デイサービス看護師の仕事内容とは。主な業務と1日のスケジュール紹介

デイサービス看護師の役割は、利用者の日常生活を医療面から支えることです。介護スタッフと協力し、健康管理や医療的ケアを通じて高齢者の生活の質を向上させます。デイサービス看護師の業務内容ややりがい、キャリア形成について解説します。

デイサービス看護師の役割と主な業務

看護師と高齢者

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師は、一般的な看護師とはどのような点が異なるのでしょうか?日々の業務内容を通じ、その役割と重要性を理解しましょう。転職を検討している看護師にも役立つ情報を提供します。

利用者の健康管理と医療的ケア

デイサービスとは、要介護認定を受けた高齢者が日中に通い、介護や機能訓練を受ける施設です。デイサービス看護師は、主に「利用者の健康管理」と「医療的ケア」を担います。

利用者が到着すると、血圧・体温・脈拍を測定して体調を確認する「バイタルチェック」を行うのが通常です。普段と異なる点がないか注意深く観察し、必要に応じて服薬の介助も行います。

口腔ケアの指導・支援を行い、口腔衛生状態の維持・改善を図るのも重要な役目です。医療的ケアとしては、褥瘡(じょくそう)の処置や糖尿病患者の血糖値管理を行い、利用者の在宅生活を支援します。

介護スタッフとの連携と指導

デイサービス看護師は、介護スタッフとの密接な連携が求められる重要な職種です。

日々のケアでは、食事や入浴介助時にデイサービス看護師が利用者の健康状態を見守ります。介護スタッフと協力して体調変化に注意を払い、異常があれば迅速に対応しなければなりません。

また、褥瘡の予防や体位変換の方法を介護スタッフに指導し、日常ケアの質向上に努めます。医療的な知識を介護スタッフに伝えることで、利用者はより適切で質の高いサポートを受けられるようになるのです。

機能訓練では、利用者の身体状況に応じた運動プログラムを作成し、介護スタッフと協力して実施します。看護師の医学的知識があることで、安全かつ効果的な訓練が行えるため、利用者の健康維持や回復に大きく貢献します。

緊急時の対応と家族とのコミュニケーション

デイサービス看護師にとって、緊急時の対応は非常に重要な業務です。突然の体調不良や転倒事故が発生した場合、まず利用者の安全を最優先に確保し、バイタルサインを確認します。

必要に応じて応急処置を施し、場合によっては救急車の手配も行います。利用者の健康と安全は、デイサービス看護師の迅速な判断と適切な対応にかかっているといっても過言ではありません。

緊急時には、家族や施設の管理者への連絡を行います。家族には、事故や体調変化の詳細を丁寧に説明し、適切な対応が取られていることを伝え、信頼関係を維持します。

利用者の既往歴や緊急連絡先を日頃から把握しておくことも、迅速な対応を行う上で不可欠です。定期的な緊急対応訓練を通じ、チーム全体の対応力を強化し、緊急時にも冷静に対応できる体制を整えています。

デイサービス看護師の1日のスケジュール

高齢者を迎え入れる看護師

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師の1日は、利用者の健康と安全を守る重要な役割で構成されています。以下では、1日のスケジュールを3つの段階に分けて解説します。

朝の準備から利用者の受け入れまで

デイサービス看護師の1日は、利用者の受け入れから始まります。勤務先によって異なりますが、通常は9時頃に出勤し、ミーティングや業務準備を整えます。

利用者の到着後、バイタルサイン(体温・血圧・脈拍)を確認し、体調に問題がないかをチェックします。これは、利用者の1日の体調管理をスムーズに進めるための重要なステップです。

その後は、各利用者の状態に合わせたケアを行い、日中を安全に過ごせるよう努めます。入浴希望者の介助や軟膏の塗布、褥瘡処置など、仕事内容は多岐にわたります。

特に服薬管理は重要で、昼食後に服用する薬についてもダブルチェックを行い、薬の変更がないか細かく確認しなければなりません。

これらの業務を通じて、デイサービス看護師は利用者の安全を確保し、健康管理を徹底しています。

日中の主な業務と休憩時間

日中の業務は、利用者の健康管理や医療的ケアが中心です。昼食前後には、服薬介助や血糖測定が行われ、食事中には誤嚥の防止に注意を払います。必要に応じて介助し、利用者の安全を守ります。

