SPI試験とはどのようなテストなのでしょうか? 就職や転職で企業の選考を受けるとき、SPI試験が含まれているケースがあります。SPI試験を行う理由やテストの内容をチェックしましょう。併せて受検の仕方や事前にできる対策方法も紹介します。
SPI試験とは?どういうテスト?
適性検査の一種であるSPI試験は、就職や転職の採用試験で多くの企業が採用しています。まずはテストの概要について紹介します。
代表的な適性検査の1つ
SPI(Synthetic Personality Inventory)は総合適性検査を意味しており、「能力検査」と「性格検査」で適性・能力・人柄などを確認するテストです。面接だけでは見えにくい部分をデータ化し知るため、多くの企業が導入しています。2021年の年間利用社数は1万4,400社とされています。
開発したのはリクルートマネジメントソリューションズで、2023年3月時点で提供されているバージョンはSPI3といい、中途採用向けのSPI3-Gや大卒者向けのSPI3-Uなどがあります。
企業がSPI試験を必要とする理由
企業が採用試験でSPI試験を行う目的は人材活用です。自社に合う人材を採用し、適切な部署へ配属できるよう導入しています。自社に合う人材に向いている仕事を任せることで、社員の定着率アップにつながることも期待されているでしょう。
応募者の特性や強み、性格などを把握するため
提出されたエントリーシートや面接での受け答えだけで、応募者の強みや性格を完全に把握することはできません。応募者がどのような人なのか、より詳しく知るために行われるのがSPI試験です。
近年は中途採用を行う企業が増えており、応募者の経歴が多様になっています。シニア・ミドルシニア・外国人材などの採用に積極的に取り組み始めている企業もあるでしょう。
従来の採用活動に関する知見のみでは、多彩な人材を活用しきれないかもしれません。選考の早い段階でSPI試験を行うことで、応募者の適性を把握するねらいがあります。
自社にマッチしている人材か見極めるため
能力が高く優秀な人材だからといって、どこでも活躍できるとは限りません。仕事の仕方や社風が合わなければ、会社になじめず入社後すぐに辞めてしまう可能性もあります。そのようなミスマッチを避けることも、企業がSPI試験を行う理由です。
選考が面接のみであれば、その場の雰囲気に合わせうまくやり取りできる人もいます。早く仕事を見つけたい一心で、面接官に気に入られるような受け答えをすることもあるでしょう。
一方SPI試験は、回答から性格や考え方の傾向を数値化するため、本当の性格や適性が判明しやすいテストです。企業に合う人材か見極めるために用いられます。
採用後の配置先の参考にするため
転職活動でSPI試験を受ける場合、テスト結果は採用後の配属先を決める参考に用いられるケースがあるでしょう。新卒採用は大勢の応募者から次の選考へ進む人を決めなければならず、優先順位をつける目的でSPI試験が活用されることもあります。
中途採用では新卒採用ほど多くの応募者が集まるケースはまれです。SPI試験は応募者がどのような人なのか理解し、配置先の参考にするために用いられます。
SPI試験の内容
SPI試験の内容は、基礎的な処理能力をテストする能力検査と、考え方や行動の傾向を知るために行う性格検査の2種類です。それぞれどのような試験なのでしょうか?
能力検査
能力検査では言語分野・非言語分野の問題に、正しい選択肢を選び回答します。問題の内容を理解し正解を導き出すための処理能力に関するテストです。
言語分野では同異語・反意語・ことわざ・敬語・文法・文章作成能力などに関する問題が出題されます。例えば「言葉の意味に最も合うものを1つ選びなさい」といった問題です。
非言語分野は算数・数学についての問題が出題されます。「Aさんは文具店で200円のノート4冊と100円の鉛筆2本を、Bさんは300円のノート5冊と120円の鉛筆3本を購入しました」といった文が提示され、「Bさんが購入したノートはAさんが購入したノートより何冊多かったか」「Aさんが文具店で支払った金額は合計いくらか」などの問題に回答します。
性格検査
受検した人の性格や行動の傾向を読み解くのが性格検査です。さまざまな質問に選択肢で回答することで、面接では見えにくい部分が見えやすくなり、適切な人材配置につながります。
例えば「以下の質問はあなたの日常的な行動や考えにどの程度当てはまりますか。最も近い選択肢を選んでください」という問題に対し、以下のような質問が出されます。
- 新しいことを始めるときには慎重になる方だ
- 1度始めたことは長く続ける方だ
- 落ち込むことがあってもすぐに立ち直れる方だ
これらの質問に対し、当てはまる・どちらかといえば当てはまる・どちらかといえば当てはまらない・当てはまらないといった指定の選択肢で回答するテストです。
SPI試験を受けるには?
