正社員の面接では何を聞かれるのか、不安を感じている人も多いかもしれません。面接は、転職活動で避けては通れないものです。質問内容をあらかじめ把握して準備しておきましょう。正社員の面接でよく聞かれる質問や回答例、マナーを紹介します。
正社員の面接を受ける上でのポイント
アルバイトの面接には慣れていても、正社員の面接となると緊張してしまう人も多いでしょう。正社員の面接を受ける際のポイントを3つ紹介します。
大きな声でゆっくり話す
面接では、大きな声でゆっくり話すように心がけましょう。面接は第一印象が大事です。もちろん、怒鳴るような大声は逆効果ですが、声が小さいと、暗い性格や自信がなさそうな印象を与えてしまいます。
声のトーンを変えるだけで明るい人柄に見えるので、普段よりワントーン上げるくらいを意識するのがポイントです。
また、緊張すると焦って早口になりがちですが、何を言っているか相手が分からなくならないよう、落ち着いてゆっくり話しましょう。うつむいたり視線を泳がせたりせず、面接官の目を見て話すことも大切です。
正しい敬語を使う
面接では、正しい敬語を使いましょう。日頃何げなく使っている言葉でも、面接にはふさわしくないケースも少なくありません。例えば、相づちを打つ際の「なるほど」という言葉は、目上の人に対しては失礼に当たります。
相手に同意したい場合には「おっしゃる通りです」「その通りです」のように言いましょう。また、「~させていただいております」のような二重敬語にも注意が必要です。
この場合は「~しております」が正しい言い方です。正しい敬語を使えるか不安な人は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いについて確認しておきましょう。
面接を受ける企業について研究する
面接を受ける企業について、しっかり調べておきましょう。志望動機を答えるためにも、面接前に応募企業について詳しく知っておくことが必要です。
企業について詳しく調べていることが分かれば、その仕事への熱意がある印象になり、面接官からの評価につながります。その企業の事業内容や経営理念などについて調べるのはもちろん、業界全体での立ち位置なども確認しておきましょう。
企業や業界について調べるには、公式サイトやインターネットの情報、新聞などをチェックするのがおすすめです。
質問への対策【自己紹介・自己PR】
正社員の面接は、自己紹介や自己PRから始まるのが基本的な流れです。面接官が質問する意図を把握して、適切な回答を用意しておきましょう。
質問の意図と回答のポイント
面接官は、応募者の性格などを把握するために、自己紹介や自己PRに関して質問します。履歴書にもこれらを記入する項目はありますが、記載されている内容だけでは具体的な人物像を把握できません。
自分の言葉で回答してもらうことで、コミュニケーション能力や人柄などを確認します。自己紹介や自己PRを答える際、特に指定がないのであれば1分程度で簡潔にまとめましょう。
自分の名前やこれまでの職務経歴のほか、応募先の企業への意欲や、生かせるスキルなどがあれば簡単に伝えます。
質問と回答の例
<質問例>
- 自己紹介してください
- これまでの経歴なども含めて自己紹介をお願いします
- 自己PRをお願いします
<回答例>
本日は面接にお時間を割いていただきありがとうございます。私は〇〇と申します。これまでは飲食店でアルバイトをしておりましたが、今後は正社員としてより責任のある仕事をしたいと思い、御社に応募いたしました。
アルバイト経験で得たコミュニケーション能力やチームワークを生かし、御社での仕事に全力で取り組みたいと考えております。本日はよろしくお願いいたします。
質問への対策【アルバイトをしていた理由】
アルバイトから正社員に応募する際によく聞かれるのが、アルバイトをしていた理由です。質問の意図や回答のポイントを押さえておきましょう。
質問の意図と回答のポイント
「なぜアルバイトをしていたのか」という質問は、正社員として働いていなかったことに特別な理由があるかを知るためです。
一度も正社員の経験がなくアルバイトばかり繰り返している場合、今後自社で長く勤務する意欲があるのか確認したい意図もあります。アルバイトをしていた理由を聞かれた場合は、正直に答えることが大切です。
特別な理由がない場合も、「理由はありません」という答えは避けましょう。「かなえたい夢があった」「新卒のときはやりたいことが見つからなかった」など、しっかり説明することが大切です。
質問と回答の例
<質問例>
- なぜアルバイトばかりだったのでしょうか?
