそれほど上がらないケースもあるのです。
また、管理職の大変さを長期間身近で見続けてきた人の中には、「自分はこのような激務に耐えられそうにない」と感じる人もいるでしょう。
仕事を通して自社の管理職のことがよく分かるからこそ、管理職にメリットを感じられなくなり、「収入は増えなくてもいいから、このまま慣れた仕事をし続けたい」と考えるようになるのです。
責任の重さを知っているから
チーム・部署のマネジメントを行う管理職は、一般社員より責任が重くなります。基本的には自分のことだけ考えればよい一般社員と違い、管理職はチーム・部署の責任を負わなければなりません。
部下のミス・トラブルが発生した場合、自分の責任として対処する必要があります。チーム・部署が目標を達成できるかどうかも、管理職の責任になるのです。
40代の社員は、このような管理職の責任の重さを身近で感じているため、「管理職になって今より責任が重くなる仕事をしたくない」と考える人も一定数出てきます。
【女性】管理職になりたくない理由
管理職になりたくない女性の中には、男性とは違う理由を持っている人もいます。出世を望まない女性特有の理由を紹介します。
育児・家事と両立できなくなるから
女性が管理職になりたくない大きな理由に、育児・家事と仕事を両立できなくなることが挙げられます。管理職になると仕事が忙しくなり、融通が利きにくくなるのです。
女性の社会進出が進む近年においても、「育児・家事は女性がメインにするもの」という意識がまだまだ根強く残っています。共働き世帯では、育児・家事の負担が女性に重くのしかかっているのが実情です。
管理職になりたいと思っても、「家庭と仕事を両立できなくなるのではないか」と不安に感じ、出世をためらってしまいます。
ロールモデルが少ないから
近年は女性の管理職も増えていますが、男性に比べるとまだまだ少ないのが実情です。会社によっては、女性の管理職が1人もいないケースもあります。
ロールモデルが少ない環境では、女性が管理職としてやっていけるのかどうか判断しにくいでしょう。自分が会社で初めて女性の管理職になる場合は、試行錯誤しながら家庭と仕事を両立していかなければなりません。
このように、前例がない会社で女性が管理職になろうとする場合、心理面で大きなハードルを感じてしまうのです。
管理職になりたくない人向けの対策
管理職になりたくないと思っている人が、意識したいポイントについて解説します。特に、オファーを受けた場合の対処法はしっかりと押さえておきましょう。
管理職のメリットも知っておく
管理職にはデメリットだけでなく、メリットもあります。メリットを知った上で、管理職になるかどうか検討するのがおすすめです。
管理職の代表的なメリットには、以下のようなものがあります。
- 収入が増える可能性がある
- さらなる出世を狙える
- 経験が転職で生きる
- 仕事の幅が広がる
- やりがいを感じられる
管理職に向いているのは、マネジメントスキル・コミュニケーションスキルが高い人です。自分に向いているかどうかもチェックし、向いていれば活躍できる可能性もあります。
オファーは円満に断る
会社から管理職のオファーを受けた場合は、円満に断りましょう。オファーを断って会社との関係が悪くなると、その後の業務にも悪影響を及ぼしかねないためです。
管理職のオファーを受けた際の、円満な断り方を紹介します。
- ワーク・ライフ・バランスを重視したい
- 家庭の事情がある
- 管理職としてやっていける自信がない
- 現在の業務に専念したい
管理職をオファーされたということは、自分の能力が会社に認められていることに他なりません。どのような理由で断るにしろ、相手に納得感を与えることが大切です。
転職を検討する
管理職のオファーをどうしても断れない場合は、転職を検討するのも1つの方法です。転職先でもいずれオファーを受ける可能性はありますが、とりあえず現職の経歴はリセットできます。
また、オファーを1度断ると、会社からの期待値が下がるケースがあります。気が変わって管理職を目指そうと思っても、再打診される可能性は低いでしょう。このような理由から、オファーを1度断った場合も転職を視野に入れておくのがおすすめです。
管理職になりたくない人が転職する際は、専門職として長く働けそうな転職先を探しましょう。プレイングマネジャーの求人に応募する方法もあります。
管理職になりたくない人は多い
管理職になりたくない人の割合は約6割に上っており、理由は性別や年齢で異なります。管理職になりたくない人は、会社から管理職のオファーを受けたら円満に断りましょう。どうしても断れない場合は、転職するのも1つの方法です。
管理職になりたくない人が転職先を探す場合は、「スタンバイ」を活用するのがおすすめです。全国の求人が豊富に掲載されているため、管理職にならなくてもよい仕事がすぐに見つかるでしょう。