自分で仕事を見つけたときの再就職手当は?受給要件や手続きを解説

再就職手当は、どのような場合に受け取れるのでしょうか?例えば、ハローワークではなく自分で仕事を見つけて就職した際にも受け取れるのでしょうか?受給要件や必要な手続き、就業手当や就業促進定着手当についても紹介します。

再就職手当とは何か

お札と封筒

(出典) pixta.jp

失業した際に条件を満たしており、必要な手続きを行うと、再就職に向けた活動に専念できるよう、失業手当の受給が可能です。ただし失業手当を受け取れるのは就職日の前日までのため、待期期間や受給期間中に就職が決まると受け取れなくなります。

この場合、失業手当としては全額受け取れませんが、再就職手当の対象となるかもしれません。まずは再就職手当がどのような手当なのかを見ていきましょう。

早く安定した仕事に就くと受け取れる

再就職手当を受け取れるのは、失業手当の受給資格のある人が、手当を受け取れる日数がまだ残っているタイミングで就職した場合です。長く働き続けられる仕事に早く就くと受け取れます。

どのようなタイミングで就職すると受け取れるのか、どこからの紹介で就職すると受け取れるのかなど、手当を受け取るための条件はさまざまです。スムーズな申請と受給につながるよう、詳細を確認していきましょう。

給付制限の有無に注意

お札を数える手元

(出典) pixta.jp

再就職手当を受け取るに当たり、まずは7日間の待期期間の満了後に給付制限があるか否かについて確認しましょう。給付制限の有無によって、手当を受け取れる仕事の紹介者が異なります。

給付制限ありなら時期に注意

「違う職種へ転職したいから」「引っ越しにより通勤が難しくなるため」など、自己都合で退職した場合、失業保険を受け取れるのは、7日間の待期期間に加えて2カ月もしくは3カ月の給付制限が終わった後です。

給付制限のある人は、時期によって再就職手当の支給を受けられる紹介者が異なる点に注意しましょう。待期期間を満了した後1カ月間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職した場合に限り、手当を受け取れます。

待期期間満了から1カ月を過ぎると、紹介者を問わず手当の対象です。企業の公式Webサイトに掲載されている求人に直接応募して就職が決まった場合や、知り合いを通じて就職した場合などにも、手当を受け取れます。

給付制限なしなら紹介者は誰でもOK

退職の理由が企業の倒産や解雇など会社都合によるものであれば、7日間の待期期間が終わるとすぐに失業手当の支給が始まります。待期期間の後に給付制限がない場合、いつどのような紹介者を通して就職したとしても、再就職手当の支給対象です。

給付制限がある場合とは異なり、時期によってどこに紹介してもらうべきかという点を考慮する必要はありません。

ハローワーク以外の紹介者は?

給付制限がある場合は時期によって、給付制限がない場合はいつでも、ハローワークや職業紹介事業者以外の紹介で就職しても、再就職手当を受けられると分かりました。具体的には、以下のような紹介者が想定できるでしょう。

  • 知人の紹介
  • 新聞広告
  • 求人広告
  • 求人サイト
  • SNS

例えば、求人検索エンジンのスタンバイで探した求人に応募し、就職が決まった場合にも手当を受け取れます。雇用形態や勤務地・自由なキーワードなどで、希望に合う求人を検索できるスタンバイも、再就職に向けて利用するとよいでしょう。

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手当を受給するためのチェック項目

バインダーにチェックを入れる

(出典) pixta.jp

再就職手当の受給には、ほかにも満たすべき要件があります。すべての要件を満たせるよう、どのような要件があるのかチェックしましょう。

失業手当の支給残日数

まず確認が必要なのは、就職日の前日までの失業認定を受けた時点で、3分の1以上の支給残日数があるかという点です。失業手当を受けられる日数を所定給付日数といいます。

例えば所定給付日数が90日の人が再就職手当を受けるには、支給残日数が30日以上なければいけません。残りの日数が29日以下の場合には手当の対象になりません。

再就職先と離職した事業主との関係

再就職先と離職した企業の事業主との関係もポイントです。離職した企業に再び就職することになった場合はもちろん、以下のように離職した企業の事業主と密接な関係の企業に就職するケースも、再就職手当の対象外になります。

  • 離職した企業の事業主が経営している別の企業に就職する
  • 離職した企業の事業主が資本を出している企業に就職する
  • 離職した企業の事業主が主要な取引先となっている企業に就職する

手当の支給を受けられるのは、特別な関係性がない企業に就職した場合です。

見込まれる雇用期間

安定した仕事に就くことも、手当を受け取るための要件の1つです。1年を超えて働ける見込みのある仕事でなければいけません。

雇用期間が決まっており更新の見込みがない派遣社員や、雇用期間が明確に決まっているアルバイトやパートなどの働き方では手当の対象外です。雇用期間に定めのない正社員で就職できれば要件を満たせます。また、再就職先がパートでも条件を満たしていれば受給できます。

雇用保険の加入や制度の利用状況

原則として、再就職先では雇用保険の被保険者にならなければいけません。従業員を1人でも雇用している事業所では雇用保険に加入するルールとなっているため、企業に就職すれば、基本的に雇用保険の被保険者になります。

また過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当を受けていないことも確認しましょう。3年以内にこれらの支給を受けている人は、他の要件をすべて満たしていても、手当を受け取れません。

参考:再就職手当のご案内|厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)・地方運輸局

再就職手当の金額は?

