自衛隊へ志願する際の志望動機とは?口述試験に臨むポイントも解説

自衛隊に志願する際の志望動機で迷ったら、考え方のポイントを押さえましょう。志望動機は熱意や理想を語るだけでなく、より具体的な理由が必要となるためです。自衛隊へ志願する際の基本や志望動機のポイント、口述試験の注意点について解説します。

自衛隊を志望するときの基本

戦闘機を前に立っている自衛隊員

(出典) pixta.jp

自衛官として採用されるためには、所定の手続きを踏む必要があります。応募資格や採用試験、志願票の書き方など、まずは自衛隊を志望する際の基本を見ていきましょう。

応募資格と採用試験

自衛隊で働きたいと思ったら、受験可能な募集種目を調べましょう。自衛隊と一口にいってもさまざまな種類の募集があり、同じ自衛官でも、ポジションによって求められる学歴が異なるためです。

一般的なコースである自衛官候補生と一般曹候補生は、高卒でも応募資格を得られます。いずれも年齢制限は18歳以上33歳未満、採用試験の内容は筆記試験・口述試験・適性検査・身体検査です。

採用種目別に身長制限がある点も覚えておきましょう。例えば、自衛官候補生と一般曹候補生の場合は、男性150cm以上・女性140cm以上と定められています。このほか、視力・色覚・聴力・歯の状態などに関しても、基準が設けられています。

参考:身体検査等の基準について|自衛官募集ホームページ

志願票の書き方

一般的な自衛官の採用試験を受けるためには、最初に志願票を提出しなければなりません。履歴書に似た書類ですが、比較的自由度が高い履歴書と異なり、志願票はフォーマットが決まっています。

志願票の主な項目は、氏名・生年月日・現住所・学歴・家族の連絡先などです。志願区分の項目では、陸上・海上・航空のうち希望するものを選ぶ必要があります。一般層候補生の陸上または海上を希望する場合は、希望採用地域の選択も必須です。

志願票を書く際に注意すべき点は、それぞれの項目に正しい情報を記入することです。誤った情報を書くと不採用になる恐れもあるため、ありのままの情報をきちんと記入するようにしましょう。

参考:自衛官候補生 志願票

参考:一般曹候補生 志願票

自衛隊の志望動機のポイントは?

行進する自衛隊

(出典) pixta.jp

自衛官の採用試験には、一般的な面接に当たる口述試験があります。口述試験では志望動機を聞かれるため、考え方のポイントを押さえておきましょう。

具体的であることが重要

自衛隊で働く自衛官には、国や国民を脅威から守る重要な役割があります。「国のために働きたい」「国民の命を守りたい」といった志望理由でも構いませんが、単に熱意や理想を語るだけでは不十分です。

口述試験で志望動機を述べる際は、「なぜ自衛隊で働きたいのか」「自衛官になりたいと思ったきっかけは何なのか」まで言及する必要があります。

応募者自身の経験に基づいた具体的なエピソードを交えることで、より説得力のある志望理由を伝えることが可能です。多くの志願者が似たような志望理由を選ぶため、オリジナルのエピソードを考えておけば、ライバルとの差別化も図れます。

体力面のアピールも有効

自衛官は、かなりの体力を必要とする仕事です。入隊後も体を鍛えていきますが、応募する時点で体力に自信があるのであれば、そのことを伝えれば大きなアピール材料になります。

スポーツや武道を通して鍛えた体力・精神力が仕事に生かせることを、そのまま志望動機にするのも1つの方法です。他の応募者と差別化を図れるため、採用担当者の印象にも残りやすいでしょう。

なお、体力に自信がなくても自衛隊への入隊は可能です。体力面でアピールできるものがないからといって、過度に心配する必要はありません。

自衛隊の志望動機例文

ノートに書く手元

(出典) pixta.jp

志望動機を自分で考えるのが苦手な人のために、自衛隊の志望動機の例文を内容別に紹介します。希望する内容の例文を選び、実際に考える際の参考にしましょう。

憧れ・尊敬に関する志望動機

自衛官として働いている、または働いていた人が身近にいる場合は、その人への憧れ・尊敬の気持ちを理由にするとよいでしょう。

私が自衛官になりたいと思った理由は、祖父が自衛官として働いていたからです。現役時代の祖父から自衛隊についてさまざまな話を聞くうちに、私も祖父のような自衛官を目指したいと思うようになりました。

祖父は陸上自衛隊に所属していたため、私も陸上自衛官を希望しています。日々の訓練を通じて心身を鍛え上げ、自衛官としての心構えもきちんと学び、自衛官として立派に成長した姿を早く祖父に見てもらいたいと思っています。

仕事内容に関する志望動機

自衛官の仕事内容に関心を持っている場合は、志望理由について具体的なエピソードを述べることが重要です。

自然災害が発生するたび、被災現場で活躍する自衛官の姿をテレビで見ているうちに、自衛隊で働きたいという思いが強くなっていきました。入隊後は訓練に励み、多くの人の命を守れる存在になるのが目標です。

学生時代から剣道に打ち込んでおり、現在は五段取得に向けて仕事の合間に稽古に励んでいます。剣道で培った体力・精神力は、入隊後も生かせるものと自負しています。

「やりがい」から志望動機を導き出す

訓練する自衛隊

(出典) pixta.jp

どうしても志望動機が考えつかない場合は、自衛官としてのやりがいから導き出すのもおすすめです。自衛隊で働く代表的なやりがいを紹介します。

国や国民を脅威から守れる

自衛隊の大きな役割は、自然災害や外部からの脅威などから、直接的・間接的に国や国民を守ることです。分かりやすい例としては、2011年に発生した東日本大震災での活動が挙げられます。