- フリーターを続けていた理由を教えてください
<回答例>
新卒時に就職活動をしたときには、本当にやりたい仕事が見つからなかったというのが理由です。自分なりに将来について真剣に考えていたつもりでしたが、今思えば甘えがあったのかもしれません。
その後さまざまなアルバイトを経験するうちに、将来の仕事としてやりたいことが徐々に明確になってきました。私は飲食業界に興味を持ったので、今後はこの業界で自分の力を発揮したいと考え、正社員の求人に応募いたしました。
質問への対策【どんな仕事をしていたか】
面接では、過去の職務経歴についても聞かれます。複数のアルバイトをしていた人は、長くならないように分かりやすくまとめておきましょう。
質問の意図と回答のポイント
過去の仕事について質問する意図は、自社の募集職種に生かせるスキルがあるか確認するためです。仮に異業種や異職種からの転職だとしても、募集職種への適性があれば評価の対象になります。
ただ単に「接客の仕事をしていました」「飲食店でホールを担当していました」と答えるのではなく、担当していた業務や、仕事を通じて得たスキルなども具体的に伝えることが大切です。
アルバイトで身に付けたスキルの中で、応募職種に生かせるものがあれば積極的にアピールしましょう。異業種・異職種の仕事でも、共通するスキルがないか見つけておくことがポイントです。
質問と回答の例
<質問例>
- 今までの職務経歴を教えてください
- これまでどのようなアルバイトをしてきましたか?
- これまでの仕事での実績などをお聞かせください
<回答例>
私はお客様と直接関わる仕事が好きなので、これまで飲食店など接客業を中心にアルバイトをしてきました。飲食店ではホールを担当し、お客様が快適に過ごせるよう気を配っていました。
会計時には必ず一声かけてお客様とコミュニケーションを図り、今後の店舗運営に生かせそうな声があったときには、スタッフ全員に共有していました。また、アルバイトのシフト調整も任されていたので、効率的な人員配置などについても学びました。
質問への対策【志望動機】
志望動機は、面接で必ず聞かれる質問です。応募先企業を選んだ理由を伝え、熱意をアピールする場でもあるので、しっかり答えられるように準備しておくことが重要です。
質問の意図と回答のポイント
志望動機を質問する意図は、応募に当たっての熱意を知るためです。他社ではなくなぜ自社を選んだのかを聞くことで、企業研究がしっかりできているかを確認する意図もあります。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、企業にとって応募者の志望動機を確認しておくことは重要です。事前に企業研究を十分に行い、応募先でなければならない説得力のある理由を考えておきましょう。
また、アルバイトからの応募の場合は、正社員になりたいと思った理由も聞かれる可能性があります。「安定しているから」「待遇がよいから」といった内容は避け、正社員になりたいと思った具体的なエピソードを交えながら答えるのがポイントです。
質問と回答の例
<質問例>
- 当社に応募した理由を教えてください
- なぜ正社員になろうと思ったのですか?
- この業界を選んだ理由を教えてください
<回答例>
アルバイトで働いているときに、正社員でなければできない仕事もありました。そのときに、もっと責任のある立場で仕事と向き合いたいと思ったことが、正社員を目指した理由です。
御社は常に顧客を飽きさせないメニュー作りや店舗経営など、他社とは違ったユニークなマーケティング手法を取っていらっしゃいます。
私はこれまで飲食店で働いてきましたが、今後は御社の一員となり、お客様に喜んでいただける店舗作りをしたいと思い応募いたしました。
質問への対策【逆質問】
多くの場合、面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれます。とっさに答えるのは難しいので、あらかじめ何を聞くか準備しておくとよいでしょう。
質問の意図と回答のポイント
面接で逆質問するのは、応募者とのミスマッチを防ぐ目的もあります。自社への興味や入社への意思の強さを確認している場合もあるので、「特にありません」と答えるのはNGです。必ず何かしら質問しましょう。
とはいえ、給料や休日など待遇面についてばかり聞くと、あまり好意的な印象を与えません。職場の雰囲気や業務内容など、入社に対して前向きな姿勢を見せられる内容を聞くのがおすすめです。
その場の状況に応じて聞けるように、3つほど質問を準備しておくとよいでしょう。また、面接官からの答えに対しても「ありがとうございます」だけでなく、何かコメントを添えることがポイントです。
質問と回答の例
<逆質問の例>
入社までに準備しておくことがあれば教えていただけますでしょうか?
中途採用で活躍されている方はどのくらいいらっしゃいますか?
現在、〇〇の領域では大きなシェアを持っていらっしゃいますが、新たな領域へも展開していくことはお考えでしょうか?