電卓と通帳

(出典) pixta.jp

すべての要件を満たすと受け取れる再就職手当は、どの程度の金額なのでしょうか?再就職手当を多く受け取るためのポイントもチェックしましょう。

受給金額の計算式

再就職手当の受給金額を計算する際には「支給残日数×基本手当日額×60%(もしくは70%)」の計算式に当てはめます。

基本手当日額は、離職前6カ月の賃金から算出する賃金日額をもとに計算する金額です。例えば賃金日額が1万3,000円なら給付率は50%となり、基本手当日額は6,500円と分かります。

60%と70%のどちらの割合が適用されるかは、支給残日数によって決まります。3分の2以上残っている場合が70%、3分の1以上残っている場合は60%です。

参考:雇用保険の基本手当日額が変更になります|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

具体的な事例で計算

「支給残日数×基本手当日額×60%(もしくは70%)」の計算式に当てはめ、以下の事例で再就職手当の金額を算出しましょう。

  • 所定給付日数:90日
  • 基本手当日額:6,000円

もし待期期間最終日の翌日に就職したのであれば、支給残日数は90日です。この場合、再就職手当は「支給残日数90日×基本手当日額6,000円×給付率70%=37万8,000円」と計算できます。

支給残日数35日で就職した場合、所定給付日数の3分の1以上に該当するため、給付率60%を用いて計算します。「支給残日数30日×基本手当日額6,000円×給付率60%=10万8,000円」です。

再就職手当を多く受け取るには?

できるだけ多くの再就職手当を受け取るには、早いタイミングで再就職するとよいでしょう。特に給付率が70%と高い、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある時期の再就職がおすすめです。

再就職により失業保険は受け取れなくなりますが、再就職で早期に安定収入を得られるようになり、再就職手当を受けた人のみが対象となる就業促進定着手当も受けられるかもしれません。就業促進定着手当については後述します。

参考:再就職手当のご案内|厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)・地方運輸局

起業または開業した場合

開業届と電卓

(出典) pixta.jp

再就職手当という名称ですが、起業や開業した場合にも受け取れる可能性があります。ただし開業届を提出するタイミングによっては、支給の対象にならないケースもある点に注意しましょう。

事業の開始も再就職手当の対象

離職して起業や開業を目指す人もいます。企業に従業員として雇用されるのとは異なりますが、事業の開始というケースでも再就職手当の受け取りが可能です。再就職と同様の要件を満たし、手続きすれば支給されます。

事業を始めたからといって、すぐに収益が出るわけではありません。手当の支給を受ければ、事業が軌道に乗るまでの生活費に充てられます。

開業届提出のタイミングに注意

事業の開始後に再就職手当を受け取りたいと考えているなら、開業届を提出するタイミングについて確認しておきましょう。例えば失業手当の受給資格が決定した後、7日間の待期期間中に開業届を提出すると手当を受け取れません。

倒産や解雇などの理由で離職し給付制限がないなら、7日間の待期期間が終了し支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるタイミングで開業届を提出すると、手当の対象です。

一方、給付制限がある場合は、待期期間7日間に加えて1カ月が経過してから開業届を提出すると手当を受け取れます。

再就職手当の手続き

資料に記入するスーツの男性

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手当を受け取るために必要な手続きも確認しましょう。必要な書類や申請書に記入する内容を確認しておけば、スムーズに手続きを進められます。

必要書類

再就職手当を受け取るには、就業の届け出を行ってから、以下の書類をそろえてハローワークへ提出します。

  • 採用証明書
  • 再就職手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証
  • ハローワークの求める書類(例えば個人事業主になった場合の開業届)

手続きの期限は就職日の翌日から1カ月以内です。再就職後は仕事で忙しく、提出のためにハローワークに行けない人もいるでしょう。書類の提出は郵送でも可能です。

再就職手当支給申請書に記入する内容

提出する再就職手当支給申請書に記入する内容も確認しておきましょう。

  • 氏名
  • 郵便番号
  • 電話番号
  • 住所
  • 事業主の証明
  • 3年以内に再就職手当か常用就職支度手当を受けているか

事業主の証明欄では、事業主の氏名や押印により記載されている内容の証明を受けなければいけません。自分で事業を開始した人は、就業先の事業所欄に開始した事業について、雇入年月日に事業開始年月日を記入します。

ほかに帳票種別や処理欄がありますが、記載する必要はありません。

雇用期間が1年以下だと手当は受け取れない?

