そうだ、パリで働こう。—フランス人は残業しないって本当?現地で聞いた労働環境のリアル

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今年9月から夫がパリの飲食店に勤務することになり、念願のパリ生活がやっとスタートしました。右も左もわからず、バタバタの毎日です。

前回の記事で書いたように、私は1年間の有効期間がある長期滞在観光VISAで渡仏したため、フランスでの就労は禁止されています。当分はフランスで働くことはできませんが、近い将来に働くことになっても慌てないようにしたいと現地の人に聞いたフランスのリアルな労働事情をお伝えします。

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日本に比べてフランス人は働く時間が短い?

労働時間の差は週7時間もある

フランスの法律で定められている1週間の労働時間は35時間。日本では42時間なので、週に7時間も短く設定されています。近い欧州国であるドイツは40時間なので他の国に比べてもフランスは労働時間が短い国であることがわかります。

なぜ35時間労働にしているかの理由に、一人当たりの労働時間を制限することで、就労者数を増やしたいという目的があるそうです。フランスでは、労働者はさまざまな法律で守られているので、一度従業員を雇うと解雇するのが日本以上に難しいそう。現実的には少人数で回そうとするために、一人当たりの労働量の負担は大きいといえます。

アフター5の定番ハッピーアワー

1人あたり労働時間を世界で比較してみると、日本は1,745時間なのに対してフランスは1,479時間(※参照)と年間で266時間もの差が!そこまで違うとアフター5の過ごし方にも変わってくるようです。

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パリのカフェには、ディナータイムよりもお得に飲食できるハッピーアワーがあるので、仕事が終わって帰宅する前や夜ご飯の待ち合わせ前に、2〜3杯ひっかけていくなんてことも日常茶飯事。たしかに17時過ぎにパリの街中を歩くと、カフェで同僚と陽気にお酒を飲んでいるスーツ姿のビジネスマンをよく見かけます。

(参照「6-1 一人当たり平均年間総実労働時間(就業者)」データブック国際労働比較2014 独立行政法人労働政策研究・研修機構

フランス人は何時まで働くの?

週35時間労働制でもサービス残業はある

9時に出社してお昼に1時間弱の休憩をとったあと17時に帰宅するのが、平均的なオフィスワーカーの1日。でも本当に1日7時間しか働かないの?それで仕事がまわるの?残業なしで35時間労働って、私が働いていた経験からしてもそんなに短時間で業務がまわるものかと眉唾ものです。

フランス人に「残業ってあまりしないの?」と聞いてみると「オフィスワーカーの場合は普通に残業あるよ」とのこと。マネージャーなどの管理職や営業職はなによりも成果を出すように契約上で求められています。残業という認識はなくても、日本でいうところのサービス残業は意外にも多いみたいです。

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美食の街を支える飲食業は忙しい

また飲食店やホテルといった接客業では、1日12時間働いている人も多いそう。フランス国内でも「接客業=労働時間が長い」というイメージなんですね。自分の権利は堂々と主張する文化のフランスであっても、この業種で働く人はオーナーに残業代を交渉しないケースがあるんだとか。各国から大勢のシェフが修行にやってくる美食の街・フランスの飲食業がそんなに甘いはずないか、と腑におちました。

ちなみに、夫が働くレストランではランチ営業の時間が終わったあとに1時間半の休憩があります。一度家に戻って休んでからディナー営業の仕事に向かいます。また週当たり2.5日のお休みがあるので、日本の飲食業に比べると休みが多い印象ですが、パリではとても忙しい店に分類されるみたいです。

残業してもお昼休みはたっぷり2時間

なるほど。だとすると日本の考え方とあまり変わらないので、仕事がまわっているのにも納得がいきます。質問に答えてくれたフランス人は営業職なのですが、朝8時に出社して20時に帰るそうです。

「えっ、日本とあまり変わらないのね」とさらに話を聞いてみると、お昼休みは2時間たっぷりとっているとのこと。帰宅時間は決して早くはないですが、お昼休みの時間を使って毎日ジムに行きリフレッシュしているとは、やっぱりフランス人と日本人では休みの感覚が違うなと思いました。

パリにも通勤ラッシュはあるの?

