「フィールドエンジニア」と聞いて、現場での対応、顧客とのコミュニケーションなどを想像してワクワクする反面、具体的な仕事内容をイメージしづらい人もいるのではないでしょうか?本記事ではフィールドエンジニアの仕事内容や必要なスキルを紹介します。
フィールドエンジニアの仕事内容とは?
フィールドエンジニアとは一体どんな仕事内容なのか、具体的な仕事内容や役割、企業ごとの違いなどを詳しく解説していきます。
フィールドエンジニアの役割と重要性
「フィールドエンジニアとは」一体どんな仕事なのでしょうか? 簡単にいえば、普段使っているパソコンやスマートフォン、さらには病院にある医療機器まで、さまざまな電子機器の「お医者さん」のような存在です。現場でトラブルが発生したら、原因を突き止めて修理したり、定期的に機器の点検を行って故障を未然に防いだりします。
ただ機器を修理するだけではありません。例えば、新しいプリンターを購入したお客さまのもとへ訪問し、設置や設定を行いながら、使い方を丁寧に説明します。その際、お客さまの質問に分かりやすく答えることも重要な仕事の1つです。まさに、企業の「顔」として、お客さまと直接コミュニケーションを取り、製品の安心・安全を守っているといえるでしょう。
具体的な仕事内容を紹介
フィールドエンジニアの仕事内容をもう少し具体的にイメージしてみましょう。例えば、ある会社のオフィスで、インターネットにつながりにくいというトラブルが発生したとします。
このとき、フィールドエンジニアはまず、詳しい状況をヒアリングします。「いつからつながりにくいのか」「エラーメッセージは表示されるか」など、原因を特定するための情報を集めます。
その後、実際にオフィスへ訪問し、ネットワーク機器の接続状況や設定を確認していきます。時には、故障した部品を交換したり、ソフトウェアを更新したりする作業が発生することもあります。そして、問題が解決したら、状況を説明し、再発防止策などをアドバイスします。
企業ごとの役割の違いとは?
働く企業によって、フィールドエンジニアの仕事内容にはどのような違いがあるのでしょうか? 大きく分けて、メーカー系、ユーザー系、ベンダー系の3つの企業で働く場合を見ていきましょう。
メーカー系は、自社で製造した製品の設置・修理・メンテナンスなどを担当します。ユーザー系は、特定の企業の社内システムの保守・運用などを担当します。一方で、ベンダー系は、さまざまなメーカーの製品を扱ったり、特定のシステムに特化した専門性の高いサービスを提供したりします。
このように、企業によって扱う製品やサービス、顧客との距離感が異なるため、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
文系でも大丈夫?必要なスキルと未経験からなるには
「フィールドエンジニアとは、具体的にはどんなスキルが必要なの?」「文系出身だけど、活躍できる?」といった疑問を抱く人は少なくありません。ここでは、フィールドエンジニアに必要なスキルや知識、文系出身者の強み、未経験からフィールドエンジニアになるための方法について詳しく解説します。
フィールドエンジニアに必要なスキル・知識とは
フィールドエンジニアの仕事には専門知識や技術力は欠かせません。しかし、それ以上に求められるものがあります。それは、コミュニケーション能力です。
顧客は、IT機器に詳しいとは限りません。「パソコンが動かない!」「インターネットにつながらない!」。そのようなケースのとき、専門用語を使わずに、顧客の目線に立って、分かりやすく状況をヒアリングし、解決策を提案する必要があります。
まるで、通訳のように、顧客と機器の間をつなぐイメージです。さらに、トラブル解決のため、状況を冷静に判断し、適切な行動をとる、問題解決能力も必要です。
文系出身者はどんな強みを生かせる?
では、文系出身者は、フィールドエンジニアの仕事で、どのように自分の強みを生かせるのでしょうか?
