基本給20万円の手取りはいくら?控除項目や生活水準、転職のコツも

基本給20万円の企業で働いている場合、実際に手元に残る金額はいくらなのでしょうか?手取りの目安と、引かれる項目について解説します。基本給20万円の生活費や、生活レベルも見ていきましょう。年収を上げるためのコツも紹介します。

基本給20万円の手取りは?何が引かれる?

給料袋と電卓

(出典) photo-ac.com

基本給20万円の手取りは、いくらになるのでしょうか?基本給のみで、手当がない場合の手取りがいくらになるか解説します。基本給から引かれる控除項目についても、それぞれ確認しましょう。

控除項目が引かれ、手取りは16万円

基本給は、残業代や役職手当などを除いた「毎月固定で支給される基本の賃金」を指します。残業やその他の手当がないとすると、月収は20万円です。

月収からは、社会保険料・所得税・住民税などが差し引かれます。差し引かれた後の手取りは、16万円程度が目安です。

何らかの手当がつく場合、差し引かれる保険料や税金が少しずつ増えますが、手取りは増加します。大きな手当やボーナスがない場合、年収は250万円程度が目安となるでしょう。

社会保険料は3万円弱

基本給20万円で他の手当がない人の場合、社会保険料として引かれるのは3万円程度です。

社会保険料には、厚生年金保険・健康保険・雇用保険が含まれます。従業員側が支払う社会保険料の内訳を見てみましょう。

2022年の厚生年金保険料は9.15%です。健康保険料は都道府県や業種によって変動しますが、東京都で協会けんぽに加入している人は4.905%となります。なお、40歳以上になると介護保険料が加算されるため、割合は5.725%です。

雇用保険料は一般の事業の場合、2022年10月の制度改定により0.5%が差し引かれます。

上記の条件の場合、月収から引かれるのは2万9,000〜3万1,000円程度です。

参考:令和4年度保険料額表(令和4年3月分から) | 協会けんぽ

所得税は3,000~4,000円ほど

所得税は給与所得者の場合、毎月源泉徴収税額としておおよその金額が計算され差し引かれます。扶養親族がいない人の所得税は、3,000~4,000円が目安です。

2022年の源泉徴収税額を見てみましょう。社会保険料を引いた後の所得が16万9,000円〜17万1,000円の場合、扶養親族なしで3,700円、1人では2,070 円、2人では460円です。

源泉徴収税額は年収の見込み額から計算されたもので、残業や手当の有無により変化します。最終的に年末調整で各種保険料控除などを終えた後、還付または追加で徴収される仕組みです。

参考:令和4年分 源泉徴収税額表|国税庁

住民税は前年度の収入で決まる

住民税は、前年度の収入により変わります。今の収入が基本給20万円でも、新卒で働き始めた場合のように、前年度に働いていなければ引かれることはありません。反対に、前年度の収入が多ければ、住民税も多くなります。

前年度も基本給20万円で他の手当がないとすると、引かれる住民税は7,000〜8,000円程度です。

住民税は地域によって変動し、扶養親族の有無でも増減します。保険料や所得控除などを差し引き、所得に10%を掛けたものが住民税の所得割の金額です。

参考:個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局

基本給20万円って安い?平均と比較しよう

お金と電卓とデータ

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基本給20万円は、平均収入と比べて安いのでしょうか?年齢によっても、捉え方は変わりそうです。20代・30代の平均年収と、基本給20万円の位置づけを見ていきましょう。

20代は前半と後半で平均年収に差が

基本給20万円は、20代前半のうちであれば一般的な水準に入ります。基本給が20万円であっても、ボーナスや残業代、各種手当があれば年収250〜300万円程度になるでしょう。

2020年度の「民間給与実態統計調査」で平均年収を見てみると、20代前半では260万円、後半では362万円です。

20代後半で基本給20万円の場合、毎月10万円程度の上乗せがあれば平均年収に届きます。

例えば残業代が月3万円、技能手当が3万円、ボーナスが夏と冬に1.5カ月分ずつ出るとなると、平均年収と同程度です。各種手当がない場合は、平均を下回ると考えられます。

参考:令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁

30代からの平均年収は400万円越え

30代になると、平均年収はさらに上がります。2020年度の「民間給与実態調査」によると、400万円を超えています。

しかし、男性は450〜500万円程度、女性は300万円程度と、男女差が大きいのが特徴です。女性の場合、30代で基本給20万円でも、平均年収と大きな差はありません。

男性の場合、歩合給など特殊なケースを除くと、基本給20万円では平均年収を下回るでしょう。

基本給20万円の理想の生活費は?

