薬剤師向けの職務経歴書のポイントは?基本的な書き方も併せて紹介

職務経歴書を書いた経験がないと、何をどう書くべきか分からず困ってしまうでしょう。薬剤師として働く人に向け、職務経歴書のポイントや書き方を紹介します。魅力的な職務経歴書を作るコツを習得して、転職活動を有利に進める土台を築きましょう。

薬剤師向けの職務経歴書のポイント

薬剤師の女性

(出典) pixta.jp

魅力的な職務経歴書を作るには、応募する職種や業界に合わせて内容をアレンジする必要があります。薬剤師向けの職務経歴書を書くポイントを紹介します。

勤務先の概要を詳細に記載する

薬剤師向けの職務経歴書を作る際には、勤務した病院や薬局の情報を詳しく記載するよう心掛けましょう。

薬剤師の仕事は、勤務先によって業務内容や扱う頻度の高い医薬品が異なるため、勤務先の詳しい情報を記述することで、どのような仕事をしていたのか具体的にイメージしやすくなります。

勤務先が病院なら、以下のような項目を記載しましょう。

  • 病院の種類
  • 病床数
  • 薬剤師数
  • 配属病棟
  • 診療科

勤務先が薬局の場合には、以下のような項目を書くのがおすすめです。

  • 処方科目
  • 店舗数
  • 薬剤師数
  • 1日に対応していた処方箋枚数

診療科や処方科目に関する情報は、忘れずに記載しましょう。

コミュニケーションスキルをアピールする

薬剤師には、さまざまなシーンで対人スキルが求められるため、スキルをアピールする場面では、コミュニケーションスキルを意識して文章を構成するのがおすすめです。

患者の悩みに寄り添い、的確な服薬指導をするには、きめ細やかなコミュニケーションが欠かせません。

また、医療事務・看護師・医師・介護福祉士・ケアマネージャーなどと協力しながらチーム医療を実現するためにも、綿密なコミュニケーションが必要不可欠です。

患者をサポートするために気を付けていたことや、スムーズな連携を可能にするために注意していたことなどがあれば、積極的に記載しましょう。

マネジメントの経験があるなら積極的に記載

マネジメント業務を担当した経験があれば、優先的に記載するのがおすすめです。責任が求められる重要な仕事を任せてもらえる可能性が広がります。

薬局やドラッグストアに勤めていると、早期から薬局長やエリアマネージャーを任される機会があります。

マネジメント業務で培った経験やスキルは、他の薬剤師と差別化を図る上で重要な要素です。どのような組織の中でどのような役割を果たしてきたのか、詳細に記述しましょう。

もしマネジメント経験がないようであれば、「将来的にはマネジメントに携わりたい」と意欲を示すと、ポジティブな印象を残せます。

採用担当者は職務経歴書のどこに注目する?

履歴書を見ている採用担当者

(出典) pixta.jp

採用担当者が職務経歴書のどこに注目するのかが分かれば、採用担当者の興味を引く職務経歴書作りのヒントが得られるはずです。職務経歴書に目を通すときの採用担当者の視点について解説します。

採用したいと思える人物像か

採用担当者は、応募者が自院や自社にとって魅力的な人材であるかどうかを見ています。どの経験やスキルに注目するかにより人材像に関する表現は変わるので、応募先の求めている薬剤師像に見合った自分を演出することが重要です。

輝かしい経験を持っていても、応募先で生かせない内容であれば、強調する意味がありません。例えば、専門薬剤師の資格を持っていても、応募先の病院に該当する診療科がなければ、アピールポイントにはならないのです。

職務経歴書を作成する際には、募集しているポストに求められているスキルや経験に注目して文章を構成しましょう。採用した後に活躍するイメージを描いてもらうことが大切です。

読みやすくて魅力的な構成・内容か

職務経歴書はストレスなく読めるかどうかも重要です。どんなに魅力的な経験やスキルがあっても、それをまとめたものが読みにくければ、評価は下がってしまいます。

文字が小さすぎたり、余白が少なすぎたりして読みにくい職務経歴書は、最後まで読んでもらえない可能性が高いため、好ましくありません。

読みやすさと同時に目を引く文章構成も重要です。ただ経歴を羅列しただけの文章では印象に残りません。注目してほしい経歴を太字にしたり、採用担当者が注目しそうなキーワードを含めたりする工夫で、印象に残る職務経歴書を作りましょう。

職務経歴書の構成と基本的な書き方

履歴書と職務経歴書と封筒

(出典) pixta.jp

職務経歴書には基本的な構成が存在します。その構成に沿って文章を組み立てていけば、誰にでも無駄のない職務経歴書の作成が可能です。基本的な構成とその書き方を紹介します。

