自己PRとは自分自身をアピールすることです。高校生においては進学や就職する際に必要となりますが、何をどう書けばよいのか、書き方そのものが分からない人もいるでしょう。高校生が自己PRを作成する際の作成ポイント、ジャンル別の例文を解説します。
この記事のポイント
- 自己PRは就職や進学に必要不可欠
- 自己PRには、自分の長所や強みをアピールすることに加え、企業や学校が求める人物像と合致しているかを見極める役割があります。
- 高校生が自己PRを書くためにやる2つのこと
- 自分の長所と強みを明確にするための自己分析、自分の強みを効果的にアピールするための企業分析、学校分析が必要です。
- 高校生が自己PRを書く際のポイント
- 自己PRは結論から書き始め、次に具体的なエピソードで結論の根拠を書き、最後に結論と根拠から将来の目標へとつなげます。
【高校生向け】自己PRにはどのような内容を書く?
進学や就職において、なぜ自己PRが必要になるのでしょうか。これには、受け入れる側である企業や学校の思いが関係しています。
ここでは、自己PRの必要性、どのようなことを書くのかを解説します。間違えやすい志望動機との違いも確認しておきましょう。
自己PRが必要な理由
自己PRで見られるのは「どのような人なのか」「求める人物像に合っているか」という点です。これは、就職・進学どちらであっても変わりません。
大学・専門学校を受験する方法は、一般選抜(一般入試)と推薦選抜(推薦入試)、総合型選抜(AO入試)のいずれかです。このうち、自己PRが必要となるのは推薦選抜と総合型選抜です。
推薦選抜と総合型選抜は一般選抜と違い、学力以上に学校が求める人物であるかが重要視されます。一般選抜に自己PRがないのはこのためです。
就職では、社風に合っているか、社会人としての基礎ができているかなどが見られます。アルバイトの自己PRと異なるのは、将来をより見据えているという点です。
自己PRをする側は、自己PRを書くことで自分の長所を伝えられます。進学・就職どちらにおいても、自己PRをすることは双方にメリットを与えます。
実績だけが自己PRではない
自己PRと聞くと、胸を張れるような実績や経験が求められると感じるかもしれません。もちろんこれも立派な自己PRですが、実績や経験だけがふさわしい内容というわけでもありません。
自己PRで大切になるのは、自分の強みをしっかりと伝えることです。そのため、学校生活の中で起きた小さな出来事から学んだこと、個人的に取り組んだことなどからでも構いません。
日ごろの生活からどのような刺激を受け、どのように変化・成長したかは、実績とは違うアピールポイントです。実績がないからと落ち込まず、高校生活を振り返って探してみましょう。
何も書くことがない場合は?
自己PRを書くときに多くの人が「書くことがない」という壁にぶつかります。どれだけ考えても書く内容が見つからないという場合は、思い込みが邪魔しているかもしれません。
自分に自信がない人や、特別な経験や実績がない人は、人と比べることで壁がより高くなってしまいます。しかし、特別なものだけが評価されるわけではありません。ポイントは、何を評価するかを決めるのは相手という点です。
「輝かしい何か」に囚われ過ぎず、身近なところから自分の強みになるものを探すことで、自分だけの自己PRを作成できます。それに一役買ってくれるのが「自己分析」です。
自己分析は自分を客観視し、長所・短所・価値観を明確にするもので、自己分析ツールなどもあります。自己分析をしても見つけられない場合は、親や友人に自分の長所・短所を聞いてみるとよいでしょう。
志望動機との違いに注意
アルバイト経験があれば、履歴書の中に「志望動機」と「自己PR」の2つがあることを知っているでしょう。同じようなものと思われがちですが、それぞれ異なる役割を持っています。
自己PRは「自分を入学させる、採用するメリット」、志望動機は「その企業や学校を選んだ理由」です。一貫性は求められるものの、それぞれ視点が異なることを覚えておきましょう。
「関連する資格や実績があるから応募した」というのも、ある意味志望動機となります。しかし、他の企業や学校でも生かせるとなると「その企業・学校を選んだ理由」とはなりません。
提出する書類や面接では、企業や学校が知りたいことを正確に伝える必要があります。そのため、両者をきちんと分けて説明できるようにしましょう。
【高校生向け】自己PRに書くべき自分の長所を探そう
自己PRの作成で大切なのは、自分の長所や強みを理解することです。しかし、長所を他人にすぐ伝えられる人はそう多くありません。
