アルバイトの年末調整は必要?しないとどうなる?必要性や条件を解説

年末調整といえば、企業が一般社員に支払う給料に関する手続きだと認識している人が多いでしょう。しかし、アルバイトの場合でも、条件によっては年末調整が発生します。アルバイトで年末調整が求められる条件や、働き方によるやり方の違いなどを解説します。

アルバイトでも年末調整は必要か?

コンビニバイトのイメージ

(出典) pixta.jp

年末調整は企業が年末に実施する税金に関する手続きですが、一般社員だけでなくアルバイトやパートでも、年末調整の対象になるのでしょうか?まずは、年末調整の基本知識とともに知っておきましょう。

条件に該当すれば年末調整が必要

アルバイトやパート社員であっても、事業主に雇用されている立場ならば年末調整が必要です。無期雇用の正社員や契約社員のみに関係する話であり、アルバイトの立場には関係ないと思っている人もいますが、週に3日程度しか働いていない人の場合でも、一定の条件に該当する限り年末調整が求められます。

詳しくは後述しますが、年末調整は事業主側の手続きではあるものの、事業主側が年末調整を失念している場合もあります。そのため、アルバイトの立場であっても、年末調整に関する基本的な知識は持っておかなければいけません。

年末調整の基本知識

年末調整とは事業主が毎年12月に、従業員の給料から差し引いた源泉徴収税の金額を確定し、所得税および住民税、社会保険料などを計算した上で、差額を調整する作業です。各従業員の源泉徴収額と年間所得とを比較し、納める税金の過不足を調整します。

毎月給料から一定額の源泉徴収を受けている人は、年末調整によって納め過ぎた税金の還付を受けられます。事業主は従業員の年末調整をする義務があるので、必ず手続きを知っておかなければいけませんが、アルバイト側も納め過ぎた税金が返ってくる可能性があるため、仕組みを理解しておく必要があります。

参考:年末調整|国税庁

年末調整によって受けられる税金控除

年末調整では課税対象となる所得から、条件に応じた控除が受けられます。これによって源泉徴収によって過分に納めていた税金の還付が受けられる仕組みです。代表的な控除項目としては、次のものがあります。

  • 基礎控除:全納税者が無条件で差し引ける所得控除
  • 配偶者控除:納税者に配偶者がいる場合に受けられる控除
  • 扶養控除:子どもや両親など、配偶者以外の扶養者がいる場合に受けられる控除
  • 社会保険料控除:厚生年金の保険料や健康保険料など、納付する各種保険料に応じて受けられる控除
  • 障害者控除:納税者自身や家計を同一にする配偶者などが、税法上の障害者に該当する際に受けられる控除

他にも配偶者特別控除や生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、勤労学生控除などもあります。条件に該当すれば課税所得から控除できるので、納付する税金額を抑えられます。

アルバイトの立場でも所得税や住民税の額を安くするために、年末調整が正しくされているか確認するための知識を有しておくことが大事です。

年末調整と確定申告の違い

年末調整は従業員を雇用している事業主がするものです。アルバイトの立場からすれば、勤務先が毎月の給料から源泉徴収をして、年末に納める税金の調整をしてくれるので、特に手続きは必要ありません。

一方で、確定申告は条件に該当する人がする手続きです。給与所得以外の事業所得や不動産所得などがある場合、あるいは源泉徴収によって差し引かれていた税金の還付を受ける場合などは、自ら税務署に対して申告をします。原則として、毎年2月16日から3月15日までの期間に確定申告をしなければいけません。

フリーランスとして活動している場合や、会社員でも副業をしている人などは、一定の所得があれば確定申告が必要です。いわゆるフリーターとしてアルバイトで生計を立てている人も、勤務先が源泉徴収をしていない場合、確定申告が必要なケースがあります。

参考:確定申告が必要な方|国税庁

年末調整をしないとどうなる?

電卓を手に悩む女性

(出典) pixta.jp

アルバイトで生活している人の中には、年末調整や源泉徴収などに一切興味がなく、常に手取りの給料の額だけしか注目していない人もいるでしょう。しかし、勤め先がしっかりと年末調整をしていないと、以下のデメリットが発生するので注意が必要です。

納付する税金が多くなる

年末調整をしないと各種税金の控除を受けられないため、納付する税金が多くなってしまいます。アルバイトをはじめとした被雇用側は、毎月の給料から源泉徴収として税金を納付しており、年末調整によって各種控除分を取り戻せる仕組みになっています。

したがって年末調整がされなければ、実質的に多くの税金を納めていることになるわけです。さらに、控除前の所得金額で住民税の額も決まるため、納める住民税の額も増えてしまいます。

確定申告の必要が出てくる

年末調整をしていないと、確定申告で納める税金の額を決めることになるので、余計な手間が掛かってしまいます。

アルバイトの立場で給与所得しか得ていない場合、本来は勤め先が年末調整をして、税金の納付や調整をします。しかし事業主が年末調整をしていなければ、アルバイト側が確定申告をして払い過ぎた税金の還付を受けなければいけません。