職務要約のポイント

職務要約とは、これまでの職業経験を3~5行にまとめる項目です。採用担当者が最初に目を通す部分なので、採用担当者の心をつかめるような魅力的な文章に仕上げる必要があります。

薬剤師の場合には、以下の内容をまとめて職務要約を作るとよいでしょう。

  • 薬剤師としての勤務歴
  • 業務にあたる上で意識していること
  • 現在所属している病院や薬局の情報と業務内容

職務要約を書くポイントは、簡潔にまとめることです。だらだらと長い文章だと、「要約するのが下手な人」だと思われてしまいます。客観的事実を中心に、コンパクトにまとめるように心掛けましょう。

職務経歴のポイント

職務経歴は、過去から現在に至るまでのキャリアを詳細に記述する項目です。以下の情報を中心にまとめましょう。

  • 病院名や薬局名
  • 病床数や店舗数
  • 従業員数や薬剤師数
  • 勤務期間
  • 業務内容
  • 実績

どのような勤務先に勤めていたのか、詳しく分かるようにまとめるのが重要です。業務内容や実績を記載する部分では、5W1Hを意識するとイメージが湧きやすい文章になり、魅力的な職務経歴書に仕上がります。

また、具体的な数字を使うのも効果的です。エピソードに信ぴょう性が生まれ、職務経歴書の説得力が増します。

生かせる経験・スキルと資格のポイント

生かせる経験・スキルは、応募先で役に立ちそうな経験やスキルを書く項目です。薬剤師の場合には、以下のような事柄を記載するとよいでしょう。

  • パソコンスキル
  • 語学力
  • マネジメント経験
  • 在宅医療の経験

応募先の業務に関係の深そうなものから、箇条書きで記載するのが基本です。資格は応募先で生かせるものについて書きましょう。以下のような資格を取得している場合には、積極的に記載します。

  • 認定薬剤師
  • 専門薬剤師
  • 認定実務実習指導薬剤師

薬剤師資格しか持っていない場合には、資格の項目自体を省略しても問題ありません。

自己PRのポイント

自己PRとは、人材としての価値を自由にアピールする項目です。「結論」「エピソード」「意気込み」の順に構成するのが一般的です。

結論では、「私の強みは○○です」と自分の強みを宣言します。マネジメント経験やコミュニケーションスキルなど、薬剤師として培った経験やスキルをアピールポイントとして打ち出しましょう。

エピソードでは、経験を深掘りしたり、スキルが発揮されたシーンを詳細に描写したりします。薬剤師の仕事に従事する中での経験をベースに語るのが王道です。

意気込みでは、強みをどのように応募先で生かすのかを端的に記します。現場で活躍する姿をイメージさせる文言で締めくくるのが大切です。

職務経歴書を書くために必要な準備

薬を取り出す薬剤師

(出典) pixta.jp

採用担当者の目に留まる職務経歴書を作るには、それ相応の準備が必要です。万全な準備ができれば、スムーズに職務経歴書が書けるようになります。書く前の準備について解説します。

自身のキャリアを振り返る

職務経歴書を作るためのファーストステップが、キャリアの棚卸しです。材料がそろっていなければ、魅力的な職務経歴書は構成できません。

キャリアの棚卸しでは、これまで経験してきた仕事を全て書き出すのが重要です。転職経験が多い人は、抜け漏れが発生しないよう気を付けながら作業しましょう。

キャリアの棚卸しのポイントは、勤務先ごとにどのような経験を積んできたのか、どのような成果を残してきたのかを事細かに書き出すことです。

担当していた業務の詳細な内容や、どのような患者に服薬指導をしていたかなどに注目しながら、キャリアを丁寧に振り返っていけば、アピールポイントになる経験やスキルが見えてきます。

応募先が求める人材像を把握する

職務経歴書を作る上で、応募先が欲している人材に対する理解も必要です。応募先が求める人材像に即した人物像を描けて初めて、職務経歴書が応募書類として成立します。

人がうらやむ経験を持っていても、応募先がそれを求めていなければ、アピールポイントにはなりません。

求められる人材像を把握するためには、以下のような項目を確認しておきましょう。

  • 応募先の具体的な業務内容
  • 業務に必要とされるスキル
  • 求められる資格

例えば、求人票の資格欄に「がん専門薬剤師優遇」との文言がある場合には、がん患者への服薬指導をしていた経験を積極的にアピールすると、採用が近づくかもしれません。

自己PRに使える経験を整理する

職務経歴書を書く際には、自己PRの軸となる経験を探しましょう。自己PRは、強みの裏付けとなるエピソードがあってこそ輝きます。

それを見つける方法として代表的なのが、自分史です。自分史とは、過去の経験を時系列にまとめ、エピソードを深掘りしていく自己分析の方法です。

個々のエピソードを精査していくことで、自己PRになり得る強みとエピソードが見えてきます。

モチベーショングラフも、自己PRに使える強みを見つける方法として有効です。モチベーショングラフでは、やる気の波を折れ線グラフで表現します。やる気が上がった、もしくは下がった理由を検証していくことで、強みとエピソードを発掘できるでしょう。