ここでは、自分の長所を自己分析で見つけ出す方法を解説します。企業・学校にとって重要ポイントとなる「求める人物像」へとつなげましょう。
長所や強みを自己分析する
自己PRは自分を理解していなければ書けません。そのため、まずは自分の長所と強みを明らかにしていきましょう。
自分の長所や強みを見つけるには、過去の経験を振り返り、具体的なエピソードを書き出すことが有効です。褒められたこと、やり遂げたことなど、ささいなことであっても書き出してみましょう。
マイナスなことばかりが思い浮かぶという場合は、短所から長所を見つけるのもおすすめです。短所と長所は紙一重といわれ、自分が思う短所は見方を変えれば人にとっての長所でもあります。
例えば、優柔不断は「物事を決められない」という短所となりますが、見方を変えれば「慎重に行動できる」という長所となります。短所を長所に変換できれば、新たな自分を発見できるかもしれません。
企業や進学先が求める人物像を知る
自己分析と同じくらい重要になるのが、企業や学校が求める人物像を理解することです。自己PRとつなげることが大切になるため、自己分析とセットで行いましょう。
企業や学校はそれぞれ独自の理念やビジョンを持ち、それに共感し貢献できる人材を求めています。これを企業では「コンピテンシー」、学校では「アドミッションポリシー」といいます。
求める人物像を理解することのメリットは、自分のどの部分をアピールすればよいかが明確になることです。求める人物に的を絞ることで、効果的にアピールできるようにもなります。
コンピテンシーは企業サイトや求人情報、アドミッションポリシーは学校のパンフレットで確認可能です。自己PR作成をスムーズに進めるためにも、これらの情報を事前に入手しておきましょう。
【高校生向け】自己PRを書く手順とポイント
効果的な自己PRを作成するために、作成の手順とポイントを押さえておきましょう。大まかな流れは「結論」「エピソード」「将来」です。
ここでは、自己PRを書く手順と各ステップのポイントを解説します。自己分析の結果を具体的な文章に変えましょう。
STEP1.結論を先に記載する
分かりやすい文章構成の1つに「起承転結」があります。これは物事を順序立てて説明し、最後に結論をまとめるというものです。
しかし、自己PRでは起承転結だとかえって分かりにくい印象を与えてしまうこともあります。そのため、一番伝えたいことが相手に伝わるよう、自己PRは結論から書き始めるようにしましょう。
自己PRの一般的な構成は、結論→エピソード(理由・根拠)→将来の順番です。文章としては比較的長めになることから、結論が最後にくると印象が薄くなりがちです。
印象付けるという点では、しっかり言い切ることも大切です。「私は粘り強いことが長所だと思っています。」では、せっかくのアピールポイントも説得力を失います。「~だと思います」や「~だと言われます」ではなく「~です」と言い切ることを意識しましょう。
自分の良さを面接官にしっかりと伝えるためにも、曖昧な言葉は使わずはっきりと書くことが大切です。これは文面としての自己PRだけでなく、面接での自己PRにも役立ちます。
STEP2.具体的なエピソードを記載する
結論の次に書くのは、結論に関する具体的なエピソードです。具体的なエピソードを盛り込むことで、自分の強みに説得力がプラスされます。
例えば、長所が「リーダーシップがある」ことだとしましょう。「文化祭で実行委員長を務め、意見の対立を乗り越えて成功に導きました。」というエピソードが加わることで、具体性が出ます。
結論と同じく、曖昧な言葉や抽象的な言葉を使わないことも大切です。自分だけのエピソードを語ることで、面接官はあなたのことをより深く理解できるようになります。
エピソードに関しても、輝かしい何かにとらわれる必要はありません。日々の学校生活や部活動、学校以外での出来事から、結論(長所や強み)に至った過程をしっかりと記しましょう。
STEP3.入社・入学後の将来像を記載する
自己PRの締めとなるのは、入社・入学後に長所や強みをどう生かせるかという「将来の話」です。どのように活躍できるかを具体的に示すことで、面接官に将来性をアピールできます。
そのために必要となるのが、企業や学校が求めていることに絡めることです。企業や学校は自分たちが求める人を欲しがっているため、的の外れた話ではアピールとなりません。
また、話の締めであることから結論とエピソードを絡めることも大切です。自分の持ち味が何に貢献できるのか、持ち味を生かして何に取り組みたいのか、明確に書くようにしましょう。
