パイロットの志望動機の書き方を解説。自社養成の選考を突破するコツ

パイロットを目指すルートの1つが、航空会社の自社養成です。自社養成の選考に合格するにはさまざまな要素が求められます。選考で重視されるポイントの1つが志望動機です。これから選考に臨む人に向けて、効果的な志望動機の書き方と例文を紹介します。

パイロットの志望動機に盛り込むべき項目

パイロット

(出典) pixta.jp

自社養成パイロットの志望動機を書く際には、盛り込まなければならない要素がいくつかあります。特に意識したい4つの要素を詳しく見ていきましょう。自分が書いた志望動機に以下の要素が漏れなく含まれているか、チェックすることをおすすめします。

航空業界を志望した理由

世の中には多種多様な業界があるため、中でも航空業界を選んだ理由を明確に示しましょう。

パイロットは、航空会社だけでなくチャーター便の運航会社や警察、消防などでも活躍しているため、それらではなくなぜ航空業界のパイロットなのかという点が大切です。

「国際線・国内線の主要路線の運航に携わり、社会インフラを支えたい」など、航空業界に就職しなければ実現できない志望動機を盛り込めるとよいでしょう。

多くの職種の中からパイロットを選んだ理由

航空業界では、パイロット以外にも多くの職種が活躍しています。具体例は以下の通りです。

  • グランドスタッフ
  • 整備士
  • ディスパッチャー
  • グランドハンドリング
  • 管制官

志望動機には、上記をはじめとした他の職種ではなくパイロットを目指す理由を盛り込まなければなりません。

「幼少期から飛行機に乗る機会が多く、パイロットを目指すようになった」など、エピソードを具体的に含められるとよいでしょう。「実現するために航空工学を学んだ」など、パイロットを目指すために何をしたかまで含められるとなお効果的です。

応募先の航空会社を志望した理由

大手を含めて航空会社は数多く存在するため、応募先の航空会社を選んだ理由を盛り込むことも大切です。企業を選んだ理由を盛り込む際は、応募先企業のビジネススタイルと絡めるように意識しましょう。

利用者が多い国際線の主要路線をメインとしているなら、「重要路線の運行を担当することで世界中の人々の交流を促進したい」のように伝えられます。

貨物便を専門に運行する航空会社であれば、「大手通販サイトの自社運航便の運航を手掛ける貴社で物流に貢献したい」などと言及できるでしょう。

応募先の航空会社が何に注力しているのかを考え、適切な志望動機を作成することが大切です。

長所をパイロットとしてどのように生かすか

志望動機とセットで長所や短所を問われるケースも多いため、自分の長所をパイロットとしての仕事にどのように生かせるかを盛り込めるとより効果的です。

細かい部分まで気を配って丁寧に作業できるのが長所であれば、「運航中は常に周囲の状況や変化に細心の注意を払い、チェックリストの確認を丁寧に行うことで安全運航に貢献したい」などと盛り込めるでしょう。

自分の長所が何かを考え、パイロットとしての仕事においてどの部分でそれが必要とされるのか検討するのが、効果的な志望動機を作成するコツです。

パイロットに適性がある人に共通する特徴

航空機のパイロット

(出典) pixta.jp

パイロットは専門性が高い職種で、適性の有無も重視されます。パイロットに適性があると判断される人に共通する、3つの特徴をチェックしていきましょう。

健康面・身体面に問題がない

エアラインパイロットとして働くには、6カ月に1回行われる第1種航空身体検査に合格しなければなりません。

航空身体検査では、呼吸器や循環器、視機能、精神・神経系などさまざまな部分を検査します。いずれかの部分で不適合判定が出た場合は、乗務不可です。

合格率が低いわけではありませんが、健康面・身体面に問題がない状態を維持する必要があるのは事実といえます。航空身体検査に合格できる状態であるかは、自社養成パイロットの選考時にも細かくチェックされるため、意識するとよいでしょう。

他者と綿密なコミュニケーションが取れる

飛行機は、2人のパイロットが運航乗務員として乗務するのが基本で、安全な運航を実現するためには、パイロット同士の円滑なコミュニケーションが欠かせません。

この分野を強化するため、飛行機の運航においてはCRM(Crew Resource Management)と呼ばれる考え方が重視されています。CRMは運航乗務員同士のチームワークを強化し、双方の限界を補うことでヒューマンエラーを防ぎ安全運航を実現する考え方です。

安全なフライトを実現するには、パイロット同士のコミュニケーションが欠かせないといえるでしょう。スムーズかつ誤解がないコミュニケーションを取れる人は、パイロットに向いているといえます。

さまざまな状況に応じて適切に判断できる

フライト中には予期しないトラブルに直面する場合があります。そのようなときには、航空事故への発展を防ぐために臨機応変な対応が必要です。パイロットには、予期しない状況に直面した際に、スピーディーかつ適切に対処するスキルが求められます。

「非精密進入で最終着陸進入中に突然滑走路が見えなくなったらゴーアラウンドする」「飛行中に失速したら急いで機首を下げ、スラストを増して対気速度を回復する」など、状況によって適切な操作は異なります。