文系出身者の強みは、ずばり、コミュニケーション能力の高さです。顧客とのやりとりが多いフィールドエンジニアにとって、これは大きな武器になります。例えば、専門用語を避けて、分かりやすく説明する能力は、顧客の不安を取り除き、信頼関係を築くためにとても重要です。また、交渉力や調整力も、顧客と関係部署との間を取り持ち、スムーズに仕事を進めるために役立ちます。
未経験からフィールドエンジニアになるには
未経験からフィールドエンジニアを目指すことは、決して不可能ではありません。むしろ、コミュニケーション能力や顧客対応力を生かせる仕事なので、文系出身者にも挑戦しやすいといえるでしょう。
未経験からスタートする場合は、まずITパスポート試験や基本情報技術者試験などの資格を取得し、ITの基礎知識を身に付けることがおすすめです。
その上で、未経験者向けの研修制度が充実した企業を探したり、転職エージェントを利用したりするのも有効な手段です。転職活動では、未経験ながらも「お客さまのために役立ちたい」「コミュニケーション能力には自信がある」といった熱意を伝えることが大切です。
フィールドエンジニアのリアルな一日
それでは、フィールドエンジニアとは、具体的にどのような一日を過ごしているのでしょうか? ここでは、業務の開始から顧客先への訪問、トラブル発生時の対応、そして一日の業務の締めくくりまで、具体的な流れを追ってみましょう。
業務開始から顧客先への訪問まで
フィールドエンジニアの朝は、現場へ向かう準備から始まります。多くの場合、企業に所属するフィールドエンジニアは、まず社内での情報共有から1日をスタートさせます。例えば、朝礼で、その日に訪問する顧客先で発生しているトラブルの情報や、緊急性の高い作業などを共有します。
その後、訪問先で必要となる工具や部品などを確認し、社用車に積み込みます。現場で円滑に業務を進めるために、事前の準備を徹底しているのです。準備が整ったら、社用車に乗り込み、顧客先の工場やオフィスへと向かいます。
トラブル発生!どのように解決する?
例えば、工場の生産ラインで使用されているロボットアームが突然停止してしまうトラブルが発生したとします。まず、フィールドエンジニアは、何が原因で停止しているのかを突き止めなければなりません。
ロボットアームの動作状況、エラーメッセージ、センサーの値などを確認し、原因を特定していきます。場合によっては、設計図やマニュアルを参照しながら、システム全体の動作を分析することもあります。
原因が特定できたら、今度はその解決策を検討します。部品の交換が必要なのか、プログラムの修正が必要なのか、あるいは、操作方法に問題があったのかを見極め、適切な対応を行います。
この過程において、フィールドエンジニアは、自身の専門知識や経験に加え、冷静な判断力と、状況に応じて柔軟に対応できる問題解決能力が求められます。そして、最終的にロボットアームを正常に動作させ、工場の生産ラインを再開できたとき、フィールドエンジニアは大きな達成感を味わうことができるでしょう。
業務報告と次の行動計画
一日の業務を終えたフィールドエンジニアは、その日の作業内容を報告書にまとめます。この報告書は、ただ単に作業内容を記録するだけでなく、今後の顧客対応やトラブルシューティングに役立てるための重要な資料となります。
具体的には、どのような作業を行い、どのようなトラブルが発生し、どのように解決したのか、などを詳細に記録します。また、顧客とのやりとりについても記録し、今後の関係構築に役立てます。
さらに、次の行動計画を立て、今後の作業の効率化やトラブルの未然防止につなげます。例えば、部品交換を行った場合、次回交換時期を予測して計画に組み込んでおくなどです。
フィールドエンジニアのやりがいと厳しさ
フィールドエンジニアの仕事について具体的な内容をまとめてきましたが、ここからはこの仕事の魅力と現実について、深く掘り下げていきましょう。
やりがい:感謝される喜びと社会貢献性
フィールドエンジニアの多くが「お客様から感謝の言葉を直接頂けた時、この仕事の価値を心から感じます」と語るそうです。なぜなら、困っているお客さまを、自分の知識と技術で救うことができるからです。そんな責任感と達成感を味わえるがフィールドエンジニアといえます。社会インフラを支えている、という自負も、大きなやりがいにつながっているともいえるでしょう。
厳しさ:プレッシャーと体力的な負担
しかし、華々しい側面だけではありません。時に、フィールドエンジニアは大きなプレッシャーと闘わなければいけない時もあります。
フィールドエンジニアとして大勢の人の生活を支えるシステムを任されている状態で、もし、そのシステムが突然停止したら?お客様は困り果て、助けを求めてくるでしょう。一刻を争う状況の中、冷静に原因を突き止め、迅速に復旧させなければなりません。この責任感と時間との闘いは、想像以上のプレッシャーです。