これにより、面接官は入社・入学後のあなたを想像しやすくなります。数年先を見越した内容であれば、好感度をより上げられるでしょう。
【高校生向け】自己PRで使える例文
大まかな構成が分かっても、いざ書くとなると手が止まるという人もいるかもしれません。そのようなときは、ゼロから始めるのではなく例文を参考にしましょう。
ここでは、4つのパターンの例文を紹介します。自分の自己PRに合わせたものを活用してください。
部活動
「私の強みは、目標達成に向けてチームをまとめ上げるリーダーシップです。私は3年生になってから夏の引退試合まで、バスケットボール部の部長を務めました。
前年の予選敗退という悔しい思いから、チーム全体の意識改革に取り組みました。練習メニューの練り直しや声かけでチーム全体のモチベーションを高め、チーム初となる本戦ベスト4へ導きました。
部活動で得たリーダーシップをゼミやサークル活動で生かし、チームの成功に貢献したいと考えています。また、その経験が将来の夢である商品開発に役立つとも考えています。」
部活動を自己PRとする場合は、部活動での役割、どのように貢献したのかを書きましょう。活動を通して学んだことや成長したことが大切になるため、部長経験がなくても問題ありません。
学校生活
「私の強みは、多様な価値観を持つ人々と協力し、目標を達成する協調性です。私は2年生のときに生徒会で役員を務め、文化祭の企画・運営に携わりました。
テーマを決める際にメンバーの間で意見が対立し、議論がまとまりませんでした。そこで私はそれぞれの意見のメリット・デメリットを整理し、全員が納得できる折衷案を提案しました。
私はこの経験を通じて、多様な価値観を持つ人々が協力することでより大きな成果を生み出せることを学びました。
入社後はこの経験を生かしてさまざまな価値観を持つ人たちが協力できる環境を作り、将来はチームリーダーとして活躍したいと考えています。」
学校生活を自己PRとする場合は、クラスや委員会などでの人との関わり方、問題解決にどう貢献したかなどを記載しましょう。近年は「総合的な学習の時間」をテーマにする人もいます。
資格取得
「私の強みは、目標達成のために努力を継続できることです。私は将来海外で活躍したいという夢があるため、高校在学中にTOEICで700点取ることを目標にしました。
期日を決めることが大切だと思い、3年生の1学期までに取得すると決めました。同時に、苦手なリスニング・スピーキング対策として毎日英語のニュースを聞き、シャドーイングも始めました。
その結果、2年生のうちに700点をクリアし、設定期日よりも早く目標を達成できました。この経験を通じて、目標を達成するには計画的かつ継続的な努力が不可欠であることを学びました。
入学後もこの経験を生かして専門知識の習得に励み、将来は国際的な舞台で活躍できる人材になりたいと考えています。」
資格取得を自己PRとする場合は、資格ではなく取得までの過程をメインに書きましょう。また、取得した資格が将来の目標にどうつながるかも重要なポイントです。
アルバイト
「私の強みは、ニーズを的確に捉えられることです。私は2年生までファミリーレストランでアルバイトをしていました。
子ども連れのお客さまも多いことから、子どもの飲み水には氷を入れない、先に取り皿を用意するなどを心がけました。また、年配のお客さまにはお箸も渡すようにしていました。
お客さまから喜びの声をいただいたことで、サービスを提供する喜び、ニーズを探る楽しさを知りました。
入社後はこの経験を生かし、営業職としてお客さまが求める商品を提案し、売り上げアップに貢献できる人材になりたいと考えています。」
アルバイト経験は、進学希望者よりも就職希望者に向いています。学生は学業が本分のため、進学の自己PRとして使うとマイナスイメージになるかもしれません。
また、就職であってもアルバイトが許可されていない学校では自己PRとして使えません。進学同様、別のテーマを考えましょう。
高校生の自己PRは具体的な内容が最重要!
自己PRは、就職・進学を考える高校生の夢を実現させるためのツールです。自分自身の長所や強みを明確にすることが大切になるため、まずは自己分析で自分自身を振り返ってみましょう。
高校生の就職は多くが学校経由です。しかし、近年は自分で就職先を決める「自己開発」を選ぶ人も増えています。
自己開発ができるかどうかは学校の考えにもよるため、まずは担任の先生に確認してみましょう。自己開発を希望する人は、就職先探しのツールとして国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」をぜひご利用ください。