午後は、看護記録の作成を行うのが一般的です。日々の看護に継続性・一貫性を持たせるため、排せつ記録や健康状況、食事摂取量を丁寧に記録します。

また、レクリエーションやリハビリのサポートを通じて、利用者の心身機能の維持・向上を図るのもデイサービス看護師の重要な任務です。他のスタッフと連携し、利用者の安全を確保しながら、個別ケアを提供しています。

休憩時間は13時頃、1時間程度とみておきましょう。他のスタッフとのコミュニケーションを取りながら、リフレッシュを図ります。

利用者の帰宅から業務終了まで

利用者の帰宅準備は、15時頃から始まります。デイサービス看護師は、バイタルサインの最終チェックを行い、体調の変化がないかを確認します。

特に、日中に体調変化があった場合は、家族への連絡や申し送りをしなければなりません。送迎時には利用者が安全に帰宅できるよう、転倒や事故のリスクには細心の注意を払います。

利用者が帰宅した後は、その日の看護記録を整理し、健康状態の変化や対応したケアについて詳細な記入を行う流れです。

医療材料や消耗品の在庫確認を行い、必要があれば発注します。介護スタッフとのカンファレンスを通じ、利用者の体調や注意事項を共有することも欠かせません。

業務終了前には、翌日の利用者リストを確認し、特別なケアが必要な利用者に関する情報を整理することで、次の日のスムーズな業務進行に備えます。

デイサービス看護師のメリットとデメリット

高齢者の手を取る看護師

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師には、病院勤務とは異なる魅力があります。ここでは、この職種を選ぶ際に考慮すべき重要なポイントを紹介します。

働きやすい環境と安定した勤務時間

デイサービス看護師のメリットは、働きやすさと安定した勤務時間にあります。多くの施設は夜勤がなく、土日・祝日が休みの勤務体制を採用しています。

一般的な看護師と比べ、育児や介護との両立がしやすく、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。利用者との長期的な関わりを持ち、じっくりケアできる点も魅力です。

デメリットとしては、病院勤務に比べて給与が低く、医療的なスキルアップの機会が少ないことが挙げられます。医療行為が少ないため、看護技術の維持に課題を感じる場合もあるようです。

専門性の発揮と継続的なケアの実現

デイサービス看護師の魅力は、専門性を発揮しながら継続的なケアを実現できる点にあります。

利用者と長期的な関係を築くことで、その人の生活背景や健康状態の変化を細やかに把握できます。病気の早期発見や介護予防に貢献し、地域に暮らす人々の生活を支える実感が得られるのです。

実務においては、理学療法士や作業療法士と連携しながら、健康管理・健康相談・口腔機能向上指導・機能訓練などを担当します。例えば、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア指導は、デイサービス看護師の重要な業務の1つです。

このように、病院勤務とは異なる形で看護の専門性を生かせることが、デイサービス看護師の大きな魅力となっています。地域医療に貢献したい人や新たなやりがいを求める看護師にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。

デイサービス看護師の給与と待遇

車いすの高齢者と看護師

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師の給与や待遇は、転職を考える上で重要なポイントです。ここでは、平均年収や給与体系、さらに福利厚生や休暇制度について詳しく解説します。これらの情報は、キャリアプランを考える上で参考になるでしょう。

平均年収と給与体系

デイサービス看護師の給与や待遇は、転職を検討する際の重要な要素です。厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、デイサービスで働く常勤看護師の平均月収は37万5,327円です。

夜勤がないため、病院勤務に比べると低めの傾向がありますが、安定した日勤勤務やワークライフバランスが維持しやすい点が魅力です。

また、東京都23区内の施設では介護報酬が20%増となることがあり、地域差による収入の上乗せが期待できます。賞与は年間50万円程度が一般的で、手取り額は社会保険料や所得税を差し引いて約290万~330万円が目安です。

デイサービス看護師の給与は他の介護職に比べて高めに設定される傾向があります。ただし、給与や待遇は地域・施設ごとに異なるため、不明な点があれば面接時にしっかりと確認しましょう。

出典:令和5年度介護事業経営実態調査結果|厚生労働省

福利厚生と休暇制度

デイサービス看護師の福利厚生は、ワークライフバランスを重視した設計となっています。仕事と家庭の両立を支援する環境が整っているケースが多いでしょう。

健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険はもちろん、退職金制度を導入している施設も少なくありません。