さらに、現場作業では重い機材を運んだり、狭い場所での作業を強いられたりすることもあります。体力勝負な一面も、フィールドエンジニアの仕事の厳しさと言えるでしょう。
フィールドエンジニアのキャリアパス
それでは、フィールドエンジニアはどんなキャリアを歩める職業なのか、具体的なキャリアパスを見ていきましょう。
専門性を高める道
フィールドエンジニアとして活躍する中で、特定の技術分野を極め、スペシャリストを目指す道もあります。得意分野を磨き、その道のエキスパートとして認められることは、大きな達成感とやりがいを感じられるはずです。
例えば、医療機器のフィールドエンジニアであれば、特定の医療機器やシステムに関する深い知識と技術を身に付けることで、医療現場から頼られる存在になることができます。他にも、ネットワークのスペシャリストとして、大規模なネットワークシステムの構築や運用に携わる道も考えられます。
このように、特定の技術分野に特化することで、市場価値の高い専門性を身につけることができます。
マネジメントに挑戦
スペシャリストとは対照的に、チームを率いてプロジェクトを成功に導く、マネジメントの道を選ぶフィールドエンジニアもいます。これは、個人の技術力だけでなく、リーダーシップやプロジェクト管理能力など、より高いレベルのスキルが求められます。
例えば、複数人で構成されるチームのリーダーとして、メンバーの育成や進捗管理、顧客との交渉などを担当することになります。また、大規模なシステム導入プロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーとして全体計画の策定や工程管理、品質管理などを指揮する立場になることもあります。
マネジメントは、現場で培った技術力と経験を生かしながら、より広い視野と責任を持って活躍できる魅力的なキャリアパスといえるでしょう。
異業種への転職:生かせる経験とスキル
フィールドエンジニアの経験は、他の仕事にも生かせます。フィールドエンジニアは技術的な知識や問題解決能力はもちろんのこと、顧客とのコミュニケーションや調整能力にも長けているといえます。これらのスキルは、営業やコンサルタントなどの異業種への転職においても、非常に価値のあるものとなります。
例えば、顧客との信頼関係を築きながら、ニーズに合わせたソリューションを提案する営業職や、現場で培った経験を生かして、企業の課題解決を支援するコンサルタント職などが考えられます。
フィールドエンジニアとしての経験は、新たな可能性を切り開く貴重な財産となるはずです。
フィールドエンジニアの年収や将来性は?
「フィールドエンジニアとは、一体どのくらいの収入を得られるの?」、「将来は安泰なのか?」と、疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。フィールドエンジニアの年収相場と、求められる経験やスキル、そして気になる将来性について詳しく解説していきます。
年収の相場と求められる経験・スキル
フィールドエンジニアの年収は、経験年数やスキル、担当分野によって大きく変わります。平均年収は約448万円で、これは民間給与実態統計調査(2022年分)の給与所得者平均給与458万円とほぼ同額です。しかし、給与幅は306万円から864万円と幅広いため、自身のスキルアップが年収に直結すると言えるでしょう。
例えば、専門性の高い技術や資格を持つベテランエンジニアは、高収入を得られる傾向があります。さらに、担当分野によっても年収は異なり、高度な専門知識や技術が求められる分野では、より高収入が期待できます。
フィールドエンジニアの需要と将来性
近年、IoTやAIといった技術革新が進んでいますが、それと同時に、フィールドエンジニアの需要も高まっています。これらの最新技術はシステムをより複雑化させており、その導入や運用をサポートできる専門性の高いフィールドエンジニアが求められています。
この流れは今後も加速すると予想され、フィールドエンジニアの将来性は非常に有望です。特に、成長を続けるIT業界では、高い技術力と顧客対応力を兼ね備えた人材は市場価値が高く、安定したキャリアを築ける可能性が高まります。
フィールドエンジニアとしての可能性を広げるために
フィールドエンジニアは、技術力と顧客対応力を生かして、さまざまな現場で活躍できるやりがいのある仕事です。文系出身者でも、コミュニケーション能力や問題解決能力を武器に、未経験からでも挑戦できる職種です。
キャリアパスとしては、スペシャリストとして技術を極める道や、マネジメントに挑戦してチームを率いる道があり、異業種への転職の可能性も広がっています。今後も成長を続けるIT業界で、フィールドエンジニアとしての経験を積み、自身の可能性を広げることができます。
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