電車がこない!交通機関ストライキ

フランスには交通機関のストライキ(通称、スト)ががあります。雇用契約の改正があると、交通機関の従業員が通常運行を拒否するのです。ストは起きる5日前になると、運行変更の公表があって前日には本数を減らした時刻表が提示されます。
事前に知らされるとはいえ、直行便がなくなったりするので混雑は避けられず乗客は大変な思いをします。時刻表通りに電車が来る日本の文化に慣れてしまった私からするとストの文化はどうにも慣れない……気にならなくなる日が来るといいなぁ。

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通勤ストレスの軽減にレンタル自転車

日本と同じように、パリのメトロ(地下鉄)やバスにも通勤ラッシュがあります。ラッシュ時間は、朝8時から9時半くらいで夕方は18時くらい。東京のように「身動きがとれない!」までにはなりませんが、肩と肩が触れ合う程度には混みます。

パリは東京に比べると狭い(パリ市がちょうど東京23区ぐらいの広さ)ので、通勤ラッシュをさけるために「ヴェリブ」という時間貸しのレンタル自転車を使う人も多いです。始業時間が遅めなこと、ラッシュの度合いが低いことを考えると、日本のように会社に着くころには通勤疲れでぐったりといったストレスからは解放されるといえるでしょう。

バカンス中は本当に仕事しないの?

夏休みは1ヶ月とるのが当たり前

フランスの夏休みは、一般的に8月の1ヶ月間をさします。有給休暇が年間30日あるので、日本よりも長めに休みをとれる環境です。1ヶ月も休んで仕事は大丈夫なのかな?と疑問に感じますが、ほどんどの企業がこの夏休みだけはしっかり取ります。8月にパリ旅行へ行かれたことがある方は、レストランが軒並み閉まっていてがっかりした経験をしたことがあるかもしれません。

私が渡仏する前はちょうど8月の夏休み期間に入っていたので、不動産会社や銀行からの連絡がなんの前触れもなくぱったりと止まりました。バカンスの習慣をなんとなくわかっていたつもりでしたが「銀行まで夏休みになるのね!」とフランス人の休むときは休む徹底した姿勢には驚きました。

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バカンス中は街全体がお休みモード

夫の飲食店も8月は夏休みです。ほかにも5月1日のメーデー前後の1週間、ノエル(クリスマス)の1週間はバカンスになります。銀行が閉まっている不便さは、バカンスをとる側になってみるとすっかり忘れてしまって、このお休みをどう使おうかわくわくする気持ちが勝ってしまうのだから不思議ですよね。

日本のようにこまめに休みがとれるのもいいですが、私は長い休みをとって旅行をしたり非日常的な経験をしたいタイプなので、フランス式の方があっているのかなぁと思います。ベルギー、ドイツ、イタリア、スペインといった観光国と国境が接していることから、海外旅行に安く行けるのもフランスならではのバカンスの楽しみ方かもしれません。

おわりに

フランスで働くイメージをしてみた結果どうだったか?

今回フランスの労働時間や休暇について現地の人に聞きながら調べてみた結果、私が元々もっていた「フランス人はあまり働かない」イメージはすっかり覆ってしまいました。どこの国も仕事をするのはそんなに甘くないんですよね。

日本で毎日あくせく働いて、短い夏休みがあっという間に終わっていたことを考えたら、長〜い夏休みをどう過ごそうか想いを馳せながら日々の仕事に励むフランスの働き方が私は好きだなぁと感じました。フランスで働けるようになるのが楽しみ。そんな気分になってきました。

執筆者

株式会社リクルートに13年間勤務後、フリーランスに。在職中は、主に新規事業の担当として、ファッション情報サイト・フリーマガジンを立ち上げ、編集長を務める。また、ファッション・下着通販サイトの立ち上げにも関わり、MerchanDisingとしての経験も積む。2014年末に13年間勤めた同社を退職。夫の仕事の関係で、長年憧れだったパリで新生活を始めることに。趣味は、旅行・食べること・お酒を飲むこと。野菜ソムリエやフードアナリストの資格も持つ。