そうだ、パリで働こう。—フランスのビジネスマンには唐揚げ弁当が人気らしい。

今回は働く毎日のモチベーションになっているランチをテーマに、現地で聞いた話をお伝えします。

フランスの企業では一般的に食事の補助があって、なかでも「ticket restaurant(チケレストラン)」という小切手をレストランやお店で使う制度があります。食を大切にするパリで働く人々はどんなランチを食べているのでしょうか?

どんなランチを食べているの?

サンドイッチ

(出典) photo-ac.com

オフィスで食べる?外で食べる?

ひと昔前のパリでは、2時間たっぷりとランチ時間をとり、レストランでゆったり食事することがあたり前だったようですが、現在はそんなわけにもいかずオフィスで食べることの方が多いようです。

お昼休憩の時間は、おおよそ12時すぎから14時の間に1時間程度。ただ、フランス人は休憩時間=仲間との貴重な情報交換・おしゃべりの場としてとらえているので同僚となるべく時間を合わせて数人でわいわい食べるようを求められるそうです。

持参するなら、どんなランチ?

フランスの日常食といえば、やはりバゲット。なので、家から持参するランチも、フランスパンに、ハム、チーズ、シーチキン、レタスやトマトなどをはさんだサンドイッチが主流です。

その他には、透明のタッパーに、パスタやリゾットをどばっと入れたランチもよく見かけるとか。フランス人は、持参するランチに関しては、見た目はほとんど気にしないようです。

サンドイッチ・パスタどちらの場合も、フルーツは必須アイテムで、りんご洋梨、みかん等のフルーツを丸々1個食べて、栄養バランスをとっています。

確かにパリでは、街中でもりんごを1個丸かじりする姿を目にします。日本のりんごよりひとまわり小さいので1個食べてちょうどいい量ですし、酸味が強いので、食後にさっぱりできるのかもしれません。私もパリに来てから、ビタミンをとるためにも、頻繁にりんごの丸かじりをするようになりました。

ランチにかけるお金は、いくらぐらい?

パスタランチ

(出典) photo-ac.com

レストランで食べるなら

前述したように、最近はオフィスでランチを済ませることが多くなったとはいえ、天気の良い日だったり、ミーティングや会食を兼ねてだったりなど、レストランでのゆったりランチも行われてはいます。

レストランでランチをとる際、パリでの価格相場は、前菜+メイン、もしくはメイン+デザートのセットでおおよそ12ユーロ程度。こちらに食後は、カフェを飲むと、日本円で約2,000円にもなるので、けっこうな豪華ランチです。

また、ランチに合わせて、「ワインも1杯までならOK!」という雰囲気があり、店に入ると当たり前のようにワインリストも渡されます。ワイン1杯くらいはフランス人にとってアルコールのうちに入らないのかもしれません。飲んだ後に眠くなったり、お酒臭いという心配もまったくしていなように感じます。

テイクアウトするなら

パリには、日本のコンビニのように、数多くのパン屋がありますが、ランチ時になると、オフィス近くの人気のパン屋は、サンドイッチやパンを買う人の行列ができます。

テイクアウトで他に人気なのは、ピザ、ケバブ。これらにカフェや飲み物を買い足すと、テイクアウトの価格相場は、どの店でもおおよそ8〜10ユーロくらいになります。これも1,000円以上しますから、日本で考えるとかなりお高めです。

また、価格の高さに加え、テイクアウトは炭水化物が多いので、栄養の偏りが気になります。近年、パリでも健康志向が広がっており、オーガニックのサラダなどを含むランチが買えるお店も出てきていますが、平均的にもっと高価なので、日常的に通うのは難しそうです。

日本のお弁当・うどん・ラーメンが流行

元々パリでは、日本のような、おかずと炭水化物の入った、彩よくかつ栄養バランスもばっちりのお弁当文化はありません。

ただ、ここ数年、パリでもお弁当(OBENTO)ブームが起きており、いわゆる日本的なお弁当を販売する店が増えています。唐揚げや餃子のがっつり系の弁当をはじめとし、お惣菜が選べるこだわりの弁当まで種々様々なものが売られています。

これらの価格相場は、おおよそ8ユーロから15ユーロ程度。テイクアウトのパンやビザに比べて高めではありますが、ヘルシーで健康に良いと、フランス人にも人気があるようです。

パリでは当たり前!「ticket restaurant(チケレストラン)」とは?

パリのオープンカフェ

(出典) photo-ac.com

ticket restaurant制度で、高いランチもお手頃に

パリの高いランチ事情から労働者を救うため、ほとんどの会社は、福利厚生の一環として、チケレストラン制度を実施しています(社食のある大手企業やまかないのある飲食店等は除く)。

チケレストランとは、レストランやテイクアウトの店で使える小切手のようなものです。パリの店の多くは、このticket restaurant制度に提携しているので、ランチの店選びには困りません。

支給されるチケット価格は会社によりますが、1枚6ユーロか8ユーロが一般的です。このチケレストランのおかげで、10ユーロもするランチが毎日食べられるというわけです。

しかし、実をいうと、このticket restaurantの費用は、半分は会社が負担してくれますが、半分は自分のお給料から天引きされているらしいのです。「チケレストランは必要ないので、その分給料をあげてくれ。」というわけにもいかないので、なんとなく損した気分でもあります。

ただ、このticket restaurant、ランチ以外でも使える自由度の高いもので、週末に使ったり、人にあげたりすることもできます。ある会社勤めの方は、ランチは家から持参し、残ったチケットは奥さんにあげているんだとか。

また、他のある人からは、8ユーロのticket restaurantで、ピカールというフランスの有名な冷凍食品店の商品を2個買い(1個3〜4ユーロでラザニアやピラフが買えます)、1個はオフィスで食べ、1個は家に持って帰るなんていう涙ぐましい節約術を実施しているという話を耳にしました。

おわりに

パリには、ticket restaurant制度という嬉しい補助もありますが、日本を比べると、レストランでのランチ、テイクアウトどちらをとっても、どうしてもパリの方が高くついてしまいます。

また、最近のパリでは、前述したBENTO・ラーメンをはじめ、各国のお手軽なランチ(ビビンパ・フォーなど)が増えてきてはいますが、まだまだバリエーションに乏しくもあります。

安くて・早くて・おいしい、日本の牛丼や駅前そばのような店がパリにできたら、大行列間違いなしでしょう。出店する日を心待ちにしています。

■そうだ、パリに行こう。バックナンバー
vol.1 ゼロから始める、わたしの海外移住計画。
vol.2 フランス人は残業しないって本当?現地で聞いた労働環境のリアル
vol.3 苦労の家探し。鍵よ、どうぞ壊れないでくれ。