印鑑を押す手元

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再就職手当を受け取れるのは、雇用期間が1年以上ある安定した仕事に就いた場合です。雇用期間が1年に満たない仕事に就いた場合には、就業手当の支給対象になるかもしれません。就業手当の支給要件や受給額を確認しましょう。

就業手当は受け取れる可能性あり

失業保険の受給資格はあるけれど、再就職先の雇用期間が1年に満たない短期間の契約である場合には、就業手当の対象になるかもしれません。

就業手当を受け取るには、失業保険の所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上の支給残日数が必要です。加えてほかにも満たさなければいけない要件があります。

例えば所定給付日数が90日の場合、支給残日数の要件を満たすには、45日以上になる2分の1以上あればよいでしょう。

就業手当の金額

就業手当の受給額は「就業日×基本手当日額×30%」で計算します。基本手当日額は離職前6カ月の賃金を基に算出し、29歳以下なら上限は6,835円です。

ただし、就業手当で受け取れるのは基本手当日額の30%で、さらに上限が設けられています。仮に29歳以下で基本手当日額が上限の6,835円なら、就業手当の1日当たりの金額は2,050円と計算でき、適用される受給額は上限の1,857円です。

就業日が30日間であれば、5万5,710円受け取れます。

参考:雇用保険の基本手当日額が変更になります|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

再就職手当の受給後に受け取れる手当

お札と電卓

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再就職手当を受けた人が受給できる可能性があるのは就業促進定着手当です。どのような場合に支給対象となり、満たすべき要件には何があるのか解説します。

就業促進定着手当

就業促進定着手当は、再就職先に定着することを目的とした手当です。再就職できたとしても、離職前より賃金が減るケースもあるでしょう。減った賃金に満足できない場合、すぐに転職を考える人もいるかもしれません。

再就職後6カ月間の賃金が離職前より低い場合、再就職後の企業で引き続き働きやすいよう支給されるのが就業促進定着手当です。

支給の要件をチェック

手当を受け取るには、以下の3つの要件をすべて満たしていなければいけません。

  • 再就職手当の支給を受けている
  • 再就職手当を受けた再就職の日から6カ月間、同じ事業主の下で雇用保険の被保険者として働いている
  • 再就職後6カ月間の1日分の賃金額が、離職前の賃金日額を下回っている

例えば離職後に自分で事業を始めて再就職手当を受け取った人が、雇用保険の被保険者になるケースは少ないでしょう。そのため起業や開業で再就職手当を受給すると、対象外です。

受け取れる金額は?

就業促進定着手当で受け取れる金額は「(離職前の賃金日額−再就職後6カ月間の賃金の1日分の額)×再就職後6カ月間の賃金の支払基礎となった日数」で計算します。以下の条件の場合に受け取れる金額を見ていきましょう。

  • 離職前の賃金日額:1万3,000円
  • 再就職後6カ月間の賃金の1日分の額:8,000円
  • 賃金の支払い基礎となった日数:30日

「(1万3,000円−8,000円)×30日=15万円」と計算できます。ただし、就業促進定着手当には上限額も設けられているため、上限額を超えていない点も確認しなければいけません。

上限額の計算式は、「基本手当日額×支給残日数×40%(もしくは30%)」です。基本手当日額6,190円、支給残日数30日で、給付率40%を適用する場合、「6,190円×30日×40%=7万4,280円」が上限額だと分かります。

参考:再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には「就業促進定着手当」が受けられます|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

支給要件をチェックし再就職手当の手続きを

資料に記入するスーツの男性

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失業保険の受給資格を得た人が、要件を満たした再就職や起業・開業を行うと、再就職手当を受け取れます。所定給付日数のうち3分の1以上の支給残日数があることや、雇用期間が1年以上の見込みであることなどの要件を満たしているか確認しましょう。

給付制限の有無で異なる紹介者についての要件も確認しましょう。給付制限がなければ、待期期間を過ぎた後は紹介者がどこであっても再就職手当の対象です。

一方、給付制限がある場合には、待期期間とその後1カ月はハローワークと職業紹介事業者から紹介された求人で就職した場合のみが手当の対象になります。その後は紹介者を問わず対象になるため、SNSや企業の公式Webサイトからの就職でも手当を受け取れます。

スタンバイで見つけた求人で就職した場合も、もちろん対象です。再就職手当の受給を希望しているときにもぜひ利用してみましょう。

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