職務経歴書を書く上での注意点

テーブルに置かれた履歴書

(出典) pixta.jp

職務経歴書を作成する前に知っておきたい、作る上での注意点を紹介します。注意点を事前に頭に入れておけば、見当違いの職務経歴書を作ってしまう危険性を回避できるでしょう。

A4用紙1~2枚にまとめる

職務経歴書はA4用紙1~2枚にまとめるのが基本です。枚数が多いと、採用担当者に与える負担が大きくなってしまいます。また、必要な事柄をコンパクトにまとめる力に欠けていると思われる可能性もあります。

職務経歴書のベストな枚数は2枚です。社会人経験が浅い場合や1つの仕事を継続していた期間が長い場合は、1枚でも構いません。

薬剤師のケースでは、勤務先の情報を細かく書こうとすると、情報量が膨大になってしまう可能性があります。必要な情報を全て詰め込んでから、バランスを見て情報を削っていく工夫が必要です。

特に理由がないならパソコンで作成しよう

職務経歴書はパソコンで作るのが最もベーシックです。「手書きという指定がある」「達筆をアピールしたい」など、よほどの理由がない限りは、パソコンで作成しましょう。

パソコンでの職務経歴書作りには、書類を作成できる程度のパソコンスキルを持っていることを証明できるメリットもあります。基本的なビジネススキルの1つである文書作成スキルをアピールできるので、手書きを選択する意味は小さいでしょう。

編集が簡単なのも、パソコンでの作成のメリットです。誤字脱字をピンポイントで直したり、後から文字を装飾したりできるため、効率的に職務経歴書を作れます。

応募先に合わせて内容をアレンジする

求められる人材像は応募先によって異なるため、職務経歴書の使い回しは避けた方が無難です。これは、採用担当者にアピールする機会を棒に振っているようなものです。

例えば、薬局薬剤師と病院薬剤師の2つの職務経歴がある応募者の場合、これからチャレンジする応募先が病院であれば、病院薬剤師としての経験に重きを置いて職務経歴書を作成した方が、採用担当者に刺さる内容が作れます。

職務経歴書の使い回しは、採用担当者に見破られるものです。使い回しだと分かれば、志望度が低いと判断され、採用が遠のいてしまうでしょう。たとえ面倒でも、応募先ごとにアレンジした内容で文章を組み立てることが大切です。

職務経歴書を提出する際のポイント

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

どんなに魅力にあふれる職務経歴書でも、送り方のマナーを無視すれば、一気に印象が悪くなってしまいます。職務経歴書を応募先に送る際の注意点を確認しましょう。

メールで送付するならPDF形式で

職務経歴書をメールに添付して送る場合には、ファイルの形式に注意しましょう。ファイルの形式は、第三者によるデータ改ざんの懸念が少なく、すぐに印刷できるPDFが基本です。

誰から送られた職務経歴書なのか一目で分かるよう、ファイル名には日付・書類名・氏名を入れましょう。ファイルを開かないと誰の職務経歴書だか分からないのは、不親切です。

ファイルにはパスワードを設定します。書類を添付したメールとは別に、パスワードを記載したメールを送るのが基本です。

郵送するなら添え状を同封する

職務経歴書を郵送する場合は、誰がどのような書類をなぜ送ったのかが分かるよう、添え状を同封しましょう。

添え状には、日付・宛先・住所・連絡先・同封書類名などについて記載します。併せて簡単な自己紹介も記載しておくと、採用担当者の目に留まりやすくなります。

職務経歴書を郵送する際には、履歴書も同封するのが一般的です。複数の書類を同封するなら、書類がばらばらにならないよう、全ての書類をクリアファイルに挟んで封筒に入れましょう。履歴書・職務経歴書・その他の書類の順になるように重ねます。

まとめ:魅力的な職務経歴書で転職を成功させよう

白衣を着た女性

(出典) pixta.jp

職務経歴書というと、これまでのキャリアを羅列するだけの書類と思われがちです。しかし職務経歴書は、工夫次第で応募者の魅力を最大限にアピールできる書類へと変貌します。

応募先が求める薬剤師像に見合った経験やスキルをしっかり強調して、人材としての自分の価値を存分にアピールできる職務経歴書を作りましょう。

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高垣育
【監修者】薬剤師・ライター高垣育

調剤薬局、医療専門広告代理店などの勤務を経て、2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。人だけではなく動物の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行う。

著書:
犬の介護に役立つ本(山と渓谷社)

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