CRC(治験コーディネーター)の仕事とは?業務内容や向く人を紹介

転職先としてCRCに注目しているなら、業務内容ややりがいを知っておくのがおすすめです。必要な能力・スキルが分かれば、自分に向いているかどうかも判断できるでしょう。CRCとはどのような仕事なのか、転職を検討する際に役立つ知識を紹介します。

CRC(治験コーディネーター)とは?

医療従事者とビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

治験に携わるCRCは、具体的にどのようなことをする職業なのでしょうか。まずは、CRCの意味や特徴を紹介します。

治験に協力する医療従事者

CRC(Crinical Research Coordinator)は、治験業務全般をサポートする職業です。治験に関わる多くの人たちの間を、調整する役割を担っています。

治験とは、製薬会社が新たに開発する薬について、医薬品としての承認を得るために行う臨床試験のことです。人を対象に治験を実施し、薬の有効性・安全性を確認します。

製薬会社・医療機関・被験者など、治験にはさまざまな関係者が存在します。それぞれと協力しながらサポートや調整を行い、治験をスムーズに進めることが、CRCに求められる役割です。

CRC(治験コーディネーター)の業務内容

医療従事者とビジネスパーソン

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CRCは、医療職に分類される職業ですが、一般的な医療従事者とは仕事の内容が大きく異なります。CRCの基本的な業務内容を、見ていきましょう。

治験開始の準備やミーティングへの参加

CRCは、治験の準備段階で、「プロトコル」と呼ばれる治験実施計画書の内容を理解しなければなりません。治験実施計画書とは、治験の対象となる疾患や、治験で使用される薬についてまとめられた資料です。

治験実施計画書を確認した後は、スタートアップミーティングに参加し、医療機関のスタッフに対して治験の説明を行います。ミーティングの進行や資料作成も、CRCの仕事です。

製薬会社から搬入される検査キットや検査機器も、CRCが使い方を覚えた上で管理する必要があります。

被験者への説明やスケジュール調整

治験の実施にあたり最初に行うのが、被験者のスクリーニングです。治験の参加者を募集し、参加基準を満たす人を選定します。

スクリーニングで選ばれた人に対して実施するのが、事前に治験内容を説明して同意を得るインフォームド・コンセントです。最終的に同意を得るのは医師の仕事ですが、CRCはインフォームド・コンセントを行う場で説明のサポートを担当します。

被験者のスケジュール管理や治験実施時の被験者対応も、CRCの仕事です。治験依頼者に提出する症例報告書(CRF)も、CRCが作成しなければなりません。

治験終了報告書の作成

治験が全て終了したら、CRCは治験終了報告書を作成します。報告書の最終的なチェックは医師が行いますが、下書き段階のデータをまとめるのはCRCの仕事です。

治験終了報告書をはじめとした治験記録の資料は、一定期間の保管が義務付けられており、CRCが責任を持って保管します。

なお、製薬会社や規制当局の監査が実施される場合は、CRCが終日対応しなければなりません。監査対応では、資料の提出や院内設備の説明などを行うほか、医師が質疑応答に臨む際のサポートも担当する必要があります。

CRC(治験コーディネーター)のやりがい

ミーティングをするビジネスパーソンと医療従事者

(出典) pixta.jp

CRCとして働く場合、どのようなやりがいを感じられるのでしょうか。仕事の魅力を知り、転職を検討する際の参考にしましょう。

医療の発展に貢献できる

CRCの大きなやりがいの1つとして、医療の発展に貢献できる点が挙げられます。自分が関わった治療薬が治験を通して承認されれば、大きな社会貢献につながります。

治験の最終目標は、厚生労働省から新薬の承認を得ることです。治験のデータは、新薬が承認されるかどうかを大きく左右するため、データのクオリティーを高めるために、CRCにも優れた技量が求められます。

治験計画に沿った正確なデータが得られ、結果的に自分が携わった新薬が承認されれば、仕事にやりがいを感じてモチベーションも高まるでしょう。

患者から直接感謝を伝えられる

CRCは、患者に近い立場で仕事ができる職業です。スクリーニングから治験終了まで、被験者と接する頻度はCRCが最も多いといえるでしょう。

「治験に参加してよかった」「新しい薬が効いた」など、感謝の言葉を直接もらえるため、治験中に忙しかった場合もやりがい・達成感を味わえます。

被験者の中には、初めての治験への参加に不安を感じている人もいます。相手の気持ちに寄り添ったサポートができる人なら、CRCの仕事にやりがいを持って取り組めるでしょう。

CRC(治験コーディネーター)に必要な能力

打ち合わせをする白衣の人物とビジネスパーソン

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CRCに求められる能力を紹介します。それぞれの内容を確認し、自分がCRCに向いているか判断する上で役立てましょう。

コミュニケーション能力

CRCには、治験のさまざまな関係者とコミュニケーションを図る機会があります。適切なやりとりを行い、治験をスムーズに進めるためにも、高いコミュニケーション能力は必須です。

被験者・製薬会社・医療機関以外にも、被験者の家族や規制当局の関係者とのやりとりも発生します。求められる接し方も、相手によりさまざまです。

中には関係者との交渉が必要なケースもあるため、コミュニケーション能力だけでなく、交渉事が得意な人にも向いているでしょう。

スケジュール管理能力や事務処理能力

被験者のスケジュールを適切に管理し、治験をスムーズに進める能力も、CRCに必要なスキルの1つです。被験者が多い場合は、より丁寧な管理が求められます。

また、CRCは治験を通して、さまざまな資料を作成しなければなりません。書類作成のサポートや報告を的確に行える、高い事務処理能力も必須です。

治験について被験者に説明する際も、専門用語を分かりやすく言い換えて伝える必要があります。情報を正確に理解した上で、適切な伝え方ができる能力もあるとよいでしょう。

CRC(治験コーディネーター)になるには

医療従事者とビジネスパーソン

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CRCへの転職を検討しているのであれば、なり方についても理解を深めておきましょう。持っていると転職に有利な資格も紹介します。

SMO(治験施設支援機関)への所属が一般的

CRCが働く主な場所は、SMO(治験施設支援機関)と医療機関です。医療機関で働く場合、通常はその医療機関の専属CRCという立場になります。

ただし、医療機関専属のCRCは、大半が内部の人事異動で決まります。元々その医療機関で働いていた薬剤師や看護師、臨床検査技師などの専門職がCRCに就くため、外部に求人が出るケースはあまりありません。

そのため、CRCを目指す場合は、SMOの求人に応募するのが一般的です。CRCへの転職を検討しているなら、SMOの求人を探してみましょう。

CRCへの転職に有利な資格

CRCになるのに特別な資格は必要ありませんが、実務を進める上では専門性を求められるため、医療系の知識・経験があると働きやすいでしょう。

CRCへの転職を目指す場合、薬剤師・看護師・臨床検査技師・管理栄養士など、医療系の国家資格を持っていると有利です。

また、日本SMO協会公認CRCや日本臨床薬理学会認定CRCといった、CRCに特化した資格もあります。医療系の国家資格を持っていない場合は、これらの資格取得を目指すのも1つの方法です。

出典:日本SMO協会

出典:日本臨床薬理学会

CRC(治験コーディネーター)を目指そう

白衣とスーツの人物

(出典) pixta.jp

CRCとは、治験に協力する医療従事者を指します。治験の開始前から終了後まで、関係者の間に立って調整しながら、さまざまな業務に取り組む職種です。

医療の発展に貢献できることや、患者から直接感謝されることが、CRCの主なやりがいといえます。必要な能力やなり方もチェックし、CRCへの転職を目指してみましょう。

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