<回答例>
ありがとうございます。〇〇に関しては多少経験がありますので、即戦力になれるようもう少し勉強しておきます。
中途採用で活躍されている方が多いのですね。私も早く御社の一員として貢献できるようになりたいと思います。
お聞かせいただきありがとうございます。ますます御社で働きたいという意思が強くなりました。
正社員の面接におけるマナー
面接時のマナーは、基本的なビジネスマナーにも通じるものです。マナーを知らない人だと思われないように、面接時のポイントを押さえておきましょう。
訪問から受付までのマナー
面接の10~15分前までには会場近辺に到着しておきましょう。受付に行くのは、約束の5分前がベストです。遅刻はもちろん厳禁ですが、時間が早すぎると待っている場所などを用意する必要が生じるため、先方に迷惑がかかります。
あらかじめ身だしなみを整え、受付では面接に来た旨をはっきり伝えましょう。また、スマホや携帯電話は電源を切るかサイレントモードに設定し、面接会場に入ったら触らないのがマナーです。
応募先の社員とすれ違ったら、軽く会釈するのも忘れないようにしましょう。面接は訪問・受付の瞬間から始まっているといっても、過言ではありません。受付するのは面接官ではないから、と気を抜かないことが大切です。
入室時のマナー
面接室に入るときは、必ずドアをノックします。ノックの回数は3回が基本です。ノックの後「お入りください」などと指示されたら、ドアを開けます。
部屋に入ったら「〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします」と名乗ってから、静かにドアを閉めましょう。ドアを閉めるときは、なるべく面接官に背中を向けないようにするのがベターです。
椅子に座る際は、面接官に促されてから着席します。椅子が複数置かれている場合は、入り口から一番近い下座に座るのがマナーです。カバンなどの手荷物は椅子の脇の床に置きましょう。
面接中のマナー
面接中は、うつむかず常に面接官の方に顔を向けましょう。面接官の目を見て話すのが基本ですが、視線を合わせるのが苦手な場合は、ネクタイや口元などを見ても問題ありません。
面接官から名刺を出された場合は両手で受け取り、表側を上にして自分の机の左側へ置いておきます。
もしお茶を出されたら、運んでくれた人に会釈するのも忘れないようにしましょう。緊張して喉が渇いていても、すすめられる前に飲んだり、一気に飲み干したりするのはNGです。
退室時のマナー
面接が終わったら、時間を取ってもらったことへのお礼を伝えてから立ち上がります。立ち上がったら荷物を持って一礼し、ドアの方へ向かいます。ドアを開けたら面接官の方へ向き直り、再度一礼してから退室しましょう。
案内係などが出口まで誘導してくれた場合は、別れる際にも「失礼します」とあいさつするのがマナーです。エレベーターに乗るまで見送られたら、ドアが閉まるまで頭を下げていると丁寧な印象を与えます。
正社員の面接にふさわしい服装は?
正社員の面接にはスーツを着用するのが基本ですが、会社によっては「私服で」と指示される場合もあります。それぞれのケースにふさわしい服装を確認しましょう。
男女ともビジネススーツが基本
正社員の面接には、男女ともビジネススーツを着ていくのが基本です。20代前半までであればリクルートスーツでも構いませんが、20代後半以降の人にはおすすめできません。
リクルートスーツは就活の間だけ着用する目的で作られているため、低価格なのが特徴です。生地なども安価なものが使われているケースが多いので、20代後半からは年齢相応のビジネススーツを着用するのが望ましいでしょう。
スーツの色は、紺やグレーなどの落ち着いた色を選びます。黒いスーツには冠婚葬祭のイメージを持つ人もいるので、同系色のストライプが入っている方がおすすめです。男性の場合、ネクタイは派手すぎない色を選びましょう。
私服の場合はオフィスカジュアルで
企業によっては「社風に合わせた私服で来てください」と指示されるケースもあります。とはいえ、Tシャツにジーンズ、サンダルのような砕けすぎた服装は避けるのが無難です。
私服と指示された場合は、かしこまりすぎず、なおかつきちんとした印象を与えられる「オフィスカジュアル」を意識した服装を着用しましょう。男性の場合、襟付きのシャツにチノパンやスラックスを合わせ、ジャケットを羽織るのが一般的です。
女性は、ブラウスやシャツにパンツや膝丈のスカートをはき、ジャケットやカーディガンを羽織りましょう。女性の場合、シャツやブラウスの胸元が開きすぎていない点も大切です。
髪色や髪型も要チェック
男女とも、清潔感のある髪型を心がけましょう。なるべく髪が顔へかからないようにするのがおすすめです。前髪が長い人は事前に短くカットしておくか、女性の場合は黒いピンなどで留めておきましょう。
男性はワックスなどでまとめておくと、きちんとした印象になります。ヘアスプレーを使うときは、肩回りに白い粉が落ちていないかチェックしておきましょう。
髪色は、真っ黒である必要はないものの、明るすぎるのもNGです。どの程度の明るさまでならOKなのか不安な場合は、暗い色に染め直しておいた方が無難でしょう。
まとめ:正社員の面接で聞かれる項目を把握しよう
正社員の面接では、応募者が自社でどのくらい活躍してくれる人材なのかが見られています。そのため、入社への意思の強さや仕事への熱意、身に付けているスキルなどさまざまな項目を聞かれるでしょう。
面接は緊張するものですが、面接官も「本当にこの人でいいのか」という不安を持っています。採用に近づくには、そのような面接官の不安を取り除き、ポジティブな印象を持ってもらうことが大切です。
面接で聞かれる項目を把握し、好印象を残せる答えを準備しておきましょう。応募先の企業探しには、さまざまなこだわりの条件で検索できる「スタンバイ」の活用がおすすめです。