家計簿をつける

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基本給20万円では、毎月の生活費はどの程度が理想といえるのでしょうか?家賃・生活費・貯金の目安を紹介します。1人暮らしのケースで、シミュレーションしてみましょう。

家賃は5万円ほど

基本給20万円で各種手当がない場合、1人暮らしでの家賃は4〜5万円が目安です。家賃は削りにくい固定費であることから、手取りの25〜30%程度に抑えるよう心掛けましょう。

家賃の目安は、基本給以外の手当やボーナスによっても変わります。しかし、残業代やボーナスはカットされる可能性もあるでしょう。

なるべく固定の手当のうち、30%程度を意識すると他の生活費に余裕が出るはずです。

生活費は7万円前後に抑えよう

手取り15〜16万円で生活する場合、家賃の4〜5万円を引くと、残るのは10〜11万円です。

家賃以外の食費・光熱水道費・通信費・日用品費などは、6〜7万円程度に抑えるのが理想的でしょう。

食費が3万5,000円とすると、光熱水道費1万円、通信費6,000円、日用品費6,000円で5万7,000円です。

被服費・生命保険料・趣味・娯楽費、その他の突発的な出費を合計して1万円とすると、6〜7万円で収まります。

貯金は毎月2~3万円が理想

手取り15〜16万円では、貯金として月2〜3万円を残せると理想的な家計です。基本給20万円のほかにボーナスや残業手当が出る場合は、その分を貯金に回すのもよいでしょう。

基本給20万円だけでは余裕が少ないため、いざというときのために貯金は重要です。家電の買い替えや引っ越し費用など、ときには大きな出費もあります。

転職や病気・怪我で一時的に収入が減るケースにも備えて、最低数カ月分の生活費があると安心です。

基本的には残った貯蓄分は、使わずに貯めていきましょう。最低限の予備費が貯まった後は、住宅購入の頭金や投資費用など、将来のために使う分を貯めていけます。

基本給20万円の生活レベルは?

お札

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基本給20万円では、どの程度の生活ができるのでしょうか?1人暮らしの生活レベルと、夫婦で暮らしていくためのポイントを紹介します。基本的に2人暮らし以上になると、基本給20万円だけで生活費をまかなうのは難しくなるはずです。

1人暮らしの場合、節約を頑張ろう

基本給20万円で各種手当がない場合でも、1人暮らしは可能です。しかし、ある程度の節約は必要になるでしょう。

月の手取りは15~16万円台のため、食費にかけられるのは3~4万円程度が目安です。1日あたりに使える食費は1,000~1,300円なので、外食ばかりしているとすぐに目安を超えてしまいます。1日3食を1,000円前後でやりくりするとなると、自炊は欠かせません。

食費以外も、無駄なものを買わないよう自制が求められます。日用品や洋服は最低限必要なものをピックアップし、娯楽費は残ったお金から出すよう心掛けましょう。

夫婦の場合、共働きは必須

基本給20万円で各種手当がない場合、夫婦で暮らすとなると共働きは必須です。1人暮らしでも余分なお金は2~3万円程度しかなく、2人で暮らすには足りません。

趣味・娯楽費を一切使わないとしても、人数が増えて家賃が上がり、食費・日用品・通信費などにかかるお金が上乗せされると、心許ない金額です。夫婦2人だけであれば、配偶者が短時間勤務でもやりくりはできます。

夫婦でいずれ子どもを持つ予定であれば、2人ともフルタイムで働き、貯金をしておく方がよいでしょう。妊娠・出産と子どもが小さいうちにかかる費用を、貯金と育児休暇手当でやりくりできるなら、子育ても可能です。家事、育児の分担も決めておきましょう。

その他の手当も活用し、できるだけ早く共働きに戻ることを検討した方がよいでしょう。

基本給を20万円からアップさせるには

給料袋の中身を確認する男性

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基本給を20万円からアップさせるには、何らかの努力が必要です。賃上げを待つ方法もありますが、昇進・転職など早めに基本給を上げるコツを解説します。

昇進・昇格を目指そう

基本給を上げるには、昇進・昇格が近道です。基本給が上がるだけでなく、役職手当や技能手当の増加も期待できます。

今の会社で昇進・昇格を目指す場合は、条件を確認しましょう。役職に就くには、会社ごとに査定の基準や必須資格が設定されている可能性があります。

まずは仕事を頑張り、周囲に認めてもらうことが大切です。基準が設けられていない場合、自分から交渉もできます。

日本経済団体連合会の調査によると、2022年の月例賃金引き上げ額は中小企業で平均5,219円、大企業で平均7,430円です。順調に昇給があると、昇進の有無を問わず、基本給は年を重ねるごとに上がっていくでしょう。

参考:2022年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況[了承・妥結含](加重平均)

待遇のいい企業に転職する

基本給20万円で手当がほとんどない企業の場合、20代前半の平均よりやや低い年収になります。年齢を重ねても賃上げが期待できないなら、待遇のいい企業への転職も検討しましょう。今よりも基本給が高い企業に転職するだけで、年収アップは達成できます。

年収250万円以上の求人は豊富です。基本給だけでなく、ボーナスや各種手当、福利厚生を比較して、気になる企業を探しましょう。

スタンバイでは、「こだわり条件」から給与に関するワードを検索できます。高収入や昇給ありなど、給与面の待遇を重視して求人検索をしてみるのもよいでしょう。

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年収が上がれば生活レベルもアップ

通帳とスーツの男性

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基本給20万円で手当がない場合の年収は、250万円程度です。手取りにすると、月15~16万円台になります。

1人暮らしはできる金額ですが、夫婦で暮らすには共働きが求められるでしょう。1人暮らしでも、ある程度の節約は必要です。

年収アップを目指すなら、今の会社での昇進や転職を検討しましょう。基本給20万円を超える求人は多いため、転職による年収アップのハードルはそれほど高くないはずです。

拝野洋子
【監修者】All About 年金・社会保障ガイド拝野洋子

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