状況に応じた対処法は訓練でも学びますが、それを実践するには高い判断力が必要です。パイロットを目指すなら、普段から判断力を鍛えることが大切といえるでしょう。

採用に向けて効果的な志望動機を書くコツ

飛行機のコックピット

(出典) pixta.jp

自社養成パイロットの志望動機を書くコツを詳しく解説します。より効果的な志望動機を書きたいと思っている人や、航空業界に対する理解をさらに深めたいと考えている人は、以下で紹介する2点を意識しましょう。

積極的にインターンに参加する

航空会社ではパイロット志望者に向けたインターンを実施しているため、積極的に参加するのがおすすめです。基本的に、インターンは業務説明や既存社員との交流を目的としています。

参加することで、パイロットという職種や応募予定の航空会社に対する理解を深められるため、より深みのある志望動機の作成につながるでしょう。

インターンに参加するメリットは大きいため、開催スケジュールを確認して参加することをおすすめします。

合格者が提出した書類を参考にする

インターネット上には、自社選考パイロットの選考に合格した人が提出したエントリーシートが公開されている場合があります。効果的な志望動機が思い付かないのであれば、合格者のエントリーシートをチェックするのも1つの方法です。

複数のエントリーシートをチェックすることで、自分だけでは気付かなかった着目点や書き方、内容をイメージしやすくなります。

説得力がある志望動機の書き方を学ぶことにもつながるため、一度確認してみましょう。

パイロットの志望動機の例文を紹介

 

志望動機の例文から、さらに詳しく書き方や盛り込む内容を学びましょう。効果的な例文とNGな例文を1つずつ紹介します。それぞれ何がよくて何が悪いのか確認し、効果的かつオリジナルの志望動機を考えましょう。

効果的な志望動機の例文

私は幼少期から飛行機に乗る機会が多く、飛行機に興味をもっていました。高校生になるころにはパイロットを目指すようになり、航空工学の学習に励みました。

貴社では国内・国外の主要都市をつなぐ重要路線を数多く運行しており、それらの路線の運航に携わることで、世界中の人々の交流に貢献したいと思っております。

私はどのような状況にも落ち着いて対処できるのが長所です、パイロットとして活躍するに当たってはこの長所を生かし、イレギュラーが発生した際も適切に対処し、安全運航に貢献したいと思っています。

上記の志望動機には、航空業界に興味をもった理由やパイロットを目指すきっかけになったエピソードなどを簡潔かつ説得力がある仕方で盛り込んでいます。採用担当者にも「なぜ当社に応募してきたのか」が分かりやすく、効果的といえるでしょう。

NGな志望動機の例文

私がパイロットを目指した理由は、飛行機の操縦に興味がありそれを仕事にしたいと思ったためです。今後はパイロットの需要が高まって人材不足に陥ると考えられており、長期的に働けると考えております。

求人も比較的豊富で報酬水準もよく、十分に活躍できる職種であると考えております。

上記の例文で言及しているパイロットを目指す理由や将来のキャリアプランには具体性がなく、当たり障りがない内容しか言及していません。

パイロットでなければならない理由や応募先企業を選んだ理由にも、十分に言及していないといえるでしょう。このような志望動機では、採用担当者の心を動かすのは難しいといえます。

選考対策として意識したいその他の要素

 

パイロットの選考に合格するには、志望動機の書き方以外の要素も大切です。選考で合格に近づくために意識したい項目を2つ紹介します。パイロットはさまざまなスキルが求められる職であることが分かるでしょう。

十分な学力をつける

自社養成パイロットの選考に合格すると、訓練がスタートします。事業用操縦士や定期運送用操縦士の資格を取得するには、一定の学力が必要です。

パイロットとして必要な知識や技能は訓練で教わりますが、必要な学力を備えていなければ理解するのに時間がかかり、訓練が苦しいものになるでしょう。パイロットを目指す段階からさまざまな学習に意欲的に取り組み、学力を向上させることが大切です。

フライト中に管制官と交信する際に使われる管制用語は全て英語のため、一定の英語力も求められます。英語に不安がある場合は、前もって学習しておきましょう。

面接対策を念入りに行う

書類選考を突破したら、続く選考として複数回の面接に臨みます。面接で不合格になると採用されないため、面接対策には力を入れましょう。

自社養成パイロットの面接では、志望動機や自己PRなどの一般的な内容に加えて、応募先企業の魅力や他社と比較した場合の特徴について問われるケースもあります。

面接に突破するコツの1つは、自己分析と企業研究に注力することです。自社養成パイロットの倍率は高いため、十分に時間をかけて対策しましょう。

十分に対策してパイロットの選考に臨もう

敬礼するパイロット

(出典) pixta.jp

パイロットになるためのルートは複数あり、その中の1つが自社養成です。自社養成パイロットの倍率は高く、合格するには十分な選考対策が欠かせません。

選考において志望動機の重要度は高いため、説得力がある内容に仕上げることが大切です。自己分析や企業研究を念入りに行い、自分の言葉でオリジナルの志望動機としてまとめ上げましょう。

選考対策を十分に行うことで、選考に突破する確率を高められます。