税務上のペナルティーが課される

年末調整を意図して行わない場合、事業主に対して罰則が課される可能性があります。アルバイト側も確定申告をしない限り、払いすぎた税金の還付を受けられないのに加えて、社会保険料の計算も正確にされないため、過剰に保険料を納付してしまう可能性もあるでしょう。

また、事業主側が源泉徴収もしていなかった場合、その事実を知らずにアルバイト側が確定申告をしないでいると、納めるべき所得税が未納付の状態になります。源泉徴収をしていなかった場合のペナルティーは事業主が受けるものの、放置すると無申告加算税が課されてしまい、納めるべき税金の額が増えてしまうおそれもあるので注意が必要です。

働き方による年末調整のやり方の違い

年末調整書類

(出典) pixta.jp

アルバイトの働き方による年末調整の違いも知っておきましょう。複数の場所でアルバイトをしている場合や、副収入がある場合など、状況によって取るべき対応が変わってくるので、ここで理解しておきましょう。

複数のアルバイトをしている場合

複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、主たる収入を得ているところで、年末調整をしなければいけません。

年末調整の手続きに必要な、扶養控除等申告書の提出先は1カ所のみとされているため、主たる収入源となっているアルバイト先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して、年末調整をしてもらいましょう。

メインのアルバイト先以外は年末調整の対象にできないため、各勤め先から年始に源泉徴収票をもらい、自ら確定申告をする必要があります。ただし、主たる収入を得ているアルバイト先以外の仕事は「副業」とみなされ、その合計金額が20万円以下の場合は、確定申告が必要ありません。

株などの副収入がある場合

株や投資信託の売買益・配当益など、アルバイト以外の副収入は年末調整の対象とはならず、確定申告が必要になります。ただし上記のように、主たる所得を得ているアルバイト先以外の収入源は、基本的に副業とみなされます。

給与の収入合計額から各種所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、さらに副業における年間所得が20万円を超えなければ、個人での確定申告は不要です。

参考:給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

年末前にアルバイトを辞めていた場合

年末調整の対象になるのは、1年を通してアルバイト先で働いている場合、あるいは年の途中から働いている場合です。つまり年末の時点において、アルバイト先に従業員として所属している必要があります。

年末前にアルバイトを辞めていた場合、退職先から送られてくる源泉徴収票で自ら確定申告をしなければいけません。年末時点で別の勤め先で働いている場合は、そこに退職先の源泉徴収票を提出して、年末調整をしてもらう必要があります。

年収が低くても年末調整が必要なケース

年収が103万円以下でも、以下の条件をすべて満たしている場合は年末調整が必要になります。

  • 「扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合
  • アルバイト先で源泉徴収されている場合
  • 年末時点でアルバイトとして働いている場合
  • 災害減免法が適用されない場合

扶養控除等とは、配偶者や扶養家族の有無をアルバイト先に提出するための書類で、この書類を提出しており、かつ年末時点でアルバイト先にまだ在籍しているなら、年末調整を行わなければなりません。

また、「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない場合、アルバイト先は年末調整を行うことができませんので、年末調整を行う場合、同書類の提出は忘れずに行いましょう。

年末調整をしてもらえないときは?

税務署の看板

(出典) pixta.jp

年末調整が必要にもかかわらず、勤め先が対応してくれない場合は、以下の対応を考えましょう。放置していると、アルバイト側もペナルティーを受けてしまうおそれがあるので、注意が必要です。

まずは確定申告の必要性を確認する

勤め先が年末調整をしてくれない場合、そもそも年末調整が必要ない場合と、勤め先の担当者が失念している場合などの可能性があります。まずは確定申告が必要かどうか、自分で確認してみましょう。

個人店舗で働いていたり、フリーランスとして契約して報酬を得ていたりなど、源泉徴収なしで収入を得ている場合や、別の勤め先で年末調整をしていたりする場合、収入の状況によっては自ら確定申告が必要です。自分の収入状況と源泉徴収の有無、勤め先の年末調整の状況などを、しっかり把握するようにしましょう。

自ら確定申告をするか税務署に相談する

主たる収入源となっている勤め先で年末調整をしてもらえない場合、他の勤め先同様に源泉徴収票をもらって自分で確定申告をする方法もあります。ただし、そもそも源泉徴収がされていない場合や、源泉徴収票を発行してもらえない場合などは、税務署に相談するとよいでしょう。

年末調整が必要にもかかわらず、勤め先が対応しないのは所得税法違反となるため、税務署に相談すれば行政指導をしてもらえる可能性があります。他にも税金に関して不明な点は、できるだけ税務署に確認することをおすすめします。

年末調整は忘れずにしよう

給料袋を持っている女性

(出典) pixta.jp

アルバイトの年末調整の必要性や条件などを解説しました。年末調整はアルバイトを含む労働者が、源泉徴収によって払い過ぎた税金の還付を受けるのに必要です。勤め先が年末調整をしていないと、アルバイト側が自ら確定申告をしなければならない事態になりかねません。

事業主側は罰則を受ける可能性がありますが、アルバイト側も税金の納め過ぎになる場合があります。自分の収入状況を確認した上で、勤め先がしっかりと源泉徴収および年末調整をしているかチェックしましょう。