東日本大震災では大津波が発生し、多くの人が被災しました。家屋に閉じ込められた人を助け出したり、救援物資や災害医療スタッフを送り届けたりするなど、自衛隊は国民の命を守るために救助活動に当たったのです。

問題が起こったときにいち早く駆け付け、自分の手で国や国民を守っていることを実感できるのは、自衛官にとっての大きなやりがいになるでしょう。

支援した相手から感謝の言葉をもらえることも

自衛官が仕事で得られるやりがいとしては、実際に災害救助・支援活動を行った際、支援した相手から直接感謝されることも挙げられます。

自衛隊は問題がある場所に直接出向くケースも多く、現場では人々が困難な状況に陥っている可能性もあります。そのような状況で任務を遂行した際は、多くの人から感謝の言葉をもらえるでしょう。

日々過酷な訓練を繰り返し、さまざまな事態に対応できるよう鍛えられた自衛官にとって、支援した相手から直接感謝されるときは大きな達成感を得られる瞬間です。

自分の限界までチャレンジできる

専門的なスキルを磨いていける点も、自衛官としての大きなやりがいといえます。自衛隊には豊富な職務があり、自分に合った道を選んで、自分の限界まで挑戦することが可能です。

例えば、空挺隊員やレンジャーといった陸上自衛隊の精鋭部隊では、体力・精神を限界まで鍛える日々を過ごします。いずれも花形の職種であり、陸上自衛隊の入隊希望者の中には、空挺隊員やレンジャーになることをやりがいにしている人もいるのです。

応募段階で魅力を感じる職務が分からない場合も、「自分の限界にチャレンジしたい」という決意で入隊すれば、やりがいを感じられる道を入隊後に見つけられるでしょう。

福利厚生など待遇面のメリットも

自衛官は安定した収入を得られる職業です。福利厚生も手厚く、リストラ・倒産などで職を失うリスクもないため、生活面で安心感を持って働けます。

自衛隊ならではの一時金があったり、駐屯地内で過ごすことで生活費が浮いたりするなど、お金が貯まりやすい点も大きなメリットです。自衛隊側も自衛官になるメリットとして、収入面・待遇面が充実していることを謳っています。

ただし、志望動機として収入・待遇への魅力のみを語るのは、避けた方が無難です。国や国民を脅威から守れることなどを志望理由のメインとし、収入・待遇への魅力は補足として述べるとよいでしょう。

自衛隊の口述試験Q&A

武装した自衛隊

(出典) pixta.jp

自衛隊の口述試験は、一般的な面接に該当するものです。口述試験で気を付けるべきポイントについて解説します。

見た目で気を付ける点はある?

自衛隊の口述試験で気を付けるべき点は、一般企業の面接と変わりません。口述試験にふさわしい服装は、基本的にはスーツです。

衣服にしわ・シミがあると、印象を悪くする恐れがあります。男性はネクタイが派手すぎないか、女性はメイクが派手になっていないかなども注意しましょう。

2023年現在では、感染症への対応として部屋の換気を行うため、室温の変化に対応できる服装が求められています。素早く着脱できるような服装で臨むとよいでしょう。

参考:自衛官採用:試験日程/【公式サイト】自衛隊札幌地方協力本部 - 防衛省

面接官が見ているポイントは?

自衛隊の口述試験では、質問への回答だけでなく、さまざまな角度から応募者を判断しています。入退室の態度や言葉遣いには、十分な注意が必要です。

集団生活をする機会もある自衛隊では、礼儀や協調性も重視されます。不遜な態度や人を不愉快にする言葉遣いをしていないかなども、面接官はチェックしているのです。

緊張しすぎると適応力が低いとみなされる恐れもありますが、逆に緊張感のない態度は不誠実に見られかねません。適度な緊張感を保ち、真剣さ・誠意を示すことが大切です。

好印象な話し方はある?

口述試験で面接官とやりとりする際の話し方に関しても、気を付けるべきポイントは一般的な企業の面接と同じです。気持ち大きめの声でハキハキと話せば、好印象を与えられるでしょう。

緊張して早口になると、相手が話を聞き取りにくくなります。普段話すスピードより少しゆっくりとしたスピードを意識すれば、最適なスピードになるでしょう。

面接官の質問に対しては、結論から話し始めることも重要です。冒頭で結論を述べてその理由を続け、最後にまとめで締めれば、自分の意思を伝えやすくなります。

熱意ある志望動機を考えて自衛隊への応募を

訓練中の自衛官

(出典) pixta.jp

自衛隊の志望動機では、熱意や理想を語ることが大切です。ただし、熱意や理想のみではインパクトが弱くなるため、その理由についても具体的に述べる必要があります。

志望動機を思いつかない場合は、自衛官のやりがいから考えてみるのもおすすめです。国や国民を脅威から守れる点や、支援した相手から感謝の言葉をもらえる点が、主なやりがいとして挙げられます。

志望動機と併せて、口述試験自体の対策を講じておくことも重要です。自分の熱意が伝わる志望動機を考え、万全の準備を整えて自衛隊への応募に臨みましょう。