能力や適性を判断するためのSPI試験を受ける方法は、パソコン・テストセンター・ペーパーテスト・インハウスCBTの4種類あります。それぞれの受検方法について見ていきましょう。
パソコンで受検する(webテスティング)
インターネットを利用しパソコンで受検するwebテスティングなら、自宅にいながらSPI試験を受けられます。エントリーした企業から試験のURLが送られてきたら、期限内に受検しましょう。
テストの所要時間65分の間、インターネットの接続が途切れないよう、通信が安定しているか確認した上で受検します。採点結果を受検後すぐにダウンロードし確認可能です。
インターネット環境が整っていればどこからでも受けられますが、スマートフォンでの受検には対応していません。
テストセンターで受検する
SPI試験の開発元であるリクルートマネジメントソリューションズが用意している会場である、テストセンターで受検する方法もあります。受検できる期間が指定されたら、その中で都合のよい日を選び、テストセンターを訪れテストを受けましょう。
会場にあるパソコンを使い、65分以内に問題に回答します。テストセンターで受検した結果は、1年以内であればほかの企業の選考にも利用可能です。
ペーパーテスト形式で受検する
ペーパーテスト形式で受検する場合、応募先の企業が用意した試験会場で行われます。専用の解答用紙へマークシート方式で記入しましょう。
4種類の受検方法の中で、唯一手書きで回答する方法です。能力検査70分・性格検査30分、合計100分以内で回答しなければいけないため、時間配分を意識しながら回答する必要があります。
インハウスCBTで受検する
応募先の企業が用意しているパソコンで受検する方法がインハウスCBTです。能力検査35分・性格検査30分の合計65分でテストを受けます。
インハウスCBTでSPI試験を受ける場合、面接の直前に行うケースが多いでしょう。SPI試験と面接を同じ日に行えば、効率的に選考を進められます。
パソコン・テストセンター・ペーパーテストと比べると、利用している企業の少ない方法です。
SPI試験に有効な対策
応募先でSPI試験が行われるなら、事前に対策をしておくとよいでしょう。受検方法を確認するほか、対策アプリや問題集を使い問題に慣れることも重要です。本番前に模擬試験を受けておくのも有効です。
受検方法や形式を確認する
まずは受検方法や問題の形式を確認しましょう。SPI試験は限られた時間内で多くの問題に回答しなければいけません。パソコンによる受検とマークシートによる受検では、スピーディーに回答するために必要なポイントが異なります。
パソコンで受検するなら、あらかじめ操作に慣れておくと安心です。マークシート方式なら回答欄の位置ずれや、消しゴムのかけ方が甘くマークが重複するといった、ありがちなミスについて確認しておくと役立つでしょう。
対策アプリや問題集で回答に慣れておく
新卒採用と比べると、中途採用はSPI試験によって合否判断が行われる割合はそう高くありません。ただし企業が定めている基準をクリアできていなければ、採用を見送られる可能性はあります。
SPI試験の問題は、出題形式に慣れているかどうかで回答のスピードも正答率も変わってきます。事前に対策アプリや問題集で練習しておけば、受検本番でもスムーズに回答できるでしょう。
模擬試験を受けてみる
本番と同様の形式で受検できる模擬試験を受けるのも有効です。実際のSPI試験と同じように受検すれば、全体にどのくらい時間がかかり、どの分野の問題でつまずきやすいかが分かります。
またパソコンで受検する模擬試験を受ければ、操作方法にも慣れておけます。答えは分かっているのに操作が分からずうまく回答できない、といった状況を避けられるでしょう。
しっかりと対策をした上でSPI試験を受けよう
求人へ応募すると、SPI試験による選考が行われることもあるでしょう。能力検査と性格検査からなるSPI試験は問題数が多く、いきなり本番の試験を受けると思ったほど回答できないこともあります。
スピーディーな回答には慣れも必要なため、受検の形式を確認しアプリや問題集で対策するのがおすすめです。一通り問題を解けば、つまずきやすい場所の確認ができ、本番での時間配分にも役立ちます。
中途採用の試験でも適性を判断する目的でSPI試験を行うケースがあるため、求人を探し応募しつつSPI試験対策もしておくとよいでしょう。
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