育児休暇や介護休暇といったライフステージに応じた休暇制度も整備されており、長期的に働きやすい環境が整っています。休暇制度では、年次有給休暇のほか、夏季休暇や年末年始休暇も設けられているのが一般的です。

夜勤がなく、日勤のみの勤務体制が多いため、規則正しい生活リズムを維持でき、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。土日・祝日が休みの施設も多く、家庭との両立を目指す人にも適しています。

デイサービス看護師への転職のポイント

老人と話す看護師

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師への転職を考えている人は、何から着手すればよいのでしょうか?キャリアをスタートさせるための具体的なステップを見ていきましょう。

必要な資格と経験

デイサービス看護師として働くには、看護師免許が必須です。正看護師または准看護師の資格があれば、応募が可能です。

病院勤務の経験があることが望ましいですが、必須ではありません。むしろ、高齢者とのコミュニケーション能力や、介護に関する知識の方が重要視される傾向があります。

医師が常駐しない環境で、利用者の健康状態を適切に判断し、必要な対応を取る必要があるため、アセスメント力は不可欠です。介護スタッフとの連携を取る上では、チームワーク力も欠かせません。

デイサービス看護師に向いているのは、高齢者との関わりを楽しめる人や規則正しい勤務体系を望む人です。体力があり、コミュニケーション能力に自信がある人にも適しています。

求人情報の探し方と応募のコツ

デイサービス看護師の求人情報を効果的に探すには、複数の方法を組み合わせるのが賢明です。まず、大手求人サイトを活用しましょう。

「看護師」「デイサービス」などのキーワードで検索すると、多くの情報が得られます。次に、看護師専門の転職サイトも利用すると良いでしょう。これらのサイトでは、より詳細な条件設定が可能です。

地域の介護施設に直接問い合わせるのも一案です。応募の際は、高齢者との関わりに興味があることや、チームワークを大切にする姿勢をアピールしましょう。

面接では、デイサービスの特性を理解していることをアピールし、利用者の生活の質向上にどう貢献できるかを具体的に説明すると好印象を与えられます。

デイサービス看護師の将来性と課題

笑顔で話しかける看護師

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師は将来性が高い職業です。高齢化社会の進展によって需要は急速に増加しており、安定した雇用が見込めます。将来性と直面する課題について詳しく見ていきましょう。

高齢化社会における需要の増加

高齢化社会の進展に伴い、デイサービス看護師の需要は急速に増加しています。総務省の統計によると、65歳以上の高齢者人口は年々増加傾向にあり、2025年には全人口の30%を超えると予測されています。

この人口構造の変化により、デイサービスの利用者数も増加の一途をたどっています。特に、10人以上の利用定員を持つデイサービスでは、看護師または准看護師の配置が義務付けられているため、資格を持つ人材の需要が高まっています。

認知症患者の増加も、デイサービス看護師の需要を押し上げる要因となっています。認知症には、専門的な健康管理が必要なため、看護師の役割がますます重要になっているのです。

このような状況から、デイサービス看護師は今後も安定した雇用が見込める職種といえるでしょう。

出典:統計局ホームページ/令和4年/統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−/1.高齢者の人口

地域包括ケアシステムでの役割拡大

地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい生活を続けられるように、医療・介護・生活支援などを一体的に提供する仕組みです。

これは、医療機関や介護サービスが連携して提供されるだけでなく、介護予防や生活支援も含まれます。デイサービス看護師は、このシステムの中で地域全体の健康管理に関わる機会が増えているのです。

特に、地域の高齢者向けサロンでの健康相談や介護予防教室での指導など、施設外での活動が増加傾向にあります。また、医療機関や他の介護サービスとの連携を通じて、個別性のあるシームレスなケアを実現しています。

医療と介護の架け橋を担うデイサービス看護師

ヘルパー

(出典) pixta.jp

デイサービス看護師は、医療的ケアや健康管理などを通じて、利用者の日常生活を支える職業です。高齢化が進む日本においては、医療と介護の架け橋となり、地域医療を支えることが求められています。

医療スキルの維持や給与の面ではデメリットもありますが、定期的な研修や学びの場を活用すれば、キャリアアップが目指せます。将来性も高く、安定した働き方がしたい人にはぴったりです。

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